前回はこちら。先に読んでもあとで読んでもいいぞ。

 お、服が落ちてる。ということは……

 ゴソゴソ

 あった、くろぼうだ。
 みんなくろぼうになってしまった。引きこもって誰とも話さなかったから俺だけ感染せずに生き残ってしまったな。

 お、こっちにもあった。

 ゴソゴソ。トレンチコートしかないってことは露出狂だったんだろうか。

 あった、くろぼうだ。

 ムシャムシャ、「くろぼう」は一人で食っても美味いな。しかしあれだな、完全にくろぼうとはいえ元人間だと思うと、これって食人になるんだろうか。

 食人といえば思い出すな……。

 …………

 ……

 

 ……という内容の歌が、先日買った中古車のカーオーディオに取り残されていたCDに収録されていた。曲調は意外にもシティポップ風だった。

 これは予言に違いない。

 未来で孤独に人間くろぼうを食べる存在になっても人とコミュニケーションが取りたいとかではなく「知らん人と知らん人の知らんコミュニケーションの話が聞きたい」とは俺らしい。

 よし、また集めようじゃないか。知らん人同士の会話。四たび俺はGoogleフォームで「全然知らない人とその場の流れでなんか会話した思い出募集」を開始した。その後とくに仲よくなったりしていないような、本当にその場限りの会話だ。
 そういうのを並べる記事の4回目だ。

 送ってくれた皆様ありがとうございました。全部は紹介できないのをご了承くださいね。

 

 子供特有の尋常ではないコミュ力。あと周りの優しさ。

 

タオル

 旦那が銭湯でクマちゃんのバスタオル使って体を拭いてたら小3くらいの男の子が「可愛いタオルですね…」て話しかけてきたらしく、 子供の相手に慣れていない旦那が「よかったら使ってみる?」とトンチキな返しをすると、少年も「じゃあ顔だけ…」とトンチキ返答をしタオルの端で顔拭いてきたそうです

 旦那は少年に「このタオル、しまむらに売ってるよ」と教えると「じゃあ、お父さんに買ってもらいます!」て言ってきて2人でニコニコになったそうです

 良い子と良いおじさん裸のほっこりエピ

BMG

 可愛いエピソードだ。「よかったら使ってみる?」がいいな。相手の男の子もべつに使ってみたいとは思ってなかっただろうけど、断るのも悪いと思ったのかもしれない。良いな〜。

 

変な人

 雑貨屋さんの傘売場を母と2人で眺めていた時の話です。
「こういう小洒落た傘って失くしそうで不安よね」みたいな、なんてことない会話をしながら売り場にいました。

 すると、同じ売り場にいる3歳ぐらいの女の子が「変な人〜!」とそこそこ大きい声で言いながら私を真っ直ぐ指さしたのです。

 私たちの周りに人はいなかったし、確実にその子と目が合っていたので、私に言っているのだろうとは思いました。が、心当たりなんてないし、あまりに突然の事で何も言えずにただ母と顔を見合わせることしかできませんでした。

 呆然としているとその子の母親らしき女性が○○ちゃんここにいたの〜、みたいな感じで連れて行ってしまったのですが、未だにあれはなんだったんだ…と母と話題になります。

ろんた

 失礼すぎて笑っちゃうけど怖いものなしすぎで恐ろしくもある。マジで変な人だったらただごとでは済んでなかったな。今後変な人に変な人って言って痛い目に遭わないことを祈ろう。

 

野球

 小学6年の時、友達と近くの公園で待ち合わせをしていてその待ち合わせ時間よりかなり早く来てしまって、ブランコ漕いでたり、ベンチに座ってたりしてたら急に小さい子供(多分小学2~3年ぐらい)に「一緒に野球しよ!」と言われた。

 10分~15分ぐらい、片方がボールを投げてもう片方がバットでそれを打つというのを交代でしていた。

 でも、僕はその時野球経験ほぼ0で、その子は野球クラブにでも入ってたのかかなりうまくて、小6が小2~3年に野球を教えられるという事があった。

 その後、友達が来たので、友達きたからその子と遊ぶね。バイバイと言ったら「そっか・・・また今度遊ぼうね!と言われて別れた。」

 その後、1回も会わなかったし、名前も聞かなかったからまた遊ぶことはなかった。

I like cookie

 ちょうどいい温度感のエピソードだ。良い〜。忘れてるだけで自分にもこういうことがあった気がしてくるな。

 

出会い

 小学6年生の昼休み、低学年の子達が遊ぶ横を通り過ぎようとしたら男の子に『お姉さんお姉さん!ちょっと来てよ』とありえん強さで腕を引っ張られ、友達らしき男の子の横に私を並べると

『このお姉さんとはやと(仮名)、今から”出会い”するの!』

と言われ、満足げに笑われた。はやとくんは照れるし、周りの子達はけらけら笑っていて本当にどうしたらいいか分からなかった。え〜出会い〜?意味知ってるの?とかしか言えなかったけど今考えたら私もその子達もだいぶマセガキだと思う。

今こそ出会いが欲しいよ

 マセガキ!! 何がどうなって「はやとくんとそこら辺を歩いてる女子を出会わせよう」となったのか気になる。はやとくん視点の思い出話聴きてえ〜〜〜〜。

 

かわいいね

 仕事の一環でファミリー向けリゾートプールの入口で団扇か何かを配っていた25歳くらいのとき。

 小5くらいの男の子が私から団扇を受け取り「おにいさん、かわいいね」と言って館内へ去っていった。

 あの調子でクラス中の女の子を褒め殺しているのだとすれば許される所業じゃないが、「ありがとう」くらいしか返せなかったのが悔やまれる。

ショタには目覚めなかった

 こういう褒めが爽やかにサッと出てくるのいいな。自分も言われてるんだろうな。多分。それかこのお兄さんが本当に超可愛いか。こういう時に気持ちよく切り返せるように「かわいいね」って言われた時のシミュレーションしておこう。

 

 旅行中って誰彼構わず話しかけたくなる無敵モードになる時がある気がする。

 

玉子

 冬に離島を旅行していて商店で買った缶チューハイ飲みながら歩いていたら軽トラがすす〜と寄ってきて、車の窓から島の人らしきおじさんが「旅行かい?こんな時期に」と話しかけてきた

「そうです」「物好きだねこんな時期に」「いえいえ、温泉目当てで。ここは静かでいいところですね」「そうかい、嬉しいねえ、じゃあこれやるよ」と、おじさんはおもむろに卵をひとつくれて軽トラは去っていった

 缶チューハイ飲みながら歩いてる人に卵?と思ったけど、温泉が沸く島なのできっと茹で卵だろうと思って、どこかで食べようとコートのポケットに入れて散歩した

 しばらくして寒くなったので手をポケットに入れたら割れていた 生卵だった なんでくれたの!?生卵飲めってこと? ポケットは後で温泉場の水道で洗った

温泉好き

 温泉玉子にしてねってことだったのかもしれないけど、言ってよ。

 

イエス/カモン

 幼稚園児だった頃に、家族旅行でカナダに行ったときのことです。

 マクドナルドに併設されているアスレチックで遊んでいました。海外規格なのか、併設されているものとは思えないくらいバカでかいアスレチックに興奮しながら遊んでいると、同い年くらいの現地の子だと思われる女の子に話しかけられました。

 幼稚園児の私が知っていた英語は「イエス」と「カモン」だけで、彼女がなんて言っているかなんて何も分かりません。
 それでも当時の私は英語で話すぞ!と意気込み、彼女が何か話すたびに「イエス!」を連呼していました。
 私が「カモン!」と言うと彼女はにこにこしながら後ろをついてきてくれて、それがとても嬉しかったのを覚えています。

 しばらく遊んでその場でバイバイしました。
 今思えば「ノー」すら頭に無く「イエス」と「カモン」という、前しか見てない単語だけでのコミュニケーションでしたが、だからこそ楽しかったのかもなと思っています。

「ノー」を知ってしまった今、この頃ほどのコミュ力はもうありません。

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 二人とも遊ぶためにそこにいることがわかっているし、2単語と勢いだけでなんとかなっちゃうのかもしれない。最後の一行が超いい。ちょっと泣きそう。

 

かくしごと

 初めて訪れた街で、用事を終え駅に向かっていたら、レンタサイクルがあったので「街巡りでもして帰るか」と軽い気持ちで自転車を借りることにしました。

 受付にいたのはおじさんだったのですが、私が申込用紙に名前と携帯番号を書いたところで突然「あなた、何か書く仕事をしてるね」と言ってきたのです。

 何が驚いたって、実際私は作家なのです。
 言葉に詰まる私に、おじさんは「そういう字をしてるから」とだけ言い自転車のカギを渡して去っていきました。(別に特徴的な字でも無いし、そもそも仕事ではタイピングがメインです)

 話のネタに適当言ったにしては会話を広げる気も無く……おっさん何者だったんだ。今でもレンタサイクルの看板を見るたび思い出します。

無名の物書き

 当てる方もかっこいいけど、職業と書く文字の印象が一致してるのかっこいい。言われてえ……。

 

 初めてバイクを買いすぐに出発した秋の田舎旅行の話です。
 山道を走っておりカーブをした瞬間に蹲っているお婆さんが現れ咄嗟にブレーキをして止まり降りて大丈夫ですか!?と声を掛けると、顔を上げこちらを見て「ここに凄い栗が落ちてるの!凄いくらい!」と興奮気味の笑顔で言いました、確かに足元には沢山のいがぐりが転がっていました。

 驚きながらも確かに凄いですね!と返し少し話をした後、去り際にいがを取った栗を10個程貰い、その時は袋を持っていなかったのでジャンパーのポケットに栗を突っ込みそのまま去り、その栗は夜に民宿のキッチンスペースで塩茹でにして食べました。

 あと余談なんですが栗を取っているお婆さんの右手にあった崖の上でイノシシがこちらを凝視していた。

孕み孕み

 初めてのバイク旅行のエピソードとして素敵すぎるな。うずくまるお婆さんに声をかけてあげられる優しさも素敵だし、その結果も楽しいし。何より余談がいい。

 

Good luck.

 高校3年生の時に1年間アイルランドに留学していました。
 トラムという路上電車に乗っていた際に、ティーンエイジャーの集団がワラワラと乗ってきて、歌ったり踊ったりと大騒ぎしていました。

 車内の雰囲気がなんとなく悪くなっているのを感じながら乗っていたら、近くに立っていたマダムが私の方をチラッと見て“Good luck.”と言い残してからトラムを降りました。

 まごまごしながらサンキュー、とだけ答え「これが海外か……。」と妙に感動したことを覚えています。

スーパーギャングがしゃどくろ

 すごい。最初から最後まで異国情緒たっぷり。自分以外全部非日常(というより自分がそこにとっての非日常)になった時のただ圧倒されるしかない感じに添えられる言葉として最高。”Good luck.”

 

のれん

 正確には会話をしていないのですが、小学校低学年の頃、家族で温泉旅館に行ったときの話です。

 私が大浴場の近くのトイレから出た時に、入り口ののれんに手が引っかかって、のれんを床に落としてしまいました。
 私の家族は既に温泉に行ってしまっていて、小学校低学年の私は、背が届かないので、のれんを元の位置に戻せずに一人で苦戦していました。

 そこに浴衣姿の家族が通りかかって、そのお母さんが自身の子供たちに「だから言ったじゃない」と、何か説教をしていました。 すると、特に目が合ったわけでもないのですが、その怒ってるお母さんがフラッと私のところに来て、何も言わずにのれんを元の位置に戻してくれました。
 そして私のお礼も聞かずに、また家族の方に戻って、子供たちに説教をしながら去っていきました。

 のれんを直してくれてる時も、そのお母さんは無言で、怖い顔をしていましたが、明らかに優しい人だったのは間違いないし、あの子供たちへの説教も、母親の優しい心がしていたんだろうな、と思いました。

 私もあのお母さんのような、優しい人になりたいです。

温泉Gメン

 かっこいい大人だ。知らない子供に話しかけるでもなく当たり前のようにできるのがかっこいい。俺だったら「どうしたの」とか言っちゃう。いや、言ってもいいとは思うけど。

 

えらかった

 友人と東京から香川へ旅行に行った時のことです。

 最終日、友人は用事があり別行動になったため、私は金比羅山に登ってみることにしました。
 何百段とある階段を1人で登り続け、やっとの思いで頂上に着き、ベンチで休んでいると年配の男性が近くに座ってきました。 そして隣の私に「こんなに登ってえらかったねー」と言ってきました。
 私は「いえいえー全然そんな事ないですよ」と応え、その場は終わりました。

 後日家に帰ってから夫に「登りきったらなぜか偉かったねって褒められちゃったんだよー」と言ったら、「えらかったって疲れたって意味だよ」と言われました!

 どうやら関西方面ではそのような言い方をするらしいのですが、関東出身の私は全く知らず、せっかく労わってくれたおじいさんにたいして、あからさまに疲れた表情でそんな事ないですと強がった返答をしてしまったなーと時々思い出してしまいます。

あき

 方言勘違いエピソード、なんてちょうどいいほのぼの具合だ。おじいさんもこれ言われてから「こいつなんか勘違いしてるな」と思ったんだろうか。

 

おしっこ

 昨年友人とディズニーランドに行った時のことです。

 その時人生で初めてスプラッシュマウンテンに乗ったのですが、あまりにも水がバシャバシャ!!ビチャチャチャ!!という強烈な音を奏でたため、猛烈にトイレに行きたくなってしまいました。

 隣にいた友達に「ねえ!めっちゃおしっこしたいんだけど!」と乗り物の音に負けないような大声で話しかけたところ、後ろに乗っていた綺麗なお姉さん二人組に「おしっこやばいですよね!?」と満面の笑みで返され、降りるまでずっとおしっこの話をしていました。

タワテラが好き

 知らない人とおしっこシンパシーで盛り上がれるほど……そんなに共感されるくらい利尿作用ある乗り物なんだ。興味出てきたぞ。

 

半年

 四国の鉄道乗り潰し旅行をしていたときの話。

 無人駅のベンチで一泊してから始発で少し大きい駅まで移動して歯を磨いたり食事をしていた。
 すると軽トラに乗ったタンクトップのおじさんがやってきてどこから来たんだとか色々聞いてくる。
 こっちも時間つぶしにちょうど良いと相づちを打ちながら話をすることに。

 初めは大学の話とか地元の話とかありきたりな話をしていた。 すると突然俺は余命が半年なんだとストレート。
 あまりにも勢いがありすぎて返答に困っていると笑ってくれればよいとさらにストレート。

 こうなるとどうしようもなくて愛想笑いを浮かべるしか無かった。

 子供の名前は言葉遊びで付けたって話で思わずくすりと笑ったら、やっと笑ってくれたって喜んでくれたけど、余命の話はなんて答えれば良かったのか未だに分からない。

 結局そのおじさんは自分の話したいことをひとしきり話し終えると「達者でな」とまた去って行った。
 何をしに駅にやってきたのかもついぞ分からなかった。
 そもそも本当に存在していたのかさえも分からない。多分存在はしていた。

はっちゃん

 余命の話なんかされた方はどうしていいのか本当に困るんだけど、いざ自分がそういう立場になったら絶対言いまくってしまうだろうな。同じようなエピソードがもう一つ来ていたし、言いたくなるのだと思う。たまたま会った知らない人が相手だったら尚更、困らせるとわかってても言っちゃうだろうな。

 

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