はじめに

この植物の名前をご存じでしょうか。
 
 
 
これはヒメオドリコソウという植物です。
 
こうした身近な植物に馴染みはあっても、その名前まで知っているひとはなかなか少ないかもしれません。
 
 
私たちの生活している町にはたくさんの植物が自生しています。きれいな花を咲かすものから繁殖力の強すぎる厄介者まで、多種多様な草花が根ざしています。
 
 
ある日、本屋でこんな図鑑を見つけました。
 
 
 
身近な草花300<街中>
 
その名前の通り、人間の生活圏内に自生する300種の草花が載っている図鑑です。これを片手に持てば『この草はこんな名前で、この時期に、こんな色の花をつけるのか』を知ることができ、いつもの散歩道にはほんとうに多種多様な植物が自生していたことに気づきました。
 
こうして図鑑片手に楽しい植物観察の日々を過ごしていたところ、ある疑念が胸に萌しました。
 
 
「この『身近な草花300』という図鑑に載っている300種、本当に『身近』なのだろうか」 と。
 
「本当に『身近』であるならば、すべての種を実際に確認することが可能なのではないのか」 と。
 
 
確かめます。
 
 
 
『図鑑に載っている植物300種、一年かけて探したらどれだけ見つけられるか』
 
 
 
運命のベルが鳴る
 
 

検証方法

図鑑に載っている植物を探す。
 
端的に言えばそれだけなのですが、この検証を行うにあたって大きな問題があります。それは
 
 
植物の同定めっちゃむずい!!
 
 
ということ。同定とは草花の種類の判別をすることなのですが、これが植物の素人である私にはかなり難しい。これは検証において大きな障害です。
 
 
 
そこで今回利用したのが 『Picture this』 というアプリ。
 
 
 
 
アプリ内カメラで植物の写真を撮ることによって、その種をAIで自動判別してくれるというすごいアプリです。未来!!
 
テストとして、名前のわかる園芸用の草花をいくつか撮影してみたところ、ほぼ100%正しい種が表示されました。精度について絶対が保証されるものではありませんが、それでも素人の私よりはずっと信頼できます。
 
植物図鑑、この『Picture this』というアプリ、そしてインターネットを駆使して植物の同定にあたります。
 
基本的には、このアプリを使っていちばん可能性が高い候補として出た植物を採用します。ただ特徴が違う場合や時期的におかしいと判断した場合はインターネットでその植物について調べて追加で検証します。
 
もし興味がわいて『Picture this』を利用される場合は、1週間のお試し期間を超えた瞬間にいきなり1年分の利用料が引き落とされる点だけ気をつけてください。そこを除けばかなり最高のアプリなので。
 
 
とにかく草花の写真を撮りまくって300種類集めるぞ!
 
 
 

採集 – 2月

早春 街に春の気配がただよいはじめました。植物たちの目覚めの時期です。
 
手始めに近所の公園に来てみました。とりあえずそこらへんの草花から撮影してみます。
 
 
 
 
撮った。
 
 
 
 
 
識別
 
 
 
 
 
出た。
 
 
 
 
 
あった。
 
 
 
こんな感じでやっていきます。
 
 
スプレッドシートに300種の草花すべての名前、開花時期、花の色を打ち出してあります。見つけたものから日時と場所を記録します。
 
 
 
記念すべきひとつめの草花はオオイヌノフグリ
 
ちいさな青い花弁がかわいいですね。春先からあらゆる場所で見ることができます。一面に群生すると青白い花のカーペットみたいになって素敵です。
 
そんな花の名前が『でかい犬のキンタマ』。昔の人ってクレイジーですよね。
 
 
初日はカタバミナズナノボロギクヒメオドリコソウなど、私にも馴染みのある植物を確認。よく見る草花だけど、こんな名前だったんだな~。2月中に確認できたのは12種。
 
12 / 300というと全然すくないですが、まだ霜が降りる夜もある2月にはほとんどの花は開花していません。どうしても葉や茎の状態だけでは種の同定が難しく、花が咲いているとアプリの判定の精度が上がるような気がします。花が咲くと人の目にも留まりやすいという点でもこれから春にかけてが採集の本番ですね。
 
3月からは開花する草花が一気に増えるので、積極的に探しに行きます!
 
 

採集 – 3月

 
 
春。
 
春だねえ。あたたかい日も増えてきました。
 
 
 
これはナノハナを撮っています。春はいろんなお花が咲いていてよい。
 
 
 
 
ルリムスカリ(300種外)
 
公園、川沿い、山間などいろいろな場所を探していきます。
 
採集を続けていくと周りも見慣れた植物ばかりになっていくのですが、だからこそ見たことない植物を発見したとき、「なにこれ~~~!!!」とめちゃめちゃテンション上がります。ポケモン図鑑埋めてるみたい。
 
でも改めて300って本当に多いな。俺が高校生のときの同学年が280人ぐらいだったけど、それよりも多いのはやばい。多すぎる。
 
 
 
 
ハナニラ 園芸用として植えられることが多い植物ですが、そこから逸走して自生もします。妖艶でカッケ~
 
 
 
ナヨクサフジ 変わった形の花をつけます。鮮やかな紫がきれいですね。群生するさまはかなり見事です。
 
 
 
タチツボスミレ かわいいお花。スミレは種類が多くて判定がとてもむずかしい。葉の形が丸みのあるハート状であれば少なくともツボスミレの仲間ではある、はず。しかしそうでない場合もある。植物はこんなんばっかだよ。これタチツボスミレで合ってますか!?
 
 
 
3月19日と20日の二日間で新規28種を確認。スプレッドシートがどんどん埋まって気持ちいいぜ。やはり花が咲くと見つけやすいし同定も確度が上がります。
 
最初は公園によく足を運んでいましたが、公園で見られる草花って案外少ないのかもしれません。人間の手によって整備されている場所では、人間にとって都合のわるい植物は排除されてしまう。公園よりも空き地や山間のほうがいろいろな種類の草花を見つけることができます。
 
 
 
 
タンポポ、見分けつかね~~~~~
 
タンポポのように近縁種が多い植物は『Picture this』では同定できません。なので私が図鑑とインターネットを駆使して同定を行わなくてはならない。
 
本当に花が咲いてもぜんぜん見分けがつかない。タンポポは花弁の様子より総苞外片(そうほうがいへん)という部分で見分けるらしいのですが… 
 
 

ちなみに総苞外片とはここのこと。ここが反っているか否かで外来種と在来種の区別はできるらしい。へ~
 
外来種
 
セイヨウタンポポ
アカミタンポポ
 
在来種
 
カントウタンポポ
トウカイタンポポ
シナノタンポポ
シロバナタンポポ
 
在来種はほかにもカンサイタンポポなどありますが、私の住む地域で見られる可能性があるのはおそらく上記の6種のはず。太字の4種が図鑑に載っています。タンポポをみつけては花をひっくり返し総苞外片を確認する日々。外来種・在来種の区別がついてもそこから先がわかんね~~~ しかもタンポポは交雑している可能性が高く、それも同定がむずかしい要因のひとつ。
 
 
 
 
 
 
まあ、これはセイヨウタンポポかな。舌状花がフサフサで、総苞外片も反ってるし。
 
 
 
 
 
う~ん カントウタンポポかなあ。たぶんそうだと思うけど。
 
『みなし』ていいかな?
 
総苞外片が反ってないし、舌状花の状態もそれっぽいし、居住エリアからカントウタンポポとみなしていいかな?
 
よし、みなそう。おまえはカントウタンポポ。
 
 
これを見ているタンポポに自信ニキのみなさん、助けてください。もうほんとにお手上げなんです。これだけ甘い判定をしてもなおまだトウカイタンポポを見つけなくちゃならないのに。
 
 
 
出典:身近な草花300<街中> 亀田龍吉
これが図鑑に載っているトウカイタンポポ
 
こち亀の中川だったら「ぜんぶ同じじゃないですか」って言う。
 
 

採集 – 4月

3月末のハイペースがウソのように停滞しだしました。2日間街を歩いて新しく見つかった種がたったの1ということがあり、さすがにこたえた。いままでは多い日で20以上の新しい草花を見つけることができていたのに…。
 
 
 
数でいうとなんとか100は超えました。記念すべき100種類目の草花はフランスギク
 
これから生える草・咲く花はまだたくさんあるので、このままサボらずにいけば、終わるころにはかなり多くの草花を見つけるはず。300種フルコンプ目指したい!!
 
 
図鑑を眺めていると「実際に見てみたい!」と思う花がでてきます。いまの時期に見られる花ではオオアマナとキランソウ。ず~っと探しているが見つからない。きれいな花なので見つけたい!!
 
あたりまえの話になってしまいますが、植物というのは時期によって見られる・見られないがあります。ようはすべての植物にタイムリミットがあるということ。5月になると花が閉じる植物がでてきますのでうかうかしていられません。ここでとりこぼすともう来年までその花を見ることはできなくなってしまいます。
 
いままさに、オオイヌノフグリやナズナなど春先から目立っていた植物がだんだんとフェードアウトしてきています。季節は待ってくれないぜ。
 
 
 
レンゲ(300種外)
 
まだ見ぬ草花を求めて平気で一時間とか散歩するようになりました。いつものなにげない散歩も好きだけど、目的のある散歩もたのしいですね。夜によく眠れる。
 
 
 
 
あっっっ!!
 
オオアマナだ~~~!!!!!
 
ずっと探していたオオアマナを実家でみつけました。閉花時期ギリギリで、もうこのまま見つけられないのかと思っていたのでめ~っちゃうれしい!!
 
オオアマナだ~ イェイイェイ
 
なかばあきらめていたので余計にうれしい。落とした財布がちゃんと警察署に届けられていたときのような感動がある。
 
 
 

採集 – 5月

新緑の季節。街に緑が日に日に増えていく。
 
キク科が元気になってきましたね。キク科の圧倒的な繁殖力・占有力には驚かされます。マジでキクはおそろしく強い。
 
 
 
オオキンケイギク あざやかな黄色の花が見事ですが繁殖力の超超超つよい外来種としての一面も持ちます。侵略性の最も高い植物のひとつとして特定外来生物に指定。
 
 
 
ヤグルマギク(300種外) 土手一面に咲くあざやかな青が美しい。こちらも駆除が難しいめちゃ強い外来種。
 
 
さて植物観察についてですが、発見ペースがめまぐるしく下落しています。ああああああ~~~!!!!
 
この地域で春に見られる花はあらかた見つけてしまったのかもしれない。これから梅雨~初夏にかけて大きく気候の変動があるので、そこからが勝負か。盛り返してくれ~~!!
 
 
 
 
ニワゼキショウ カッケ~ ニワゼキショウには赤い花のものと白い花のものがあり、どちらも確認。どっちもかっけ~~~
 
オオニワゼキショウルリニワゼキショウという、ニワゼキショウの通常進化とアイテム持たせて通信交換したときの進化みたいな近種も300種にあるのですが、こちらは見つけられず。ぐぐごごご…
 
 
 
 
あ! キランソウ!! キランソウ、だよね!? 山中の林道で発見。今日までに園芸種のセイヨウキランソウ(アジュガ)は何度か見たけど、これは場所的に人為的に植えられたものとは考えづらいし、茎も立ち上がってないし、これはキランソウだと思う。そうであってくれ。
 
キランソウはカッコいいのでずっと探してました。見つけられてうれしい!! よっしゃっしゃ~~!!!
 
キランソウは薬草としての効果がとても高いらしく、イシャイラズと呼ばれたりもするそう。すごい。そんなに言い切って大丈夫? 薬事法ひっかからない?
 
 
 

採集 – 6月

梅雨っぽい。毎日じめじめしている。
 
こうした気候変動を植物は全身でつぶさに感じとり、おのおの気候に対応したフォームに姿を変えていきます。
 
梅雨になると元気になる植物もたくさんあるようで、ある日ふだん歩かない道を歩いたら新しい8種を発見。5月は一ヵ月かけてたった9種しかみつけていないのでこれはすごいことです。やはりいつも歩かない道には見たことのない花が咲いているんですね。
 
 
 
 
その道ではワルナスビを見つけました。その名前を初めて見たときには『サングラスをかけたナス』が頭に浮かびましたが、実物はこんな感じでした。そんなにワルそうな見た目じゃないですね。
 
 
 
ネジバナ 名前の通りねじれています。螺旋階段のようなおもしろい形をしているのでちょいちょいツイッターとかでも見るネジバナ。あまり目立ちませんが、よ~く見ると空き地などに生えています。
 
 
 
シャガだ!!!
 
みなさん!! シャガですよ!! 見つけた~~~~!! シャガだ~~~!!!
 
日の当たらない湿った場所に生える植物です。図鑑に載っている『身近な植物300種』のひとつではありますが、なかなか街中ではみることがむずかしい。私は山のふもとの河川で見つけました。野生化しているシャガを見たのはこの場所だけです!! これはSSレア!!
 
うれし~~~~ 探してた花がみつかるとテンション上がるな~~~~!!!
 
ホントに、あらゆる場所を歩き回ってお目当ての花を見つけたときの多幸感はすごい。自然由来の脳汁が出る。
 
 

採集 – 7月

梅雨もだんだんと明けはじめ、夏らしくなってまいりました。
 
 
 
ツユクサ 青い花が特徴的なツユクサ。日本に自生する草花のなかで青色の花弁をつけるものはかなり珍しいです。ツユクサは日本の在来種で、その鮮やかな青色を利用して昔から染物などに使われていたらしい。
 
 
 
 
 
ビロードモウズイカ でっけ~ 変わった植物。そこらじゅうに生えてるけど、こんな植物ほんとにあった? 見たことないんだけど。今年から生えてないですか?
 
300種類のなかでも特に変わった植物のひとつだと思います。とにかくデカくて変な形をしている。すみませんね、あんまりデカさが伝わらない写真で。そういうことまで頭が回っていないし、フォルダを見返しても他の写真が残っていない。俺は愚か。
 
でもほんとうにデカいんですよ。大きいものだと2メートル以上まで成長するんでおそろしくデカい。デカいし形状もおもしろい。だから紹介はしたいけど、いい写真が残っていない。悔しいよ。俺は。
 
 
 
ガマ ガマだ。その特徴的な姿から存在は昔から知っていたけど、ちゃんと実物を見るのは初めてのような気がする。ホントにこの魚肉ソーセージみたいなのがついてるんですね。ウケるな。
 
きっといままでも身近にあったんだろうな~。こんなおもしろ植物でも意識していないとぜんぜん視界から滑り落ちていく。ガマしかり、ビロードモウズイカしかり。
 
 
 

採集 – 8月

あっっっつい!!!!
 
散歩したくね~!!!!
 
それでもしっかり時間をとって外を歩くのですが、8月はぜんぜん新しい植物が見つからない。は? つれ~んですけど。
 
8月トータルで6種。6て。300種もこの本には植物が載っているのに、6。トホホ…
 
とにかく街に花がない。
 
花をつけるのは植物にとって体力をたくさん使う大仕事と聞いたことがありますが、やはり暑すぎる夏は植物にとっても生きるだけで必死なのかもしれない。花をつけている余裕がないのかも。
 
 
 
 
ニラ あのニラです。ニラの花はかわいいんだね。そこらじゅうに生えていて、ちゃんと食べられる。目立つ花期はあまりおいしくないらしい。近づくとけっこうあの慣れ親しんだニラの香りがしてちょっとウケます。
 
 
 
ハナトラノオ(300種外) 不思議な形をしたピンクのお花がかわいいハナトラノオ。こういう変わったお花を見かけるとテンション上がります。
 
 
 
タカサゴユリ この時期にいっせいに咲き始めるユリ。白くて立派で非常に目立つ。斜面にバーッと一面に咲くさまは見事。ほんとうにどこでも生えるのでありがたみは薄いが、でも身近に見られるユリってタカサゴユリぐらいですね。
 
 
 
 
ケチョウセンアサガオ そんな盛夏でも元気に咲いていたのがこちら。ケチョウセンアサガオ。ケチョウセンアサガオの花はでかい。め~ちゃめちゃでかい。ふつうのアサガオの花の2倍から3倍ぐらいの直径がある。この300種のなかで一番花弁がでかいんじゃないだろうか。
 
植物全体にめちゃめちゃ強い毒性があることでも有名、らしい(俺は知らなかった。触らなくてよかった~)。ケチョウセンアサガオはアメリカ・メキシコ原産の植物で、その強力な幻覚作用からネイティブアメリカンの儀式に使われていたとも。
 
 
 
私は山梨県在住なのですが、今年は連日39℃や40℃と幻覚みたいな気温が出ました。
 
8月の花の写真がどれも暗いのは、どれも夜に撮ってるから。40℃のなか散歩したらシンプルに死んでしまう。
 
 

採集 – 9月

酷暑は過ぎ去り、過ごしやすい日も増えてまいりました。9月になると花をつける植物がまた増えてきます。春に咲いていた花もまた秋になると花をつけることがあり、ヒメオドリコソウやオオイヌノフグリが咲いているのを見るとなんだか懐かしい気持ちになります。
 
 
 
ヒガンバナ 9月の花といえばヒガンバナですね! カッケ~~~
 
300種のなかでもトップクラスに特徴的なこの花。あざやかな赤が美しい。
 
ばーっといっせいに咲くので群生は見事です。なにもないところから真っ赤な花畑がいきなり出現するような驚きがあります。そのぶん枯れていくときも、ばーっといっせいに枯れていくので、意識していないと見逃してしまう花でもありますね。
 
 
8月とはうってかわって9月は好調!!
 
涼しくなって散歩もしやすい。図鑑に載っている載っていないにかかわらず、8月と比べるといろいろな植物がみられるようになった気がします。花や実をつける植物も多い。
 
こうなると俄然散歩が楽しくなります。さいこ~
 
 
アサガオは夏の花というイメージでしたが秋のほうがいろいろな種類がみられることを知りました。
 
 
 
ホシアサガオ
 
 
 
マメアサガオ
 
 
 
ヒルガオ
 
 
 
アメリカアサガオ 花弁が閉じていて見栄えが悪いけど、この株の葉がいちばんアメリカアサガオっぽい特徴を有していたので…。ホントはもっとあざやかな花が咲きます。
 
 
アサガオのなかまもまた同定がむずかしい。この本に載っているアサガオ・ヒルガオ全部列挙します。
 
ケチョウセンアサガオ
コヒルガオ
セイヨウヒルガオ
ヒルガオ
ホシアサガオ
マメアサガオ
マルバアサガオ
アメリカアサガオ
マルバアメリカアサガオ
 
図鑑に載っているのは以上の9種類ですがそれら以外にもたくさん種類がある。名前からも区別がやっかいなのがおわかりいただけるかと思います。マルバアサガオ、アメリカアサガオ、そしてマルバアメリカアサガオて。いい加減にしてくれ!!
 
 
 
ゲンノショウコ(300種外) かわいい花なのにスケバンみたいな名前だな。
 
 
 

採集 – 10月

 
 
なにを言ってるんだという話になり恐縮ですが、マルバツユクサです。まったく開花していませんが青い花弁の一部が見えますでしょうか。俺はめちゃめちゃテンションが上がっています。なぜなら10月にしてとうとうマルバツユクサを見つけたからなァ!!!!
 
 
 
先ほども写真を出しましたがこっちはふつうのツユクサ。そこらじゅうで見られる、きわめて身近な植物です。
 
 
 
マルバツユクサもツユクサも開けばほとんど同じような花弁ですが、マルバツユクサは名前の通り葉が丸くフチが波打っていることから区別できます。比べてみると葉の形状が違うのがわかるかと思います。まったく花弁が開いていないけど、これが一年かけてみつけた唯一のマルバツユクサ。俺もちゃんと花が開いてるマルバツユクサの写真がほしかったよ。過酷な検証だぜ。
 
 
 
また今月はこちらもツユクサのなかまであるムラサキゴテンを発見。よくみると花弁にしっかりとツユクサの面影があります。人類に絶望して闇堕ちしたツユクサみたいでめちゃくちゃカッコイイ。
 
 
10月にあたらしく発見した植物は6種。秋も深まり、もうさすがにあたらしい植物は見つからなくなってきました。
 
 

採集 – 11月

もう11月。
 
11月以降に咲く花はこの図鑑の中に存在しないので、今月で検証は終了になります。あっという間だったな。
 
この一年間、自分の家のまわりはさんざん歩き回りました。あらゆる路地に入りあらゆる植物の写真を撮った。もうこの家の周りに自生している植物はすべて完璧に把握していると言えるでしょう。
 
そんなある種の全能感に包まれるなか、11月に配信された位置情報ゲームアプリ『ピクミンブルーム』にハマってあらためて自宅周辺を歩き回ったところ新たな植物を4つ確認。
 
ぜんぜん見落としてました。
 
 
ビビるわ~ こんなに見落とすかね? その4種いずれも目立たないところにひっそりとたたずんでいました。何万歩も歩いてきたけどまだ隠れてたんだな。しかし冬のような寒さの日も多くなり街から花が消えつつある11月にもこうしてあたらしい植物を見つけることができたのはとてもうれしい。
 
 
 
ナガエアオイ
 
 
 
ハナイバナ
 
 
 
カラスウリ
 
 
 
キツネノマゴ
 
 
 
キツネノマゴの群生。きれい! 検証のさいごにいいもの見れたね。
 
 
 

検証結果

『図鑑に載っている植物300種、一年かけて探したらどれだけ見つけられるか』
 
今年の2月から始まったこの検証。とうとう終了しました。
 
一年間かけて見つけられた身近な植物は300種中…
 
 
 
 
 
220種!!!
 
 
 
いや~~~
コンプリートめちゃめちゃむずいな~~~~~
 
悔しい。かなりとりこぼしてしまった。2月からけっこうがんばって探したのだが見つからない植物はまっっっったく見つからない。これは地域によるものもあるかもしれないし、観察者の修練度の低さによる部分もあると思う。くぅ~~
 
 
 
サクラマンテマ
 
 
記事中では主に花をつける植物の紹介をしましたが300種のなかには花をつけない植物も多く、ここの区別がかなり難しいところでした。花があるとやはり人の目に留まりやすいのですが、花をつけない・特徴のうすい植物はどうしても見落としがちになってしまいます。判定もむずかしい。
 
また、『オオ〇〇』・『オニ〇〇』や『ヒメ〇〇』という名前の植物が未発見のリストに多く残っています。植物の接頭語においてオニは『大きい』ヒメは『小さい』という意味があるのですが、こういうサイズ違いの植物は判定がむずかしいところでした。なのでもしかしたら実際には見つけているけど判定がうまくできていない可能性もあるかもしれません。なかなかむずかしいやね。
 
 
めちゃめちゃ見つけたかったけどどうしても出会えなかった植物は
 
 
出典:身近な草花300<街中> 亀田龍吉
バラモンジン
 
 
出典:身近な草花300<街中> 亀田龍吉
ルリニワゼキショウ
 
 
出典:身近な草花300<街中> 亀田龍吉
オオオナモミ
 
オオオナモミは緑色の楕円ウニみたいな形の実が特徴のヤツ。いわゆる『ひっつきむし』(私の地元では『バカ』と呼ばれていた)。どこにもねえ。小学生の頃はたくさん見たのにいまはぜんっぜん見ない。いなくなったことにも気づいていなかった。
 
10年20年という非常に短い期間で数が大きく減少する植物の存在は私にとってかなり衝撃的でした。オオオナモミ自体も在来種オナモミを大きく減少させた外来種ではありますが、そのオオオナモミもまた別の植物に駆逐されているんですね。いま身近にある植物が10年後にもまだ身近である保証はない。
 
 
ともあれ以上の3種はいつか見つけたいですね。また来年がんばって探すぞ!
 
 
 
 
スミレ
 
 
まだ見ぬ植物を探して知らない路地を歩き回るのはとても楽しかったし、結果として200種類以上の植物を見つけられたのはうれしかったです。
 
植物の名前を知ることには単純なよろこびがありました。
 
それに見たことのない花を見つけたときは本当にめちゃめちゃテンションが上がります! あの瞬間は本当にうれしい。
 
そしてこれからの人生で、めずらしい花を見かけるときそれがめずらしい花だということに気がつける。それがとても楽しみです。まだまだ見たことのない花がたくさんあるはずだから。
 
 
 
 
ヤブカンゾウ
 
 
一年を通して、植物が姿を変えていくのを眺め、季節がうつろいゆくのを感じることができました。
 
そしていま、冬が近づき、街から花が消えていっています。花ばかり追っていた一年だったのでなんともさみしいですが、また暖かくなれば最初にオオイヌノフグリが、そしてナズナやヒメオドリコソウが花をつけるでしょう。私もその植物たちと同じように春を待ちます。
 
 
『図鑑に載っている植物300種、一年かけて探したらどれだけ見つけられるか』
 
残念ながら1年ですべてみつけることはできなかったけど、とても楽しい検証でした!
 
この検証はこれから先ずっと続けていきたいし、いつかはコンプリートできたらうれしいと思ってます!
 
 
 
 
以上、ありがとうございました。