温泉、いいよね。
きょうは温泉にまつわる特集だよ。
こんにちは!
みなさん温泉は好きですか? 私はとっても好きです。
私の住む山梨県にはすてきな日帰り温泉がたくさんあります。都心からのアクセスも良く、週末のドライブなんかにもピッタリ! 日帰り温泉をハシゴしちゃったりなんかして… グフフ たまんねえな!
いまはなかなか遠出もはばかられるご時世ではありますが、落ち着いたらぜひ遊びにきてくださいね。
山梨の温泉はなんかフォッサマグナの影響とかですごい良いらしいです。私もよくわかってませんが、日帰り温泉に行くとだいたいそういう説明があります。だからこんなに気持ちいいんですね。ハアー 山梨の温泉は最高だな。
そうフォッサマグナがね。
すごいらしいのよ。
山梨は奇跡的な立地らしいのよ。
なんか
同じこと書いてない?
各温泉施設にある温泉の解説を読んでみると内容の近似がみられ、それらの看板の最後を見ると必ず書いてあるのが田中収教授というお名前。
そう、どこの温泉に行っても解説の看板があって、それをすべて田中収教授が書いてる気がするんです。
気づいてしまったらもう確かめるしかない。それがライターのサガ。
『山梨の温泉、どれくらい田中収教授の看板があるのか』
検証しました。
今回訪れた日帰り温泉の数、21!!!
ふやけるまで温泉、浸かってきました!!!
今回の記事の撮影では各温泉施設のガイドラインを遵守し、長時間の滞在は避けています。
また、世相をふまえ今回の検証では『ほったらかし温泉』や『奈良田温泉』など、遠方から訪れる方が多い有名温泉は避けています。そのあたりの温泉はもうすてきなレビューがネットにたくさんあるのでそちらを見てね!
1. 気づき
あらためましてこんにちは。オモコロライターの藤原です。温泉だいすき!
そしてこちらは『寺尾の湯』。わたしのホーム温泉。市民は400円で利用でき、施設もかなりあたらしく最高の温泉です。飲食物持ち込み可なので、休憩所はシニアの社交場となっています。私の推測ですが、この地域のシニア、全員ここにいます。
残念ながらいまは休憩所が使用できなくなってしまいましたが、温泉は利用できます。私はこの温泉を週に一度は確実に利用するので、だんだんと施設内の様子に詳しくなっていきました(あと、露天風呂でみかんを食うおっさんが出現する時間帯にも詳しくなりました)。
ある日、県内の他の日帰り温泉『かじかの湯』を訪れたときに、ロビーにあった看板をぼんやり眺めていたとき、あることに気付きます。
「この田中収教授って名前、『寺尾の湯』でも見たな」 と。
田中収教授…。いろいろな肩書があるようですが、山梨県大月市にある大月短期大学の地球科学の教授のようです。看板の横に新聞の切り抜きも掲示してありました。
教授のお写真。
山梨の温泉は世界一だと力説されています。教授が言うなら間違いないね。
あらためて先ほどのわたしのホーム温泉『寺尾の湯』を訪ねたところ、やはり田中収教授のお名前を確認できました。
考えてみると、ほかの温泉にも似たような看板があったような気がする。
もしかして、山梨のすべての温泉に田中収教授がいるのか?
胸に萌したこの疑問、確かめないわけにはいきませんでした。
走れ!
走れ走れ走れ!!
2. 支配者(ザ・ルーラー)
とりあえず自宅に近い温泉から確かめていくことにします。
『やまなみの湯』に来ました。昔から何度も訪れている温泉です。以前に訪れたときには浴室で実の祖父に偶然会いました。私だけでなく私の家族にとっても身近な温泉といえるでしょう。広くてのんびりできるいい温泉なんです。小さいころから何度も来てるけど、『田中収教授』なんて名前は見た覚えないけどな…。
あ、
あ、
あった。
この写真は休憩室にあった『田中収教授ボード』を映したものですが、浴室にも同じものがありました。こんな大きな看板があったなんていままで気づきもしなかった。
この瞬間はすこし恐怖すら感じました。私が子供のころから利用しているこの温泉は、ずっと田中収教授とともにあったのです。ちいさな気づきによって世界は大きく表情を変えてしまう。私は知らず知らずのうちに田中収教授の掌の上で踊らされていたのかもしれない。
次に訪れたのは『みさかの湯』。このころから私は温泉施設に入ると『田中収教授ボード』を探すためキョロキョロとまわりを見回すようになってしまいました。「わたしはいま『教授』に見られている」。そういう強迫観念にとらわれていたのかもしれません。
『みさかの湯』ではロビー、休憩室、浴室内などくまなく探したものの『田中収教授ボード』はありませんでした。検証としてはボードがあったほうがうれしいのですが、どこか安心している私もいました。よかった、田中収教授がいない温泉もあるんだ。そう思って玄関に向かうと
あった(キャー)。
施設に入る方向からは死角になっていたのですが、受付の向かい側にありました。めちゃめちゃびっくりしたよ。
また『みたまの湯』、そして北杜市にある『尾白の湯』にて『田中収教授ボード』を確認。残念ながらこの両施設は浴室内にしか看板がなく、写真はありません。
いまのところ、6つの温泉すべてに『田中収教授ボード』があった。打率100%。これもう全部の温泉にあるってこと?
まだまだ寒い時期ですが街にはオオイヌノフグリが咲き始めました。
春が近い。
3. 暗雲
ない温泉もある。
7件目の温泉『上九の湯』には『田中収教授ボード』はありませんでした。教授の影響力も絶対ではないようです。それは私の心に平穏をもたらすに十分な事実でした。手心がほしいと思っていました。
『ももの里温泉』
『桜湯』
続く『ももの里温泉』、『桜湯』でも『田中収教授ボード』はありませんでした。6連勝からの3連敗です。あれ? もしかして、思っている以上に『田中収教授ボード』は少ないのか? たまたま最初に行ったところに看板があっただけなのかな。
とはいえまだ調査は序盤!
どんどん行くぞ!!!
『桜湯』からの帰りみちでオオアラセイトウの群生を見ました。きれいですね。
4. 復古
The Professor is back.
嵐の前の静けさだったのかもしれません。教授の進撃はとどまることを知らず。検証を進めていけばいくほどその存在の大きさが明らかになっていきます。
『はやぶさ温泉』
『田中収教授ボード』ありました。
『やまと天目山温泉』
『田中収教授ボード』ありました。
『ゆ~ぷる韮崎』
ありました!
『玉川温泉』
『田中収教授ボード』ありまし
えっ!? どちらさま!?
ここにきて『沼田所長ボード』が出現しました。びっくりした。
いままで『田中収教授ボード』がない温泉はありましたが、違う人の名前を見たのははじめてです。こんなパターンもあるのか。ほかの都道府県の温泉の情報もほしいですね。
『まほらの湯』
『田中収教授ボード』なかった!
お目当てのものがなかったからか、私もどこか悲しそうな顔をしてますね。
温泉の近くにハナニラが咲いていました。
ハナニラは妖艶ですてき。好きな花です。
『燈屋(あかりや)』
ありました!
が、『田中収教授ボード』は浴室内にしかないので撮影はできず。めちゃめちゃでかいボードなのに!
『むかわの湯』
すげえ逆光ですがありました!
『紅椿の湯』
ありました!
記事の冒頭でもお見せした図解付きの『田中収教授ボード』です。写真に収めることができたもののなかではこれが一番大きいかもしれません。カラーでわかりやすい。
それに加えて、特筆すべきは肩書の数。観測史上最大の7を記録しています。
『天空の湯』
ありました!
が、『田中収教授ボード』は脱衣場と浴室にしかなく、撮影はかないませんでした。
ぶどう園に囲まれた丘にある、めちゃめちゃ眺めのいい温泉。
これは完全に余談なんですが、なにげなく食堂で頼んだ醤油ラーメンが信じられないぐらいおいしかったです。おそらく温泉施設で提供される醤油ラーメンで日本一うまい。マジのマジ。なんならラーメン屋のラーメンよりうまい。
温泉もワインも魅力的ですが、ラーメンだけ食べに来る価値あります。
『つむぎの湯』
ありました!
が、こちらも『田中収教授ボード』は浴室にしかなく、撮影できず。
撮影できないのが残念なぐらい立派な『田中収教授ボード』でした。ぜひ直接確かめに行ってほしいですが、つむぎの湯のホームページからも教授の解説を読むことができます。
帰り道で自生しているムスカリを見ました。
街に花があふれる時期になりましたね。
『韮崎旭温泉』
ありました! が、A4ラミネートの『田中収教授ペーパー』でした。珍しいですね。
ここの番頭さんがお話好きな方で、温泉のことなどいろいろお話していただけました。
その流れで田中収教授のことを聞いたら、『おう! しょっちゅうきてるよ!』とのこと!!
え! しょっちゅう教授きてんの!?
番頭さんは他のお客さんの対応が忙しくなってしまい詳しくは聞けませんでしたが、こちらの温泉は田中収教授のお気に入りのようです。田中収教授のお気に入りということは、すなわちここはめちゃめちゃいい温泉であることの何よりの証明でしょう。
『神の湯温泉』
ぼっさんのコスプレ?
こちら『神の湯温泉』でも『田中収教授ボード』発見しました。山梨は水晶や宝石加工などでも有名なので、それに紐付けた解説になっています。
こちらでもスタッフの方に田中収教授について尋ねたところ、「先月もいらっしゃいましたよ」とのこと。こちらも教授のお気に入りなんですね。
こちらでは貸し切りの露天風呂を借りました。『神の湯温泉』には3種類の貸し切り温泉があり、それぞれ個性的でたのしいです。
5. 『田中収教授ボード』内容について
16/21
21件の温泉施設を回って、そのうち16の施設には『田中収教授ボード』がありました。山梨の温泉にはかなりの割合で『田中収教授ボード』がある、ということが確認できましたね。それでは、これまで集めた各『田中収教授ボード』から内容を紐解いていきましょう。
まずここでキーワードとなるのが
みなさん、義務教育で学んだ知識を活かすときです。こんなもん勉強しても将来使わないだろ、の『将来』がとうとうやってきました。さあさあさあ!! いまから『糸魚川ー静岡構造線』の話をするぞ!!
わたしといえば、なんとなくこの文字のならびに見覚えはあるものの、糸魚川の読み方すら忘れていました。『いといがわ』だそうです。無茶を言うな。
社会だか地理だかの授業で学んだフォッサマグナ、その西側の境界線が『糸魚川ー静岡構造線』です。フォッサマグナについては、『古い地層でできた本州の中央をU字型の溝が南北に走り、その溝に新しい地層が溜まっている地域である。』とWikipediaにあります。その日本の中央を南北に走る新しい地層の西端が『糸魚川ー静岡構造線』で、これが新潟県の糸魚川から静岡にかけての地層の境界線です。
つまり、最初に見たこの図の白い部分と黄色の部分を分ける左端の赤色の線が『糸魚川ー静岡構造線』ってコト!
ココね!
山梨県の西部にはこの『糸魚川ー静岡構造線』が走っています。
温泉は地下の断層に貯まっていることが多いので、そこをうまく掘りあてることで地表まで温泉を噴出させることができます。『糸魚川ー静岡構造線』は北アメリカプレートとユーラシアプレートがぶつかりあう境界に位置するとされ、活断層がたくさんあります。だからこのエリアには温泉がたくさんあるんですね。
そう、『田中収教授ボード』からはそんなことがわかります。
みんなわかったかな? わたしはここまで理解するためにインターネットを4時間駆け巡りました。
あと『田中収教授ボード』には、温泉は大地の母神ガイアからの贈り物である、ということも書いてあります。
今日のところはそれだけわかれば十分です。
そう、わたしたちは母なる大地に生かされているということ。
ゆめゆめ忘れるなかれ。
カタバミの花が咲く季節ですね。
カタバミの花言葉は 『母のやさしさ』
6. まとめ
いや~ はいった はいった。
短い期間でたくさん温泉に入りました。
地元にこんなにたくさん日帰り温泉があるとは知りませんでした。これでもまだ県内の日帰り温泉の半分にも満たないようなので、温泉の多様性とその奥深さを肌で感じています。
温泉って香りもぜんぜん違うし、水の粘度もかなり差があるんですね。いままでは温泉ごとの泉質の違いみたいなものはあまり理解していませんでしたが、短い期間にたくさん入湯することでそれぞれの差異を敏感に感じることができました。お湯がトロトロのものだったり、泡がプチプチはじけたりと、どれも個性的でおもしろいです。
香りや肌触りが違うということはすなわち温泉の成分が違うということなので、それぞれにその特性を解説する必要があるというのも納得です。
『田中収教授ボード』ではその温泉の地学的要素において共通の部分もありながら、それぞれの温泉の成分分析や特徴、さらには効能まで子細に解説されており、その特性に合わせた温泉の入り方までわかりやすく記されています。
リウマチに効く~など温泉の効能について記されたものはどこの温泉でも見られるかもしれません。しかしそれよりもっと深いところまで掘り進めた『田中収教授ボード』を読みながらのんびり温泉に浸かれる山梨の温泉はとても贅沢なものだといえるのではないのでしょうか。
ありがとう、田中収教授。この記録によってあなたの偉業の一端を担うことができたなら最上です。
ぜひ山梨の温泉を訪れる際には、『温泉の神様』とまで言われる田中収教授の『田中収教授ボード』まで楽しんでいってくださいね!
チャオ!