前編はコチラから読めます
最終的に完成した漫画はコチラから読めます
あらすじ!
ラブコメ作品への愛が高じて、「自分もラブコメ漫画家デビューしたい!」と目論むWebライター・たかや。しかし、その道程は永く険しいものだった。
アドバイザーに原案を貰い、ネットで意見を募り、思考錯誤しながらもなんとかネームが完成! 果たして、初めての「ラブコメ漫画制作」は成功するのか? どんな漫画になるんだ? っていうか締め切りに間に合うのか?!
いよいよ『作画パート』! 俺たちの戦いはこれからだ!
締切まであと10日
よっしゃ! 1位だぜ!
締切まであと9日 !
まずは画力向上のために模写
模写は良い…
まずは自身の画力を向上させるための模写作業です。
自分の好きなキャラ描くのは楽しい(「ぼく勉」の文乃っち超好き!)。それに、なんとなく「頑張った」感を錯覚できます。
小学生時代、クラスで流行りの漫画のキャラを模写しただけで「絵が上手だね~」と褒められたあの頃に戻りてぇや…。
締切まであと8日
下書きをしよう
下書きは嫌だ…
改めて自分の画力の低さと向き合うことになる。頭の中では完璧な人体が想像できているのに、いざペンを持つと一気にイメージが霧散します…。くそ…。頭の中は大暮維人先生バリなのによォ…!
例えばこれは「胡坐(あぐら)をかいている人」の絵
胡坐ってこうじゃないよね! なんか違うよね!
別のアングルからも
完全にダルシム。 俺が胡坐を描くといつもダルシムになっちゃんだよな…。
足の組み方ってどうすりゃいいの?
あとね! 横顔!
僕は右利きなので、左向きの顔が超絶に苦手です。のペーっとしてんなぁ。
まぁ正面からの顔はそこそこ描けるなんです。でも、それだけ。ずっと正面顔しか描いてこなかった。正面顔を描いてるときは楽しいんだもの。
苦手なものから目を背けて、好きなことばかり手をつける。絵って人間性が如実に現れます。
もう、正面顔と右向きの顔だけで展開される漫画にしちゃおうかな…。
さっきからモノクロ画像が続いてるのでミックスグリルの写真載っけておきますね
締切まであと7日
再び模写をしよう
画力を上げるために、更に模写、模写、模写!!!(文乃っち超好き!)
付け焼刃なことは理解しているけど、それでもやらないよりはマシです(文乃パパとのエピソード超好き!!!)
締切まであと6日
難しいポーズは自分でやってみよう
仕方無いので、自分でポージングしてトレースする作戦に出ます。
頭でウダウダと考えるよりもこれなら一発。あと自分が描くキャラのコスプレはより愛おしく感じてきます。
せっかくなのでコスプレのまま下書きを続けました。
もしかしたら世の男性ラブコメ漫画家さんも、スカート履きながら描いてるのかもしれません。エッチですね。
締切まであと5日
原稿用紙にトレースしよう
貧乏でトレース台が買えないので、日光に透かして原稿用紙に描き写します。これ、本当に令和の光景か?
腕に血が上る…。
締切まであと4日
あと、部屋が寒く指がかじかむので、電気ケトルの湯気で手先を逐一温めます。令和ってなに?
締切まであと3日
ペン入れをしよう
下書き完成!
大変でした…。構図やアングルを考える作業を延々と繰り返す日々。どうしても同じアングルばかりになっちゃうし…。
なんやかんやでこの作業に5日かかりました。あ~、しんど。
そして…
もう嫌だ
また白紙からのスタート。頭が痛くなる。…憎い。白い紙が、憎い。
やっとこさペン入れです。ここに至るまでの工数、マジで多すぎ。
もうさ、世の全ての漫画、チラシの裏にボールペンで描いたやつでもよくない? それもありじゃない? 少なくとも、僕は次からそうしよう。
……うぉォォ!
●枠線を引いていく●
枠、ダリ~~~。
ミリペンを使って一本一本慎重に線を引いていく作業。はみ出ないように引くのは緊張するし、緊張すると手が震える負のループです。クソ…!
●トーン貼り●
トーン貼りもダリ~~~。
一番めんどくさい作業です。不器用なのですぐ破けてしまいます。エンピツでシャーってやってそれをトーン代わりにしちゃだめかな…。
あと、トーンはそこそこ高額(一枚2~400円ぐらい)。今回も数枚しか買えませんでした。
なので「あっ、このトーン足りねえ」となったらゴミ箱から切れ端を拾って再利用していきます。惨め…。
そして、出来る限り予算を押さえるためにセール品のトーンを買ったんですが、すぐ剥がれる。おそらく経年劣化で粘着力が弱くなっています。
仕方ないので上からセロテープで補強します。こんな貧乏な漫画あっていいのか?
●背景も書こう●
インクをこぼしてしまい、30分かけて書いた階段が台無しになりました。この瞬間、マジでHPがごっそり削られます。
あ~~~~! ボケ~~~~!!!
●服のシワも頑張ろう●
素人として今回一番悩んだことが「シワ」。
俺、服のシワを描くのがマジで無理なんだよな…。例えば上図のワイシャツに、自分なりのシワを足してみると…
ア…アバラ骨!
シワ、むっっっずい。
っていうか、どこにどう線を引けばいいのか理解が出来ない!
同様に、自分なりに描いてみた「ブレザー」は「ダウンジャケット」になるし…
あと「髪の毛」のツヤもどう描いていいのかわからん…
結果、髪の毛全てベタ塗りで誤魔化す…。素人めっ!
「服のシワ」「髪の毛のツヤ」「光源の位置」
僕、コレがどうしても理解できないんだよな…。自分がマンガ家になる夢を諦めた最大の理由がコレかもしれない…。こういうの描ける人って、脳の作りが違うの?
クソ…クソ…! こんなことなら漫画専門学校を通っておくべきだった。
締切まであと2日
描けども書けども終わりが見えません。一向に終わる気配が見えません。
昨晩は原稿用紙と一緒に寝ました。頭にトーンの削りカスがついていました。悪夢にうなされていた気がします(たぶん記事が落ちた夢)。
なんていうか…。1ページごとの作業量が変わるから「時間配分の予想」が全くできない。
「このページはこれぐらいで済むかなぁ」が通じない。
部屋で怪奇現象が発生しています。さっき時計を見たときはまだ1時だったのに、もう2時になっています。僕の部屋、時空が歪んでいます。怪奇現象です。
………。
時間感覚はバグるし、終わる気配見えないし、部屋は寒いし…。全てを投げ出して旅行行きたい。もう嫌だ。
締め切りまであと2日。やばいやばい。焦ると不安がやってくる…。
よし! いいぞ! 犬、勝て! 犬勝ってくれ!
つくばわんわんランド! マザー牧場! 世界の名犬牧場!
(↑犬と触れ合える施設名を連呼)
あ~~~~~~。アニマルに癒されて~~~~~~。孤独~~~~~~~~~~~~。
締切まであと1日
寝てぇ…………。とりあえず、寝てぇ………。
眠い、腰が痛い、風呂に何日も入ってないから身体が臭い。
…寝ようかな。寝よう。
……漫画を描き始めて約2ヵ月。わかったことがあります。
情熱と技術は比例しない
自分の絵を見返すたびに下手くそすぎて凹む…。
話を読み返すたびに「つまんねぇ~」と感じる…。
漫画への愛だけでは、漫画は描けないことがわかりました。
逃げよう
締め切りまであと1日。正直もう絶対間に合わないって。所詮は素人。漫画を描くなんて無理だったんだ…。
…たかやさん、たかやさん
…え? ラ、ラブ師匠?!
落ち着いてください。これはアナタの幻聴です。
げ…幻聴…
たかやさん、諦めてはだめです。
いや、でもマジでもう無理ですって。絶対に間に合わない。全て投げ出してヘッドスパ行きたい。
…漫画のこと、嫌いになりましたか?
…少し、嫌いになったかもしれません。
……。
正確に言うなら、漫画を上手く描けない自分が嫌いになりました。なにもかもが想像通りに行かなくて…。
こんな事なら、ただただ、好きな話で盛り上がっていたあの頃のままがよかった…。結局、技術も知識もない素人がマンガを描くなんて無理だったんですよ。
そんなことありません。『経験も想像も全て駆使して、自分を全部ぶつけて描くのがマンガ』なんです。
…それ、『げんしけん』の荻上さんのセリフ丸パクリじゃないすか。
たかやさん、漫画に正しいも間違いもありません。
もう一度思い出してください…。アナタの漫画愛を…。
「げんしけん」 9巻 128-129p
「僕たちは勉強ができない」 9巻 170-171p
「ハヤテのごとく!」 10巻 32-33p
………。
締切まであと20時間
うおおおお!!! 急げ急げ急げ!
締切まであと10時間
やばいやばいやばい…!
秘儀「必要以上にふきだしを大きくする作戦」(描き込み量を限りなく減らす)
締切まであと1時間
急いでるときに限って、ペン軸や消しゴムを見失うんだけど?!
ボケーーー! あああああーーー!!!
そして…
遂に…
締め切り当日
2020年12月10日
マンガ完成!!!!
永い…永い闘いでした……。とりあえず寝ます。
まとめ
今回、素人がゼロからラブコメ漫画を描いてみて気付いたことはこんな感じ
~ネーム中に考えてたこと~
・「見せ場」「山場」を先に考えるのはよくあることだろうけど、その数が多いと話を繋げるのクッッッッッッソ難しい!(そこに至るまでの過程、キャラの心情・行動を描写しなければいけないから。そして全然できない)
・「セリフの繋がり」「キャラの挙動」とかを考えているうちに頭が沸騰する
・一コマ修正すると他のコマも調整しなければいけない。頭が沸騰する
・手元にあった漫画を読むと、どの作品も大体1ページ、縦向きに3~4段でコマ割りをしていたので、自分もこれを基準にコマ割りを考えた
・似たアングルが続く…
・なんとなく雰囲気でるし、大ゴマとか入れちゃお
・「シチュエーションのつなげ方」「話のテンプレ」みたいな『引き出し』が自分にはまだまだ少ないことがわかった。凹む…
・「テンプレ」って大事なんだな
・なんやかんや設定を考えてるときが一番楽しい
・設定集で約3万文字イった
・そしてそれらの設定をほぼ活かせない
・マリオ35が上達する
・ざわさんありがとう…。ラブ師匠…
~作画中に考えてたこと~
前回の記事でも書いたけど、この作業を毎週・毎月繰り返すプロの漫画家さん、やばすぎんか?狂人かよ?
・Twitterに創作マンガを投稿している人もすごい
・画力は一日にして成らず
・服のシワの描き方わかんね~
・髪のツヤもわかんね~
・光源の位置わかんね~
・太陽の場所とかなんも考えてないから、コマごとに陽のあたり方がバラバラ
・背景小物の縮尺もバラバラ
・キャラの顔もコマごとにバラバラ
・時間をかけて描いた背景にインクが一滴溢れて台無しになった瞬間、HPがごっそり削られる
・線画の状態だと良い感じだけど、ペン入れしたらなんか違う
・息抜きに読んだ単行本、プロと自分の実力差に凹む
・トーンの端っこすぐ破ける(ファック)
・セール品のトーンは粘着力が弱い
・トーン番号をメモってないから、どこにどのトーン使ったのかすぐ忘れる(最終的にどうでもよくなる)
・プロが描いたトーンとかベタとか、なんか途中ですっげーいい感じにグラデーションなってるけど、これどうやってんの?! なにこれ?!
・全てのコマを正面顔と左向き顔だけで展開したい
・ボールペンで描きてぇ〜
・絵、人間性が如実に出る
・デッサン人形、まったく役に立たねえ
・時間がねぇ…。マジで時間がねぇ…。
・ふきだし&モノローグの枠を大き目に書いた(描く量を減らす作戦)
・急いで描いたふきだし、お尻になっちゃう
・焦ってるときに限って、ペン先や消しゴムが机の上から消える
・一ページごとに描く量が違うので、時間のペース配分が全く予想できない
・マンガ…一コマごとの戦いだぜ…
・後半になるにつれ、白紙になっていく(時間がねぇ)
・原稿チェックする余裕がない
・手書きの文字ぜったい読み辛いですよね!ほんとすみません!!!(写植の時間がねぇ)
・全てを投げ出して旅行に行きたい(そんな金はない)
・犬の散歩をしたい(犬飼ってない)
・「たかや君は毎日頑張ってるよ~。偉いよ~」と彼女に頭を撫でてほしい(恋人はいない)
・↑これらを想像したら本当に泣いてしまった
・こんだけ苦労したんだから、ジャンプとかの編集者がすぐ目に止めてほしい(たぶんみんな同じこと考えてる)
・とにかく時間がねぇ
・「マリオ35」めちゃくちゃ上達した
☆製作期間…約2か月
☆ページ数…24P
☆かかった費用…約4260円
(内訳)
・デリーター原稿用紙(40枚入り) 680円
・パイロット証券用インクブラック・ホワイト 430円×2
・デリーターインクブラック 380円×2
・デリータースクリーントーン数種類 計1290円
・筆ペン(呉竹) 150円
・100均で買ったA4用紙(ネーム用) 110円
・船橋駅近くのガストでの打ち合わせ 約800円
マジでしんどかった…。しんどかったけど、それでも声を大にして言いたい!
あぁ、これからもラブコメ漫画が大好きだ
あと、もしこの記事を漫画編集者の方が読んでくれていたなら、適切なアドバイスをください。
(おわり)
僕たちが初めて描いた作品「私じゃダメ?」、下のリンクから全ページ公開させていただきます。
粗削りすぎる作品ですが、よければ読んでください…!
今回の肝である「原案の情報をどれだけ詰め込めるか」。果たして全てのポイントを通過できたのか?!
スケジュール的に間に合わないので、舞台を教室から屋上に勝手に変更しました(-1ポイント)。も~知らん。
おわり
※※お詫び※※
今回の記事の公開が12時に間に合わず大変申し訳ありませんでした…