みなさん、ステキな恋してますか? してねえか。こんなサイト読んでるんだもんな。
己の人生に全く縁がないことを疑似体験できるのがマンガですが、「ラブコメマンガ」は昔から根強い人気があります。登場人物の付かず離れずな関係性を見てヤキモキしながら「抱けーっ!」と座敷牢の老人のように叫ぶのは楽しいですよね。
そんなラブコメマンガ、長い歴史によって作り上げられた「黄金のパターン」があるのをご存知でしょうか。たとえば……
告白シーンが
いいところで遮られる!
ベタですが、いざ読むといい感じにヤキモキしちゃうんですよね。
さて、このような「ラブコメあるある」……もとい「ラブコメの黄金パターン」をいっぱい集めたら……
究極のラブコメマンガが作れるのではないでしょうか?
ということで、この男たちが「究極のラブコメマンガ」を作ります。
【ラブコメ会議の参加者】
ダ・ヴィンチ・恐山
ラブコメマンガの登場人物が幸せな様子を見ると、ふたりのプライバシーを侵害している気がして読むのをいったんやめてしまう。たかや
ラブコメマンガが大好き。ラブコメの良さについて泥酔しながら語るインスタライブを深夜に行い、Instagramのブランドイメージに傷をつけている。かまど
マンガの「あるある」を網羅しており、先の展開を予測するのが得意。「ひとつなぎの大秘宝」の正体も俺はわかっていると言って譲らない。ヤスミノ
マンガ全般が好きでラブコメマンガも好きだが、本棚の見えやすいところには単巻完結のオシャレっぽい単行本を置くといった一面もある。
示し合わせたみたいに真っ黒ですね。
この企画は3/9(火)に最新6巻が発売される大人気コミック『宇崎ちゃんは遊びたい!』の提供でお送りします。
会議スタート
さて……みなさん。「ラブコメマンガのあるある」考えてきましたね?
こういうことですよね?
「主人公は川に膝まで足を突っ込んで物を探してくれる」
?
?
どういうこと?
いやあの、ヒロインが大切なものを失くしちゃって、主人公が探すエピソードってよくあるじゃないですか。そのとき主人公はドブとか川に躊躇なく入っていくんですよ。
あー、言われてみれば。
初手で出すあるあるじゃないだろ。
これの逆が「ディオ・ブランド―にキスされたのが嫌すぎて泥水で口を洗うエリナ」です。
逆かそれ?
ラブコメのあるあるって言ったらこういうのでしょう!
「幼馴染は屋根から入ってきがち」
いい笑顔だな。幸せになってくれ。
隣の家に住んでるパターンね。
あれうっかり落ちて取り返しのつかない大怪我しそうで怖いんだよな。
あと、こういうのもありますよね。
「恋愛が進まなくて横から取っちゃおうとする奴がいる」
……
あれ?
これは「ラブコメマンガあるある」じゃなくて「恋愛マンガあるある」では?
えっ、それ同じじゃないの?
個人的には別のような気がする。くっつくかくっつかないかで本当にハラハラする展開は体感的に「ラブコメ」じゃないのよ。ラブコメマンガの読者って心臓が弱いから、精神的負荷が強すぎると死んじゃう。
特に最近はカップリングが最初から完成してるパターンのほうが人気出てるイメージあります。
Twitter発のマンガとかも「○○くんと××ちゃんの話」みたいな決め打ちがかなり多い。『宇崎ちゃん』もそうだし。
でもそれは読者が勝手にそう思ってるだけで、主人公と宇崎ちゃんがくっつくとは限らないじゃないですか。
え!?
男女のあれこれなんか割と簡単に左右されちゃうんだから。
やめてやめて!
どうします? 最後、宇崎ちゃんが全然関係ない奴とくっついたら。
あ~~~~!!!
ポヤ~ン
なんで?
パンドラの箱を開けたな。
この話はやめよう。
こうしてみると、各々の持ってる「ラブコメ観」が結構食い違ってる気がする。
確かに。この企画をやるにあたって、ライターのARuFaさんに「ラブコメあるある」を聞いてみたんですけど、こんな返答だったんですよ。
▼着替えに遭遇してしまったとき「どわああああーーっ!!」と言う
▼いたずらな犬が暴走してヒロインの身体中を舐め回す
▼いたずらなイルカが水着を奪ってしまって…?
「少年誌の限界を目指してるマンガあるある」じゃねーか。
全体的に時代が古い。
どっちかというと、こういうのが最近のラブコメマンガっぽくないですか?
「脇キャラは恋愛模様の進まなさに呆れる」
あー、これはラブコメあるあるだ。『宇崎ちゃん』でも見る展開ですね。
『宇崎ちゃん』にもイケメンの同級生が出てきて最初かなり警戒したんですけど、2人を応援してくれるいいヤツだったので安心しました。
心臓にやさしいぜ……。
そうだ。よく「ラブコメあるある」として「両親が出張してて居ない」っていうの挙げられるじゃないですか。でも、「言うほどか?」と思ってて。むしろこれだと思うんですよ。
「親が関係を応援しがち」
あー。こっちのほうがよく見るような気もする!
「はっはっは。また夫婦げんかが始まったぞ」
「付き合って ない!/ません!」
吹き出しが途中で分岐してるやつだ。
「両親がいない」設定は男女がやりたい放題だから、もっと直接的にエッチなマンガとかゲームのあるあるなんですよ。ラブコメマンガは付かず離れずの距離感が大切だから、両親はむしろ味に深みを出すスパイスとして機能するギミックなんです。
人の親をギミックだのスパイスだの言いたい放題だな。
あと、こういうセリフ必ずありますよね。
「あー、何なのよ、このモヤッとした気持ちは!」
湯船に口までつかったヒロインが言って、空気をブクブクやるやつ。
あるわ~。「……バカ」って言うパターンもある。
ライバルポジションのヒロインが登場したあと起きるイベントだ。
主人公が鼻の下伸ばしてデレデレしてね。
「主人公のことを大好きなサブヒロイン」ってラブコメだとだいたい敗北しますよね。
美味しんぼでいう二木まり子。
美味しんぼをラブコメマンガと認識してるんだ。
40巻くらいまではラブコメなんで。
あとこれは持論なんですけど……。
「4番目のヒロインに作者の性癖が詰まりがち」
ここ以外で披露する機会が一生ない持論ですね。
メガネとか褐色みたいな個性の強いヒロインってだいたい4番目くらいのポジションです。そして負けます。
でもpixivで検索すると一番絵が多かったりする。
画風が独特だったりする。
海外で局所的に人気が出たりする。
そういえば、ラブコメマンガに出てくる露天風呂の構造って全部同じじゃないですか?
どういうこと?
必ず中心にでかい岩があるんです。
間違えて女風呂に入ってきた主人公が慌てて隠れるためだけに存在する岩だ。
あれって旅館がこのシチュエーションを作るために置いてるのかな。
イベントネタで言うと、文化祭は必ずメイド喫茶をやりますよね。
主人公のクラスが出し物でフラフープ使った輪投げやってるとこ見たことないな。
たこ焼きの出店とかお化け屋敷は別のクラスのを見に行く程度。
「メイド服を描きたい」という作者の欲望に因果が捻じ曲げられてる。
あと、ふだん男勝りな子がフリフリの服を着せられて「なあ……これ……ヘンじゃね―か?」って言う。
それに、中性的な男子がメイド服を着て女の子より可愛くなってしまう。
あとスキー合宿に行くと雪山で遭難しますよね。
最近あんま見なくない?
あれ当事者的にはドキドキの思い出だろうけど、先生は緊急職員会議とか開くことになって最悪だろうな。
でも黄金のイベント「こういうときは……えっと……裸で温め合うといいって……」があるわけじゃないですか。僕がマンガ家だったら絶対に主人公を遭難させます。
でもそれ、一番いいところで救助が来るやつじゃないですか。
「あ、あら……お楽しみ中だったみたいですね……」
「ご、誤解だぁ~!」
そして吹雪が晴れると、その山小屋はロッジからめっちゃ近かったことが判明してズッこける。
僕たちはこういう共有知識をどこで得たんだ……?
個人的に好きなイベントは「ヒロインのバイト先に主人公が行く」っていうやつです。あれよくないですか?
はいはいはいはいはい。
レストランのウェイトレスやってて、こっちに敬語を使ってくるのがおかしくて爆笑するやつ。あれ好きなんだよな~。
「ヒミツにしてたのに、なんでここがわかったのよ……!」って小声で言う。あれは確かに、なんか良い。
そんな学生時代を送りたかったぜ……。
間接キスを気にするエピソードもどっかに入ってきますよね。
間接キスといえば「これって間接キス……だよな……」ってなってるときの作画、ヒロインの口周りだけリアルに描きがちじゃないですか?
めちゃめちゃ細かいあるあるだ。
この調子で案を出していきましょう!
その後も、服が黒すぎる4人の議論は白熱し――
ずいぶん出ましたね。あとはこれらの要素をまとめれば「究極のラブコメマンガ」になるはずです。
これを1本のマンガに収めるの、不可能では?
最後に手をつないだ2人が「これから僕たちは歩きだしていくんだ」みたいないい感じのポエム書いたら丸く収まる。
マンガとポエムを舐めるな。
究極のラブコメ漫画完成!
そして後日。
会議をもとに出来上がった「究極のラブコメ漫画」がコチラです!
こうなるんですね。
ラブコメといえば…
さて、ラブコメといえばアニメ第2期の放送も決定している人気マンガ『宇崎ちゃんは遊びたい!』の最新6巻が発売中です!
静かな大学生活を送りたい大学3年生の桜井真一と、彼にウザ絡みしまくる後輩の宇崎花が繰り広げるドタバタコメディ!
宇崎ちゃんの可愛らしさだけでなく、かなり細マッチョな桜井の肉体美も見どころです。
「進展しそうで進展しない」ヤキモキ感が見どころな本作。
みんなで語り合うもよし……
「抱けーっ!」と叫びながら読むもよし……
試し読みもあるのでぜひ手にとってみてくださいね。
(漫画制作……マキゾウ)