知り合いが「花のある生活はいいものですよ」と言っていたので、ふと思い立ってガーベラを一輪だけ買ってみた。
恥ずかしながら自分のために花を買うのは初めてだった。
花屋に寄るのはいつも贈り物を買いに行く時だし、実家でも生け花を見たことがなかったので、自宅に花を飾るという発想がなかった。
花のある生活とはどんな感じなのか想像もつかない。
仕事の休憩中に買ったので、いったん職場の給湯室に置いておくことに。
かわいいな、おくるみに包まれた赤ちゃんみたい。大事に持ち帰ろう。
ガーベラとの生活1日目
持ち帰ったものの花瓶がない。花を生ける習慣がない者の家に花瓶は存在しないのだ。
慌ててからだすこやか茶Wのペットボトルを洗ってガーベラをさした。
どうなんだこれは。想像していた花のある優雅な部屋とは遠い気がする。
「吸収を抑える」というようなことが大々的に書いてあるが、気にせず水をぐんぐん吸収して元気な姿を保ってほしい。
1日目はガーベラの切り花を長持ちさせる方法を調べてから寝た。
6月の気温だと1週間ほど美しさを保つようだ。そういえば知り合いは4日間で枯れてしまったと言っていた。環境や水などで状態が左右されそうなので、明日から長持ちさせる方法を実践していきたい。
ガーベラとの生活2日目
カーテン越しに薄く日光を当てるというのを実践してみた。神が降臨した宗教画みたいになっちゃった。
茎に生えたうぶ毛は水のなかで雑菌を繁殖させやすいので、水位は1cmぐらいにした。不安になる水の少なさだが十分なようだ。
雑菌を抑えるために水に漂白剤も入れる。「漂白剤を?!」ってびっくりしちゃった。でも平気らしい。
水1リットルに対して漂白剤1、2滴入れた。「漂白剤を?!」という気持ちが消えないが、ガーベラは喜ぶならそうする。
とにかく雑菌が大敵なので、12時間に一度こまめに水を換えることにした。
ガーベラとの生活3日目
凛とした長い茎、美しいな。
このスレンダーな立ち姿で、からだすこやか茶Wのペットボトルにささってるのはあまりにも不釣り合いだ。花瓶を替えよう。
花を生ける習慣がない者は近所のどこで花瓶を買えるのかを知らない。
仕方がないので、からだすこやか茶よりも大きいサイズの黒烏龍茶に入れ替えてみた。
いつも脂肪の吸収を意識している私の生活がガーベラによってバレてしまった。これが私のリアルライフ。
ガーベラには私の分まで吸収してもらいたい(水を)、という願いを込めて花瓶はこれでいこうと思う。
ガーベラとの生活3日目
茎の断面が茶色くなってきたので、茎を剪定してみよう。
茎のなかの組織がつぶれてしまうと吸水ができなくなってしまうので、剪定は慎重に執り行いたい。家で一番よく切れる刃物ということで包丁を用意した。儀式みたいな光景になっちゃったので緊張する。
丈夫な繊維を断ち切るのにヒイヒイ言ってしまった。めちゃくちゃ罪悪感がある。野菜を刻むのは全然平気なのに。
明らかに私のなかでガーベラに対して情が芽生えている。
おっかなびっくり茎を切り落とした私とは反対に、ガーベラは何もなかったかのように堂々と咲いていた。
ガーベラとの生活4日目
今日も後光による神々しいスタートを切った。
君はうなじまで美しいな
37度台の熱が続いてるので仕事を休ませてもらってる。熱以外の不調は全くないけどとにかく眠くてイスでも床でも気がつくと寝ている
— かとみ (@kato_mi) June 4, 2020
そういえば今週は謎の発熱により会社を休んでいる。
家でぼんやりしながら、ガーベラがあってよかったなぁと思った。元気が出る。私はガーベラをお世話しているようで看病されているようなものだ。
ガーベラに看病されながら体に良さそうなR-1ヨーグルトを食べた。
食卓に花が一輪あるだけで寂しくないの不思議だな。
今日は暑い。いよいよ夏の気配がする。エアコンをつけよう。
あ、エアコン……? 位置的にエアコンの風がガーベラに直撃してしまうな。でも日光にほんのり当てるには場所を動かしたくないし。
試行錯誤した結果こうなった。右からのエアコンの風を防いでいます。
ガーベラとの生活5日目
今日も暑くなりそうだ。ガーベラは暑さに弱いのでちょっと心配。
私の体調はというと、やっぱり微熱のままなのでガーベラに看病してもらいながらミカンを食べた。
私も熱に負けずがんばらないといけない。 おでこに保冷剤を当てながら「あっ!」と思いついた。
こう!