こんにちは、インターネット文化人類学者のセブ山です。
普段、みなさんは「インターネット」を見ますか?
今、まさにこの記事を読んでいるということは、普段からインターネットを見ていることでしょう。
そんなあなたにお聞きしたいのですが、地方にも「インターネット」はあると思いますか?
「インターネットは世界につながっているのだから、地方にもあるに決まっているだろう」と思われるかもしれません。
しかし、じゃあ、なぜインターネット上で話題になるのは「恵比寿の美味しいお店」「デートで使える渋谷のお店情報」など東京の話題ばかりなのでしょうか?
本当にインターネットが世界につながっているのなら「千葉県茂原市の美味しいお店情報」や「デートで使える和歌山県海南市のお店情報」といったまとめ記事もたくさん拡散されるはずです。
なのに、どうしてあまりそういった記事を目にすることが少ないのでしょうか?
また、ラーメン二郎しかり、ペヤングしかり、王様のブランチの新しいキャストしかり、どれも関東地区だけのローカルな話題にも関わらず、よくニュースサイトで取り上げられるネタであったりします。
これ、もしかして、インターネットは東京にしかないんじゃないですか?
「インターネットで話題!」と言いながら実際は、東京のせっまい狭いコミュニティの中で盛り上がっているただの身内ネタなんじゃないですか?
というわけで、今回は「本当にインターネットは地方にも存在しているのか?」を検証します。
実験方法
実験方法はいたってシンプルです。
インターネットに触れたことがある人なら誰しもが知っている「インターネットが生んだスーパースター」こと私セブ山が、地方都市をねり歩き、声をかけられるかどうかだけ。
セブ山を知っている=インターネットも見たことがあるなので『インターネットは地方にもあった』と結論付けることができます。
これ以上ないくらい合理的な実験ですね。
また今回の実験は、「大阪(梅田)」「福岡(天神)」の2カ所でおこないました。
人が全然いないところだと「(声をかけられなかったのは)そもそも人がいないから」という逃げ道が生まれてしまうので、言い訳のきかない「それなりに人が多い地方都市」として大阪・福岡を選択しました。
それではいよいよ実験を始めましょう。
はたして、東京以外にもインターネットはあるのでしょうか?
実験開始
まずは、人通りの多い場所で待つことにしました。
福岡・天神では、岩田屋というデパートの前をウロウロします。
大阪・梅田では、HEP FIVE(ヘップファイブ)という複合商業施設の前にスタンバります。
「声をかけられるかどうか」が実験のメインなので、こちらからは何もアクションは起こせません。
ただ、ひたすら待ちます。
まず最初に動きがあったのは、大阪です。
若い男性が「にぃちゃん、何しとん?」と声をかけてきてくれました。
いかつくてヤンチャな感じですが、僕のことを知っていて声をかけてきてくれたのかもしれないので「えっと、今、その、実験してまして…セブ山っていうんですが…」と説明します。すると…
「へぇ、知らんわ」と吐き捨てられるように言われました。
下手なこと言ってボコられないように「へへへ、そうですよね、へへっ」と卑屈な笑みを浮かべて「すみません、またお願いします」とヘコヘコしました。
スタートしてまだ5分くらいですが、もう心が折れました。
一方、福岡では……、まだとくに何の動きもありません。
次に動きがあったのは、またしても大阪。
ひとりの男性(今度は優しそうな方)が、ゆっくり僕の方に近づいてきました。
「おおっ!? 声をかけられるか!?」と期待したのですが、彼の口から出てきた言葉は……
「YouTuber(ユーチューバー)の方ですか?」
…なるほど。
「なんか変なことしてるヤツがいるな。YouTuberかな?」と思って声をかけてきてくれたわけですね。
「そうです、ヒカキンって名前でやってます!チャンネル登録よろしくね」と言って握手しておきました。
ちなみに、そのすぐあとにもまた別の男性が、同じく「YouTuber(ユーチューバー)の方ですか?」とやってきました。
今のご時世、街中で変なことしている人=YouTuberであると紐づけられているみたいです。
でも、不思議なことに福岡ではほとんど「YouTuberですか?」というふうに声をかけられることはありませんでした。
もしかしたら、福岡の方も「YouTuberかな?」と思っていたのかもしれませんが、大阪の方のように実際に声をかけてくる人はいなかったので、なんとなく「県民性」みたいなものが見えたような気がしました。
「面白そう・楽しそう」というものに敏感で、わざわざ声をかけて関わりを持とうとアクションを起こすのは、さすがです。
実験開始20分経過 福岡に動きが…!
実験を始めてから20分ほど経ったころ、福岡の方にも動きがありました。
遠くの方から「え、セブ山さん!?キャー!!!」と言って、ひとりの女性が走ってきました!
完全に僕のことを認識しています。
やった! 福岡にもインターネットはあるのか!?!?
しかし、彼女が発したセリフは……
「イラストレーターの方ですよね!!大好きです!!!」
…ん???
イラストレーター??? 誰が?
詳しくお話を聞いてみたところ、彼女は「ヒモックマ」(セブ山が作ったLINEスタンプ)をめちゃくちゃ愛用してくれているらしく、「セブ山」という文字を見た瞬間に『あっ!ヒモックマを描いている人だ!!!』と思って走って来てくれたそうです。
どうやら、LINEスタンプを描いている=イラストを描いている=イラストレーター、というわけで僕のことを「イラストレーター」と認識していたようです。
スタンプを使ってくださっているのはありがたいのですが、僕がインターネットで記事を書いていることは一切知りませんでした。
つまり、この事柄からは、こういったことがわかると思います。
福岡にインターネットがあるかどうかはまだわかりませんが、LINEはあることは証明できました。
一方、そのころ大阪では、相変わらず「YouTuberですか?」「そうです、ヒカキンって言います」という会話が繰り返されていました。
これでヒカキンTVのチャンネル登録者数は3人増えたはずです。
実験開始35分経過 大阪でついに…!
「セブ山さんですよね」とは一向に声をかけられないまま30分が経過しました。
もしかしたら、場所が悪いのかもしれないので移動してみることにします。
遠くからでも一発でどこにいるのかわかる格好をしているのに、なぜ声をかけられないのでしょうか?
本当に地方にインターネットはないのでしょうか?
しかし、ちょうどBIGMANあたりをウロウロしている時、その瞬間は突然やってきました。
『えっ!! あれ?? セブ山さん…? ですよね…??』
ちょうど阪急電車から降りてきた男性に声をかけられました。
「僕のこと知ってますか…?」と尋ねると『はい、いつもネットで記事読んでます!』とのこと!
これは!!!!!!
そんなわけで、大阪にもインターネットはあるということが証明されました!
念のため、その後も1時間ほど大阪の街をウロウロしてみたところ……
合計8組の方に声をかけてもらえました!(※YouTuber間違い除く)
これだけ声をかけてもらえれば「大阪にもインターネットはある」と言い切って大丈夫でしょう。
セブ山なんかのためにわざわざ足を止めて声をかけてくださった大阪の皆様、本当にありがとうございました!
ちなみに、余談なのですが、声をかけてくださった計8組のなかのひとりに、上記のすっごく可愛い女の子がいたのですが………
僕とその女の子が話している間、ずっと彼氏が近くでつまらなさそうにスマホをいじっており、非常に温度差の激しい写真が撮れました。
たしかに自分の彼女が、わけわかんねぇ変なヤツにいきなり「いつも見てます!大好きです!」と言い出したら、めちゃくちゃテンション下がるよな…
先ほど福岡で「イラストレーターさんですよね」と声をかけてきてくれたチョー可愛い女の子にもこのことは共通しており、彼女と話している間ずっとグラサンをかけたチョイワル系の彼氏が近くでつまらなさそうにしていました。
つまらなさそうというか、至近距離で高圧的なオーラを放っておりました。
このことから、こういうことがわかります。
ムカつかないでよ。
実験開始40分経過 ようやく福岡でも…
一向に福岡では声をかけられなかったので、こちらも場所を移動することにしました。
大名方面にいってみたり
警固公園をウロウロしてみたり
そして最終的に、西鉄電車から降りてきた人たちがよく待ち合わせしている大階段のあたりでようやく……
『え、セブ山さん!?なんで福岡に??』と声をかけていただけました。
これでようやく『福岡にもインターネットはある』と証明できました!
大阪の時もそうでしたが、電車の改札を出て、繁華街に向かう導線にいれば声をかけてもらいやすいようです。
そんなわけで、福岡でも念のため1時間ほどその後もウロウロしてみたところ……
合計7組の方に声をかけてもらえました!(※イラストレーター間違い除く)
これまた「福岡にもインターネットはある」と言い切って間違いない結果となりました。
わざわざ足を止めて声をかけてくださった皆様、本当にありがとうございました!
というわけで大阪・福岡の結果を総合すると、このような結論になります。
インターネットは地方にもあるなら、どうしてインターネットは東京の話題ばかりなのでしょうか?
次のページでは、「消費行動」という視点からこのことを考察してみます。