エントリーNo.3 やしろさん(現役女子大生)
優勝!!!
すみません、先走ってしまいました。今回特別ゲストとして参加して頂いた、現役女子大生のやしろさんです。彼女に関しては、別にもう菓子盆とか出す必要ないと思うんですが、そういう企画なので出してもらいます。
「女子大生だからこその菓子盆にしたいと思います! 負けられない!」
●おっとっと うすしお味(森永製菓)
●ポッキー (グリコ)
●ルマンド(ブルボン)
●カントリーマアム あまおう苺(不二家)
●キットカット(ネスレ)
●源氏パイ(三立製菓)
「女の子らしさを全面にだした菓子盆にしました! パッケージなどはピンクを基調にして統一感も出してみました!」
「また、お菓子自体も好き嫌いが少ない人気のものを選んで、もしその場で食べられなくても、持って帰ってもらえるように意識しました」
~ 会場の反応 ~
「え…? 最高では……?!」
「バレンタインデーのフリー素材にしたいくらい最高」
「全体がハート型になってるのも心憎い…。最高」
なんというひねりのなさ。率直に言って、最初はそう思いました。だって「バレンタイン」がテーマの盆でバレンタイン限定のお菓子を盛り盛りに出してきたんですから。盆上に咲くラブラブハート攻撃が目に痛い!
でも、そもそもなんでひねる必要があるんでしょうか? 今回のお題は「片思い中の先輩に贈る盆」。であれば、そこに新奇なギミックなど必要ないのかもしれません。
そしてよく見てみると、意外なほどの基礎の完成度に驚かされます。初出場にもかかわらず下に紙を敷いてあるし(しかもLoveとか書いてある)、小袋なので持ち帰って食べやすい=貰う方もプレッシャーを感じにくい、というわけです。
なにより嬉しいのは端っこに潜む「ルマンド」です。これがあるだけで、なんというか「ちゃんとしてるな」と思えます。おそらくこの「ルマンド」を手にする人物こそ、「片思い中の先輩」なのでは? そんな深読みまでしてしまいました。
優勝では?
エントリーNo.4 ARuFa(六代目王者)
続いては、サイケデリックなヤバい盆しか作らないARuFa。しかし前回大会ではなんと優勝! マグレかそれとも真の実力か…? 今日ハッキリとすることでしょう。
「憧れの先輩が振り向いてくれるような、女の子らしい可愛い菓子盆を目指しました」
●ハートせんべい
●カステーラ(佐藤製菓)
●チョロギ(村岡食品)
●いかピーナ(Kasugai)
●源氏パイいちご(三立製菓)
●コロロ ストロベリー(UHA味覚糖)
●梅ねり(ノーベル製菓)
●焼きいもようかん(やおきん)
●トッピングシュガー(きくや)
~ 会場の反応 ~
「今回のテーマって、不器用な魔女盆だったけ?」
「ハートの手前に大きなバツを作るのって縁起悪くない?」
「そもそもハートせんべいって何なんだよ、デケェよ」
ARuFaさんとしては「女の子らしい可愛い菓子盆」とのことですが、私には「お菓子の国で暴れ回るオカマ海賊団の旗」に見えました。
たしかに憧れの先輩は振り向いてくれるでしょう。しかしそれは視界の隅にヘビがいたときと同じ振り向き方です。よくよく見れば菓子の組み合わせで好意を伝えようとしていることは理解できるのですが、あまりにカタコトすぎて誤解を招きそうです。
全体を彩る不協和音のせいでしょうか、中心に躍る大きなハートマークが、好意のアピールではなく「心臓になにがしかのダメージを与えてやろう」という宣戦布告に見えました。
あと、なぜいつも梅ねりとグミを入れるのか? 一度ARuFaさんと腰を据えて話し合わなければならないのかもしれません。
前回大会の優勝はマグレだったみたいです。
エントリーNo.5 リックェ(初代、五代目王者・二代目イベント王者)
わっ!! おブスねぇ!!!
菓子盆の腕前と見た目は比例しないのだ、と我々に教えてくれた偉大な三冠王・リックェが登場です! 今回は一体どんな作品を魅せてくれるのでしょうか?
「今回の菓子盆、茶道部のやや垢抜けない女子がバド部の先輩に送る盆となっています。
そもそも、バレンタインチョコより菓子盆の方が憧れの人に渡すには難易度が高い。それは菓子盆は普通自宅で供されるものだからです。そして宅盆が可能なら『憧れ』止まりの人間関係ではないでしょう。
そこから逆算して、自宅ではない場所、つまり学盆。そして学盆なら部室、その中でもっとも菓子盆にふさわしいのは茶道部の茶室となり、必然、女の子も茶道部となります」
●カプリコのあたま(グリコ)
●コアラのマーチいちご(ロッテ)
●宇治抹茶チョコレート(メイトー)
●マカダミア ホワイトベール(明治製菓)
●フラン(明治製菓)
●チーズあられ(やおきん)
●じゃがりこ 塩とごま油味(カルビー)
●ジューC いろどりラムネ(カバヤ)
●メイプルリーフクリームクッキー(テイストデライト)
●レーズンサンド(ブルボン)
「前置きが長くなりました。盆の説明に参りましょう。
にじり口をくぐって茶室に入ったバド部の先輩にしてみれば、見慣れない景色に戸惑うことでしょう。そこを迎えてくれるのは、おなじみの菓子チーズあられとフランでほっと一息。茶道も菓子盆道も気安いものだと伝えます。
また女子高生の定番じゃがりこも入れて元気さもプラスしました。茶道部の常備ストックからパクってきたであろうブルボンレーズンサンドはご愛嬌です」
「そして、ホワイトベールに対比する色彩で配したピンクのハートの形のカプリコに、迷いがちにコアラのマーチの『すき』を置いたのは、偶然か必然か、素直になれない乙女のささやかな駆け引きです」
~ 会場の反応 ~
「いちいち小うるせえ~~~~」
「顔と解説はダルいけど、やはり盆はお見事!!」
「『すき』のコアラのマーチ、ちょうどいい…! 学生の恋愛感が出てる…!」
盆の上に「時間の経過」を読み込めるテクニカルな作品です。
「茶道部」という設定のためか、置かれている菓子もお馴染みながらどこか上品。「ポッキー」ではなく「フラン」を選んで格調を高めたかと思いきや、「カバヤのジューC」がカクンと肩の力を抜きます。しかしなにより気になるのは、「コアラのマーチ」の存在でしょう。
食べるほどに、1コだけ紛れている「コアラのマーチ」が主張を強めていく。周囲の菓子が減れば減るほど、秘めた好意はむき出しになり、後戻りがきかなくなってしまう……。そんな背水の陣に自らを追い込む、乙女の勇気が垣間見える盆です。別室のモニターで様子を見たい。
胸の高鳴りを錯覚するような良い盆ですが、これ「憧れの先輩にあげる盆」じゃなくて「リックェが考える理想の女が作る盆」なのでは、と少し思いました。
「すき」のコアラのマーチを巡るドラマ性が高く評価されました! リックェの女性観については一旦置いておいて、優勝の行方がわからなくなったことは確かです!