なにもしないでできる趣味はないか
私にはこれといった趣味がありません。
どんなに楽しくても能動的な作業というものはそれなりの労力を要するもので、続ければ続けるほど苦痛になってしまいます。
でも「趣味」は欲しい。できればラクで簡単でそこそこ洒落た趣味が……。
そんなないものねだりをしつつネット通販サイトを見ていたら、興味を引くものが目に止まりました。
こちらの「赤色結晶育成キット」です。購入当時の価格は3024円(税込)でした。
発売元は、昔ながらの科学キットなどを制作・販売している銀河通信社です。
赤い結晶を作ってみよう
内容物は銀河通信社の代表である小林健二さんの手作りです。パッケージが良い意味で古ぼけていて素敵です。模型屋の片隅にひっそりと置いてありそうな感じ。
27度以下で湿度が低く、換気のよい環境が結晶作りには向いているとのこと。
人体に悪影響のある液体を扱うので、小さな子供が触れないように注意しましょう。
こちらが育てる結晶の種となる母岩です。
すでに親指の爪くらいの大きさの結晶がくっついています。
これを液体に浸して育てていくんですね。
ちなみにこれは水晶というわけではなく、写真の現像処理などに使われる「フェリシアン化カリウム」の結晶のようです。
どれくらい大きくなるんだろう。
手書きの丁寧な説明書に従って準備を進めていきます。
説明書には挿絵が添えてあり、こだわりを感じます。結晶作りの時間も一緒に買ったような不思議な体験です。
液体が細かく結晶化した粉がポロポロこぼれるので、新聞紙などを敷いてやると片付けがラクです。
付属のプラコップの底に母岩を設置して、液体を注ぎます。
これで準備完了。
ちなみに液体は独特なにおいがします。手や布につくと黄色くなってしまうのでよく洗いましょう。
あとは「室温27度以下、低湿度、換気できる場所」に放っておくだけです。すごく簡単。
私は会社のベランダの隅に置いておきました。
育成3日目
3日経ってから取り出してみたのがこちら。
最初は親指の爪程度の大きさだったのに、もうひと回り以上大きくなっています。
これは楽しい……!
実質ほったらかしてるだけなんですが、「育ててる」という実感があります。面倒くさがりにおすすめです。
結晶は定期的に取り出して、こびりついた細かい結晶を取ってあげると成長しやすくなるそうです。
育成10日目
10日が経過。
さらに大きくなりました。岩の底のほうにも結晶が小さくついていて、それも良い感じ。
ちょっと美味しそうですね。ぶどう味っぽいので食べたくなってきます(でも変な匂いがするので我に返ります)。
説明書によれば10日が育成の目安だそうなのでこれくらいにしてもいいのですが、せっかくなのでもう少し育ててみます。
どうせ放っておくだけで良いから……。
そして育成1ヶ月目…
1ヶ月経ったのがこちらです。初心者マークみたいな形になった!
4cmほどに大きく育ったので育成はこれくらいにして、水分をティッシュで拭き取ります。
できあがりだ!
台座に乗せてみました。
光に当てると深みのある赤が輝いて美しいです。
最初の頃の大きさと比べてみると一目瞭然。
いつのまにか立派になりました。やったことといえばほとんど「放置」ですが、言い知れぬ達成感が身を包みます。
世界でこの形の結晶はこれだけなんだな~。
結晶は思ったより簡単で楽しい
育てた結晶はケースなどに入れておくと、空気に触れて劣化しにくいようです。ニスを塗るとさらに安定します。
ケースに入った結晶はちょっとしたインテリアにもなるし、ずっと見守っていたぶん愛着も湧きます。
眺めながら小学生の時に購読していた「学研の科学」を思い出しました。あれの付録も、作るの楽しかったなあ。卵からカブトエビ育てたり。
というわけで、ひとりで楽しむちょっとした趣味として「結晶育成」はとてもおすすめです。
ただ、事情を知らない人には「なんでグミ飾ってんの」と言われました。グミかー。
銀河通信社(外部サイト)
銀河通信社では、赤色結晶のほかに紫結晶や薔薇結晶など、多彩な育成バリエーションがあります。鉱石ラジオやアートブックも販売しています。
手づくりのため品切れも多いですが、不定期に入荷しているようなので、ときどきチェックしてみてください。