発売を楽しみにしていた本、

『世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語』が、ナショナル・ジオグラフィックから出版されました。

 

 

まだ飛行機もGoogle Mapもなかった時代。世界は「未知」の宝庫でした。

「黄金の島が東の果てにあるらしい」「楽園のような島が海の向こうにあるらしい」……

未知は想像と好奇心を生み出し、数々の冒険者たちを大海原に送り出しました。

 

 

 

本書では、地図には載っていたけれど実際は存在しなかった「幻の土地」を図版と解説で紹介しています。

これがパラパラとめくっているだけで、もう……めちゃくちゃワクワクするんですよ!

 

珍獣・怪獣

財宝・秘宝

魔境・秘境

“未知”という言葉が放つ魔力

その力に見せられた奴等がいる

 

これは漫画『HUNTER×HUNETR』冒頭のナレーションですが、まさにそんな世界が現実に広がっていたのです。

 

 

(p7より引用)

 

目次一覧です。

 

アトランティスやエルドラド、ムー大陸などの定番どころもありますが、大半は初めて知るような島のオンパレード。

 

 

 

(p150より引用)

 

こちらは16世紀のヨーロッパ人が想像した極東の地図。

日本の形が4~5回殴られたあとみたいにひしゃげていますが、なによりのツッコミ所は朝鮮半島が島になっていること。

当時は俯瞰で見渡すことができなかったから、断片的な伝聞をまとめただけだと島か半島かもわからなかったんですね……。

 

もちろん、最近ではこんな勘違いは激減しましたが、サンゴ海東部にあったとされる「サンディ島」は、1876年に「発見」されてから実に136年間、なんと2012年まで海図に載っていたそうです。本当は存在しなかったのに…! GoogleMapもあったのに…です。

 

空想や悪意が生んだワンダーランド

 

地図に「幻の島」が描かれる原因にはいくつかパターンがあり、おおまかに分類するとこのような感じ。

 

・伝承を反映したもの

・航海者や画家が勘違いしたもの

・分からない部分を想像で補っていくうちに定説化したもの

・人を騙すために悪意を持って捏造したもの

 

 

 

特に本書にも取り上げられている「ポヤイス島」は、詐欺師が捏造した存在しない楽園をめざし、270人の入植者が何もない場所にほっぽり出されて大量死する、という事件でその名を歴史に刻みました。19世紀最大の詐欺事件とも呼ばれる、悪夢のような出来事です。

 

嘘の国を売った史上最悪の詐欺師、270人が死の入植(ナショナルジオグラフィック)

 

ことの顛末は上のリンクから試し読みできるのでぜひ読んでほしいです。

 

 

(p210より引用)

 

これは北太平洋にあると噂された、悪魔の島サタナゼ島。

なぜか島の形が長方形で、北欧の航海士は近づくことを恐れていたといいます。

 

未知の島は伝聞の過程で尾ひれのついた伝説がつくりあげられることが多く、悪魔の島の近くでは沖合から巨大な手が現れ、船を握りつぶすなどと囁かれていたとか。

 

 

 

(p57より引用)

 

『カルタ・マリナ』は、16世紀に描かれた北欧地図。溢れんばかりの想像力が地図に盛り込まれていて、このページを眺めているだけでも時間が潰せるレベル。

 

 

(p62より引用)

 

地図上には奇想天外な幻獣が載っており、さながら暗黒大陸。

島ほどの大きさがあるクジラや…

 

 

(p58より引用)

 

鳥が生える木など。

こんなロマンの存在を信じて大海原に乗り出した冒険者がたくさんいたと思うと、なんだかワクワクします。HUNTER×HUNTERの世界ですね。

 

 

ちなみに「ワクワク島」という島の伝承も残っており…

 

(p238より引用)

 

そこには人型の果実がなる木が生えているそうです。

このワクワク島、「倭国」が鈍って伝えられたのではないか? という説があり、この木も日本のどこかに生えているという噂もあるとかないとか……。

 

 

未知の好奇心を蘇らせてくれる本

 

 

現代では家にいながらにして地球の反対側をも知ることができます。しかし、昔は世界のほとんどが謎に包まれていました。

この嘘で埋め尽くされた図録は、その当時のワクワクを現代人の心に蘇らせてくれます。

 

噂が定説に変わっていく過程や、存在しない夢に振り回される人々の悲哀が詳細に記されていて読み応えはたっぷり。ただ眺めてるだけでめちゃくちゃに楽しめてしまうので、一度はめくってみてほしい本です!