「あっぶねえ〜! もうちょっとでするところだったぜ!」みたいな経験はないだろうか。

 

 こんな感じで、キューピッド的な何かそういうのが居たとする。(神話ではキューピッドは全裸の子供の姿らしいが、本当はこのように着衣のナ月の姿かもしれない)

 

 そして隙あらばお前たちを恋に落とさんと、矢を放っているとする。

 

 あーこれは恋しますね。します。

 

 しかしギリ急所から外れてしまった。仕損じた。

 

 こんな感じで、キューピッドの矢とて百発百中ではなく、仕留め損なうケースもあることだろう。こんな時人類はこう感じている。

 

「あっぶねえ〜! もうちょっとでするところだったぜ!」

 

 あるよな。俺も、薬局でうつむきながらボソボソ喋って何言ってんのか全然わからない店員がお釣りとレシート渡す時にレモンなら潰せるくらいの握力で俺の手を両手で握ってきた時は危うく恋するかと思った。

 考えてみれば、人間が恋に落ちるよりも落ちかけただけの回数の方が多いはずじゃないか。ハインリッヒの法則だ。1の重大事故の影に29の軽微な事故があり、その影に300のちょっとヤバかったことがあるという。恋も多分同じに違いない。

 この、29か300の方。ギリ恋するところだったけど踏みとどまった恋バナ未満の話を集めたら絶対良いので、せっせとGoogleフォームをこしらえて募集した。ご協力ありがとうございました。それらを紹介する記事だぜ。先に言っておくけど全部は紹介できないぜごめんね。

 

 読む前に約束してほしいことが2つあるのでそれだけ守ってほしい。

・「ただし顔が良いやつに限る」等それに類することを思ったとしても言ってはいけない。そういう話はしてないし、身も蓋もないので。
・「これはキモいだろ」と思っても言ってはいけない。自分が恋しかけた話をネットの知らんやつにキモいと言われたら悲しいので。

 どうしても言いたくなったら歯を食いしばって我慢してくれ。

 よっしゃはじめます。

 

 言動がなんかブッ刺さりかけた話。

 

ふと友達と歩いてお散歩しててどんぐりが降ってきた時、友人がほかほかのどんぐりだ……って言った時ワードセンス良すぎて好きになっちゃいそうでした。

み饅

 ワードセンスも素晴らしいし、何より「どんぐりが落ちてきた」って事象にコメントしている事がもう超良い。

 

6歳年上の姉の同級生が家に遊びに来たときに、「防衛大学合格おめでとうございます」と声をかけると、『いつか格好いい制服着て迎えにいくね』とさらっと言われて一瞬の動機がすさまじかった

無記名

 こういう何気ない会話からの強烈な不意打ちはかなり危ないよな。

 

6年ほど前の話です。鞄の外ポケットからスマホを取り出したはずみで一緒に入れていたイヤホンのコードが飛び出して地面に垂れ下がってしまい、それに気付かず歩いていたところ、後ろからお姉さんが走ってきて「イヤホンお散歩しちゃってますよ〜!」と笑顔で教えてくれました。教え方が可愛すぎて恋するところでした。

松田

「そんな素敵な言葉があるのかよ」と思ってしまうような表現に人間は弱い気がするな。 

 

2個上の幼馴染にピアス開けてあげるってなった時のことです。
自分にはガンガンぶっ刺させるのに、人に刺すのは初めてで、その人もファーストピアスでした。

アルコール準備して、マークもしてあと針刺すだけ!ってなった時、「突然この人はこの傷が一生残るんだ」って思ったら緊張で手が震えてきて「緊張で…手が…ちょっとやばいかもしれん…」って震えてる両手を見せたんです。
その人がめちゃくちゃナチュラルに私の両手をその人の両手で包んで、「ほんまや、めっちゃ震えてるやん笑 ちょっと休憩しよ」って微笑まれた時は声出ました。

イケメンやったし……
そのあと無事開けることができたんですが、ピアスのサイズが合わず、トラブった時用に持ってきてた私のファーストピアスをあげることになったのも………
めちゃくちゃドキドキした…
吊り橋効果かもしれへんけど笑

まめたろう

 逆にここまでいっても恋はしていないのが興味深い。声まで出てるのに?

 

校内プレゼンの前にガチガチに緊張してたら「緊張しすぎでしょ」って言いながら体当たりされて、意味不明で新鮮なコミュニケーションにドキドキして危うく好きになるところだった

部位

 体当たりで人を好きになりかけることってあるんだ。意味不明で新鮮なコミュニケーションというのはなんかとても重要な言葉な気がするな。

 

短歌の授業中、クラス一のイケメン君(声も最高)自作の恋愛短歌を前に出て読み上げている時、正面に座っていた為めちゃくちゃ目が合っていた。私に向けた詩かと思いかけた。

苺蜂子

 誓って悪口ではないので気を悪くしないでほしいのですが、なんておめでたいんだ。最高。

 

中学生の頃に銀杏BOYZのライブに行ったとき、開演前に少し話をした隣の女性から、ライブ後に「良かったね。じゃあ、またいつかどこかで。」と言われた。

大磯チン毛ビーチ

 シチュエーション全部の要素が素敵すぎて下手したら一生何かが歪むな。

 

めっちゃおっぱい押し付けてくる 友達の彼女って知らなかったら好きになってた

無記名

 本当に偉い。よく耐えた。

 

中学の頃、体育祭の準備で教室にある椅子をグラウンドに持って行くとき、廊下に人がいっぱいだったので、人が少なくなってから行こうと椅子を持ちながら廊下の隅に立ってました。

するとクラスのとある男子生徒も同じことを考えていたようで、椅子を両手で上に掲げながら私の隣に来て、その脇の下に私が収まる形になり、これトトロでこんなんあったやん!?とドキドキしました。

あと男の人の脇を間近で見たのが初めてだったので、危うく恋が始まるところでした。
今でもあの脇を思い出してはニチャァ……としています。

ぽめお

 一番危なかった要素が「脇」なのが良い。普段隠れてるところが見えるってどの部位でも危ないよな。

 

先輩に急にLINEしちゃってすみませんと伝えたら『いいよ!俺、誰からも連絡来ないから嬉しい!』と嘘か本当か分からないことを言われた。

適当の虚空

 人間がいるだけで大喜びする大型犬見て「ああ可愛いな好きだな」ってなるのと同じ理論で良い。

 

よく行く本屋を見てたら突然背中をポンと叩かれたので振り返ると予備校の後輩でした。
開口一番に「運命的出会いですね!」と言われた時、えっ?本屋で会っただけなにのに何その言い回し!?コイツ…かわいい…?と色々よぎったのですが別に何かあるでもなく軽く世間話して帰りました。
連絡先は知らないぐらいの仲だったのでその後どうしてるのかは知りません。

ガガンボ森

 これ2回目があったら相当危なかったと思う。

 

弱小吹奏楽部に所属していた中学生の頃。
地元には強豪吹奏楽部のある高校があり、そこの顧問の先生は指揮も演奏会のMCもうまく、(ちなみに中学の吹奏楽部の顧問のあだ名は生ゴミだった)絶対ここの吹奏楽部に入る!と憧れ続けていました。
念願叶って無事高校に合格。吹奏楽部に入って初めて先生に自己紹介をした時、「他の生徒は下の名前で呼び捨てなんだけど○○ちゃんはちゃん付けの方が合ってるし良いな…ちゃん付けでいい?」と言われた時。何その特別感…!とその日は何も集中できなかったのですが、歳が30歳離れている事、既婚2児の父という事実を思い出して踏み止まりました。
危うく道をふみはずすところでした。
それからというもの、自分をちゃん付けしてくれる人の事ばかり気になってしまいます。

パブロフの犬

 一方的に憧れてた相手からの特別扱いは危ない。本当に既婚者のおっさんじゃなかったら危なかったなこれは。

 

4月から関東に越してきた私は、関東に住んでいるゲーム仲間の男友達と何度か遊んだ。
引っ越すまでリアルで会ったことはなかったけど、ゲームはよくやっていたのであまり緊張することもなく、良い友達だなとホームシックの自分にはとても有り難かった。

ある日、仕事の相談をしながらお酒を飲み、そろそろ帰るかと駅に向かった時のこと。
路線が違うし構内で解散しようと思っていたら、「一緒のやつ乗っても帰れるから途中まで行くよ」と。
その時はほろ酔いだった私も「わーい!ありがとうー!」くらいで電車に乗り、またゆるゆると談笑。
隣に座っているから距離が近くなるのはわかるが、それを差し引いても、近い。
なんでそんな近い?え、肩に手回してない?え?なんで? 酔っているが感触は伝わる。
しかし、「勘違いだ。」と自分に言い聞かせ、その状況に言及せずダラダラと喋り続ける私。
少しだけ、鼓動が早くなるのはお酒のせいだろうか。

そんなこんなで私が降りる駅に着き、「また遊ぼうね~!」と、立ち上がろうとした瞬間、 「仕事、頑張れよ。」 頭を優しく撫でられ微笑み。

……っっっぶねぇ~~!!!!!抱き締めかけちまったよ!!!!!
酒とホームシックの寂しさに沁みる優しさこえぇ~~!!!!

それからも特に何もなく遊んでいます。
言及はしていません。

クラタニア共和国

 酒で判断力が狂っている時のことって後から自分の中で「あれは酒のせいだった」と落ち着けることができるのは良いな。

 

高校時代のことです。ペアになってお互いに自分に関するクイズを出す、という英会話の授業がありました。
仲のいい女の子(Aとする)とペアになり、私が「自分の起床時間、就寝時間」を問題に出したところ、Aはどんぴしゃで当ててきました。
思わず「なんでわかったの!?」と聞くと「よく話してるからかな?」とのこと。
覚えておくまでもないようなことを覚えてくれていたことに対し、思わず恋に落ちかけました。(20代・女)

しがみバブリシャス

「そんなこと覚えていてくれたのかよ」感はたしかに危ない。

 

電車で同級生と帰っていたとき、隣でその子が寝ちゃったのか肩に頭を乗せてきた。
くすぐったく思いつつもスマホを見ていたけど、その子が降りる駅が近づいてきたので「もう着くよ」と声をかけたら、「知ってるよ」って頭を乗せたまま言ってきたこと。
同級生だからなんとか我慢できました。

男子校生

 なんで我慢したの?

 

大学時代バイト先に着いたとたん、その日同じシフトで先に来てたっぽい後輩が「わっ!」って驚かせてきた時恋しそうになりました。
しばらく抗恋(こうれん)のため身体が硬直していたのを驚いてただけと言い張って難を逃れました。

無記名

 抗恋による硬直、使いたい言葉だ。

 

学生の頃所属していた演劇研究会で「愛してるよゲーム」という稽古がありました。
ルールは、愛してるよと言われる側1人(A役とします)、言う側5人で(B役とします)、B役は自分の「愛の強さ」が1〜5のいくつなのかをくじで引き、その強さに見合った「愛してるよ」という台詞をA役に言って、最終的にB役の誰が1〜5なのかをA役の人が当てるというものでした(稽古の名目は、表現の強さを周りに合わせて変える、みたいなこと)。

本題。自分がA役の時に、顔と声が好みのタイプのB役から強さ5の「愛してるよ」を言われ、狼狽と言って良いレベルで照れてしまって稽古が一時中断になりました。一瞬恋に落ちていたと思います。
余談。Bの人の恋人も同じ稽古に出ており、気まずかったです。

紅茶煙草

 演技を齧ってる人のこれは本当に危ないだろうな。あとゲーム自体かなり面白そう。

 

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