こんにちは、永田です。
突然ですが、みなさんは傷心旅行って行ったことありますか?
いや、いいんです、いいんです。答えなくていいんです。
ないですよね? 知ってます。あなたが行ってないこと僕、知ってます。
「傷心旅行」という言葉自体は誰も疑問を持たないくらい普及してるのに、「傷心旅行」という行為は全く浸透していないんです。こんなことってあります?
そんな滅多に起きないレアな行為に名前を付けるな、って思いません? だったら「AVコーナーに入ると男はやけに紳士的になってしまう」現象に先に名前を付けろよ、そう思いますよね? いや、あなたがお怒りになるのも、もっともです。
そんな言葉の認知と行為の形骸化、このねじれ現象を解決するために私、対策委員会を立ち上げました。これでもう大丈夫です。みなさん安心してください。
「というわけで本日集まってもらったのは他でもありません。傷心旅行とは一体何なのか? それをハッキリさせるためです。みなさんよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「まずは『傷心旅行とは誰がいつ行くのか』、これをハッキリさせたいと思います」
「女性でしょうね」
「何歳?」
「29歳?」
「うーん、ちょっと行き過ぎてない? 27、28くらいじゃないかな」
「どっち? 27歳?28歳?」
「27歳」
「うん、じゃあ27歳で決定、と」
「これ何を基準に決めてるの?」
~30分後~
「シェフの弟が勤めているのはどういうとこ?」
「オシャレなイタリアンだと思います。半地下の」
「うんうんうん」
「弟はなんか達観してそう。『姉ちゃんは色々考え過ぎんだよな』みたいな」
「弟のイタリ…」
「ちょっと待って! ちょっと待って! 今、加藤さんがいいこと言った! もう1回言って」
「弟は『姉ちゃんはもっと自由になりなよ』みたいにアドバイスしてくるというか」
「ちょっと待って。それってつまり」
「友達感覚ってこと?」
「だとしたら何なんだよ」
~1時間後~
「まとめると、近場の海外の離島には行くけど、南の島じゃないってこと?」
「はい。まず間違いないかと」
「つまり、バカンスでは…?」
「ない」
「原宿さんにも確認します。バカンスでは…?」
「ない」
「いつまでやんのこれ」
その後も会議は続き、とうとう我々は傷心旅行の最適解を見つけることに成功しました。
「みなさん、ありがとうございました。我々の正しさを実証すべく、傷心旅行にマジで行ってこようと思います」
「誰が?」
「僕です」
「???」
「いいから」
「会議で出した人物像と全然違うじゃん」
「信じてくれればいいからっ!!」