サメ映画の特徴は「○○が出ない」「使い回し」
これがサメ映画の特徴だ!といえるものって何ですか?
「サメが出ない」です。
いやサメ映画なんでしょ!?
たとえば『アフター・ザ・ストーム』は映画としては結構おもしろいんですけど、サメが出るのは約3回。
海洋パニックものですらないヘミングウェイ原作の人間ドラマです。
アフター・ザ・ストーム 予告編。
最後のほうでチラッとサメっぽい雰囲気が。
ヘミングウェイも「荒くれ海獣!」なんてコピーつけられてビックリしてるでしょうね。
でもそれは売り方に問題があっただけで、実際にサメがメインの映画ならサメは出るでしょう。
出ないんです。サメを映すとCGや模型の費用と手間がかかるわけで。なるべく写したくないから低予算映画ほどもったいぶる傾向があります。
サメ映したくないのになんでサメ映画撮ろうと思ったんですかね。
ただ、予算で見ると『JAWS』も超大作ではなく、サメが登場するシーンも少ないんです。
演出でカバーできているかどうかの問題※(注)だと思います。
(注)大半ができていないのが問題
『メガロドン』は、古代の超巨大サメが蘇るというワクワクする設定なんですが、最初の50分以上がサメと無関係です。
上映時間92分だからものすごい社長出勤ですね。
メガロドン 予告編。
深海の冒険が中心で、メガロドンは最後の方にしか出ない。
『ジュラシック・シャーク』は、ひどい。この監督※(注)が撮る映画はだいたいひどい。ひどい映画が観たいときはコレって作品です。
(注) ブレッド・ケリー監督 他の作品に『トレジャー・オブ・スネーク・アイランド』『恐怖のモンスターパニック 吸血巨大ヒル襲来!』など
ひどい映画が観たいときってあります?
何度も使いまわされるサメCG。カットされる捕食シーン。そのくせビキニ女が水を掛け合うシーンや森の中を無言で歩くシーンは何分もノーカットで尺稼ぎするし、オープニングとエンディングを合わせると20分になります。上映時間の1/4がスタッフロールです。
何も言えません。
ジュラシック・シャーク 予告編。
本編ではこの予告で分かる情報だけを80分に引き延ばしている。
それと、どこかから買ってきた資料映像を繋ぎあわせてそれっぽく見せてるだけの映画も多いですね。だから映画によっては使ってる資料映像がカブるということが起きます。
「このサメ他の映画でも見たな」ってなるわけですね。
『ジョーズ リターンズ』は、サメの模型や登場シーンが結構凝っていて「がんばってるな※(注)」という感じなんですが……後年公開された『ジョーズ’96 虐殺編』は、なんと『リターンズ』のサメ登場シーンの映像をまるまる流用するという荒業をやっています。
(注)「あくまで個人の感想として」「当時の底辺サメ映画基準では」「出来が良いかどうかは別として」がんばってるな、の意
映画の映像を映画に使ったの!? ものすごく程度の低い『ニュー・シネマ・パラダイス』だな……
変わってきたサメ映画
ところで、サメ映画のストーリーはどういうものが多いのでしょうか。
「どこかの浜辺にサメが出没するけど市長が存在を軽視して被害が拡大。いろいろ内輪揉めを経てサメを倒す爆発オチ」※(注)が多いです。
つまり『JAWS』と一緒です。
(注) 予算の少なさに応じて内輪揉めの占める割合が増す
『シャーク・スウォーム』は162分もある長尺映画だけど話の大まかな流れは『JAWS』と大差はないですからね。
水で薄めたJAWS。
ですが、最近はオリジナリティのあるサメ映画が増えてきました。
『シャークネード』は、トルネードに巻き上げられたサメの大群が降り注ぐという今までにないコンセプト。
シャークネード 予告編。
これまでの映画と比べるとサメの出し惜しみがなく制作陣の志の高さが伺える。
『ゴースト・シャーク』は、殺された恨みから幽霊になったサメが水のある場所ならどこにでも現れて人を襲うというストーリー。
ゴースト・シャーク 予告編。
水の中ならどこでも現れるので、水道管や雨からも現れる。
『アイス・ジョーズ』は、雪山に祀られていたトーテムポールを倒したらサメの幽霊が復活して、雪中を泳ぎまわって人を襲うという話です。
すみません、意味がわからないです。
アイス・ジョーズ 予告編。
雪山なのにビキニのお姉さんを出すノルマはしっかりと果たしている。
サメ映画ってなんだか不思議な方向に進化してるんですね……
最も面白いサメ映画とは?
それでは最後になりますが、古今東西のサメ映画を観たハットさんが選ぶベストサメ映画を教えて下さい。
『JAWS』です。
あ、はい。ですよね。
いま観ても別格ですよ。『ディープ・ブルー』とかも好きですけどね。でも最近一番感動したのは『シャークネード カテゴリー2』です。
空飛ぶサメに対抗して、人間もチェーンソー片手に空を飛ぶんですよ!
そのシーンを観たとき、本当に感動して涙ぐみました。
シャークネード カテゴリー2 予告編。
1でロサンゼルスを壊滅に追い込んだサメ台風がニューヨークを襲う!
まあ、『JAWS』『ディープ・ブルー』『シャークネード2』の3本くらい観ておけば「サメ映画はだいたい分かった」と言っていいんじゃないでしょうか。
ハードル低いな!
SFファンは「最低1000冊読まないとSFは分からない」とか言うのに…
もっと「サメ映画の世界は奥が深い」みたいなのないんですか!?
奥は浅いですよ。横に広いけど。
というわけで……
知的風ハットさん、ありがとうございました。
(おしまい)