スペランカー(ファミコン版)

1985年12月7日、アイレムから発売。
定価:4,900円(税別)

日本で最も有名なスペランカー。ROMカセットに発光ダイオードが用いられているのも特徴的。

バーチャルコンソール(Wii/WiiU/3DS)やスペランカーコレクション(PS3/PSVita)、まいにちスペランカー(iOS/Android)など、移植やリメイクで遊べる機会も多い。

 

重苦しいオープニングBGM、かと思えば底抜けに明るいメインBGM、シビアなゲーム難易度で多くのゲーマーを魅了した怪作。

 


スペランカー30周年時に作ったお祝いケーキ

特に僕は狂いに狂わされ、人格形成の根幹にスペランカーが存在している。全ての事象はスペランカーの枝葉に相当し、落葉はスペランカーへと還る。ようこそ私の領域へ。

 

ファミコン版は今後の基準となるので、一つ一つの項目を少し丁寧に解説してゆく。

 

耐落下 3pt

・自分の身長と同程度落下するとミス

具体的には身長16ドットに対し、14ドット以上の落下でミスとなる。スペランカー最大の弱点であり、最大の魅力。

判定が実にシビアで、ゲーム開始直後のエレベーターと地面のスキマに落ちてもミスになるし、場所によっては坂道でジャンプをしてもミスになる。ロープをちょっと上って左右にズレただけでも勿論ミス。

初めてスペランカーをプレイする人間は、大体落下死のみでゲームオーバーになると言えばその繊細さが伝わるだろうか。

 

耐久力 3pt

・コウモリのフンに当たるとミス
・幽霊を倒した後の残滓に触れてミス
・自ら打ち上げたフラッシュ(照明弾)に当たってミス
・小岩から噴き上がるガスに触れてミス

スペランカーの脆弱さを物語る代表的な例。

スペランカーはヒットポイント制ではなく、ワンミス=即死残機制。これだけなら昔のゲームでもよくあることなのだが、死因にみみっちいものが多いのが今日まで語られる所以だろうか。

ちょっとした小岩に当たると跳ね返される(さすがにミスにはならない)のも耐久力の無さと言ってもいいかもしれない。

 

あとは自分で設置したダイナマイトの爆風(不可視)で文字通り自爆するのもあるが、これはまあ他のゲームでも多々見られる仕様なので多少は大目に見てやってほしい。

 

攻撃力 3pt

・コウモリをやっつけるフラッシュ(照明弾)
・幽霊を撃退できる銃

主な攻撃手段はこの2つ。前述のダイナマイトは障害物の破壊にしか用いない。

 

フラッシュは取得アイテムであり、拾った数だけ打ち上げられる。前述の通り、残滓に当たるとミスになるので注意が必要。

しかも、コウモリはフラッシュが打ち上がっている間しかいなくならない。フラッシュが地に落ちた瞬間復活する。

 

幽霊を撃退できる銃とは一体何か。

説明書にも『攻撃』としか書かれていない。弾丸らしきものが発射されている様子もなく、一定の範囲内に幽霊がいれば当たる、不可視の範囲攻撃である。

 


壁や床を貫通し、前方の一定範囲に攻撃判定がある

「ババババババ」や「タタタタタタタ」と何かを連射している効果音が鳴るので、俗にマシンガンなどと呼ばれている。

なお、幽霊は何度撃退してもランダムな周期で再来する。コウモリも幽霊も何度も復活する。スペランカー以外のキャラの生命力が強すぎる。

 

余談だが、この『幽霊を撃退できる銃』は名称や設定の変遷が激しく、スペランカー考古学上とても面白い題材である。

後々少しずつ触れていくのでお楽しみに。

 

機動力 3pt

・ジャンプ力の乏しさ
・足の速さは特筆することもなし
・ロープからロープへ飛び移れる

Bダッシュ等の概念はなく、入力した方向に一定速度で移動するのみ。

 


乏しめのジャンプ力

特筆すべきはやはりジャンプ力だろう。自分の身長ほどはジャンプできない。高さとしては精々小岩を飛び越える程度、距離は軽く幅跳びする程度。

そして、ボタンを押した長さなどに関係なく、ジャンプの軌道は一定である。

 

ジャンプ関連で一つ重要な仕様がある。ロープから飛び移る際などに、天井に頭をぶつけると垂直落下する点だ。

そのため、連続ロープジャンプ地点などは初心者の鬼門。スペランカーの主な死因はいつも落下死である。

 

それでも冷静に考えると、ロープからロープへ飛び移れるのは常人離れした機動力である。「ゲームだから」と言われればそれまでだが……

定格なジャンプがこのゲームの肝。僕はスペランカーをミニマルなジャンプアクションゲームだと思っています。

 

持久力 3pt

・エネルギーゲージ(MAX~MINまで1m48s)

画面上に常に表示されている。ゼロになれば勿論ミスになる。

じっとしていてもじわじわと減り、幽霊を撃退できる銃を撃つとガッツリ消費する。

エネルギー回復アイテムを取得するか、一度ミスすることで全回復する。

 

なんのエネルギーなのか設定が不明瞭だが、メタ的にはゲーム体験をよりスリリングにするための仕掛けである。

ランダムで現れる幽霊を撃退するため不意に消費させられることも多く、このゲージ管理が結構大切。この辺を考えて動けるようになれば、スペランカー上級者の仲間入りと言えよう。

 

総評 15pt

どんなに脆弱だとしても、日本国内での知名度を考慮し彼を基準点とする。『ゲーム史上最弱の主人公』の所以が少しでも伝われば幸いだ。

しかし、これだけは言わせていただきたい。この主人公の脆弱さがゲームを完璧なものに仕上げているのだと。

時にクソゲーの誹りを受けることもあるスペランカーだが、それは決して理不尽さから齎される感想ではない。

ジャンプの距離は一定で、ミス判定も逐一シビア。

融通の利かない道理の世界で、プレイヤーの腕前が顕著に現れるからこそ、クソゲーと突き放す人間深みにハマる人間に二分されるのである。

 

僕はよく「スペランカーの難しさは自転車と同じ」という表現を用いる。乗る練習をしていた頃は不可能に思えていた自転車でも、一度乗れるようになれば体が覚える(これを非陳述記憶と言うらしい)。

スペランカーもまさに同じで、一度操作の道理を把握できれば、必ず手足のように動かせるようになる。

ちょっと気を抜けば致命的なミスにつながるのも自転車のそれと同じ。自転車とシャアはヘルメットがあれば即死を防げるかもしれないが、スペランカーはどうしようもない。そういう世界なのだ。

 

 

スペランカー(Atari8ビット版)

1983年、マイクログラフィックイメージ社からAtari8ビットコンピュータ向けに発売。

ライセンスを受け、1984年にブローダーバンド社が再販版をリリース。

ブローダーバンドからは同時期にCommodore 64版も発売。見事な移植手腕でAtari版とほぼ遜色のない出来になっている。

正真正銘スペランカーの起源なのだが、Atari、C64共にハードウェアとしての主な市場は海外であり、日本では馴染みが薄いのが惜しまれる。

 

スペランカーコレクション』(PS3/PSVita,2013)に『オリジナル版』と銘打ち再販版が収録されている。

検証はスペランカーコレクションに収録されている『オリジナル版』をもとに行っています。

 

- 私見 ~ Atari版スペランカーレビュー ~ -

ファミコン版以前のエピソード・ゼロに位置する作品。

マイクログラフィックイメージ版にて幽霊の登場BGM、ブローダーバンド版にて現在もお馴染みのオープニングテーマ曲がつけられた。

本編中は幽霊のBGM以外、基本的に無音なのが特徴の一つ。一人ぼっちの地底探検という寂寥感が身にしみる。

無音の洞窟に、不意に聞こえるコウモリの鳴き声。遠くにザザザと水の流れる音が聞こえるかと思えば、噴き上がる水柱が現れる。映像美ではなく、感覚に訴えるスペクタクルがある。

洞窟探検ゲームとしての魅力はこの頃から完成されていると言っても過言ではない。

 

耐落下 4pt

・身長の2倍近くの段差に耐えられる +1pt

信じ難いことだが、ファミコン以前の彼は多少なりとも丈夫だった。加点13ドットの身長に対し、25ドット落下すると死亡する。

 

耐久力 3pt

・コウモリのフンに当たるとミス
・幽霊を倒した後の残滓に触れてミス
・自ら打ち上げたフラッシュ(照明弾)に当たってミス
・小岩から噴き上がるガスに触れてミス

この辺りはファミコン版と同等。よって加点も減点もなし。

 

攻撃力 3pt

・コウモリをやっつけるフラッシュ(照明弾)
・幽霊を撃退できる銃(ファントムブラスター)

 

これもファミコン版と変わらな……ファントムブラスター? ファントムブラスター!!??

Atari版やNES版(海外版のファミコン)など、海外展開時には幽霊を攻撃できる武器にファントムブラスター(Phantom Blaster)というカッコ良すぎる名前がついている。ややや ケッタイな!

とはいえ、性能的には特に変わらず。加点も減点もなし。

 


ちなみに、フィギュア『スペランカー』(プレッサントエンジェルズ,2008)の武器にも『PHANTOM BLASTER』の文字がある。

 

機動力 4pt

・ジャンプ力の乏しさ
・足の速さは特筆することもなし
・身長の2倍の落下に耐えられる +1pt

 


これくらいの段差ならひょいと飛び降りられる

耐落下性能の高さは機動力の高さ。ファミコン版では絶対に降りられない高さも、Atari版の彼ならストンと降りられる。

 

持久力 2pt

・エネルギーゲージ(MAX~MINまで1m02s) -1pt

ファミコン版スペランカーより35秒程度エネルギーの持ちが悪いので減点

Atari版はゲーム後半になると目に見えて幽霊の出現頻度が高まる(というかほとんど出ずっぱり)ので、エネルギー管理が非常に厳しい。そのためか、ファミコン版よりエネルギー回復アイテムが多く設置されてる気がする。

 

総評 16pt

耐落下性能がそのまま機動力に繋がり、エネルギーの少なさが仇となった。

後の検証でわかることだが、全体的に見てファミコン版スペランカーは持久力がある方である。これは今回比較検証を行うことで得られた新たな一面だ。僕はスペランカーを愛してやまないが、今更気付かされたファミコン版の強みである。

 

今作のクセの強さはファミコン版に負けず劣らずなので、機会があればぜひ一度プレイしてみてほしい。

念のため、オリジナル版からファミコン版への変貌は、劣化ではなく最適化だと付記しておく。

 

 

スペランカー(アーケード版)

1986年稼働開始。アイレム開発。

おそらくファミコン版と同時期に開発されていたが、デザイン、音楽、ゲームシステムなどが大きく異なる。

特に、落下死が無くなったのが大きな特徴。

 

稼働以来、長らく移植の機会に恵まれなかったが、こちらも『スペランカーコレクション』(PS3/PSVita,2013)に収録。本検証もコレクション版で行っている。

 

耐落下 4pt

・落下では死ななくなった +1pt

どんなに高いところから落下してもミスにならない。落下中、エネルギーをちょっと多めに消費する。

落下中は何も操作できず、極端な高所から落下すると空中でわたわたするスペランカーをただ見つめるだけの時間が発生する。無常。

 

アーケード版を指して「落下で死なないなんてスペランカーじゃない」とよく言われるが、お前がスペランカーの何を知っているんだ。

 

耐久力 3pt

・どんな攻撃を食らっても一発でアウトになる

地底幼虫、毒虫、地底人など、アーケード版では独自の敵が増えたが、どれに触れても一発アウト。

ファミコン版主人公と殴り合ったらクロスカウンターで両者ダウンしそうなので、加点も減点も無しとする。

 

攻撃力 3.5pt

・ファイアーガン
・ダイナマイト +0.5pt

 

なんだかよくわからない幽霊を攻撃できる銃から、火球を発射するファイアーガンに武器チェンジ。火球は水平方向に飛ぶ。射程は短め。

 


ファイアーガン発射イメージ

攻撃範囲が限定的になったものの、エネルギーを消費することなくノーリスクでの攻撃が可能になった。

 

ダイナマイトを攻撃に利用するようになったのも大きな前進。

とはいえ、Atari版やファミコン版では爆風を当てるような敵はいなかったし、アーケード版でも使う相手は地底人くらい。爆風範囲も狭くて当てにくい。

 

総合的に、リスクのある範囲攻撃が無くなった反面、安定した攻撃スタイルになったので0.5ptほどの加点とした。

 

機動力 4pt

・高いところから降りられる +1pt

耐落下性能の高さは機動力の高さ。これテストに出ます。

 

持久力 2pt

・エネルギーゲージ(MAX~MINまで56s) -1pt

持久力が低下。攻撃で消費しなくなったものの、結構忙しく動き回らないとあっという間にエネルギー切れになる。

アーケードならポーズ(一時停止)もないし、攻略の際は足を止めている余裕はほとんどない。

 

総評 16.5pt

高いところから落ちても死ななくなったのは確かに大きな前進。しかし持久力の低下が大きく響き、伸び悩む結果に。

スペランカー=落下死のゲームと思っていると、落下死を克服したアーケード版がこの評価? と違和感を覚えるかもしれない。

しかし、スペランカーにおけるエネルギーゲージの比重は殊の外大きい。

考えてもみてほしい。活動限界が3分と2分のウルトラマンでは大きく違う。スペランカーのエネルギー総量の差とはそういうことである。

 

 

スペランカー(わんぱっくコミック)

1986年『わんぱっくコミック 3月号(第3弾)』(徳間書店)初掲載。

わんぱっくコミックス『ファミコンまんが大全集(1)』(徳間書店,1986年5月発行)収録。

 


コミックス書影


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P137より

あらすじ

主人公の良(りょう)は、ジャッカルという相棒と共に、一流の探検家であり考古学者でもあった父親の遺した地図を元に洞窟を探検していた。

良は父の死に疑問を抱きつつ、ついに黄金のピラミッドの入り口を発見する……

おそらくスペランカー史上初のコミカライズ。全15ページの読み切り漫画。スペランカー=虚弱体質のイメージが醸成される以前の創作ゆえか、主人公を脆弱な人間として描いていないのが特徴。

わんぱっくコミックではゲームの漫画化を多数行っており、スペランカーはその中の一つ。『スーパーマリオくん』(小学館)の沢田ユキオ先生がコロコロコミック以前にマリオを描いていたのも当誌である。

 

耐落下 4pt


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P141より

・落下死していない +1pt

落とし穴に落ちたが、すんでのところでジャッカル(相棒)に腕を捕まれ、助けられている。おおよそ半身以上落下してもピンピンしているところをみると、落下耐性はファミコン版以上か。

 

耐久力 4pt


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P143より

・突き飛ばされても無傷
・暴走トロッコから放り出されても無傷 +1pt

ジャッカルに突き飛ばされ、洞窟の壁に背中を打ち付けるも無傷。炎の中をトロッコで突っ切り、岩に衝突して放り出されても無傷。

 

攻撃力 2.5pt


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P148より

・フラッシュがない
・幽霊を攻撃する銃もない -1pt
・ステゴロ +0.5pt

銃(対人用)を持つ筋骨隆々の男に対し、隙を突いてステゴロで応戦している。ノックアウトには至らなかったものの、かなり動揺させていた。

 

機動力 3.5pt


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P145より

・暴走トロッコから放り出されても無傷 +0.5pt

耐久力の項でも触れたエピソード。どんなに耐久力があっても、咄嗟に受け身をとる機動力もなければ無事では済まないはず。

 

持久力 4pt


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P138より

・エネルギーゲージが無い
・洞窟内を2時間歩き通せるスタミナ  +1pt

媒体がゲームではないため、エネルギーゲージがないのはさもありなん。

冒頭、ジャッカルの「もう2時間も歩きっぱなしですよ」というセリフから、足元の悪い洞窟で2時間も行脚していたことが窺える。流石は一流探検家の息子。

 

総評 18pt

全体的に昭和のタフネス漂う作風であり、主人公も小柄ながら屈強そうな印象を受ける。並の人間かそれ以上のスペックを持っていることは想像に難くない。

人並み以上ということはスペランカーよりメチャ強いということである。

 


『ファミコンまんが大全集1』(熊倉いさお、徳間書店、1986)P151より

如何せんたった15ページの作品で、力量を図れるだけの描写がなく「思われる」「窺える」「はず」などの推量が多くなってしまったがご容赦願いたい。

ネタバレですが、ジャッカルは良の父を事故に見せかけ殺し、良に財宝を探させ、隙を見て独り占めする算段だったようです。悪そうな見た目でホントに悪さをしている。始末に負えない。

 

 

スペランカー(MSX版)

1986年6月発売。アイレムから販売されたものと、カシオから販売されたものがある(中身は同一)。

価格:4,900円(税別)

ファミコン版の移植。しかしハードウェアの性能的に厳しかったのか、移植環境がよろしくなかったのか、細かい仕様が異なるほか、ファミコン版に比べゲームスピードが極端に遅い

正直言って移植完成度はあまり高くないが、これはこれで妙な魅力のある仕上がりになっている。この魅力は「よく知ったアノ人の知られざる一面」を見たそれに近く、評価が上がるか否かは人それぞれ。

僕はこの記事の為にあらためてプレイし、更にスペランカーが愛おしくなった。

 

現在(2023年時点)は『プロジェクトEGG』にて復刻版が遊べる。本検証もこれで行っています。

スペランカー (MSX) | プロジェクトEGG

 

耐落下 2pt

・ファミコン版より段差に弱い -1pt

ファミコン版が16ドットの身長で14ドット以上落下するとミスになるのに対し、MSX版は同じ身長で12ドットでミスとなる。

更に言うと、ファミコン版は14ドット落下した地点が地面だった場合ミスにならない細かい仕様があるのだが、MSX版は地面があろうがめり込んでまでミスとなる。

 

耐久力 3pt

ファミコン版と同等。

 

攻撃力 3pt

・フラッシュ
・幽霊を攻撃できる銃(ソニックガン

 

幽霊を攻撃できる銃にソニックガンという名前が与えられている。音波攻撃なら幽霊よりコウモリに効きそうなものだが、残念ながら幽霊にしか効かない。

攻撃性能としてはファミコン版と同等。ただし、使用してもエネルギーが減らない(後述)という決定的な差がある。

 

機動力 2pt

・ゲームスピードそのものが遅い
・段差に弱い -1pt

全体的に処理落ちしているかのような非常にモッサリとした動作感。

なのにオープニングBGMが妙にアップテンポになっていて歯がゆさを覚える。

 

持久力 4pt

・エネルギーが異常に持つ(3m50s) +1pt

ゲームスピードの遅さが齎すぶっ壊れ性能。なんとファミコン版の約二倍の持久力。

その上、設定ミスかはたまた仕様か、なんと幽霊を攻撃してもエネルギーが減らない

また、ファミコン版の幽霊は倒さない限りずっと追ってくるのだが、今作の幽霊は画面の上下スクロールで逃げ切る(撒く)ことも出来る。幽霊の立場が弱い。

 

総評 14pt

ファミコン版より1pt性能を落とす結果。ともすればファミコン版が史上最弱かと思われたが、下には下がいる。洞窟の最下層を目指すスペランカーとしては鑑のような向上心(下を目指すのに向上心?)ではあるが……

移植の精度に難があるのはハード性能の問題だけではない、と思いたい。MSXに移植されたタイトルの中には素晴らしいものもあるからだ。

もしかしたら、ATARI版→ファミコン版の移植のように、MSX版も調整としてこのようになったのかもしれない。僕の希望的観測でしかないが……

 

何はともあれ、ゲームのスペランカーの中では異常なまでの持久力の持ち主であることは紛れもない事実。スペランカー同士でバトロワった場合、身を隠しているだけで上位入賞が狙えるほどの高性能は誇るべきだろう。

 

 

スペランカーII 23の鍵

アーケード。1986年稼働開始。

アーケード版スペランカーの二作目。一発ミスを廃止し、エネルギーゲージが削られる実質的体力制になる等、いくつか前作から仕様が変更されている。

スケボーでかっ飛ぶ、スキューバダイビングする等、ちょっとコミカルなアクションも増えた。衣装もからピンクになり、より愉快なオジサンと化している。

ゲームの難易度の方向性も、試行錯誤して道を切り開くスタイルにより特化。場所によっては手当たり次第にアクションを試さないと活路が開けないこともある。

 

こちらもアーケード版一作目と同様『スペランカーコレクション』(PS3/PSVita,2013)に収録されている。

 

耐落下 3.5pt

・落下死がない +1pt
・落下中エネルギーを大量に消費する -0.5pt

アーケード版の流れを汲むので落下死がない。ただし、前作より落下中のエネルギー消費量が大幅に増大した。即死こそしないものの、ちょっとした段差で瀕死の状態に陥る。

 

耐久力 4pt

・一撃死ではなくなった +1pt

前作のアーケード版は敵キャラに触れれば一発アウトだったが、今作ではエネルギーゲージが削られる仕様になった。

ただしこれもダメージ量が厳しく、一撃で即座にピンチに陥る。

 

攻撃力 3.5pt

・ファイアーガン
・ダイナマイト +0.5pt

前作のアーケード版と同様。

 

機動力 4pt

・ある程度の高いところから降りられる
・スケボーで飛べる
・ダイビングスーツで泳げる +1pt

耐落下性能の高さは機動力の高さだが、落下時にエネルギーを大量に消費するぶん前作のアーケード版からやや劣るので、高低差の機動力はそこまで高く評価しない。

 

しかし、洞窟内にスケボー酸素ボンベ(ダイビングの道具一式)といったアイテムが新登場。

場所は限定的ながら、スケボーで断崖を飛び越えたり、酸素ボンベを装着してスキューバで水の中を泳いだりと非常にアクティブな動きを見せてくれる。

 

持久力 2pt

・エネルギーゲージ(約1m07s) -1pt

前作のアーケード版とほぼ同様。

本作ではエネルギーゲージを実質体力ゲージとして使っているためか、前作と比べほんの少し(10秒)だけ持ちが良くなった。

 

総評 17pt

アーケード版の路線で進化した続編。一撃ミスを廃止してエネルギーゲージを削る仕様になったのが耐久力の向上に大きく貢献した。

断崖をスケボーで優雅に飛び越える姿、酸素ボンベ&ゴーグル&ウェットスーツで水中をスイスイ泳ぐ姿はなかなか衝撃的で、印象だけで危うく機動力を5ptと過大評価するところだった。なんとか踏みとどまった。

 

ゲームの難易度としては、冒頭で少し触れた『活路を開くための謎解き』がいわゆる『総当り』を強いられるので、理不尽に片足を突っ込んでいる気がしないでもない。

とはいえ、ファミコン版ベースで展開されている現在のスペランカーにはないゲームスタイルは魅力的。枝分かれしたスペランカー史の貴重な一端である。

 


ゲーム中、メチャクチャな大ジャンプをするシーン

あと、まあ、これをスルーすると「ツッコミ無しかい」とツッコミが入るので一応触れておこう。スケボーって何? スペランカー世界の洞窟は元々文明を匂わせるテックが溢れてるけれども。

大丈夫、大丈夫よ。これに違和感を覚える程度の客観性は持ち合わせていますし、スペランカーに親しみある人間でも変だと思ってるから。

 

 

スペランカーII 勇者への挑戦

1987年9月18日発売。ファミリーコンピュータ用アクションRPG。

販売:アイレム
価格:5,300円(税別)

続編と謳っているが、前作のファミコン版とは全く異なるゲーム

ライフ制を採用エネルギーゲージを撤廃。ゲーム開始時に「探検家」「エスパー」「聖職者」の3人の中から一人を選び、広大なマップを探索するアクションRPGとなっている。

 

敵を倒すなどの善行を積むと増え、無意味な殺しをするなどの悪行を働くと減る『TOKU(徳)レベル』なるユニークなシステムも特徴。主人公の攻撃手段やエンディング分岐に関わる重要なステータスである。

職種・徳の有無によって主人公の強さが大きく異なるので、本作は職種別・徳ゲージ多少別複数種の検証を行うこととする。

 

なお、本作はATARI版、初代ファミコン版、アーケード版二作と違い『スペランカーコレクション』(PS3/PSVita,2013)に未収録

その理由として、ファミコン版及びアーケード版の開発に携わった人物のインタビューが残っている。

 

(前略)ファミコン版の「スペランカー2」は,僕があれを「スペランカー」として出してほしくなかったという考えがあったので,今回はあえて収録しなかったんです。ファミコン版「スペランカー2」の頃は,僕はすでに開発現場から離れてしまっていたので,僕が知らないところで出てしまった作品なんですよ。

【Tozai Inc.のスコット津村氏が再来日。「スペランカーコレクション」にまつわるとっておきの裏話を4Gamerだけに聞かせてくれた】より一部引用)

そういうタイトルである。あらかじめご了承ください。

 

耐落下

【徳が少ない場合】

・高所から落ちても死なない +1pt

・探検家…4pt ・聖職者…4pt ・エスパー…4pt

 

どんなに高いところから落下しても、尻もちをついてライフが少し減るだけで済む。

これだけでもスペランカーにしては破格の性能だが、徳ゲージが一定以上の場合、アクションゲーム史でも稀に見るインチキ性能が得られる。

 

【徳が多い場合】

・奈落に落ちてもゲームオーバーにならない +2pt

・探検家…5pt ・聖職者…5pt ・エスパー…5pt

 

奈落とは、アクションゲームにおいて落下すると一発アウトになる穴のこと。

本作にも奈落があるのだが、徳が一定以上あると地獄の閻魔「お前のようなヤツが来る所ではない。とっとと帰れ!」地上に送り返される

比喩などではなく、本当に閻魔がいる。徳が低いと普通に地獄行き(ゲームオーバー)となる。

また、奈落に関係なく、徳ゲージがゼロになった瞬間閻魔の下へ強制移送され地獄行きとなる。悪いことはするものではない。

 

耐久力

【徳関係なし】

・ライフ制 +1.5~2pt

・探検家…5pt ・聖職者…4.5pt ・エスパー…5pt

職業によって最大値が違う。探検家(16)>エスパー(14)>聖職者(10)の順にライフが多い。探検家とエスパーの差はほとんど誤差のようなものなので、等しく5ptとした。

なお、ライフはゲーム中で入手する携帯食料でいつでも回復できる。至れり尽くせりである。

 

攻撃力

【徳が少ない場合】

・豊富な武器 +1.5~2pt

・探検家…4pt ・聖職者…5pt ・エスパー…4.5pt

 

【探検家】ナイフ・ピストル・爆弾を扱う。

ナイフはいわゆる通常攻撃。ピストルは射程も威力も豆鉄砲に毛が生えた程度。弾数制限もあり、適宜アイテムを拾って補給しないと弾切れになる。

 

【聖職者】杖・魔術・オーラ・爆弾を扱う。聖職者はライフが少ない分、3人の中でも随一の戦闘力を誇る。

が通常攻撃だが、ゴーストやゾンビなどのアンデッドをも倒せる。逆に言うと、聖職者以外はロザリオ(後述)がないとアンデッドを倒せない。

魔術は己のライフを少し削り、敵の動きを止める。

オーラはボス戦のみで使える必殺技で、ライフを犠牲に大ダメージを与える。

 

【エスパー】ナイフ・超能力・爆弾を使う。

ナイフは通常攻撃。超能力は己のライフを少し削り、指先からビームを飛ばす。ピストルより高火力。超能力者ってすごい。

 

他にアイテムとして、ボスキャラクターの動きを止められるリンゴがある。なぜリンゴなのかはわからない。

 

【徳が多い場合】

・「ロザリオ」「聖剣」 +2pt

・探検家…5pt ・聖職者…5pt ・エスパー…5pt

 

徳が多い場合、ロザリオが使用可能になり、聖剣が入手できる。

ロザリオは徳が多い場合、攻撃ボタンで掲げることで周囲に不可視の攻撃判定が発生し、ゴーストやゾンビを倒せる。探検家・エスパーが唯一アンデッドに対抗する手段。

徳だの閻魔だのロザリオだの一体どういう宗教観なんだ、というご指摘はごもっとも。

聖剣は徳が高くないと入手できない。

ラスボスを倒すために必要な剣……と思わせて、別になくても倒せる。すべてを終わらせる時……!

 

機動力

【徳関係なし】

・高い機動力 +1~2pt

・探検家…4pt ・聖職者…4pt ・エスパー…5pt

 

耐落下性能の高さは機動力の高さ

【エスパー】はこれに加え、マーカーを設置した場所に一瞬で戻って来られるワープ能力を持っている。

マーカーは複数設置できず、いちいち置き直す必要があるが使用回数は無制限。超能力者ってすごい。

 

持久力

【徳関係なし】

・エネルギーゲージが無くなった +2pt

・探検家…5pt ・聖職者…5p ・エスパー…5pt

 

もはや時がスペランカーを斃すことはない。

 

総評

探検家 22pt / 23.5pt

聖職者 22.5pt / 23.5pt

エスパー 23.5pt / 24.5pt

 

【テキストによるまとめ】

探検家(徳少)……22pt
探検家(徳多)……23.5pt

聖職者(徳少)……22.5pt
聖職者(徳多)……23.5pt

エスパー(徳少)……23.5pt
エスパー(徳多)……24.5pt

数値上、3人の中で探検家が一番弱い

聖職者は随一の攻撃力、エスパーは機動力とそれなりの攻撃力を持っているのに対し、探検家は体力しか取り柄がないからだ。

性能差はあれど、本作の主人公は平均して高いスペックを誇る。スペランカーであることを卒業し、ひとかどのアクションゲームの主人公となった証だろう。

 

「ここまで違うゲームならスペランカーじゃなくてよくない?」は、ファミコン版の開発者も言っているので僕も頷いておく。

しかし、ファンとしてはスペランカーの名を冠している以上粛々と受け入れ、歴史として紡いでいく所存である。これは善行なのか悪行なのか。全ては奈落に落ちた際、閻魔の下で明らかになるであろう。

 

 

スペランカー先生

1998年2月24日、ゲームメーカー・アイレムの公式HPコンテンツ「ふるさと4コマ小唄」で連載開始。

メーカーのホームページに人を呼ぶべく「定期的に提供できるコンテンツを」と創設された『ふるさと4コマ小唄』。

メーカーの社員により多種多様な4コマ漫画が連載されていたが、その記念すべき第一回の更新が「高は車(たかはしゃ)」による『スペランカー先生』である。

 

残念ながら現在はコンテンツが閉鎖されているが、2009年に書籍化された「スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~」(エンターブレイン)にてその勇姿が確認できる。

『スペランカーがもし学校の先生だったら』をテーマに、不定期更新ながら10年以上連載。約90本の作品が存在する。

ありふれた高校生活でも、スペランカー先生にとっては危険の連続。ありとあらゆるシチュエーションでスペランカー先生が斃れる

スペランカーに『先生』の敬称がつくことがあるのはこの作品が由縁。

 

2011年にフラッシュアニメDVD化も果たしている。キャラクターボイスは杉田智和氏。概ね原作通りのアニメ化なので、別個に集計はしない。

 

なお、本作品は2006年から雑誌「電撃マ王」(アスキーメディアワークス)にも描き下ろしが掲載されていたが、検証はあくまでふるさと4コマ小唄内に掲載されたもののみで行う。

 

耐落下 1pt


アイレムソフトウェアエンジニアリング『スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~』(エンターブレイン、2009)P35より

・とにかく段差に弱い
・数十センチの段差すら危うい
・自らのジャンプ力にすら耐えらない -2pt

スペランカー界でも飛び抜けて段差に弱い。

スペランカーの耐落下性能について、一時期ネット上の噂で「腰の高さくらいの段差で死ぬ」「ヒザの高さくらいの段差で死ぬ」などの尾ひれがついていたのは、割と本気でスペランカー先生の所為なのかもしれない。Wikipediaに書くと要出典を喰らう僕の推測である。

 

耐久力 1pt


アイレムソフトウェアエンジニアリング『スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~』(エンターブレイン、2009)P29より

・人にぶつかっただけで死ぬ
・ボールが当たると死ぬ
・洗い場で熱いお湯を被っただけで死ぬ -2pt

枚挙にいとまがない。桁外れにセンシティブ。

とはいえ、さすがにに刺された程度や、虫刺されの薬でスースーする程度では死なないらしい。

でも蚊取り線香の煙には「いやまさか……」と危機感を覚えている(実際にダメかは不明)。

 

攻撃力 4.5pt


アイレムソフトウェアエンジニアリング『スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~』(エンターブレイン、2009)P14より

・徒手空拳が強い
・走るトラックを正面から受け止める膂力 +1.5pt

学校に殴り込みをかけてきた不良でも、まるで歯が立たないほど喧嘩が強い

一発でも喰らえば死んでしまうことから、死なない程度に攻撃をいなしたか、全て躱したと思われる。戦闘のセンスを含めて攻撃力を評価した。

 


アイレムソフトウェアエンジニアリング『スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~』(エンターブレイン、2009)P28より

単純な膂力もこの通り。残機をすり減らしながらだが、トラックを正面から受け止めている。

今気づいた。子犬といい計算といい、キン肉マンのパロディだこれ……

 

機動力 4pt


アイレムソフトウェアエンジニアリング『スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~』(エンターブレイン、2009)P14より

・運動神経が良い
・そもそも専攻が体育教師 +1pt

※まいにちいっしょ トロ・ステーション「第1024回 史上最弱の教師がやって来た!」(2009年8月28日)より

喧嘩の強さといい、真っ向勝負であればしっかり対処できる機動力を持ち合わせている。

 

持久力 4pt


アイレムソフトウェアエンジニアリング『スペランカー先生~アイレム発 特撰ふる里4コマ小唄~』(エンターブレイン、2009)P18より

・医学的にはどこも悪くないらしい
・スタミナが無いわけではない +1pt

作中、強い日差しで斃れることはあるが、特にスタミナ面で脆弱な描写はない。

 

総評 14.5pt

とにかく耐落下と耐久力が低く、総合数値はファミコン版スペランカー以下となった。

だがファミコン版スペランカーとスペランカー先生の直接対決なら、間違いなくスペランカー先生が勝つ。カタログスペックだけを信じてはならない。

真っ当な機動力を持ちながら不意打ちに弱いところなど、さながらスペランカー上級プレイヤーである。

 


ライター・寺悠迅によるファンアート

……白状すると、僕はスペランカーの中でもスペランカー先生というキャラクターをかなり偏愛している。

ひ弱なヤツが実は強キャラ』というものは、皆さんもお好きだと思われます。

辛い時(買い物の荷物が重いとか)、苦しい時(食べ過ぎた時とか)に「スペランカー先生だったら死んじゃうのかしら……」と考えたりするほど『夢』が入ってるので、彼に対する評価はあまり客観的ではないかもしれない。

 

 

みんなでスペランカー

2009年3月26日配信開始。PlayStation3ダウンロード専売タイトル。

販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング
価格:1,200円(税込,当時)

キャッチコピーは「みんなでいこう!愉快な洞窟探検!」

 


アイレムぶるるん2009(東京ゲームショウ2009配布小冊子)より

『スペランカーII 勇者への挑戦』(1987)から22年ぶりの新作タイトル。

最新ハード(当時)、最大6人のオンラインマルチプレイ対応、美麗リニューアルグラフィック&クラシック(ファミコン風)グラフィック、全100面というド肝を抜く仕様でゲーム業界に返り咲いた。

ゲーム内容はファミコン版の正当進化。主人公の操作感・スペックはほぼそのままに、敵キャラやトラップのバリエーションが増大。

後のTozai gamesの再販版(2011)では、DLCで超上級者向けにチャンピオンシップモード100面追加され、全200面となった。

 

余談だが、複数人同時マルチプレイの実装はあのマリオより先に成し遂げている。(『NewスーパーマリオブラザーズWii』,2009.12.3)

 

耐落下 3pt

ファミコン版と同等。

 

耐久力 3pt

ファミコン版と同等。

 

攻撃力 3.5pt

・フラッシュ
・幽霊を攻撃できる銃(ポータブルファン
・ダイナマイト +0.5pt

敵キャラの種類が大幅に増えたものの、スペランカーの攻撃力はほぼ据え置きで対処可能。

舞台が洞窟だからか、フラッシュに弱い敵が多い。

本作は巨大幽霊分裂幽霊などの新顔幽霊が登場するが、どれもお馴染み幽霊を攻撃できる銃で撃退可能。

 

なお、今作から名称が「ポータブルファン」になった。その名の通り手持ちの扇風機で、どうやら風で幽霊を散らしているらしい。

 

ダイナマイトに関しては、攻撃に利用するようになった、というより「通用する敵が現れるようになった」が正しいかもしれない。

ヘビクモムカデがその対象で、圧倒的な破壊力で吹っ飛ばす……かと思いきや、一時的に行動不能にするに留まる。

スペランカーの三倍ほど大きい動く石像などは粉々に吹き飛ばせるものの、しばらく立ったら元通りに復活する。やはり主人公以外の生命力が強いゲームである。

 

機動力 3pt

ファミコン版と同等。

 

持久力 3pt

・エネルギーゲージがある(1m35s)

ファミコン版と比べて少しだけ(10秒程度)短くなったが、まあゲーム性の微調整の範囲内だろう。

 

総評 15.5pt

流石はファミコン版の正統進化。ゲーム的にはかなりボリュームアップ&進化しているが、主人公のスペックにそこまで大きな変化はなかった。

クモ、ヘビ、石像、カラス、カエル、ムカデなど、新たな敵キャラがかなり増えたものの、既存の武器で撃退できるのがミソ。太陽光でしか倒せない! みたいなやつがいなくて何よりである。

 

余談だが、敵キャラはあくまで『撃退』であって、『殺す』ではない……という設定があったはず。

当時のゲームメーカーのラジオコンテンツ(ポンコツラジオ)でのスタッフの発言「スペランカーは心優しいので、無闇に殺生しないんです」は、その場の与太話だったのか本当にある設定なのか、今となっては真相は闇の中である。

「スペランカーがこんなに殺されるのに!?」のツッコミ待ちだった気がしなくもない。

 

 

スペランカー(3Dドットゲームヒーローズ版)

2009年11月5日発売。PlayStation3用のアクションアドベンチャーゲーム。
開発:シリコンスタジオ 販売:フロム・ソフトウェア
価格:6,800円(税別)

 


パッケージ表


パッケージ裏にスペランカーの姿

スペランカーがゲストキャラクターとして登場。

ゲームそのものは見下ろし型&画面切り替えスクロール形式のアクションアドベンチャー。ファミコン版のゼルダの伝説ライクと言ったほうが伝わるだろうか。

 


『スペランカーモード』スクリーンショット(3Dドットゲームヒーローズ,2009)

プレイヤーは勇者となり、2Dドットゲームの世界が3D化した世界を冒険し、魔王討伐が目的という王道ストーリー。

強化次第でエリアの端から端まで届く長大な剣を振り回せるのが特徴。昔公開されていたフラッシュゲーム「太くて長いオレの◯◯」にコンセプトが似ている。

ゲストキャラクターながら、スペランカーが主人公のシナリオであるスペランカーモードが用意されている。どんな攻撃を受けても一撃でミスとなる超ハードモード扱いであり、こちらでのスペックを評価していく。

 

耐落下 3pt

・段差を降りようとすると死亡演出が入る
・死亡演出だけでゲームオーバーにはならない ±0pt

よそのゲームに出張しても段差に弱いのは相変わらず。

しかし、段差が降りられないとゲームが進まないので、ファミコン版のミスBGMと死亡演出(身体が点滅する)が入るのみで、ダメージを負ったりゲームオーバーになることはない。

「死ぬ演出が入っても死んでいないなら、実質耐落下性能は無限では?」とも思ったが、この演出はスペランカーモードのためにわざわざ実装されているもの。

開発者の「彼は原作通り段差に弱い」という演出意図を汲み、そういうものとして扱わせていただく。

 

耐久力 4pt

・どんな攻撃を受けても一撃でミスとなる
・高性能な盾がある
・爆弾で自爆しない +1pt

 

一発アウトなのはファミコン版と同じ。

しかし舞台はゼルダの伝説ライク。攻撃を防げるがある。心もとない「ふつうのたて」に始まり、最終的には「ゆうしゃのたて」まで手にすることが可能。

 

また、ダンジョンの壁爆破などで爆弾を扱うのだが、自爆がない

本編でも自爆ダメージが入らない仕様なため、スペランカーモードもそれに倣ったのだろうが、コレはどうかと思う。段差への弱さは原作再現しているのに。「解釈違いだ」と暴れても許されるのでは?

 

攻撃力 5pt

・エリアの端から端まで届く剣の数々
・ブーメラン、爆弾、弓矢などのサブウェポン
・多彩な魔法 +2pt

本作は多彩な剣と強化のインフレを楽しむゲームでもあるのだが、そのほとんどがスペランカーモードでも手に入る(一部、ミニゲームでのみ手に入る剣が入手できない)。

ブーメラン爆弾弓矢などのサブウェポンも充実。爆弾は先述の自爆しない仕様から、攻撃手段としても優秀。

魔法は敵を凍らせる「フローズンシェーダー」、魔法攻撃を跳ね返す「リフレクション」など。

長きに亘るスペランカー史の中でも、最も強力かつ多彩な攻撃手段を持つスペランカーと言えよう。

 

機動力 4pt

・ジャンプそのものが無くなった -1pt
・段差を降りられる
・装備アイテムでダッシュが出来る
・装備アイテムで離れた場所に移動できる +2pt

耐落下性能は機動力の以下略。

ゼルダライクな見下ろし型アクションアドベンチャーなので、ジャンプアクションそのものが無い。夢を見る島ライクならジャンプもあったかもしれないのに。

 


剣を突き出したまま猛ダッシュ

ダッシュブーツ」または「ミラクルブーツ」というアイテムを装備することでダッシュが可能になる。

速すぎて制御が難しいタイプのダッシュで、壁に激突すると反動を受け、落下時と同じように死亡演出が入る。ゲームオーバーにはならない。

 

ワイヤーロッド」またはその上位版「アンカーロッド」は、ワイヤーorアンカーの先に鉤爪のようなものがついており、それを木の杭に引っ掛けることで離れた場所に平行移動できる。

早い話が、ゼルダの伝説シリーズの「フックショット」である。

 

持久力 5pt

・エネルギーゲージがない +2pt

ゲスト出演なので。

たった一行で済む情報だが、ファミコン版と比べると法外な強化である。

 

総評 21pt

ファミコン版スペランカーの呪縛から解き放たれたスペランカーは強いとにかく強い

ゲームシステム上、言ってしまえばHPが1のリンクのようなものなので、耐久力以外のステータスはゲームキャラとして一線級である。

このゲームが発売された2009年は『みんなでスペランカー』でゲーム業界に復帰したおかげか、3Dドットゲームヒーローズの発売前告知においても「宣伝部長」に抜擢されメディアの表に立つなど、破格の扱いを受けていた。

当時の僕は急に公式から供給が溢れてきたので小躍りの日々であった。

 


スクリーンショット(3Dドットゲームヒーローズ,2009)

通常の本編(難易度:フロムモード)でも作中に客演しており、珍しくセリフがある。ゲームキャラ・スペランカーとして喋ったのはこのゲームが初めてかもしれない。

 

 

スペランカー 不死身の勇者と王国の謎

2013年10月5日発売。一二三書房、桜ノ杜ぶんこレーベルで発行されたノベル。

著者:宮村優 イラスト:HACCAN
価格:780円(税別)

 


書影

数々の秘境や洞窟を制覇してきた冒険家・ジーン・フェロウズ。ドクターと呼ばれる彼の元に、ジャックという名の一人の青年が弟子入りを志願する。一度は断られたジャックであったが、ドクターの弟子・ロバートや愛娘・エマの口添えもあり、何とか弟子として認められるのであった!

時は流れ、トレーニングに励みながら冒険をする日を待ち望むジャックのもとに、ロバートから幻の古代文明――スペランカー文明の遺跡情報がもたらされる。現代をも凌ぐ科学力を有しながらも滅びたとされる古代スペランカー文明。ジャックたちはその謎を解くため遺跡に挑むのだが、そこはコウモリやゴースト、数々のトラップに満ち溢れた遺跡であった! ジャックたちは遺跡を攻略できるのか?遺跡に遺された秘宝とは? そして……ジャックたちの恋の行方はいったいどうなるの?

――裏表紙あらすじより

 

あらすじのあらすじとしては、スペランカーを題材とした冒険小説である。

 

心苦しいが、物語の彩りである恋や成長、洞窟探検のロマンなどを省き、強さ議論のためのスペランカー要素だけを抜き出すと次のような事情になる。

探検中の事故により、古代文明スペランカーの発明品である怪しいガスを浴びたジャック・アレン(19歳)は体質が変化。死から蘇る不老不死の身体と化した。

しかし、彼の冒険家としての師匠であり、医学の心得あるドクター・ジーン・フェロウズ曰く、不老不死は不完全で危険なものだという。

復活の回数限度は未知。異常な速度の新陳代謝による急激な老化の危機。細胞が脆くなり自分の身長の半分もないところから飛び降りて死ぬ可能性

この呪いめいた不死の解毒ガスを求め、ジャックたちは遺跡へ向かう。

 


主人公「ジャック・アレン」

本作の主人公はナチュラルボーン・スペランカーではない。後天的なスペランカー体質というなかなかのハードモードを課されてしまう。

ここでは不完全な不老不死化スペランカー体質化と命名し、耐久力などはこの状態を参照し検証していく。

 

耐落下 3pt

「そうだね~、下り坂をジャンプしたらまあ、死ぬね」

宮村優『スペランカー 不死身の勇者と王国の謎』(一二三書房、2013)P257より

・坂道でジャンプをすると死ぬ

ファミコン版と同じ。ただし、劇中で実際に坂道ジャンプはしていない

一度死んで復活するまでの間に見た夢(?)で、天使なる存在に死ぬから気をつけろと囁かれている。

ここで天使は突如「残機」なる概念についても語り出すので、いわばメタ表現のギャグシーン。

実は本編中、坂道ジャンプどころか落下死は一度もないのだが、メタの使いである天使の言葉を信じるなら、耐落下性能はファミコン版と同じなのだろう。

 

耐久力 4pt

「あまりにも早すぎる新陳代謝に、肉体が悲鳴を上げかねない……簡単に言えば細胞が脆くなるということだ、下手をすれば自分の身長の半分もない所から飛び降りて死にかねない程に……あくまで仮説の話だが、注意して損はない」

「ある意味最強なのに最弱……それが今の俺ですか?」

宮村優『スペランカー 不死身の勇者と王国の謎』(一二三書房、2013)P210より

・眉間を銃で撃たれれば死ぬ
・溺れても死ぬ
・古代兵器に潰されても死ぬ
・腿に銃弾を受けても死なない
・ヒロインのツッコミ程度は平気 +1pt

劇中の主な死因は、普通の人間でも死んでしまうような事ばかり。いわば致命傷に限られている。

スペランカー体質化で身体が脆くなる可能性を指摘されているが、スペランカーのような極端な脆弱性はないらしい。ヒロインたちの加虐的ツッコミ(回し蹴り、ビンタなど)も「いてえ!」で済んでいる。

腿を銃で撃ち抜かれても苦痛を覚えるのみで、致命傷にはなっていないことから、実は耐久力は並の人間と同等か。

 

攻撃力 4pt

 肩から肘、肘から手首へと連動する淀みない力が、目標目がけてナイフを放つ。

「いけ! いけぇぇ!」

 手前の鉄球を危なげなくクリアし、二番目の鉄球もなんとかすり抜ける。
 戻ってくる三番目の鉄球がナイフへ向かい唸りを上げ襲いかかる。
 だがギリギリすり抜け次の鉄球をクリアしようと一直線に飛び続けた。
 そしてついに全ての鉄球をクリア。スイッチへと突き刺さる。

宮村優『スペランカー 不死身の勇者と王国の謎』(一二三書房、2013)P249より

 

「拳銃(ピストル)なら意味を成さないが、この”ファントムブラスター”なら話は別ってことだ」

宮村優『スペランカー 不死身の勇者と王国の謎』(一二三書房、2013)P141より

・投げナイフ
・幽霊を撃退できる銃(ファントムブラスター) +1pt

特技として投げナイフを習得している。

毎日1000本投げ込みという本人の努力の甲斐あってか、高い命中率を誇っている。獣の排除から罠の解除まで用途が広いのも強い。

 


宮村優『スペランカー 不死身の勇者と王国の謎』(一二三書房、2013)P140より

幽霊を撃退する銃は、本作ではファントムブラスターという名称で登場。ドクター・ジーン・フェロウズが対幽霊用兵器として開発した代物。

名称こそ旧海外設定だが、銃口から渦巻く風の気流が発射される仕組みで、みんなでスペランカー(2009年)からのポータブルファン設定を引き継いでいる。

見た目に反して反動が大きい。ジャック曰く「両手でしっかり固定しないとこっちが吹き飛ばされる」。

 

機動力 4pt

 水しぶきを上げての着水、全身をヒンヤリと水が包み込む。
 不思議な感じだった、ここは確かに地下世界だというのにまるで地上のように明るく、水の中とは思えないほど視界はクリア。
 前を行くみんなとはぐれる心配もなく、また周囲に外敵の存在も感じない。
 どこか幻想的な景色を楽しみながら行われた潜水は、酸素が切れる前にアッサリと終わりを迎えてしまった。

宮村優『スペランカー 不死身の勇者と王国の謎』(一二三書房、2013)P140より

・泳げる
・運動神経は悪くない
・自らの危険を顧みないアクションをする +1pt

飛び抜けて運動神経が良いわけではないが、悪くもない。努力と根性で乗り切るタイプ。

スペランカー体質になってからは、復活できない可能性を顧みず無茶をすることもある。もちろん、師匠やヒロインに咎められているが。

 

野暮かもしれないが、引用した泳ぎのシーンはヒロインの水着姿欲しさに読者サービスとして差し込まれたかのような展開である。

また、ここでその水着姿の挿絵を載せるほど、僕は野暮ではない。

 

持久力 4pt

・エネルギーゲージがない
・洞窟探検家見習いのスタミナ +1pt

ゲームではないのでエネルギーゲージがない

師匠には遠く及ばずとも、主人公のジャックは19歳の若き探検家志望者。日々の基礎トレーニングを欠かさず行っているので、間違いなくスタミナは並の人間以上

 

・ランニング13マイル(約21km)
・裏山でロッククライミング5セット
・プールで7マイル(約11km)泳ぐ

以上は本文中(P41)に示されている日課のトレーニングメニュー。かなりハード。スペランカー体質化でスタミナが落ちた様子も特にない。

 

総評 19pt

主人公の描写が多く、若く努力家なためスコアが伸びた。将来有望な探検家である。冒険小説の主人公然としている。

全体を通して洞窟探検のシーンがメインだが、実はスペランカー体質だった期間はそれほど長くはなく、本文約340ページ中120ページほど。

メタ的には全体の1/3だが、作中では半年間スペランカー体質だった。

半年間もの間、いつ何で死んでしまうかもわからない、急激な老化があるかもしれない生活というのは、相当な恐怖だったことは想像に難くない。

そもそも洞窟内はスペランカー体質ではなくとも危険で溢れており、屈強な探検家でも気を抜けない場所として描写されている。

 


タイプは違うがどちらも美青年

良(わんぱっくコミックス)とジャック・アレン、直接対決のカードがあればいい勝負をするかもしれない。歳も近そうだし息も合いそう。

 

M.S.SPELUNKER

2014年2月7日配信開始 iOS/Android向けアプリ。

発売:ドワンゴモバイル
価格:500円

 

人気実況配信者集団『M.S.S Project』と、ご存知アクションゲーム『スペランカー』のコラボタイトル。

 

M.S.S Projectとは、「FB777」「KIKKUN-MK-II」「あろまほっと」「eoheoh」の4名によるゲーム実況配信者集団である。

4人組のゲーム実況配信者集団。実況だけでなくVOCALOIDを含む楽曲製作、料理動画、歌ってみた、演奏してみた等、多方面で活躍している。

――ニコニコ大百科『M.S.SProject』より一部引用

M.S.S Projectによる『みんなでスペランカー』(PS3,2009)の実況プレイが人気を博した縁で実現したコラボ。

ファミコン版スペランカーをベースに、キャラクターグラフィックが『M.S.S Project』のメンバーに置き換わっているほか、BGMも彼らのオリジナル楽曲をチップチューン調にアレンジしたものが使用されている。

 


『M.S.SPELUNKER』キャラ選択画面(iOS版)

ゲームとしては、ファミコン版がベースでありながら『キャラクターごとの性能差』が実装された記念すべき作品である。

キャラごとの性能差は、のちの『みんなでスペランカーZ』(PS4/PSVita,2015)で本編に実装されるのだが、本作はコラボ作品という外伝的な立場からか羽目を外したピーキーすぎる性能差が面白い。

 

耐落下

・ファミコン版と同じ

・FB777 3pt
・KIKKUN-MK-II 3pt
・あろまほっと 3pt
・eoheoh 3pt

重力は誰に対しても平等に働く。

 

耐久力

・KIKKUN-MK-IIは「基本無敵」 +2pt

・FB777 3pt
・KIKKUN-MK-II 5pt
・あろまほっと 3pt
・eoheoh 3pt

ゲームの根幹を揺るがす大胆すぎるキャラクター性能。コウモリの糞、幽霊、吹き出すガスなどでは死なない。

基本“無敵の理由は、落下死とエネルギー切れは防げないため。ゲームの根幹は揺るがせてもスペランカーの根幹は揺るがなかった。

 

攻撃力

・あろまほっとは「アイテム無限」 +1pt

・FB777 3pt
・KIKKUN-MK-II 3pt
・あろまほっと 4pt
・eoheoh 3pt

ダイナマイトフラッシュなどの消費アイテムが使い放題

しかし、攻撃力の評価としては精々「コウモリが倒し放題」にとどまるので、+1ptの加点とした。

 

機動力

・ファミコン版と同じ

・FB777 3pt
・KIKKUN-MK-II 3pt
・あろまほっと 3pt
・eoheoh 3pt

多分、実況者・音楽グループとしての彼らの方が機動力(フットワーク)がある。

 

持久力

・FB777は「エネルギーが減らない」 +2pt

・FB777 5pt
・KIKKUN-MK-II 3pt
・あろまほっと 3pt
・eoheoh 3pt

放置しようが幽霊を攻撃する銃を乱射しようが、一切エネルギーが減らない。KIKKUN-MK-IIの「基本無敵」に並ぶインパクト抜群のキャラクター性能。

 


当時のスコアボードのスクショ

エネルギー切れによる死がないので、湧き出る幽霊を倒すだけの無限スコア稼ぎが可能になる。その異界ジェノサイダーっぷりでランキング機能が完全にお飾りになった。

 

総評

FB777 17pt

KIKKUN-MK-II 17pt

AROMAHOT 16pt

EOHEOH 15pt

 

【テキストによるまとめ】

FB777(M.S.SPELUNKER)……17pt

KIKKUN-MK-II(M.S.SPELUNKER)……17pt

AROMAHOT(M.S.SPELUNKER)……16pt

EOHEOH(M.S.SPELUNKER)……15pt

実況者グループとのコラボというお祭りめいた作品だが、ファミコン版を実直に移植しつつ、キャラ性能でふざけ倒したスペランカー史でも貴重なタイトル。M.S.S Projectのチップチューンアレンジも非常にカッコいい。

古いアプリゆえ、現在(2023年時点)は遊べないのが本当に惜しまれる。

 

風の噂によると、M.S.S Projectの実況プレイの影響で「みんなでスペランカー」の売上が目に見えて伸びたらしい。

M.S.S Projectは2010年代のスペランカーのプロモーションに数々携わっていただいたので、スペランカーファンの一人として足を向けて眠れない。こんなところですが誠に感謝いたします。マジのマジ。

 

ところでお気づきだろうか。4人の中でeoheohの能力だけ全く触れられていない事実に。

eoheohの能力は「宝箱の場所がわかる」。

宝箱はM.S.SPELUNKER独自の収集要素で、通常は壁の中に隠されている(ダイナマイトで破壊して取得する)。しかし場所はランダムではないので、一度覚えればこの能力は無価値と化す。

 

M.S.SPELUNKER内で強さランキングを作るなら、

FB777(エネルギーが減らない)>KIKKUN-MK-II(基本無敵)>>>あろまほっと(アイテム無限)>>>越えられない壁>>>eoheoh(宝箱の場所がわかる)

だろうか。こういうデタラメな性能差を見ると、昔のバカゲーのようでほっこりしてしまう。

 

 

スペランカー(舞台版)

公演期間:2014年2月19日~23日

場所:上野ストアハウス

 


舞台『スペランカー』DVD(左)とパンフレット(右)

ファミコン版をバックグラウンドとしつつ、歌と踊り、コメディとシリアスを織り交ぜた舞台演劇。

なぜ主人公は脆いのか?」そして「なぜ脆いのに洞窟探検に訪れたのか?」に焦点を置き、奇想天外な人間ドラマが繰り広げられる。

 

本作では主人公のマーティン(演:鶴田亮介)を含め、登場人物のほとんどに『足腰が弱い』という設定があるが、別にちょっとしたケガで死ぬわけではない。

ただし、スペランカーがちょっとしたことでゲームオーバーになる理由や、幽霊が襲ってくる理由などが、全て洞窟の呪いによる異常性と設定付けられている。

よって、登場人物たちは足腰が弱い以外は一般的な人間のスペックを持っているのが特徴。一部、剣術使い雷使いなど人間離れした能力を持つ連中もいるが……

 

本作は足腰が弱い主人公のマーティンと、洞窟の呪いの影響を中心に評価してゆく。

 

耐落下 4pt

・段差で死ぬことはない +1pt
・段差で足をくじくことはある

 

段差で死ぬことはない。だが『段差で足をくじくと急にやる気が削がれて帰りたくなる呪い』が洞窟にかけられているらしい。

どうやら、この呪いがビデオゲームというフィルターを通すと『段差でゲームオーバーになって最初からやり直しになる』という設定と化すようだ。

なお、段差程度で足をくじく足腰の弱さは、呪いと関係ない生来の物。

 

段差そのもので死ぬことはないが、それで足を怪我するようなことがあれば、洞窟内で動けなくなる=死ぬ可能性があると劇中で語られている。スペランカーの脆弱性を擁護する意見として、古来からよく見られる言説である。

言うまでもないが、無事では済まない高度から落下すればもちろん命を落とすだろう。

 

耐久力 4pt

・生身の人間と同じ +1pt

「死んでも残機があれば生き返る」などという都合のいい設定は本作には無いので、主人公は劇中で死んでいない。

ただし、ここでも洞窟の呪いが牙をむく。

コウモリのフンを浴びただけでやる気が削がれて帰りたくなるらしい。

 

ギャグのような設定が続くが、呪いには呪いらしい一面もある。

万が一洞窟内で死亡すると洞窟に亡者として縛られてしまう。更に性質の悪いことに憎悪が増幅され、生者への復讐心に囚われる。これが幽霊がスペランカーを襲う理由である。

 

攻撃力 3pt

・フラッシュがある
・幽霊を攻撃できる銃(電気銃

 

フラッシュは原作ゲームのように残光があり、危険らしい。劇中では避けているので当たったらどうなるかは不明(おそらく”呪い”で帰りたくなると思われる)。

 

本作では幽霊を攻撃できる銃が『電気銃』と命名されている。洞窟内に特殊な電波が漂っていることで機能するらしい。おそらく洞窟内の超古代文明的遺物。

特にエネルギーなどのリスクなく発射できる優れもの。劇中で猛威を振るう幽霊への数少ない対抗手段である。

 

なお、例外的に剣使いが幽霊を攻撃できる刀『霊巌の太刀』を振るっている。もっとも、彼も幽霊に敗れ幽霊側に立つことになるのだが……

 

機動力 2pt

・ゲームキャラクターのようには動けない
・足腰が弱い -1pt

生身の人間が演者であるというメタ的な理由を差し引いても、劇中で人間離れしたアクションはしていない。繰り返すようだが例外も存在する。生身で時間を超越する人間とか。

 

持久力 4pt

・エネルギーゲージがない +2pt
・餓死し得る -1pt

ゲームではないのでエネルギーゲージが存在しない

だが、現実的に餓死の可能性が劇中で示唆されている。洞窟で身動きが取れなくなれば当然のことでもある。

 

総評 17pt

本作ではスペランカーをスペランカーたらしめる原因が『洞窟の呪い』のため、主人公のスペックはほぼ生身の人間に落ち着いた。

主人公のスペックが人間据え置きの反面、幽霊がスペック的にもストーリー的にも盛大に盛られている。

幽霊が呪いの直接的な被害者であり、物語の元凶。そして狂言回しとして大活躍するのだ。幽霊・アイザック(演:汐崎アイル)の方の怪演も光る。

 


舞台『スペランカー』パンフレット P1~2

ところで、かつてテキストサイト全盛と呼ばれた時代。様々なサイトでクソゲーをイジるノリが存在した。

スペランカーもその奇異な虚弱体質ぶりをたびたび取り上げられ「なぜこの程度のことで死んでしまうのか?」を面白おかしく勝手に理由づけて語られていたのだが、本作はそのテイストを彷彿とさせる骨子の組み立て方をしている。

ただし、かつてのテキストサイトのそれと大きく異なるのは、決してバカにしているわけではないということ。

面白い物語を成立させるため、基本的に大真面目に、時には狙った”はずし”をしている。原作への態度としても演劇としても、とても真摯な作りである。

僕はこういうコジツケや拡大解釈で肉付けする物語が大・大・大好きだし、スペランカーを題材にここまでしっかり舞台化してくださったことに未だに感激を覚えている。

 

舞台関係者様、見ていますか。あの時、舞台後のアンケートに『BGMアレンジも最高だったからサントラを出してくれえ!!!』と書いた者です。無茶を言ってごめんなさいね。本当に最高の舞台でした。今もDVD、たびたび見返してます。

ノシ ㌧クス ←劇中、結構なキーワードとして登場する2ch用語

 

 

みんなでスペランカーZ

PlayStation4版:2015年3月19日配信開始
PlayStation Vita版:2015年5月21日配信開始

開発:Tozai Games 販売:スクウェア・エニックス
価格:フリートゥプレイ(基本プレイ無料)

 

フリートゥプレイ(基本プレイ無料)の横スクロール型アクションゲーム。2020年7月30日サービス終了。

みんなでスペランカー』(PS3,2009)に続く、ファミコン版をベースにした正統続編。最大6人のオンラインマルチプレイ対応。

基本プレイ無料のアイテム課金制。プレイ自体に回数制限やスタミナ制限などはない。

 


※「ブラックスペランカー」と「スペラン子」の立ち絵は

続編『みんなでワイワイ!スペランカー』(2017)を参照しています

今作はプレイヤーキャラクターが「スペランカー」「スペラン子」「ブラックスペランカー」「スペラン子の姉」の4人に増えた。それぞれに若干の性能差が施されている。

 

装備アイテムによるキャラ強化が実装されたのが最大の特徴。「ヘッド」「ボディ」「アクセサリー」の3部位のほか、「ペット」を連れて洞窟探検を有利に進めることが可能になった。

キャラクター強化の効果はアビリティと呼ばれ、ガスや火柱などのトラップを複数回防ぐ耐性付与をはじめ、アイテムの初期所持数アップ移動速度アップポータブルファン強化ダイナマイト強化スコアアップなど様々。

装備アイテムの合成でアビリティを継承することも可能で、強化の幅は非常に広い

ただし、スペランカーの宿命か落下死だけはどうやっても防ぐことはできない。

 

本作は装備アイテムによって大幅な性能差が生じるので、装備の有無別に検証を行う。

なお、「スペランカー」「スペラン子」「ブラックスペランカー」「スペラン子の姉」のプレイヤーキャラクターの性能差は微々たるものなので、総評で副次的に付記する。

 

耐落下 3pt / 3pt

【装備関係なし】

・ファミコン版と同じ

装備の有無に関係なくファミコン版と同等。いかなる装備でも落下死は防げない。

 

耐久力 3pt / 5pt

【装備ナシ】 3pt

・ファミコン版と同じ

装備がない場合はファミコン版と同等。

 

【装備アリ】 5pt

・各種アビリティにより複数回耐えられる +2pt

装備がある場合、様々な耐性を付与できる。落下以外の致死性トラップはほぼすべて対応できると言っていい。

全てに対応できる万能装備があるというより、攻略ステージに合わせて事前に準備し、ケースバイケースで対応する形である。

 

攻撃力 3.5pt / 5pt

【装備ナシ】 3.5pt

・フラッシュ
・幽霊を攻撃できる銃(ポータブルファン
・ダイナマイト +0.5pt
・ポータブルファンの有効範囲が狭くなった -0.5pt
・ポータブルファンの使い勝手が良くなった +0.5pt

前作『みんなでスペランカー』に引き続き、ダイナマイトを武器として活用。

 


実際の手持ち扇風機を彷彿とさせる送風力

今作のポータブルファンは有効範囲が直線的に、かつ射程が短くなった

反面、使い勝手は改善。これまでは一度発射ボタンを押せば数秒発射し続けその場に硬直していたが、今作ではボタンを押している間だけ発射・エネルギー消費するモーメンタリ動作になった。

幽霊の仕様も変わり、今作ではランダムに襲ってこない。出現場所が固定されている。浮遊霊から地縛霊になった?

 

【装備アリ】 5pt

・各種アビリティにより幅広く強化できる +2pt

ダイナマイトなら初期所持数増加、爆風範囲アップ。ポータブルファンなら射程距離アップ、攻撃力アップなど。

爆風範囲アップとダイナマイト耐性のアビリティを積むと、さながらボンバーマンである。

 

機動力 4pt / 5pt

【装備ナシ】 4pt

・ロープからズレて落ちなくなった
・天井に頭をぶつけても垂直落下しなくなった
・水底を歩ける
・狭い場所を匍匐で通れる +1pt

 

『みんなでスペランカー』(PS3,2009)には『ロープアシスト』という選択式オプションがあった。

ロープに掴まっているとき左右に移動しても落下しないようにできる初心者救済システムだったのだが、今作ではこれが基本仕様になっている。

これによりロープ関連の動作でミスを起こしにくくなり、機動力の向上に一役買っている。

 


みんなでスペランカーZの天井付近動作の図

天井付近の動作も改善。これまでは天井に頭をぶつければ垂直落下で即ミスだったものが、今作では天井に頭をこすりつつ移動を継続する。これにより連続ロープジャンプの難易度が大幅に低下した。

横スクロールSTGに喩えるなら「地形に触れてミスになるorならない」くらいの差がある。大幅な仕様変更である。

 


狭所の匍匐、水中歩行、水中狭所の遊泳など

ステージの構成が豊かになり、水中狭い道を通るアクションが増えた。水中はどういうワケか泳がず水底を歩く

体力を消耗するのか、水中や狭い道ではエネルギーの消費量が増える

 

【装備アリ】 5pt

・各種アビリティにより移動力を強化できる +2pt

ロープジャンプ関連の基本仕様の変更に加え、装備で水中、匍匐、ツタ移動、ハシゴ移動などの移動スピードの強化が可能。

 

持久力 2pt / 4.5pt

【装備ナシ】 2pt

・エネルギーゲージ(約1m00s) -1pt

ファミコン版より50秒近く減少

ただし、今作ではエネルギー回復が取得アイテムからステージギミックのチェックポイントに変わり、触れるたび何度でも回復できるよう調整された。

 

【装備アリ】 4.5pt

・各種アビリティによりエネルギーゲージ総量を増やせる +1.5pt

エネルギーゲージアップ、エネルギー消費量減少、ポータブルファンエネルギー消費量減少など、エネルギー管理を向上させるアビリティも豊富

 

総評 15.5pt / 22.5pt

装備ナシ 15.5pt

装備アリ 22.5pt

【装備ナシ】では15.5ptとファミコン版とほぼ同等のスペックにとどまったが、【装備アリ】では22.5ptと大きく躍進した。なんといっても装備品で状況に応じてカスタマイズできるのが強い。

2020年にサービス終了を迎えるまで約5年。ロングラン運営に伴い順当な装備アイテムのインフレが続いたのも付記しておく。

 

ちなみに「スペランカー」「スペラン子」「ブラックスペランカー」「スペラン子の姉」の【装備ナシ】キャラクター性能は以下の通りである。

【スペランカー】

オールラウンダー。短所も長所もない。

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.5pt
機動力 4pt
持久力 2pt

総合 15.5pt

 

【スペラン子】

エネルギーの持ちが良い反面、攻撃力が低い。

・エネルギーゲージの減りが遅い 持久力+0.1pt
・水中の移動が速い 機動力+0.2pt
・匍匐のエネルギー消費量が多い 持久力-0.1pt
・ダイナマイトの爆風範囲が狭い 攻撃力-0.1pt
・ポータブルファンの射程が短い 攻撃力-0.1pt

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.3pt
機動力 4.2pt
持久力 2pt

総合 15.5pt

 

【ブラックスペランカー】

攻撃力が高い反面、エネルギーの持ちが悪い。

・匍匐の速度が速い 機動力+0.1pt
・ダイナマイトの爆風の範囲が大きい 攻撃力+0.1pt
・ポータブルファンの射程距離が長い 攻撃力+0.1pt
・爆弾とフラッシュの初期所持数が+1  攻撃力+0.1pt
・エネルギーゲージの減りが速い 持久力-0.1pt

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.8pt
機動力 4.1pt
持久力 1.9pt

総合 15.8pt

 

【スペラン子の姉】

機動力が高く、エネルギーの持ちが悪い。

・地上の移動速度が速い 機動力+0.1pt
・ツタやハシゴの移動速度が遅い 機動力+0.1pt
・装備できるアイテムが限られる(★2装備不可)
・エネルギーゲージの減りが速い 持久力-0.1pt

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.5pt
機動力 4.2pt
持久力 1.9pt

総合 15.6pt

 

【装備アリ】の場合、どのキャラクターでも高い水準で能力がほとんど平均化されるので割愛する。

 

 

みんなでワイワイ!スペランカー

2017年4月20日発売。Nintendo Switch用のアクションアドベンチャーゲーム。

開発:Tozai Games 販売:スクウェア・エニックス
価格:ダウンロード版/パッケージ版4,980円(税別)

 

 

前作『みんなでスペランカーZ』(2015)をベースに、Nintendo Switch向けにパワーアップ版として登場。

フリートゥプレイだった前作から変わり、今作は買い切り版で、ダウンロード販売のほかパッケージ版も登場。パッケージソフトとしては「スペランカーII 勇者への挑戦」(ファミコン,1987)から30年ぶりのNintendo凱旋である。

全体的に買い切りゲームとしての調整が施されており、装備アビリティの効果、強化もシンプルにまとめられている。

 


全体的なゲームの色も明るくなった

「スペランカー」「スペラン子」「ブラックスペランカー」「スペラン子の姉」のキャラクター性能差も更に微々たるものに再調整。

 

また、みんなでスペランカーZサービス開始の2年後に発売されたタイトルなので、みんなでスペランカーZがアップデートで装備を多数実装する一方、ゲームバランスが一定だった。

つまり、みんなでスペランカーZに比べてアビリティの強化幅が狭い。それでもなお強力なモノ揃いではある。

 

耐落下 3pt / 3pt

【装備関係なし】 3pt

・ファミコン版、及びみんなでスペランカーZと同じ

 

耐久力 3pt / 4.5pt

【装備ナシ】 3pt

・ファミコン版、及びみんなでスペランカーZと同じ

 

【装備アリ】 4.5pt

・各種アビリティにより複数回耐えられる +1.5pt
・みんなでスペランカーZより装備が少ない
・アビリティ強化の「継承」がない

前作より幾ばくか落ち着いた強化幅。

 

攻撃力 3.5pt / 4.5pt

【装備ナシ】 3.5pt

・フラッシュ
・幽霊を攻撃できる銃(ポータブルファン
・ダイナマイト +0.5pt
・ポータブルファンの有効範囲が狭くなった -0.5pt
・ポータブルファンの使い勝手が良くなった +0.5pt

みんなでスペランカーZと同等。

 

【装備アリ】 4.5pt

・各種アビリティにより幅広く強化できる +1.5pt
・みんなでスペランカーZより装備が少ない
・アビリティ強化の「継承」がない

やはり、こちらも前作より幾ばくか強化幅が落ち着いている。

 

機動力 4pt / 4.5pt

【装備ナシ】 4pt

・ロープからズレて落ちなくなった
・天井に頭をぶつけても垂直落下しなくなった
・水底を歩ける
・狭い場所を匍匐で通れる +1pt

みんなでスペランカーZと同等。

 

【装備アリ】 4.5pt

・各種アビリティにより移動力を強化できる +1.5pt
・みんなでスペランカーZより装備が少ない
・アビリティ強化の「継承」がない

こちらも前作からは多少落ち着く。

 

持久力 2pt / 4.5pt

【装備ナシ】 2pt

・エネルギーゲージ(約1m00s) -1pt

ファミコン版より50秒近く減少。みんなでスペランカーZと同等。

細かな点では、キャラクター別の持久力の差が無くなった

 

【装備アリ】 4.5pt

・各種アビリティによりエネルギーゲージ総量を増やせる +1.5pt
・みんなでスペランカーZより装備が少ない
・アビリティ強化の「継承」がない

こちらも前作より強化幅が落ち着いた……と思われるが、今作でもエネルギーゲージ強化は強め。

装備の組み合わせ次第では約4分とMSX版スペランカー並にエネルギーの持ちが良い性能に仕上げられる。

 

総評 15.5pt / 20.5pt

装備ナシ 15.5pt

装備アリ 20.5pt

【装備ナシ】のスコアはベースの『みんなでスペランカーZ』と変わらず。装備アリはアビリティ強化の天井によってややスコアを落とす結果になった。

本作はいわば、みんなでスペランカーZのバランス調整版のようなものなので、非常に遊びやすい仕上がりになっている。ダウンロード版がたまにセールで安売りされることもあるのでスペランカー初心者にもオススメだ。Buy now!

 

ちなみに、前作より抑えめになったキャラクター性能差は以下の通り。

【スペランカー】

オールラウンダー。短所も長所もない。みんなでスペランカーZと同じ。

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.5pt
機動力 4pt
持久力 2pt

総合 15.5pt

 

【スペラン子】

泳ぎが速い。匍匐でエネルギーを多く消費。

・水中の移動が速い 機動力+0.1pt
・匍匐のエネルギー消費量が多い 持久力-0.1pt

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.5pt
機動力 4.1pt
持久力 1.9pt

総合 15.5pt

 

【ブラックスペランカー】

銃の範囲が広い。泳ぎでエネルギーを多く消費。

・ポータブルファンの射程距離が長い 攻撃力+0.1pt
・泳ぎのエネルギー消費量が多い 持久力-0.1pt

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.6pt
機動力 4pt
持久力 1.9pt

総合 15.5pt

 

【スペラン子の姉】

足がちょっと速い。

・地上の移動速度が速い 機動力+0.1pt
・ゴールド・レインボーアイテムしか装備できない

耐落下 3pt
耐久力 3pt
攻撃力 3.5pt
機動力 4.1pt
持久力 2pt

総合 15.6pt

 

【装備アリ】の場合、やはりどのキャラクターでも能力がほとんど平均化されるので割愛する。

 

 

元祖みんなでスペランカー

2021年7月15日発売。Nintendo Switch/PlayStation4用ソフト。
開発・販売:Tozai Games

価格:
ダウンロード版:2,400円 パッケージ版:3,000円
パッケージ特装版:6,800円
(いずれも税別)

 

 

みんなでスペランカー』(PS3,2009)のリメイク作。

リニューアルモードのグラフィックがフル3Dに一新されているほか、ランダム生成強制スクロールの『無限洞窟NEO』など、新ゲームモードを搭載。

リメイク前ではDLCだったチャンピオンシップモードも標準搭載されており、浴びるほどスペランカーを遊べる。

 

耐落下 3pt

ファミコン版と同等。

 

耐久力 3pt

ファミコン版と同等。

 

攻撃力 3.5pt

・フラッシュ
・幽霊を攻撃できる銃(ポータブルファン
・ダイナマイト +0.5pt

みんなでスペランカー(2009)と同等の仕様。

 

機動力 3.5pt

・ロープアシストが基本仕様になった +0.5pt

リメイク前では選択式オプションだったロープアシストが基本仕様になり、ロープジャンプがしやすくなった。

 

ただし、天井に頭をぶつけると落下するのはファミコン版と同等のまま。ゆめゆめ忘れなきよう。

 

持久力 3pt

・エネルギーゲージがある(1m35s)

リメイク前と同等。

 

総評 16pt

基本的には『みんなでスペランカー』(2009)と同等だが、ロープアシストがデフォルト機能になったことで機動力に0.5ptの向上がみられた。

 

ロープアシスト天井の可不可はややこしいので、ここであらためて情報をまとめておこう。

・『みんなでスペランカー』(2009)はロープアシストが選択式天井に頭をぶつけるとアウト

・『みんなでスペランカーZ』(2015)および『みんなでワイワイ!スペランカー』(2017)はロープアシストがデフォ天井に頭をぶつけてもセーフ

・『元祖みんなでスペランカー』(2021)はロープアシストがデフォ天井に頭をぶつけるとアウト

僕がスペランカー学の先生なら間違いなく出題するポイントなので、各自しっかり覚えておくように。

 

2023年現在、この『元祖みんなでスペランカー』が操作感の面でファミコン版に最も近く、最も遊びやすいタイトルとなっている。みんなもぜひ遊ぼう! Buy Now!

 

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