【おまけ】買った本を読んでみた

『ハエトリグモハンドブック』

 

恐山少し前に顕微鏡を買いました。室内によく出るちっちゃくてピョンピョン跳ねるクモを捕まえて観察してみたところ、小さいながらに足にフサフサの毛が生えていたり、口がモゴモゴしたりしていて意外に面白い。そんなハエトリグモを全国から収集した図鑑がこちらです。どうやら私の家によく出るのはハエトリグモ界ではもっともポピュラーな「アダンソンハエトリ」であることがわかりました。それだけでなく膨大な種類のハエトリグモが掲載されていて、写真も美しく、著者の情熱と根気に気圧されます。端っこに実物大の写真が添付されていてイメージがつかみやすくなっていたり、水防カバー付きだからフィールドワークしやすかったりと、実感に即した気遣いが嬉しい。

しかも巻末には「見つけたけれども名前が不明なクモ」が大量に掲載。ハエトリグモ界隈、実はまだ見ぬ新種がたくさんいるらしい……。こんなに小さくて精密な生き物(しかも新種多数)がそこらへんをチョロチョロしてるなんて、ポケモンの新作が無料で遊べるようなものですよ。以来、そこらへんのクモを欠かさずチェックするようになりました。今のところ全部アダンソンハエトリです。

 

『全図解アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル』

神田手錠をかけられたときどう外すか、自動車のトランクに閉じ込められたときにどう脱出するか。そんなサバイバルな状況に身を置くことはあり得ないけど、もしそうなったら? 絶体絶命のピンチが来たら?もし来たら困るから知りたい。

この本には特殊部隊の作戦を参考に編み出された極限的な状況を切り抜けるための実用的なスキルが載っている。敵に囲まれたときに検問所を強行突破する方法まで。私はついこういう本を手に取ってしまう。絶対に(ホントか?)使わないんだけど知らないよりは知っといたほうがいいからだ。他にも食べられる雑草を見分ける本とかロープの結び方の本とかを好んで読む。知っといたほうがいいなと本を読むけど内容はすぐ忘れるし、事実それらのノウハウを使ったことは一度もない。

じゃあなぜこういう本を読むのか。本棚にあると万が一のときに役立つと思っているからだろう。う〜ん、なんだか自分の実用主義的な浅ましさがにじみ出ている。本棚を見て、私は危機的状況でも生き延びられるはず、と毎日ぼんやりと生活している。

 

『あなたのセックスが楽しくないのは資本主義のせいかもしれない』

原宿セックスの話ばっかりかと思いきや、全然そんなこともない! むしろセックスの話、少ない!

「資本主義の世の中って、人間(本書では特に女性)のこういう部分が犠牲になりがちよな……」という誰もが薄々気がついている(しかし、あえて口には出さなかったりする)世の中の困ったところがおさらいできるようで、社会の矛盾を認知をする上でめちゃくちゃいい本だと思いました!

これ考え出すともはや事はジェンダーの問題に収まらず、「“いいね”が存在しないSNSは何故いけないのか?」とか、とかく物事に優劣をつけて数字を追ってしまう人間の性質から疑わないといけないような気がして、頭が割れそうになってきます。数字を使わないと商売も成り立たないのだけれど、「数字のことを考えた時点で、システムに取り込まれてお終い」って感覚もある。数字が人間を豊かにしているけど、数字から自由にならないと、やりたいこともできないのではないか……。

どうしたらいいんだ! みんなで考えてくれ!

 

お知らせ2:岡田悠の本が出ました

岡田の新刊が発売開始しました!

『1歳の君とバナナへ』(岡田悠著・小学館)
今、家族をつくること。その不安と痛みの、先にある希望とは。新時代のニューノーマル・育児エッセイ。

一年間の育休をとり、子どもと過ごした日々を描いたエッセイです。
今回の記事内で編集長が「一番近い人に向けて書いてる本っていうのは、良いね…」と言っていましたが、この本も全文が子どもへの手紙形式となっています。

こちらもよければぜひ!

 

 

続編