「〜♪」

 

 

「あ、おはようございまーす!」

「あらおはよう。こんなに朝早くからゴミ拾い? 若いのに感心ね」

「いえいえ、自分が住んでいる街をきれいにするのは当然のことですから!」

 

 

「こないだはレポート手伝ってくれてありがとな! おかげで教授にも褒められちゃったよ」

「いや、あれは君の実力だって。僕は何もしてないよ」

「またまた〜。あ、そういえば今度の留学説明会、参加する?」

「うーん、サークルとの都合が合えばね」

「そっか。あ、そういえばこの前さ……」

「え、なになに?」

 

 

 

拝啓 お父さん、お母さん

 

すっかり冬めいてきましたが、お元気ですか?

僕もようやく、都会での生活に慣れてきました。こっちでの暮らしは少しせわしないけど、毎日がすごく充実しています。

 

 

独り立ちして初めて実感したけど、世の中は思い通りになることばかりではないですね。せっかく積み上げたものが台無しになってしまうようなこともたくさんあります。たとえば、2日間かけて作ったシチューが冷めていくのを眺めることしかできない、とか。

でも、台無しになってもそこで終わりじゃない。むしろ、台無しになって失望するからこそ、新しい希望を持つことができるのだとわかってきました。「なんだ、今さら気付いたのか」と言われてしまうかもしれないけど。

 

 

あ、そうそう。実は最近、Webライターの仕事を始めたんだ。まだまだ駆け出しだけど、少しずつ僕の記事を読んでくれる人も増えてきて、楽しくやってるよ。「オモコロ」っていうサイトなんだけど、知ってるかな。金色のモアイが目印の、愉快で楽しいウェブサイト。やっと見つけた、僕だけの居場所。