バーガーキングのフィッシュバーガー
俺は今日バーガーキングのフィッシュバーガーを食べようと思う。今まで一度も食べたことがないし、明日以降も二度と食べない気がする。
いや、フィッシュバーガー自体はさすがに食べたことあるんです。マックのフィレオフィッシュやモスのフィッシュバーガーなど、さすがに食べたことある。
でも、バーガーキングはない。
だって、僕の中ではバーガーキングはビーフのハンバーガーを食う場所だから。僕はバーガーキングの看板商品であるワッパーを心から愛している。
「バーガーキングに来たってことはつまりそういうことだよね?」って脳みそが勝手に期待してしまう。これはもうほとんど刷り込みに近い。
もし仮に「バーキン行こうぜ」と友達に誘われて、誘った張本人がフィッシュバーガーを頼んでいたら、「どういう意味?」と聞いてしまうと思う。それくらい自分の中では「ない選択肢」だ。
あと、なんとなくだけど、バーガーキングのフィッシュバーガーって揚げ過ぎている気がする。タルタルもめっちゃ濃そう。いや、よそう、これはただの偏見だ。
ピックアップ注文(モバイルオーダーみたいなやつ)で注文しておいた店舗に向かう。いつもはあんなにキラキラ輝いて見えるお店なのに、今日は鈍く濁って見える。フィッシュバーガーを食いに来たからだ。
「店内飲食」にしておいたのだが、なぜか「持ち帰り」になっていた。これは「我ぁの軒先でそんなフィッシュみてえなもん食うなや」という店側からのメッセージかもしれない。
気になるお値段だがセットで550円。クーポンを使ったので90円引きの値段だ。もちろん、これは充分にすごい割引率だと思う。
だが、ビーフ系のバーガーのクーポンだと200円引きを超えるものとかもザラにあって、そこらへんの狂い方もバーガーキングの魅力だと勝手に思っている自分としては、少し元気がないように映る。
フィッシュバーガーの値引き率は、「魚屋ちゃうねんから」というバーガーキングの静かな意思表示のようにも思えてしまう。
ひょっとして、バーガーキング自体もフィッシュバーガーを作ることにノってないのではないだろうか?作らされてる? 誰かにフィッシュバーガーを作らされている? だとしたら俺は悲しい。
いや、ダメだダメだ。食べる前からこんな悲観的な気持ちになっていては。俺はもっとフラットな気持ちでフィッシュバーガーを食べるのだ。
本邦初公開!!! これがバーガーキングのフィッシュバーガーだ!!!
(ちなみにFISHとはポーカー用語で「負け組のカモ」を意味する)
包装を開けるべく裏側を向けると、バーガーキングのロゴが刻印されていた。やめてくれ。そのロゴを見ると俺はワッパーを食えると思ってしまうんだ。
こんな仕打ちってあんまりじゃないか。ようやく断ち切れたと思ったのに、まだ俺の心を揺さぶり足りないのか。
なんか、失神してベロが出てるみたいだな。
いただきます。
あっ
うめっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
めちゃ美味いじゃん!!!!! これ美味いですよ!!! みなさん!!!! フィッシュも柔らかい!!! 全然揚げ過ぎてない!!! 誰だ、そんな失礼なこと言ったのは!!!
俺の偏見ごとホロホロと崩れていくような柔らかな口当たり。なんてステレオタイプな人間だったんだ、俺は。過去の体験や印象に縋って自縄自縛になっていただけじゃないか。
ダイバーシティってバーガーキングのフィッシュバーガーのことだ。
これからの社会は多様性が重要になる。多様性を「認める」なんていう上からの舐めた態度じゃいけない。自分から「歩み寄り」、そして「理解」しなければいけない。
それをバーガーキングのフィッシュバーガーは教えてくれたのだ。
ただ、タルタルが濃そうという予想はちょっと当たってた。
他のフィッシュバーガーと比べると若干攻撃的な味かもしれない。ただ、まさにそういう点がバーガーキングであることを思い出させてくれて良い。
なんというか、正しく「バーガーキングのフィッシュバーガー」という気がする。ちゃんと食べ終わった後に、バーガーキングを食ったなぁという気持ちになれる。
バーガーキングのフィッシュバーガー、選択肢として充分にアリだ。
ただ、明日はワッパーを食べようと思う。
バーガーキングのプラントベースワッパー
バーガーキングには大豆から作ったパティ、つまり「豆腐バーガー」が売っていて、前々からどんな味なんだろう?と気になっていました。
いざ注文してみて、大豆には失礼ですが、やはり他のメニューがカロリー満点で魅力的すぎるので、「なぜ、大豆バーガーを頼んでしまったんだろう…」という自責の念を感じました。
「外食で豆腐ハンバーグを食べるか?」と言ったら絶対に頼まないので、一食損するんじゃないかという不安も感じます。
でも待ち時間は、だんだんと大豆バーガーを頼んだ自分が誇らしく感じてきました。地球に優しいことをしているという優越感。他の人間とは違うことをしている……みたいなゾクゾク感が気持ち良かったです。
見た目は普通のハンバーガーですね。
あっ!
これは思ったより美味しい!
野菜とマヨネーズが大豆パティとめちゃめちゃ合います。組み合わせ的にサンドイッチみたいな味なのかな?と思ったのですが、しっかりとハンバーガーでした。
ただこれは意外だったんですが、ポテトと全然合いません。大豆ミートは後味が全く無いので、じゃがいもとはマリアージュしないみたいです。
セットで頼むなら、ポテトではなくチキンナゲットにした方がいいかも。でもそうすると、大豆ミートにした意味が無くなっちゃいますね。
ミスドのソーセージエッグパイ
私は甘いものに目がないため、いつも塩気のものを蔑ろにしてしまう。
だからミスタードーナツに入っても、しょっぱい系のパイを選んだことがない。カウンターに並ぶ無数の甘くておいしいドーナツを前にして、塩気のことを考える余裕なんてないのだ。
同じカロリーを取るなら、糖分で脳内快楽物質がどっぱどっぱ出るような甘いドーナツを選びたい、これが正直な気持ちだ。
ただ、しょっぱい系のパイの前をカニ歩きで通り過ぎながら「あるな」と存在は認識していた。
ついに頼んだ。ミスドのソーセージエッグパイ。「あえて選んでみる」という試みじゃなければ、絶対にかなわなかった選択だろう。20年以上も存在が気にかかっていたので、思ったよりも晴れ晴れしい気持ちがする。
あと「元ミスド店員が教えるミスドをよりおいしく食べられる裏技」みたいな情報を集めるのが好きなので、今回初めてパイをオーブンで温めてもらうという裏技を試せてうれしかった。
手でちぎろうとしたところ、いきなり崩壊した。
予想以上にパイの層が繊細だ。間違ってくしゃみでもしようものなら砕け散って消えてまいそうな儚さ。
かじりつくと、サクサクのパイ生地が素早くほどけ、口の周りがパイだらけになった。
繊細ゆえにダイナミックな食べ方になってしまう食べ物だ。慎重にいきたい。
中のソーセージは少し厚めのハムといったほうが近い。タマゴの部分はスクランブルエッグのふわふわした感じに、時々ゆで卵のぷりっとした白身が出てきておもしろい。ぱっと見フィリングの量は控えめに思えたが、塩気とマヨネーズがきいた味つけでちょうど良いバランスになっている。
気がつくと夢中で食べていた。香ばしい小麦の香り、ジュワっと染み出すバター、しょっぱいハムと家では作れないふわふわのスクランブルエッグ。ホテルの朝食(洋食)だ。このパイには優雅なホテルの朝食が凝縮されている。
そうか、ミスドって朝ごはんを食べにいってもいい場所なのか。今まで無意識に甘いおやつが手に入る場所だと認識していた。
ミスド=ドーナツ=甘いおやつという固定観念がほぐされた気がする。食べてみてよかった。
ミスドのカルボナーラ
先日、編集長に突然「チェーン店で食べたことのないメニュー食べてきて」という指令を受け、断れば三親等まで皆殺しにされると直感した僕は、ミスタードーナツにやってきた。
普段はドーナツ欲が高まった時に利用するため、ドーナツしか注文しないが、今回僕がミスタードーナツで初めて注文するメニューは、
……だ。
ドーナツ専門店であるミスドだが、実は一部の店舗ではパスタをこっそり販売しているらしい。
この事実を知ったとき、僕は衝撃のあまり「あのミスドが……裏でパスタを…?」と、まるで清楚な委員長のエロい裏アカを見つけたオタクのような台詞を呟いてしまった。
……そんな事実を知ったからには味を確かめたいということで、パスタを取り扱うミスドの店舗にやってきた。
春の限定の『咲く抹茶ドーナツ』の看板が妖しく誘惑してくるが、ここは心を鬼にして無視。
店内に陳列された数々のドーナツ達にも、「初対面の人間にそんな穴ばかり見せるもんじゃない!」と、心の中の生活指導教員に説教をかましてもらい、僕はレジへと向かった。
そして、速やかに『こだわり卵のカルボナーラ』と『コーヒー』を注文して座席にて待機。
左の席には”何かにずっとキレてる老人”、右の席には”延々と小銭を積み上げては崩している老人”という好立地の座席で待つこと数分…。
ついにお待ちかねの、ミスドのパスタが運ばれてきた。
こちらがミスタードーナツの「こだわり卵のカルボナーラ」だ。
……とりあえず、味うんぬんの前にひとつ確認させてほしいことがある。
これ、ダブルチョコレートにかかってるやつじゃない?
(引用元:https://www.misterdonut.jp/m_menu/donut/dch04.html)
ダブルチョコレートの上の美味しいとこよね?
(引用元:https://www.misterdonut.jp/m_menu/donut/dch04.html)
だとしたら『『『こと』』』だぞ?
……想定外の角度から現れた不安材料に心停止するかと思ったが、一粒食べてみたところベーコンチップ的なものだったので安心した。
初めてのことには懐疑的になってしまうタチなので取り乱してしまったが、まさにこういったドキドキも、初注文ならではだろう。
というわけで、前置きが長くなったが食べてみることにする。
ミスドのフォーク(これも初めて見た)で麺を巻き取り、意を決して口の中に麺を押し込んだ。
「うめい」
店内に僕の中途半端なリアクションが響く。「うめっ!」と「うまい」の中間、まさに「うめい」の味だった。
卵とチーズの味がとても濃厚で、一口ごとにカルボナーラ欲が満たされていくのを感じる。そしてなによりベーコンが美味しい。
劇的に美味しい訳ではなく、”やや家庭的な本格派”という感じの味なので、まさに今の僕のようにささやかな非日常を味わいたい人にはうってつけかもしれない。
さて、完全に黙っていたが、実はカルボナーラと一緒に『海老ぷりワンタンスープ』も注文していたので、次はそちらも食べてみたいと思う。
カルボナーラだけでは腹具合的にドーナツへの未練が断ち切れないと判断し、追加でオーダーしたこちらも初注文のメニューだ。
容器が赤ちゃん用のお皿みたいでウケるが、こちらも食べてみたいと思う。
ズズッ……
完全に誤算だった。このワンタンスープ、世界一ウマい。
澄んだスープはスッキリとしつつも鶏ダシがしっかり効いており、そこに青ネギのアクセントが絶妙なバランスで活きている。
何よりこの海老ワンタンがプリップリすぎる。生物学上は死んでいるが”魂”はまだ生きている、そんな食感だ。
そんで本当にウマい。ウマすぎる。正直あと60杯は食える。世界が明日滅ぶなら海老ぷりワンタンスープの製造工場で静かに眠りたいとさえ思っている。
そしてあまりにも美味かったので本名を「海老ぷり ワンタン」に改名しようと思ったが、人格が大凶だったのでやめた。
……というわけで、ミスドのパスタを食べに行ったつもりが、完全にワンタンスープの虜になってしまった次第だ。
そして食べ終わったタイミングで、右隣の小銭を積み上げていた老人に「食ったなら帰れ」と言われたので帰宅した。
みなさんもミスタードーナツに行った際は、是非『海老ぷりワンタンスープ』があるかどうか探してみてほしい。
よく行くチェーン店という身近な場所であっても、新しい体験というのは面白い。
好奇心を満たした影響か、いつもより食事に満足感を覚える気もする。
日常に少し起伏の無さを感じた時は、頼んだことのないメニューにチャレンジするのも良いかもね!