汚部屋の片隅に・・・それは眠っていた。
10年前の工作。昔、ラジコンや電子工作にはまっていた頃に作ったもの。
部屋の整理中に出てきたゴミにしか見えないかもしれないこれらの工作物、今でも動くのだろうか?
どっち?
一号機 キャタピララジコン車
赤いボディがトレードマーク。回路をめちゃくちゃにつないでるうちに本来できないはずのツインモーター制御が可能になった。そういう経緯もあって思い入れがあり、本当に動いてほしい一台。
二号機 アーム付きキャタピララジコン車
ロボコンに出てきそうなアーム付きのキャタピラ車。動きが異様に遅かったり、アームが思い通りに動かなかったりで完成度は少し劣るのだが、動いてくれれば嬉しい。
三号機 歩行ロボット
ちょっと無理して作った歩行ロボット。当時からかなり重い動きだったので動かなさそうだけど動いてくれたら嬉しい。
四号機 アルミホイルトレーサー
アルミホイルの周囲を走行する簡単なロボット。走行中にリレーがカチカチ鳴る。一番シンプルな工作なので、さすがにこれは動くと思っている。
五号機 三輪ラジコン車
タミヤ製ラジコンのパーツを組み合わせて作った三輪車。高価なパーツを使っているのでぜひ動いてほしい。
一号機、二号機、三号機は市販のラジコン車を素材にして工作したもの。当時販売されていたエアロアールシーというトイラジコンを使っている。
このエアロアールシー、1000円以下で買うことができる激安のラジコンだった。なのでパーツと割り切ってラジコン工作のベースにしていたのだ。調べてみるとこのラジコンの発売日は2004年の12月。つまりこれらは十数年前の工作ということになるのだが、果たして今でも動作するのだろうか。
一号機を動かす
一号機の電源を入れてみよう。
電池を入れて、スイッチオン!
動け!
全然動かない!
どうした!?しっかりしてくれ!!!
こんなの嘘だ!!!!愛が、愛が足りないのか!!!
うごいてくれええええええええ!!!!
当然動くだろうと高をくくっていたのだが、10年の歳月は思ったより長かったようだ。
古い動画が残っていた。昔はこんなに元気に動いていたのに・・・
在りし日の姿。GIFの中だけでも元気に動き回ってくれ。
二号機を動かす
次は二号機の電源を入れてみる。
コントローラーに電池を入れようとしたらすでに入っていた!
電池が腐っている!
汚い!!!
※おもちゃを保存するときは電池を抜いておかないとこうなります。
すでに悪い予感しかしないけど、スイッチオン。
やっぱり、動かない!
なぜなんだ!!!力が、力が足りないのか!!もっと強く押せば動くのか!?
こんなはずでは・・・!!!!
このキャタピラ車、動画が残っていないのだが、当時はバックすると同時にアームが回転しキャタピラだけでは登ることが出来ない段差を登ることが出来た。
ダメだ、エアロアールシーを使った工作は全滅かもしれない。次は三号機!
三号機を動かす
三号機…よく見ると配線が途切れてしまっている。
電池ボックスの端子も紛失。
起動断念。
これは電池を入れる以前の問題。動く訳がない。この歩行ロボ、当時はぎこちなくも歩くことが出来たし、旋回することも出来たのに…。
このまま全滅してしまうのだろうか、次は四号機。さすがに動いてくれるよね!?
四号機を動かす
四号機はラジコンではなくライントレースカーのような工作。アルミホイルで作ったコースの回りを走ることができた。
電源を入れてみると・・・?
動いた!
車輪が片方しか動いていないけど、これは正しい挙動。前方の端子間に電流が流れたときにリレーが作動し、回路が切り替わって反対側の車輪が回転する仕組みになっている。
早速コースを作って走らせてみた。右と左の車輪が交互に回転し、コースをトレースする。
まともに動く工作があってよかった~!
五号機を動かす
次は五号機、これは結構大きくてパワーが有るマシン。
タミヤの大型ラジコンのギヤボックスを使っているので、走らせるとウィリーしたり、横転したりした記憶がある。
当時使っていたラジコン用のバッテリーはすべて劣化しているから使うことが出来ないはず、なので乾電池で動くようにして動作確認しようと思う。
ハンダゴテを握るの、何年ぶりだろう。
電池ボックスにラジコン用端子をハンダ付けする。
本体と接続しようとしたのだが・・・
同じ形じゃん!!!
コネクターがオス同士になってしまった。ハンダ付けする前によく確認しないから・・・。
メスのコネクターが必要なのだが、探してみると持っていないことが分かった。しょうがないので使えないバッテリーから奪ってくることにする。パチン。
ちょっと罪悪感があるけど、手に入れた端子を電池ボックスに接続する。
いざ試運転!
動いた!
乾電池だから遅いけど動いている。五号機は本格的なラジコンパーツを積んでいるだけあって10年の歳月を生き延びていた。せっかくなので次は五号機を広いところで動かしてみたいと思う。
広い所で動かす
ダメ元でラジコンバッテリーの中から比較的マシなものを充電してみると意外にも使えるレベルで充電できてしまった。ニカドバッテリーの耐久性に驚く。10年近く放置してたのに。
公園に持っていって走らせてみる。
ギュワン!
ギュイーン!
不安定でひっくり返るかもしれないという四輪車にはないスリルがあるので走らせていて楽しかったです。
動かない一号機を復活させる
動かないとなると、動かしたくなるのが人の性。一号機だけでもなんとか復活できないだろうか。エンジニアである父に相談してみた所、
「電子部品は壊れへんと思うから、接触不良みたいなしょーもない理由で動かへんのちゃうかなぁ…」
との助言を受けた。なるほど、そうなのかもしれない。なのでこの接点復活スプレーを気になる箇所に吹き付けてみようと思う。
まずは電池ボックス。ここがダメだと全てダメになる。
次に送信機のカバーを開け、金属板を固定しているフィルムを剥がしスイッチ部分に接点復活剤をスプレーする。
ボタンを押してみると、かすかに反応が…!?
動いた!
父の目利きと接点復活剤のおかげで一号機は復活しそうだ。
でも一号機にはまだ問題があった、駆動系がガリガリと音を立ててスムーズに回らないのだ。よく見てみると、モーターに取り付けるピニオンギヤが割れてしまっていた。
一見わからないが、ヒビが入っている。
代わりになりそうなギヤをガラクタの中から探してみたのだが、なぜか出てくるピニオンギヤは全て割れてしまっていた。モーターのシャフトに圧入されているギヤーは経年劣化で樹脂の弾力性が失われるとほぼ100%割れてしまうということらしい。
さて、劣化したピニオンギヤなのだが新品の入手は容易だった。ミニ四駆用のギヤーが使えるのだ。二度と割れないように金属製のピニオンギヤを購入した。メタリックでかっこいい。
父いわく「よう部品あったなぁ…」互換性があるって素晴らしい。
ハンマーで叩いて圧入する。コンコン。
これで一号機の駆動系はスムーズに回転するようになった。
一号機完全復活。
いっけ~!ギュイーーン!!!!※3倍速
自分の脳が子供のままな事に今、気が付きました。
五号機を完成させよう。
五号機にはちょっと思い残したことがあった。シャーシむき出しで、ボディが無いのだ。この際だから作ってしまおう。
モチーフはダイハツミゼット。シャーシに合うようにディフォルメして紙で作ろうと思う。
まずはシャーシを横と後ろから撮影。
3DCGソフトのBlenderに取り込み、これをガイドにしてスケッチを描いていく。
スケッチをもとにローポリゴンでモデリングする。サイズは全長40センチ。
アドオンを使い、モデルをペーパークラフトの形式で出力する。自動的にA4用紙に収まるように出力されるのだが、そのままだと無駄なスペースが多いのでInkscapeを使い手作業でパーツを並べ直した。
A4のケント紙7枚にプリントアウト。
ここからは手作業でパーツを切り出し、糊付けしていく。
インクを抜いたボールペンで折り目をつける。
集中力と根気がいる作業が続く・・・
組み立て完了!
いい感じで進んできている。このまま失敗せずに行きたいところ。
紙のままでは強度に不安が残るのでファイバー入りのアルミテープを内側に張って補強した。
アンテナを出すための穴、位置を間違えてしまったので1箇所余計に空いてしまった。しょーもない失敗でテンションが下がる。
ダンボールと両面テープでシャーシにボディマウントを作成。適当すぎるけど見えないところだから・・・。
ボディを乗せると・・・いい感じ!
スプレーで塗装。
シールを作成。切り出して貼り付けていく。
ペタペタ
幅1mmの極細テープでパネルラインを入れていく。
最後にライトのパーツを取り付けて・・・
シャーシにボディを乗せると・・・!
ミゼット完成!!!
うおおおおおおおお!
ギュギュギュ~!
やった~!
10年のブランクを経て無事5号機を完成させることが出来ました。全長40センチのサイズ感とユーモラスな表情。大満足です。
軽い動作確認のつもりで始めたことでしたが、いつの間にか童心に帰って作業に夢中になっていました。1号機が復活できて本当に良かった。アドバイスをくれた父親に感謝です。
自己紹介を忘れていたのですがこの記事、氷山がお送りしました。最後までお付き合いくださりありがとうございました。それではさようなら。