4作目

続いてのプレゼンターはライターのキショ松。

【図解解説】おち◯ぽで分かるクトゥルフ神話など、マジでどうかしてる記事ばかり量産しており、巷では「歩く閲覧注意」と呼ばれています。

エロについて並々ならぬこだわりを持つ彼が提案するエロ漫画とは…?

 

 

「まずこちらをごらんください」

「なんだこの図は」

「スケベのあるなしクイズ?」

 

 

「2次元のセックスといえば『よくしゃべる』という特徴があります。でもこれ、よく考えたら違和感がありますよね?」

「確かに実際のセックスではそんなにしゃべらないもんね」

「この違和感をクリアにして、なおかつエロさも保つ! そんなハイブリットな設定を考えました」

 

 

「スポ根です」

「スポーツもの??」

「例えば野球漫画ならボールを打つまでの一瞬でいろんなセリフが脳裏によぎるなんてよくある描写ですよね? セリフ過剰問題もスポ根という世界観なら違和感がなくなるんです」

「実はスポ根とエロは相性がいいってことか…」

「何よりスポ根は話がわかりやすい! 誰だっておちんちんが出てる間に難しい話なんて読みたくないでショ?」

 

 

「なかなか説得力ありますね」

「エロ×スポ根…ありっちゃありかもな〜」

『エロ漫画は本来スポ根であるべきだ』という仮説のもと、今回私が提案するシチュエーションは…」

 

 

 

 

「セックスじゃんけんです」

「スポーツどこ行ったんだよ」

「本来じゃんけんとは運の勝負。そこにエロテクニックの要素を入れたのがセックスじゃんけんです」

「本当に何を言ってるんですか?」

 

 

「チョキなら手マン、グーなら手コキ、パーなら愛撫。あらゆる手を駆使した前戯戦を制し、相手をイかせたら勝ちというルールなんです」

「やばいセミナーが始まった」

「取り返しのつかないサークル勧誘に巻き込まれた気分だ」

 

 

「つまり2連続チョキなどは手が狭いということですね」

「まさに! おっしゃる通りです!」

「もうどっぷりハマった奴が出てしまった」

「ただし戦略としてあえて連続で同じ手を出すのもアリでしょう」

「ちんこ出してるときに戦略性とか考えたくないのでは…?」

 

 

「物語の舞台は決勝戦! 対戦カードは日本代表vs北欧代表! 手に汗とおちんちんを握るアツい戦いの火蓋が切られようとしています!」

「こんなもんで世界大会を催すな」

「北欧ってまたざっくりしたくくりですね」

 

 

「あ、具体的な国名を出したら怒られると思って」

「この期に及んで、まだこの漫画を成立させようという気があるのか」

 

 

「北欧代表のチーム名は『完全無血女帝』セックスじゃんけんでは負け知らずの強豪女子です」

「なんで北欧のチームが和名なんだよ」

「実はこの完全無欠女帝は今まで一度もセックスをしたことがない…つまりバージンで結成されたチームなんです」

「セックスじゃんけんの選手が処女って無理ありすぎません?」

「セクじゃんが強すぎて、セックスまで持ち込ませたことがないんですよ。前戯で全てを片付けてきた性の猛者たちですからね」

 

 

「そんなチャンピオンに挑む日本チームは『団鬼69』こちらもまた前戯最強の男たちです」

「こっちは男チームなんだ」

「男女混合だったり肝心のじゃんけんのルールだったり…いろいろ設定のアラが目立ちますね」

「ルール自体はなんでもいいんですよ。要は、じゃんけんの手になぞらえてアツい前戯戦をするという…」

「何度聞いてもよくわからない」

 

 

「つまり、セックスじゃんけんは3すくみとは限らないということですね」

「この人はなんでこんなにハマってるんだ」

「セミナー勧誘を円滑にするサクラ?」

「あと、これだけは言っておかないといけないんですが…」

 

 

「セックスじゃんけんは『最初はグー』ではなく『最初はクパァ』で始まります」

「絶対言う必要なかった」

 

 

「ふひひ」

「急に笑うな」

「怖っ」

 

 

スポ根ものという角度からゲーム性のあるエロ漫画を提案したキショ松!

果たして紙魚丸先生の講評は?

 

『おちんちんが出てる間に難しい話は読みたくない』
紙に書いて壁に貼っておきたい言葉です。

ずっと男女の性交の話ばかり描いていると、何か変わった話や凝った話を描きたくなりがちなんですよね。漫画家によっては叙述トリックとか持ち出したり。

しかし、読者のことを想えば無暗に凝った話は独りよがりになりかねない。キショ松さんの真心を感じます。

 

ただ…じゃんけん…?

 

処女だけに「完全無”血”」というチーム名なのはとても好きなセンスです。いつも前戯で勝ってしまうためにセックスには弱い…なんてこともありそうですね。この逆転劇はめちゃくちゃアツいかも。

あ、でも『セックスまで持ち込ませない』と言ってるからセックスじゃんけんに本番はないのか…? いや…あくまで持ち込ませないだけで長丁場になるとセックスもあり…? すみません。ルールがよくわからなくて…。じゃんけん必要ですかこれ?

 

ストーリーが面白くなりすぎるとおちんちんも頑張りづらくなるという印象があります。僕も、エロ漫画での荒唐無稽な設定は好きなんですが、キショ松さんの設定は面白くなりすぎてしまう気がします。

もう一度聞きますけど、じゃんけん必要ですか?

 

キショ松の性癖はプロにも理解できなかったようです。

それではいよいよ最後のプレゼンにまいりましょう!

 

 

5作目

最後のプレゼンターは「AVよりも断然エロ漫画派」を公言するかまど!

一番好きなエロ描写は「時間の進んだ時計が描かれたコマを細かくカットインして、長時間夢中でセックスしていることを表現するやつ」だそうです。よくわかりませんが、多分そういうのがあるんでしょう。

 

 

「皆さんはエロをフィクションと考えすぎではありませんか?」

「こっちの価値観を揺さぶるところから始まったぞ」

「私は、エロ漫画においては「自分たちの身にも起こるかも…」というリアリティが何よりの興奮材料だと考えます」

「確かに我々のエロ漫画は非現実的に寄りすぎていたかもしれませんね」

 

 

「セックス描写を極めているはずのAVより、普通の映画の中で始まるセックスの方が興奮する…そういうことってありますよね?」

「あ〜それはたしかにあるな〜」

「エロ漫画で言えば、セックスまでのタメ! 焦らし! 日常パートが長ければ長いほど、いざセックスに突入した時にその落差の分だけ興奮できるんです!!」

「溜めたザーメンの方が飛びやすいのと理屈は同じですね」

 

 

「さて…それでは皆さんを最高のエロ漫画の世界にお連れしましょう

「このイタリア人講師、よくしゃべるな」

「スケベの駅前留学?」

 

 

主人公は遠距離恋愛中のカップル。今日は久々のデートで、2人が会うのは実に数ヶ月ぶりです」

「ごく日常的な設定ですね」

「エロ漫画というより恋愛漫画みたいだ」

 

 

「駅で合流してそのままデートするんですが、男の子は早くイチャイチャしたくてたまらないわけです

「数ヶ月ぶりだしそりゃそうよね」

「ところが、彼女も同じ気持ちかどうかはわからない。女性の方はつかみどころがないというか何を考えているかわからないキャラなんですよ」

「なるほど…そう簡単にエロパートにはいかない、と」

「彼は「ひょっとしてこの後セックス…なんて考えてるのは自分だけかも?」と悶々としたままデートを進めます」

 

 

「エロまでが遠いな〜」

「彼女が乗り気じゃないなら最悪セックスはお預けなんてことも?」

「おやおや…?」

 

 

「彼女が乗り気じゃないなんて一言も言ってませんが??」

「いい笑顔で煽られた」

「実は悶々としているのは彼女も同じなんです

「あ、なるほど!」

「内心では彼女だって早く彼と愛し合いたい。ただ、素直になれなくて『早く家に行こ』と言い出せずにいるだけなんですね」

「おおぉ…」

「つまり2人はお互いに口には出さないものの、内心こう思っているんです」

 

 

「家に着いたら私たちは…」

 

 

数ヶ月分のセックスをするんだってね!!!!!」

 

 

息を飲む一同

「ゴクリ…」

「ふむ…」

「続けてください」

 

 

「デートのシーンではエッチを意識しあう2人のむずかゆい会話で焦らしに焦らします」

 

♂「そういえば今日、夕方に荷物が届くんだった」
♀「そうなんだ」
♂「その後からじゃないと邪魔が入っちゃうな…」
♀「……その後って?」
♂「あ! いや…なんでもない…///」

「とかね!」

「あぁ〜いいですねぇ〜」

 

 

♂「途中で薬局に寄ってもいい?」
♀「いや…寄らなくていいと思う」
♂「え…でも…」
♀「だって…もう買ってきた…から
♂「……そっか///」

「とかね〜〜〜〜〜!!!」

「楽しそうにプレゼンするなあ」

 

 

次第に会話も少なくなり…

 

どちらから言うでもなく
デートを切り上げ家に向かう2人…

 

何かに急かされるように
自然と早歩きになり…

 

気づけばそこは
彼の家の玄関…

 

 

ドアを閉めるやいなや
2人は…

 

 

2人は───

 

 

 

 

 

──っと、ここまで。以上が私のご提案になります」

「嗚呼!! そんな殺生な!!」

「わっふるわっふる」

「絶対に次のページをめくりたくなる導入ですね」

「ラストシーンは玄関の外で『呼び鈴鳴らしづらいな…』と困っている配達員のコマで終わる…」

 

 

 

「そんなエロ漫画があったら是非教えてください」

「趣旨が変わってる」

 

 

ホワイトボードを縦横無尽に使ってプレゼンを披露したかまど!

果たしてプロの心を揺さぶることができたのでしょうか?

 


プレゼンの熱量すごいな、君。

 

『そのエロが自分たちにも起こりうる』
その近さが大事という論はとてもよくわかります。

荒唐無稽な設定であっても、その中に一握りのリアリティがあればいいんです。(恋人という火鼠の衣よりも珍しい存在が果たして現実的かという点に関しては議論の余地を感じますが)

 

平静を装うものの悶々としているヒロインというのは大変よいと思います。なんなら手をつないだ瞬間に軽くイかせてしまうくらいでもいいかもしれません。

「荷物が届くから」の伏線がオチで効いてくるあたりもぬかりない。共同廊下に音が漏れてるって相当ですね。

 

日常パートを長くとる事で「エロにいくのかな? いかないのかな?」と揺さぶり続けるというのは、なかなか大胆な構成です。下手をするとそのまま漫画本をほっぽり投げられてしまう可能性もありますからね。

普通の作品の中に出てくるエロの方がむしろエロいという論はよくわかりますし、僕も大好きです。しかし、エロ漫画でそれをやるのは、エロコンテンツが無限にあふれるこの世界に埋もれてしまう危険性を孕んだ危ない綱渡りでもあります。

 

でも…渡り切りたいですねぇ…。

 

なかなかの高評価!

日常のセックスをテーマにするというストロングスタイルでしたが、熱のあるプレゼンでその魅力を余すところなく伝えきったようです!

 

いよいよ結果発表!

 

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