記事を書くのは大変だ。
長々と文をさ、写真をさ、構成をさ、そんなことしてる間に平成もジュッと音立てて終わる。
もうたくさんだ。時間がない、タバコを吸うので寿命も短い。
報われぬ苦労に身を削るよりも、たったひとつの言葉で読者を楽しませればそれこそビクトリーだ。
そこで今回、この世で一番面白い言葉を決める。
今後書く記事は、延々とそれを繰り返せばいいというわけだ。
というわけで以前、ツイッターでアンケートを取った。
https://twitter.com/drinkbar/status/1028249577919414272
ズバリ、あなたが本当に面白いと思うワードを教えてくれ。と
それから数ヶ月経過した。
アンケートに対し集まった回答はなんと356件。おびただしい数だ。
その節はお世話になりました。厚く御礼。
集まったワードを見ていると、気付かされることも多い。
まずはそれらについて解説も交えて、いくつか紹介させて頂く。
まず以下のワードを見てもらいたい。
毛むくじゃら
理由:古来の日本人が「毛がたくさん生えている様子」を「むくじゃら」という絶妙な音で表現しようとしたことがおかしくて半日笑い転げた事があります。
モヒート
理由:「も」に「ひ」が続く他に無いセンスに毎度やられます。 「モヒーヌ」とか「モヒーピ」だともっと面白いのにと思うと、少し残念です
一本糞
理由:言葉の意味はもちろん、声に出して読んだときの響きまで笑える。
クルトン
理由:発音がバカっぽい
ネプリーグ
理由:語感
これらに共通するのは「言葉の響きが面白い」ということ。
意味を知らなくても笑えるのは、原始の笑いかつ究極の笑い。
なにせ意味のある単語はそれ自体に「意味」というノイズが含まれている。
これを濾過して面白さだけ残れば素晴らしいのだが、なかなか難しい。
さて響き系のワードをさらに集めていくと、あることに気がつく。
ウーピーパイ
理由:パイが面白フレーズの真打であるおっぱいみたいで面白いウーピーはパイ以上に面白い
コッペパン
理由:音の響きがアホの塊だから
ウーピーゴールドバーグ
理由:人名に入ったピーの破壊力
パイナポー
理由:圧倒的トロピカル感
パンティ
理由:小さいイが面白い
パ行強い。
圧倒的パ行率。意味に関わらず破裂音は底抜けにまぬけというわけだ。
確かに取引先で渡された名刺に「パスタ」と大きく書かれてたらどうしようもない。
また別のパターンとしては、「言葉と意味のギャップ」がある。
レプリカ
理由:偽物のくせに響きがかっこいい
炊飯器
理由:音の弱々しさと、見た目のスマートさと、熱や重さの仰々しさと、炊きあがる米の優しさがちぐはぐだから
ユンボ
理由:可愛らしい語感と見た目のギャップ
墓標
理由:人が死んでるのに「ボヒョー!」はちょっと不謹慎でバカっぽいから
これらはどれも語感と意味の乖離が笑いを生み出している。
対極であればあるほど面白い傾向。しかり、生と死。強と弱。ビデとおしり。
今まで挙げたものを見て頂いたら分かる通り、今回は任意で「面白いと思った理由」についても書いてもらった。
その中で、理由を説明されて初めてその面白さに気づくワードが多々ある。
たとえば。
マミーポコパンツ
理由:語感として最高 「おむつ」でさえ笑えるのにこの商品名で来られたらこっちは敵わない
低公害車
理由:以前「低公害車」というステッカー(?)が貼られたバスを見たんですが、「自分のことを公害である」と認識しているバス面白くないですか?しかも「低い!偉い!」のノリなのがいいですね。「公害」という言葉にマイナスの意味しかないので「公害が『低』」であったとて言わない方がいいと思うんですよ。
低公害車には「なるほど」としなくてもいい納得をさせられてしまった。
そしてマミーポコパンツは個人的にツボに入ってしばらく呼吸が逆立った。
理由で勢い任せに攻められるとどうも弱い性である。よだれ出たし。
だが理由が面白いからと言って看過できないものもある。
東ティモール
理由:応援しているサッカークラブの助っ人東ティモール人がめちゃめちゃハズレだったから
バングラディシュ
理由:都市名なのにふざけすぎ
カンチェンジュンガ
理由:世界で3番目に高い山なのに変な名前だから
藤子・F・不二雄
理由:意味がよくわからなくていい。このペンネームで売れるのはすごい
生理
理由:周期ごとに外へ血が放出されるのが面白すぎるから
チュッパチャプス
理由:チュパチュパうるさいのに売れてるから
こいつらことごとく失礼だ。
面白いけども酷すぎる。こんな理不尽な逆接の使い方があったか。
全ての事象に抱くべきリスペクトという箍が外れたとき、そこにオモロが産まれるのかもしれない。
当然、356件も集まったのだからワードが重複することもある。
その中で最も多かったワード、それはズバリ。
きんたま
理由:字面の美しさだけでなく、口唇の動きもエグザイルのダンスのように良く動いて良い。 生きてきた中で他に面白い単語は幾度となく見かけてきたが、やはり最も長い期間で面白単語ランキングに入り続けるポテンシャルは今後の成長も期待できる。 接頭語や接尾語なんかをつけて味付けを変えてもとても面白い。 例 スーパーおきんたまZ
キンタマ
理由:キンタマはおもしろいから
金玉
理由:下ネタの中で1番「名前でウケ取ろうしている」感じがするから。金の玉ではないし。
きんたま
理由:きんたまだから。
きんたま
理由:金じゃないのに
そう、キンタマである。その数、漢字・ひらがな含めて計5件。
全体の割合だと1%、大体3クラスに1人がキンタマという計算になる。
確かに、響き、ギャップ、意味。どれを取っても素晴らしいワードといえよう。
丸みを帯びているので人を傷つけないというのも好印象だ。
興味深いことがひとつある。
回答には下ネタワードも当然多く集まったが、その大半がウンコ・チンコ・キンタマという小学生レベル。
ドギツい下ネタに関してほぼ皆無だったという点だ。
身近で汎用性の高い下ネタが好まれる傾向にあるらしい。
というわけで、以上の結果からこの世で最も面白いワードはキンタマに決定!!
……しない。
考えてほしい。
確かにアンケートの結果から見ればキンタマは圧倒的だ。
だがキンタマというものは男の体に二つ備わっている。通常より倍の数存在するわけだ。
するとキンタマは最初から、他のワードよりも多くのハンデを貰っていることに他ならないか?
これではとても公平とは言えない。
どのワードも同じ条件の中でなければ本当に面白いワードは決まらないのだ。
では、これらのワードからどうやって一番面白いものを決めるのか?
今回はそのために、あるゲームを用意した。
次ページからその模様をお送りする。