映画の感想を「よかった」「すごかった」「よくわからなかった」の3パターンで済ます男、宇内です。
僕は人に映画を勧める際、大ざっぱな一言コメントを述べるだけなのでイマイチ良さが伝わらず、結局あまり觀てもらえません。いつも歯がゆい思いをしています。
僕はAmazonのプライム会員なので「プライム・ビデオ」をたまに観ているのですが、思い返してみると、どの映画を観るかは「カスタマーレビュー」を読んで決めていることが多いと気付きました。
カスタマーレビューに“鑑賞欲”を刺激されてたのか……!
▲ カスタマーレビューの一例
そこで、こんな仮説を立てました。
「いいレビューが書ければ、いい感想を伝えられる」
そして、いい感想を伝えられれば、オススメした映画を観てもらえるだろう……という寸法です!
今回は、勧めた映画を人に観てもらうために「いいレビューとは何か」を考察してみます。そして自分なりの結論が出たら、Amazonで人生初のレビューを投稿します!
はたして、いいレビューは書けるのか……!?
※この記事はAmazonの話ばかり出てきますが、AmazonのPR記事ではございません!
まずは自由に書いてみよう
難しいことは考えずに、まず1本、試しにレビューしてみたい。なんの映画を観よう。
1日1本は「Amazonプライムビデオ」の映画を観ている母にオススメ映画を聞いてみたところ……
裏紙にまとめてくれた。親切。
左側に書いてある謎のマークは、胴体が四角になっているのが「男」マークで「男性にオススメ」、胴体が三角になっているのが「女」マークで「女性にオススメ」ってことらしい。親切。
このなかから、一番上に書いてあった『アルティメット』を観ることにした。
あらすじはコチラ。
パリ郊外の無法地帯バンリュー13。レイトは荒んだ町からドラッグを一掃すべく、地域を仕切るタハ一味に立ち向かっていた。しかし腐敗した警察にはめられ、妹をさらわれてしまう。6ヵ月後、政府の作った時限爆弾がタハによって盗まれバンリュー13地区に持ち込まれた。誤って作動してしまった時限装置のタイムリミットは24時間!エリート潜入捜査官ダミアンに爆弾解除の指令が下る。そして、レイトが地区の案内役として選ばれた―。
母の一言コメントは、「カッコいいアクションで、後味スッキリ!!」。男性にオススメの映画らしいが、はたして……。
▲ 部屋を暗くして観るタイプ
観終わったのでレビューします!
面白かったです。テンポのよいアクション映画で、84分と短いこともあり、あっという間に鑑賞終了。
主人公のレイトは、悪党のタハにさらわれてしまった妹を救出するために戦います。やはり「家族の絆」っていいもんですね。私には兄がいますが、兄は私が悪党に捕まってしまったら助けに来てくれるでしょうか? いいえ、きっと助けに来てはくれないでしょう。兄はそういう男なのです。
兄は私とFacebookでつながっていないにもかかわらず、たまに「いいね」をしてくるのが謎で仕方ありません。もう10年以上会っておらず、私から大事な連絡をしても無視を決め込むくせに、なぜ「いいね」だけしてくるのか。そして、なぜ兄は「やずや」のFacebookページに「いいね」をしているのか。健康に気を遣っているのでしょうか? 家族にも気を遣ってほしいものです。
気の向くままに書いてみたら、8割が兄への不満になってしまった……。こりゃ幸先が悪い……。
心を落ち着かせるために、一旦シャワーを浴びることにした。
レビューの手順を調べてみる
さっきのレビューは自信がないので、ひとまず置いときます。先に投稿の仕方を把握しておこう。
この「カスタマーレビューを書く」のボタンをクリックすると……
こんな画面が出てきた。なるほど、星から付けるのか。評価の仕方はこんな感じ!
★☆☆☆☆…全く気に入らない
★★☆☆☆…気に入らない
★★★☆☆…普通
★★★★☆…気に入った
★★★★★…とても気に入った
ここでふと疑問が湧く。
さっき観た『アルティメット』は、星いくつなのか?
漠然とでも「面白かった」と感じた以上、少なくとも星3つ(普通)より上だと思う。じゃあ、星4つ(気に入った)か? それとも星5つ(とても気に入った)か? いや、でもこれくらいの面白さの映画は、世の中に溢れているのかもしれない。だとすればここは星3つ(普通)にしておくのが無難なんじゃ……。
ムズカシーーーーーッ!!!!!
M-1グランプリの審査員あるあるに「トップバッターの採点に悩む」があるけど、そんな気分になった。トップバッターへの評価が、今後観る映画の評価に影響する。これは安易に決められない……。
星付けるのって、めちゃくちゃ難しくない?
心を落ち着かせるために、一旦シャワーを浴びることにした。
映画好きの友人に「星の付け方」を聞いてみよう
自分の評価基準を決める参考として、どうやって星を付けるのか友人に聞いてみることにした。
長濱くん
大学時代から自主制作映画の監督として活動。現在はピンク映画の脚本家として活躍中。暇さえあれば何度も観てしまう“ボンクラ映画”について語るポッドキャスト「ボンクラ映画館」のメンバー。以前、宇内が書いた記事「実写版エヴァンゲリオン」に、碇ゲンドウ役で渋々出演してもらったことがある。写真はその時のもの。
長濱くんは映画詳しいじゃないですか。映画詳しい人はレビュー書くの好きそうだなと思ったんですけど、Amazon とか Yahoo!映画 にレビューを投稿したことありますか?
いや、全くないですね。
ないのか……。じゃあ質問変えます。
長濱くんが何か映画を観ました。その映画を、5つ星で評価しなければなりません。星の数はどうやって決めますか?
それは難しい質問だなぁ……。結局は「直感」で決めることになりそうだけど、「1.スジ、2.ヌケ、3.ドウサ」は1つの評価基準として使えるかも。
1.スジ、2.ヌケ、3.ドウサ……「日本映画の父」と呼ばれた牧野省三が掲げる映画製作の三大原則。スジはシナリオ、ヌケは撮影・現像の技術、ドウサは俳優の演技のことをいう。
Wikipediaから引用
でも「ヌケがいい」なんて、カメラとか撮影の知識がないとよくわからないですよね。それに、いろんな映画と比較して「良し悪し」を決めることもありそうだから、映画に詳しくなくてインプットの少ない自分にはちょっと難しいかもしれない。
いや、比べなくていいんですよ。ほんとに直感で「いい映像だな」と思ったら1つ加点する、みたいな感じで。
なるほど。じゃあ、ただ映画のストーリーを追うだけじゃなくて、映像とか俳優の演技も意識して観たほうがいいですね。
「星5つの映画」はどうやって決まる?
ちなみに長濱くんの「星5つの映画」ってなんですか?
『タクシードライバー』ですね。
なんで『タクシードライバー』が星5つなんですか?
まず、主演のデ・ニーロが面白いからプラス1点。それと、俺は人がバンバン死ぬ映画が好きで、この映画は人が死ぬからプラス1点。あと、改造シーンがあるからプラス1点。銃を改造するシーンがテンション上がるんですよ。
人が死ぬからプラス1点って、独特すぎない?
あと、『タクシードライバー』は17歳のときに初めて観たんだけど、その頃の自分の気持ちとデ・ニーロの気持ちが完全にシンクロしたんですよ。これがプラス2点。
合計で5点ですね。「完全にシンクロ」って、どういうこと?
高2の終わりまで友だちがいなくて、しかも男子校で、ひねくれてたんですよ。自分以外は全員、バカかデブだと思ってて、「街を粛清したい」「手当たり次第に人を殺したい」そんなことばっかり考えてたから。
完全にヤバいヤツじゃん!
そんなときに『タクシードライバー』のデ・ニーロを観て、「これは俺だ」と。「俺の代わりに、デ・ニーロが殺してくれたぞ!」と。気持ちがシンクロしたんですよ。
じゃあ、長濱くんにとって「俳優が面白い」「人が死ぬ」「改造シーンがある」「気持ちがシンクロ」の4つが重要なポイントってことですね。
そうだね。ただ、人が死んだり気持ちがシンクロしたりしなくても、星5つ付ける映画もあります。『ロッキー3』とか。
まず、ロッキーが海辺でキャッキャしてて楽しそうだからプラス1点。ロッキーの対戦相手が黒人のモヒカンで、ミスター・Tっていう俳優なんだけど、その俳優がすごく好きだからプラス1点。それに、ラストシーンがキレイだからプラス1点。
さっきとポイントの付け方が全然違う!
うん。採点の仕方なんて作品ごとに違っていいと思いますよ。評論家じゃないんだから。「つまらなかったけど、いいところが1つあったら星2つ」とか、「何も期待せずに見たら、感動してしまったので星5つ」とか、自由に採点すればいいんじゃないですか。
なるほど。自分なりの尺度を持てってことですね。
「いい感想」と「悪い感想」
レビューは、星のほかに感想も書くじゃないですか。たまに「それ感想じゃなくて『あらすじ』書いてるだけじゃねぇか」みたいな人がいるけど、あれ意味ないですよね。
まぁ、あらすじは感想じゃないしね。
ストーリーばっかり書いてもしょうがないから、感想を伝えるときは、映画の説明は一言二言で十分だと思ってるんですけど。どう思いますか?
いいと思います。感想って結局、情熱的かどうかにかかってるんじゃないですかね。絶賛も酷評も「観てみたい」と思えたら、いい感想。で、観たいと思える文章からは、その人の熱意が伝わってくるもんだと思うんですよ。
なるほど。酷評を読んで「よし観よう」となれば、それが怖いもの見たさだったとしても、人を動かす力があるってことですもんね。
そう。いい感想は酷評されてる映画にこそ埋まっているのかもしれない。『ギャラクシー街道』とか『テラフォーマーズ』みたいに、酷評されてる映画の感想をあさってみたらいいんじゃない?
それいいかも! 映画じゃないけど、村上春樹の小説を酷評した長文のカスタマーレビューが一時期話題になってたなぁ。あれも「逆に読んでみたくなった」なんて声がチラホラありましたね。
でも、情熱は大事だけど、情熱のベクトルを間違えてるやつはダメですね。食べログでも、たまにポエム書いてる人がいるでしょ。
▲ 食べログのポエム
自分が気持ちよくなってるだけの感想はダメだよね。あと、星1つで「本当は星0ですが…」って書くヤツとか、一人称が小生のヤツとか。嫌だなぁ……。
そういう「自分にとって鼻につく感想」を反面教師にするといいかもしれないですね。めちゃくちゃ参考になりました。ありがとう!
長濱くんの意見をまとめると、こんな感じ。なんだか「いいレビュー」が書けそうな気がしてきたぞ……!
ウキウキしてきたので、一旦シャワーを浴びることにした。
自分なりの「レビュールール」を決めよう
その後、映画を観たり批評のポイントを調べたりして、いろいろ考えた末にマイルールが完成!
【補足】
3. 批評ではなく感想でいい……批評は評価基準が客観的で、感想は主観的みたいな考え方があるようで、「客観的は難しい!」と感じたので「感想でOK」としました。レビューを訳すと「批評」だけど。
4. 自分の経験と絡めて書く……長濱くんが「17歳の頃は街を粛清したいと思っていた」と言ったように、自分の経験を絡めて話すと面白いと感じたから。
5. 星4つ以下の映画はレビューを書かない……星1〜3つのものを人に勧めることはないから。星1つはとくに「人を魅了する酷評」という芸当が要求され、それは付け焼き刃ではできないと判断。
あと、僕の場合は、下記のポイントを3つクリアしていれば「星5つ」になる。
今後映画を観ていくなかで、この4つ以外にもいろいろ出てくると思うけど、とりあえず現段階ではこんな感じで!
ちなみに、冒頭で鑑賞した『アルティメット』は、印象的なアクションシーンがあったのでプラス1点だけど、それ以外のポイントはクリアしていないので、面白かったけど星4つにします。やっぱりこういう基準があるとやりやすいなぁ!
はじめてのAmazonカスタマーレビュー
今回の記事は「勧めた映画を観てもらえない」という悩みから出発しているので、はじめてのレビューは人に勧めたい映画、自分にとっての「星5つ映画」にしたい。
というわけで、「はじめてのレビュー」に選んだ作品はコチラ!
そして、情熱的に書いたレビューがコチラ!
「続きを読みたい」「お前のレビューをレビューしてやる」と思ってくれた人は、コチラから続きをお読みください(※やや長文です)!
いいレビューが書けたかどうか自信はないけど、情熱は込められたと思います! いや〜、映画って本当にいいもんですね。
ちなみに『ショーシャンクの空に』は7月20日現在、Amazonで820件ものカスタマーレビューが投稿されている。Amazonの中で「最もレビューの多い映画」(宇内調べ)。みんなもショーシャンクが大好きなんだね!
レビューを書いてみた感想は「思考がしっかり整理されるので、口頭でもうまく伝えられそう」です! それと、レビューを前提に鑑賞すると、いつもより鮮明に映像が頭に残る気がする。集中してるからかな?
最後に「映画以外のレビュー」もしてみよう
さきほどの「マイルール」は、映画以外のカスタマーレビューにも流用できるとひらめきました。
こちらのレビューを投稿しましょう。
窓の結露を取るためのワイパーです。用途はそれだけでなく、浴室の壁面や鏡など、さまざまなシーンで活躍します。
持ち手の部分が透明のボトルになっていて、キャッチした水滴がこの中に入っていく仕様。たまった水の量がわかるようになっており、たまっていく様子を眺めるのがなんとも心地よい(笑)
もともとは自宅の窓の結露が激しく、それを取るために購入したのですが、購入した途端、なぜか結露が気にならなくなってしまいました。持て余すのももったいないと思い至り、浴室に置くことに。
私は風呂場でテンションが上がると、シャワーの水をあちこちに飛び散らかすのですが、そんなときにも大活躍です。このワイパーにかかれば、水滴だらけになった浴室も、サッ、サッ、スーーーーッ。みるみるうちに元通りの壁面に。びしょびしょになった天井の水滴も、サッ、サッ、スーーーーッです。
そして水滴を取ったあとは、透明なボトルになっている持ち手部分をワイパーのヘッドから取り外し、中の水をジョンジョロリーンと捨てます。まとめますと「サッ、サッ、スーーーーッ」の「ジョンジョロリーン」です。このコンビネーションがなんとも心地よい(笑)
浴室を清潔に保つために、我が家では欠かせない一品となっています。
レビューのマイルールを作ったのがよかったのか、迷うことなく、ほんの数分でレビューを書き上げることができた! しかも、動画まで作ってしまった……。わしゃ業者か?
僕、思ったんですけど……
「全力で褒める」のって、めちゃくちゃ楽しい!!!
嘘だと思った人、騙されたと思って一回やってみてください。この楽しさが伝われば、世の中はもっと平和になるのかもしんない。
(おわり)
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