こんにちは、ライターのギャラクシーです。

今回は警備員のバイトをやってた時に経験した、ちょっとだけ怖い話をふと思い出したので、描きます。

霊とかじゃないし、本当に「ちょっとだけ」なので、怖がりのかたも安心して読んでください。

 

 

警備員のバイトやってた時の、ちょっとだけ怖い話

 

深夜2時頃。

他県での警備の仕事が終わり、僕を含む警備員4名は、会社の車で帰途につきました。事務所に戻るまではおよそ1時間の道のりです。

 

 

 

 

 

僕は助手席に座り、運転するのは先輩のY田さんという人でした。後部座席にはベテラン2人が座っていましたが、ずっと寝てたし今回の話ではほぼ出てこないので忘れてくれて大丈夫です。

 

Y田さんは40代後半の男性で、普段はお喋りでものすごくフレンドリーな人なんですが、何かのきっかけ(後輩が買ってきた缶コーヒーが微糖じゃなかったとか)で急にブチ切れたりする性格でした。

 

 

 

 

車が動き始めると、Y田さんはベラベラとお喋りをはじめました。「昼間はとある大企業の役員をしている」とか、「愛人が10人いる」とか、そういう自慢話です。どう考えても虚言・妄言のたぐいなので、相手にするのはすごく面倒であり、社内でも陰で笑われていました。

 

虚言の自慢話が30分くらい続き、車は高速道路を『頭文字D』くらいの速度で疾走していました。僕がバイトしていた警備会社は日給制なので、現場の仕事が終わったら1秒でも早く帰ったほうが得なのです。

 

 

 

 

ちょうど帰途の中間地点あたりで、Y田さんは「車を運転するという役割」について話し始めました。

・仕事で車の運転なんかしたくない。運転する人間だけが責任を負っている

・なのに、乗せてもらってる人間からドライバーへの敬意が感じられない

という内容です。

 

 

 

 

※ちなみに僕は人付き合いが苦手だったため、事務所の2階でみんなとダベらず、いつも一人で外で待っていました。なので結果的にY田さんに気に入られていました。

 

 

 

 

Y田さんは怒りで指先を震わせながら運転していました。

「まあまあ、彼らも悪気があったわけじゃないですから。一旦落ち着いて」と、なだめたんですが、

 

その1分後、Y田さんは「いや、でもさぁ―」と再び話し始めました。

 

 

 

 

他にもエピソードがあったのか……と予想したんですが、違いました。

 

 

 

 

 

……ん?

 

 

 

 

一緒の話でした。一言一句すべて同じ、登場人物も同じでした。

僕は曖昧に笑いながら、「高速道路を運転中の人がキレてるのイヤだな……」と、窓の外を流れる景色を見ながら思ってたんですが、

 

その1分後―

 

 

 

 

え……

 

 

 

 

嘘だろ、え?

 

 

 

 

僕はゾッとしながらY田さんの顔を見ました。その目は何も写していませんでした

 

 

 

 

深夜。すごい速度で高速道路を走っている車。運転してるのはまったく同じ話を連続で3回喋るオッサン。後部座席の二人はグッスリ眠りこけているので、自分ひとりでこのサイコ野郎と対峙しなくてはならない。

 

どうしよう……ヘタなこと言ってキレさせたら……と逡巡していると、Y田さんの口が開きました。

 

 

 

 

 

 

まとめ

実際にあったことなので、特にオチもなく、この話はここで終わりです。

4度目の話の最中、マジでヤバいと思ったので、「おしっこ漏れそうだからサービスエリアに寄ってください!」と告げ、話を無理やり中断しました。

トイレから戻ってくると、後部座席で寝てたベテランが起きていて、その後はみんなで普通に明日の仕事の話とかをしました(Y田さんもニコニコと話していました)

 

恐怖というのは霊とか暴力とかだけじゃなくて、すぐ隣に、当たり前の顔して座ってる、というお話でした。

 

 

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