画像には注意と大きく書かれて以下の文章が表記されている。
この漫画には恐怖表現が含まれています苦手な方は、ご注意ください。
この漫画は、事実を元に作成しています。

 

登場人物
カメントツ
はるみさん
場面は、喫茶店。丸テーブルに男女が座っている。テーブルの上には、氷の浮いた飲み物が置いてある。
ナレーション「10代のころとある事故で右腕を失い身体障害者となったはるみさん」
はるみさん登場。はるみさんは、両耳にピアスをつけている、髪型は、頭頂部で長い黒髪をまとめて両サイドは刈り上げている。両掌をこちらに向けたポーズをしている。
はるみさん「こんにちは~!」
カメントツが不思議な顔で尋ねる。一見はるみさんは両手があるように見えるからだ。
カメントツ「あの…恐縮なのですが右腕を失っている?」
右手の義手を見せるはるみさん
はるみさん「ああこれは義手です」
驚くカメントツ
カメントツ「へええ!言われないとわからないですねぇ」
カメントツは、はるみさんの右手の義手をまじまじと見る。
はるみさん「よく言われます」
笑顔のはるみさん。はるみさんの義手はとてもリアルに見える。

「ネットで話題になったりするのはもっとメカっぽいやつですよね?」
カメントツの背景にイメージ図が浮かぶ。機械的な無骨な義手がボールを掴んでいる。
はるみさん「節電義手ですね!義手装具には大きく分けてこんな区分があります」
はるみさんの背景にイメージ図が展開する。
ナレーション「能動義手。体の動きを使って手先を動かせる義手」
カギ爪を二つ重ねたのような金属製の義手の絵
ナレーション「作業用義手。特定の作業を行うための義手」
アルファベットのCの形をしている。マジックハンドのような義手の絵
ナレーション「装飾義手。外見を重視した義手驚くほどリアル」
人の手と変わらない、リアルな義手の絵
ナレーション「筋電義手。筋肉や脳の電気信号で動かす義手。めちゃ高価」
ロボットのような機械的な義手の絵
はるみさん「この義手は、反対側の手で形を変えられます」
コキコキという音をたてながら指の関節を曲げるはるみさん
ナレーション「ちなみに義手以外リアルな装具を使っている人は、けっこう多い」
説明のイメージが展開される。
義眼の絵。眼球の瞳のついた角の丸い三角形の義眼が描かれている。
「本物は、球体じゃない」とキャプションが小さく書かれている。
義指の絵
義足の絵

カメントツ「ほえええ…すごい」
驚いた顔のカメントツ
はるみさん「でも…この義手の件で一時期すごい悩んでまして」
はるみさんが説明をするために身振り手振りをしている。
カメントツ「ふむ…」
はるみさん「3年ほど前のお話なのですが…」
場面が変わりのはるみさんの回想がはじまる。
ナレーション「はるみさんは、在宅で働くプログラマーだ」
回想で自宅でパソコンを操作するはるみさん
ナレーション「仕事がひと段落すると日中、散歩をするのが日課なのだが…時たまに嫌なものを見ることがあるそうだ」
野外へ散歩に出るはるみさん
はるみさん「今日もいる…」
少し不安な表情のはるみさん

回想が終わり現在の喫茶店に場面が戻る。
両手を前に出し、形を説明するような動作をするはるみさん
はるみさん「散歩にでかけると『ゴツゴツした人間のようなもの』を見るんです」
カメントツ「ゴツゴツ人間・·?」
ポカンとした不思議そうな顔をするカメントツ
はるみさん「そうです。ゴツゴツ…」
真顔のはるみさん
カメントツ「具体的にそれはどんな見た目なのでしょう・・?」
ゴクリと生唾を飲んで、これから聞く話に少し怯えるような顔のカメントツ
はるみさん「木の表面とかクランチチョコが固まったような見た目です。」
はるみさんの後ろには、ゴツゴツ人間のイメージ図が展開する。不穏な雰囲気。
そのイメージ図は、肌が樹皮のようにゴツゴツしている人間のシルエットである。

ナレーション「そのゴツゴツした人は、はるみさんの横を素通りしたり」
歩いているはるみさんの横をゴツゴツ人間がすれ違う絵
ナレーション「建物の中にいたり」
窓のあるビル。窓を覗くとゴツゴツ人間が立っている絵
ナレーション「コンビニの中でボーッと立っていたり…」
コンビニの店内に佇むゴツゴツ人間の絵
ナレーション「信号に腰掛けていたりもするそうだ」
信号機のてっぺんにゴツゴツ人間が腰掛けている絵
カメントツ「うーむ…」
腕を組んで上を向き考え込むようなポーズをしているカメントツ。

はるみさん「もちろん心の病かもと思って病院も行きましたよ」
カメントツとはるみさんの後ろにイメージ図が展開している。それは、はるみさんが困った顔で医者に相談している図である。
カメントツ「あ…良かった」
少し安心したような顔のカメントツ
ナレーション「読者の皆様『何か』を見たらまずは、病院に行って欲しい。健康あってのオカルトである。」
ナレーション「ヴァチカンのエクンシストもそう言っている」
いかめしい神父が十字架を持っているイメージ図が展開される。
神父のセリフ「まずは、病院へいこう!!」
ナレーション「一方はるみさんの場合は、治療中にもゴツゴツ人間が現れたそうだ」
ゴツゴツ人間が体を傾けて佇むイメージ図
はるみさん「別に支障は、ないんですよね…見えたからどうというわけでもないので…」
はるみさんは、少ししょんぼりした顔をしている。
はるみさん「でも…当時の私すごく悩んじゃって…」
過去の回想がはじまる。
回想のはるみさんは、暗い場所で膝をかかえて座り込んでいる。暗い雰囲気。

場面が変わり、過去の回想がはじまる。
はるみさん「身体障害者で頭もおかしいだなんて...詰みじゃん…終わりじゃん…最悪だ」
膝を抱えて座り込むはるみさんの絵。
ナレーション「ネガティブな思考のループに落ちてしまったそうだ」
場面が変わり現代の喫茶店。
はるみさんとカメントツがテーブルを挟んで話し合っている。
カメントツ「その立場になった人にしかわからない苦しさってありますよね」
はるみさん「そうなんです」
はるみさんは元気がなく、うつむいている。
はるみさんの後ろには過去の悩んでいた時期のイメージが展開される。
過去のはるみさん「こんな手の偽物つけているから存在しない人が見えるのかも…?」
義手を前に考え込む過去のはるみさん。
はるみさん「変な思考になってて…」
補足説明:「身体障害者で頭もおかしいだなんて...詰みじゃん…終わりじゃん…最悪だ」というはるみさんのセリフには欄外に「ぜったいにそんなことはないけど、その気持ちは描くべきだと思った」と脚注が書かれている。

回想の中ではるみさんが両手を広げて笑っている。
過去のはるみさん「そうだ…ぜんぜん人の手に見えないやつを買おう」
鎌のような義手をイメージする過去のはるみさん。その過去の行動に対してカメントツがツッコミを入れる。
カメントツ「なんでそう変な方向にばかり思い切りがいいのよ」
手を額に当てて困ったような顔をするカメントツ。
はるみさん「変な思い切りですけど...目標が決まると不思議と安心するんですよね…」
場面が展開し、当時のイメージに移り変わる。
場面は深夜。場所は、はるみさんの住むマンション。寝ているはるみさんは、上半身をTシャツ、下半身が下着姿だ。
ナレーション「その日は、安心して眠れたのをよく覚えているという」
ベッドの中で眠っているはるみさん。しかし夜中に目が覚めてしまう。

ナレーション「胸騒ぎがして深夜に目が覚めたはるみさん」
不安そうにベッドの上で膝をかかえるはるみさん
はるみさん「なんだろう…心細い…」
ナレーション「その時の感覚は気がついたらたくさんの人に囲まれていたそんな怖さだったと言う」
はるみさんの周りに白いボンヤリとした人影が六人ほど立っているイメージが展開される。
ナレーション「気持ちを落ち着かせるために…起き上がって息をととのえていると..暗がりに何かがいるのに気づいた…」
汗をかきながら左手を胸に当てて呼吸を整えているはるみさんの背後に何かがうっすらと現れる。

ナレーション「よく見るとそれは人の形に集まったセミでした」
無数のセミが人の形に集まっている。
はるみさん「ああ…ゴツゴツ人間は、セミのかたまりだったのか…」
ナレーション「なぜか納得してしまう…」
無数のセミがうじゃうじゃと群がっている。

ナレーション「はるみさんは、なぜかそのセミを一匹ずつ『右手』で捕まえてベランダから外に放ったそうだ…」
ぼんやりとした右手で蝉をつかむはるみさん。
ナレーション「なぜかそうしないといけない気がしたから…」
はるみさんが無いはずのぼんやりとした右手でベランダから蝉を放つ。
場面は変わり回想が終わる。
はるみさん「不思議ですよね…だって..」
義手をさするはるみさん
はるみさん「私…右手ないんですよ」
はるみさんがあっけらかんとして義手を指さす。
カメントツ「いや、そこも不思議だけど!セミのが気になる!」
焦ってツッコミのポーズをするカメントツ
はるみさん「私からすると不思議なんです」
説得するようなポーズでカメントツを見るはるみさん。

過去のイメージが展開される。
はるみさん「とっさに物を取ろうとして『右手』を出すなんてすごく『ない事」なんですよ」
はるみさんが蝉を一つ右手で掴んでいる。
ナレーション「両腕のある僕からすると…咄嗟に足で掴むくらいの不自然さだろうか…?」
はるみさんが蝉を空に放っている。
空には複数のセミが飛んでいる。
ナレーション「それから、はるみさんは、一晩かけて膨大な数のセミを放ったそうだ」
窓からは朝日が差し込んでいる。
ナレーション「そこで気づいた、朝日が差し込むにつれて右手が透けていることに」
透き通る右手を見つめるはるみさん。

ナレーション「全部のセミを外に放ったはるみさんは…」
はるみさんは膝から崩れ落ち、座り込む。
はるみさん「おわった…」
安心した様子で両腕を、ぎゅ…と抱きしめるはるみさん
ナレーション「消えかけの腕で自分を抱きしめたそうだ」
はるみさんの顔は安らかだ。
はるみさん「わぁーこの感じ久しぶりだなぁ…すごくうれしい…」

ナレーション「その後…ゴツゴツ人間は、はるみさんの前に現れなくなったそうだ」
場面は現代に戻る。
はるみさんが元気な顔でカメントツに語る。
はるみさん「もっと両手でしたいことあったのでまた出ないかって期待しているんですよね」
カメントツはキョトンとした顔をしている。
少し考えた様子でカメントツは、質問をする。
カメントツ「怖い物知らずだなぁ…ちなみにその透けた腕が出たら次は何をしたいですか?」
腕を組んで少し考える様子のはるみさん。
はるみさん「うーん..そうですね…」
元気よくはるみさんが答える。
はるみさん「熱々のごはんでおにぎりが握りたいです!」
少し拍子抜けたような顔でびっくりするカメントツ。
カメントツ「元気なひと…!」
キャプションが斜めに入りツッコミを入れる。
ナレーション「怪談のオチ『おにぎり』!?」

 

 

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