決していい人ぶりたいわけではないが僕は接客をする店員の皆さんには出来る限り愛想よくしようと心がけている。

客とお店側という立場に関係なく、目の前の相手への配慮という側面もあるが結局そうしたほうが結局こちらに返ってくるサービスも多少なりとも良くなるという目論見もあるからだ。

例えばコンビニ店員だって最初からムスッとしている人はいるが、「ありがとう」とまでいう必要もなく「どうも」と一声掛けるだけでも向こうが急に愛想よくなることはよくある。

愛想よくなんて書いたが僕がやっているのもせいぜいその程度のことであり、サービスとか書いたが求めているのもその程度である。

しかし街を見渡すと残念ながらそうでないことの方が多い。たまたまその時仕事や私生活が上手くいっていないのかはたまた元々そういう性格なのかは知る由もないが、コンビニやレストランで店員にやたらと不遜な態度で接する人を見るとこちらの気分も萎えるというものである。

だからなのかもしれないが、コンビニのレジで不機嫌そうな表情をしているおじさんが、店員を見下したようなあのタメ口のオッサンが、そもそも常日頃人に絶対クン付などしたこともないようなあのクソジジイがだよ…

表情だけはムスッとしたままで

 

「からあげクン。」

 

などと、からあげクンだけはちゃんとクン付で呼んであげる場面見てしまうと僕は異常に興奮してしまう。

会社や家庭では人に向かって「オイ」とか「オマエ」としか言わなそうなあのお方がですよ!死んでる鳥の肉を油で揚げたヤツこと唐揚げにはまさかのクン付けでオーダーしているのを見るとー、俺はめちゃくちゃ良いもん見たなと思ってしまうのである…。

 

「からあげクン。」

 

今時カタカナでクン付なんて、少年誌のグラビアで女性アイドルを「クン」付けで呼ぶときを除くとあとはもうからあげクンしかないわけである。

じゃあテメェ呼び捨てにすれば良いのかよオラ、と言われましても必ずしもそうでもないわけである。

 

「からあげ。」 

 

このように仮にからあげクンのことをクンをつけずにからあげと呼び捨てにしたとする。これはこれで「からあげクンを呼び捨て」というオモシロ現象が生じてしまい、つまり我々はもはやからあげクンから逃れることはできないのである。

からあげクンを買うときは何ぴともフレンドリーかつ元気よくするしか手立てはない。そういうことなのである。

今年もよろしくお願いします。

 

他の「文字そば」を読む