「たまかけ」という言葉を知っているだろうか。卵かけご飯の略じゃないぞ。言っておくがエッチな言葉でもない。ドスケベどもめ。「たまかけ」という資格があるのだ。

 

 漢字で書くと「玉掛け」だ。現場職の方なんかは耳馴染みがあるかもしれない。「玉掛け技能講習」というのを受けるともらえる資格で、履歴書には「玉掛け技能講習修了」と書く。俺は前職の時に無理やり取らされた。

 

 それでどういう資格かというと、「クレーンのフックにものをひっかけてもいいですよ」という資格だ。クレーンのフックにものを引っ掛けるのには基本的にこの資格がいる。

 言葉の由来について今ちょっと調べたが「フックが勾玉に似ているから」とか「玉とは宝など大切なものの意で、それをひっかけるから」など諸説あってよくわからなかった。

 とにかくクレーンのフックにものを引っ掛けるのを玉掛けという。(つまり俺はこれを持っているのでクレーンのフックにものをひっかけても良い)

 

 工場や現場などでは重量物をクレーンで持ち上げる作業がソシャゲのデイリーミッションくらい頻繁にある。そういう時にこの資格を持っていると「無資格者どもそこを退きたまえ、玉掛け技能講習修了者のこの俺が厄介な重量物めをフックにひっかけてやろう」と現れてフックにワイヤーなどでガチャリとひっかけることが許される。

 

 だが玉掛け資格者にできるのはここまでだ。ひっかけて良いだけだ。

 

 玉掛けなんて資格を用意したやつが何を考えていたのかよくわからないが、クレーンを操作するのには別の資格が必要になる。「へへっ、クレーン資格者様あとはお任せします」といって引き下がるしかない。

 逆にクレーンを操作する資格だけ持っていても、クレーンのフックにものを引っ掛けるのにはこの玉掛けの資格がいる。玉掛け資格者がいなければ何もかかってないフックをただ上げ下げすることしかできない。なんでそんな中途半端な資格を作ったの。(昔は一緒だったらしい)

 

 たまたまフックにものを引っ掛けることができるやつと、たまたまクレーンを上げ下げすることができるやつが揃うか、たまたま両方の資格を持っているやつがいないとクレーンとはただぶら下がっているフックにすぎない。スーパードンキーコング2でそういうのを見た覚えがある。

 無論、ステージにただぶら下がっているフックにディディーコングやディクシーコングを引っ掛けるのにもこの玉掛けの資格が必要になることはいうまでもない。(俺はディディーコングやディクシーコングをフックに引っ掛けることを許される)

 

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