俺はプラント的な施設で作業員をやっていたことがある。
作業着にヘルメットという出で立ちで施設内を這いずり回り、異常があればなんとか正常にした。他にも消耗品の管理、掃除なども業務に含まれていた。
仕事に欠かせない道具はなんといっても工具。そして工具と同じかそれ以上に役に立ったのが新聞紙だった。
簡単な拭き掃除はもちろん、ペンキやオイルを用いた作業をするときに床に敷いて施設を汚さないようにするのに用いた。
新聞紙の供給源は同僚のおっさんたちが毎日持ち込むスポーツ新聞だ。
スポーツ新聞を知っているか。読んだことがなくても見た事はあるはずだ。コンビニやキオスクに置いてある。スポーツや芸能ゴシップなんかが中心の、新聞にしては派手目なあれだ。あれがスポーツ新聞だ。
スポーツ新聞にはエッチな記事がある。
おっぱいがでかでかと印刷されている。
疑問:おっぱいがでかでかと印刷されているページも使ってお仕事していたのか。
答え:してた。
おっぱいがでかでかと印刷されている新聞を敷いてペンキを塗り、おっぱいがでかでかと印刷されている新聞を敷いて機械のオイルを交換し、おっぱいがでかでかと印刷されている新聞であらゆる汚れを拭いた。
新聞紙は様々な作業に使うので、職場中いたるところにおっぱいがあった。俺はおっぱいそのものは好きだが、エロページを見た同僚のおっさんたちの下品な冗談が苦痛だったのであまり嬉しい存在でもなかった。
ある日、新聞を使って窓拭きをしていた。当然おっぱいがでかでかと印刷されているページも使っていた。そこへ気まぐれに社長が現れた。
俺の手にはおっぱいがでかでかと印刷されている新聞紙がある。俺は真面目に仕事をしていたが、手にはおっぱい。
おっぱいを握っている人間が真面目に見える確率は0%だ。
残酷な社会の現実。社長に俺がおっぱいページを使っている様を見られるわけにはいかない。
おっぱいを内側に折りたたんでしまうか。いや、不自然な動きをすることになる。折るときにチラリとでも見えてしまったら「ナ月くんは今おっぱいを折りたたんだね」と悟られる。
もっと簡単な方法がある。おっぱいを窓側に当ててしまえば社長から見えることはない!
俺は窓側におっぱいを押し付けて窓拭きを続行した。窓の外から見たらさぞエッチなことになっていただろう。だが今は外からどう見られようと知ったことではない。とにかくこれでやり過ごす。
だが俺は一つ計算ミスをしていた。日光が、窓側から差し込んでいた。
強烈な太陽光線はスポーツ新聞を貫いて、新聞のこちら側におっぱいを透かした。俺の指の隙間から、見事な乳首が透けた。
慌てて新聞をそのままグシャリと握り込んだ。振り返ると、社長と目があった。社長は何も言わなかった。
違うんです。違うんですよ社長。