・二日目
前日からの食事制限に加え、この日は朝から水分もとってはいけないとのこと。
その分の栄養を補うために点滴が始まりました。また、左手に大きくマジックで「◯」と書かれました。
これは看護婦さんなどが間違えないように「この人の患部は左ですよ」という意味のマークらしいです。
「みなさん左です!ぼくの患部は左のきんたまなんです!」
と声高に主張しているようで、院内を歩くのがすごく恥ずかしかったです。
手術の時間が近づくと色々な準備をしなければなりません。
まずシャワーを浴びて、T字帯(簡単に言うとふんどし)と、特殊な靴下(血が足にたまらないように圧迫するためのもの)を履き、手術用ガウンに着替えます。
そして準備の仕上げとして、美人の看護婦さんにちん毛を剃られました。
エロ漫画ではよく勃起したりしますが、シェーバーでブイーンバリバリバリと剃っていくのでエロ度はゼロでした。完全に作業です。
ただ、剃毛している真っ最中に、姉が「お見舞いに来たで~!」と部屋に入って来たのは超恥ずかしかったです。
そんなこんなで14時半、呼び出しがかかって手術室に歩いて向かいました。
デイルームのテレビからはクリスマスソングが聞こえていました。
手術室には5~6人の看護婦さんが待機していました。服を脱いで手術台に寝ると「今、全員が僕のきんたまを見つめているのだな…」と思ってちょっと得した気分です。
手術時には全身麻酔をするので、その準備として、ホカホカの蒸しタオルみたいなものが全身に乗せられました。これがほんと、この世の極楽みたいな心地よさなんですよ。
周囲の女性は全員忙しくしているのに、その中心で僕は王のように寝転んで、あたたか~いタオルに包まれているわけです。
まるで夢を見てるような感じでした。
全身麻酔は酸素マスクからではなく、点滴から注入されました。
次の瞬間には、もう手術は終わっていて、僕は暗い病室に居ました。
簡単な手術と説明されてたんですが、それでも2時間経っていました。
そして自分のカラダにはいくつものコードやパイプが。
「今日はベッドから出ないでくださいね。ベッドの上で身を起こしたり寝返りを打ったりするのは大丈夫です」
と説明されたんですが、動くと手術跡が痛いし、コード類が邪魔だし、かろうじて動かせるのは腕と首くらい。
横のテーブルに置いた携帯を取ることすら困難でした。
とはいえ僕もサラリーマンであり、業務を休んで手術したわけなので、無事に手術が終わったことを会社のみんなにLINEで報告したんですが、
なぜか爆笑されてました。