2025年で、Webメディア「オモコロ」が誕生してから20周年

20年もオモコロを続けることができたのは他でもない読者のみなさまのおかげ(本当に)。

2026年には原宿からみくのしんに編集長が交代し、オモコロ編集部として新たなスタートを切りました。

編集部メンバーもリニューアルし、所属ライターと力を合わせてよりいっそう楽しい記事を作っていく所存です。

 

そこで、今回は「こんな人もオモコロを知っている」というテーマで普段からオモコロを愛読いただいている方へのインタビュー企画を実施しました。

普段からオモコロを読んでいる方々の声を聞くのもとっても大事なことだからです。

 

第1回目に来ていただいたのは、『近畿地方のある場所について』『口に関するアンケート』などで知られるホラー作家の背筋(せすじ)さん。

オモコロ編集長のみくのしんかまどの2人でたっぷりお話を伺いました。

 

目が
2026年6月に刊行された背筋さんの近著『目が』

 

背筋さんの好きなオモコロ記事は?

背筋さん!!!!! 1年前くらいにお会いして以来ですよね

お久しぶりです! あのときはありがとうございました!

ふたりは既に面識あったんですね。意外なつながりだ

ライターの梨さん主催の花見会に、なぜか俺も呼んでもらえたんだよ。背筋さんとの「はじめまして」はそこだったかな

 

【編集部注】

ホラー作家として活躍するオモコロライター。著書に『かわいそ笑』『6』『お前の死因にとびきりの恐怖を』など。その他、ここでは書ききれないほどのホラー作品を手掛けている。

『このテープもってないですか?』など、テレビ番組の構成を務めたり、『行方不明展』をはじめ、書籍の枠を越えたホラー表現にも取り組んでいる。

甘い物が好きで、有志を募ってスイーツパーティを開いているらしい。

あのときは、おいしいフルーツをいっぱい食べましたよね

初めて会ったときに「実は昔からオモコロ読んでます」って教えてくれてびっくりしたんです。だから今回お話を聞いてみたいなって

まさか、いま話題のホラー作家がオモコロ読者だったとはね。ちなみにいつ頃からオモコロを読んでいただいているんですか?

 

僕が作家としてデビューする前なので……2016年頃ですかね

10年前から! れっきとした古参ファンじゃないですか!

そりゃもう。ヨッピーさんやARuFaさんがバリバリ記事を書いていた頃からオモコロを読ませていただいていました

僕がオモコロに入ったのもその頃ですよ! もしかして僕のデビュー作のサツマイモを光らせた記事も読んでくれてました?

あ〜……まぁ、それは ……

(´•ω•`)

インタビュー始まって早々に、相手に気を遣わせるんじゃないよ

その頃のオモコロってかなりユニークなPR記事を出してたじゃないですか。そっちが強く印象に残ってるんです。ほら、ヨッピーさんが千葉市長と『シムシティ』で対決する記事とか

あったな〜! 懐かしい!

 

この記事って『シムシティ』のスマホ向けゲームアプリのPR記事なんだよね。いま思うとオモコロに千葉市長が出てたのか。すごいや

そう! こんなに面白いのに、PR記事なんですよ! 広告って基本敬遠されがちですけど、オモコロのPR記事は楽しく読めるものに仕上がっていてすごいなと思ってました

今もこうしたPR記事はやってるけど、当時のWebメディアとしてはわりと珍しい広告形態でしたね

前職で広告周りに携わることも多かったので、単なるおもしろ記事だけじゃなく、PRとしての文脈でもかなり印象に残っていましたね

 

なんか照れるね

当時からずっと欠かさず読んでますから。堂々と古参ヅラをさせてください

今までのオモコロ記事で背筋さんの好きな記事ってあります?

悩むな〜〜〜。一番最初に夢中になって読んだのは、小野ほりでいさんの「ガールズトーク」シリーズでしたね。けっこう昔の記事なんですが

 

小野ほりでいさんだ! 僕も大好きですし、今読み返してもしみじみ良いマンガだ……

私の中ではオモコロを象徴する記事です。よそにない切り口や空気感で、ちょっとアングラだけどおしゃれ、みたいな感覚があって

僕もオモコロにハマりたての頃によく読んでたな〜!「おれがこれ見つけたぞ!」っていうときめきがありましたよね

めっちゃわかります。最近の方だと「かとみさん」の記事が好きですね。好きなお店に通い詰めたり、好きなものの愛を叫び続けたり……行きすぎた熱量の記事が最高です

 

「チーズナンに告白する」(かとみ Xより)

最近もチーズナンへの愛を叫んで、X記事コンテストTOP10に入ってましたね

すごい! さすがかとみさんだ

こういう、「私はこれが好きなんです!!!!」という狂気じみた偏愛がかとみさんの作風ですよね

そうそう! あと、かとみさんといえば、やっぱり「みはし」の話は外せません

 

 

甘味処「みはし」のあんみつですよね。かとみさんの大好物で、記事でも何度かテーマになっています

なんか、当たり前のようにオモコロライターの話できるの嬉しいな〜! もう読者というより、ライター仲間と話してる気分だ

私は元々大阪に住んでいたのですが、大阪に「みはし」がないのが悔しくて、悔しくて……。8年前に上京したとき、すぐにみはしに駆け込んだことを覚えています

そんなこと言われたら、かとみさんも喜ぶだろうな〜! そういうのもっと表で言ってくださいよ!

いやぁ、なかなかそういう機会もなくて。なので、今日は好き放題にオモコロの話ができて嬉しいですよ

なんてインタビューしがいのある人だ

あとは藤原さんの指示厨の記事もよかったです

 

※他人のゲームプレイ中に、「指示厨(コメント欄でゲームの進行を指図する輩)」になりきって、コメントしたらどうなるのか……を検証した記事

私もスレスパ大好きだし、ゲーマーとして「めっちゃわかる!」と唸りながら読みました。いつか私もこの企画に呼んでほしいです

あ〜たしかに。別に一回きりじゃなくても、いろんなゲームでやれる企画ではあるのか

背筋さんにコメント欄でボロクソ言われながらゲームするの怖いだろうな

今でこそ雨穴さんや梨さん、加味條さんなどホラーを得意とする方が多数活躍されていますが、私はあまりオモコロ自体にホラーのイメージは強くなくて。昔から読んでるぶん、オモコロはおもしろをとことんやってるメディアだなと感じますね

 

 

オモコロの話ばかりで照れてきたので、背筋さんの作品についてあれこれ聞く

文庫版 近畿地方のある場所について (角川文庫)『近畿地方のある場所について』文庫版

背筋さんといえば『近畿地方のある場所について』ですよね。2023年にカクヨム(※)の記事がめちゃくちゃ話題になったし、2025年には映画化もされています

※KADOKAWA×はてなが運営するWeb小説サイト

当時は、「急にインターネットにすげえホラー作品が投下された!」って感じで、みんな盛り上がってましたよね。今思うと、あれも背筋さんの戦略だったのかな

いえいえ、まさかこんなことになるとは思ってなかったですよ。ただ、昔から2ちゃんねるの怖い話や洒落怖が好きだったので、「ああいうのが読みたいな〜」と思って、自分でさっと1話を書いてみただけで

僕からすると、その1話を書ける時点で、もうすごいけどなぁ

で、そうなると、読者の反応が欲しくなるものですから、友人に私が書いたことを隠して読んでもらったんです。「なんか、こんなの見つけたんだけど……」みたいな感じで

すごいことしますね。このご友人次第では、この作品は世に出てなかったかもしれないのか

幸いなことに友人の評価はすごくよかったんです。そこで気を良くして、私が書いたことを明かしたら「続きが読みたい」と言ってくれて。で、そこからは正月休み中に一気に書き上げました。なんか、その年はお正月休みが長かったんですよね

お友だちと正月休みのおかげでデビューすることになったんですね。人生、何があるかわかんないな〜!

その後、せっかくだからどこかネットに上げようかなとカクヨムに載せたらとんでもない反響をいただきました

あのときの盛り上がりは覚えてますよ。我々の会社でも話題になってましたし

 

ダ・ヴィンチ・恐山が社内チャットで「最近いろんなホラーあるけど、これはちょっとレベル違います」と教えてくれたんです。有名な作家が別名義でやってるんじゃないかとみんな怪しんでましたよ

中身がただのオモコロ読者だということも知らずに。ありがたいです

ずっと気になってたんですけど、なんで「背筋って名前なんですか?

全然深い理由はないんです。カクヨムに投稿するときにどうしても作者名が必要で、投稿前に整体で「背筋が曲がっている」って言われたばっかりだったのでそのまま“背筋”という名前にしました

そんな理由だったんだ

 

私こういう名前考えるの苦手で。RPGゲームの主人公の名前も全部「あ」とかにしてるんです

怖すぎるだろ。しかも1文字て

仕事で編集者さんたちに会うと「背筋先生」って呼ばれるんですがいまだに慣れません。ちょっと後悔してるので、みくのしんさんに新しい名前を決めてもらいたいです

 

急にむずっっっ!!!!

だって、私ばっかり話を聞かれてズルいじゃないですか

インタビューってそういうものでしょ

せっかくなので、オモコロ編集長に新しい名前を決めてもらいたいな、と

 


脇汗が滲み出してきた

う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。背筋さんって見た目けっこう若いんですよね

そうですか? みくのしんさんたちと同世代ですけどね

だから……若い感じの名前で……

 

 

……子供くんとか?

 

ギリギリ蔑称のラインでは?

でも、作者への興味はめっちゃ増すと思いますよ! だって絶対どんな人なのか気になるじゃん!

了解しました。却下させてください

え〜! 内心、ちょっとイケるかも……と思ってたのに!

ホラー映画のスタッフロールで「原作:子供くん」って出てきたらイヤだろ

口に関するアンケート『口に関するアンケート』

背筋さんの著書でいうと、『口に関するアンケート』もおもしろかったです。サイズも独特だしギミックも効いててすごいなって。7月3日には映画も上映されますもんね

たくさんの人に読んでもらえてありがたいです。ポプラ社さんのお力でかなりトリッキーな判型になっていますね

それこそ、前にみくのしんと本屋に行ったときに、「短編でめちゃくちゃ読みやすいから」と奢ったこともあります。安いし読みやすいしで、人にも勧めやすくて

みくのしんさんにも手にとってもらえてたんですね。……読んでいただけました?

……まだです。背筋さんとかまどには申し訳ないんだけど、あの本は水没しちゃって……

水没?

めちゃくちゃな豪雨で自宅が水没したんです

 

家が床上浸水したみくのしん

ホントだ家が水没してる

このときに背筋さんの本も水に濡れてダメになっちゃって。背筋さんの本は、水にプカプカ浮いてました

そんなこと、作者の前で言うなよ

かわいそう……

 

そういうことなら、いま一冊手元にあるので、差し上げますよ?

え!?! 作者直々に!!!????

 

こんな笑顔になってくれるんだ。プレゼントのしがいがありますね

だって嬉しすぎるもん。もう二度と濡らしません。乾ききった場所でしか読まないことを誓います

そんなこと誓われても、背筋さんも困るだろ

当時も、このサイズにビックリしたんだよな〜! かまども「こんなサイズの本は見たことない」って言ってたし

文庫サイズよりもさらに小さい判型も画期的でしたね。どういうきっかけでこのサイズになったんですか?

元々ポプラ社さんから「Webに載せる短編を書いてください」という依頼があったんですよ。で、編集者さんから社内で進めている新しい試みにその短編を採用したいということであの判型になりましたね

背筋さんの戦略だと思ってたけど、出版社側の案だったんですね。ポプラ社もチャレンジングなことするな〜! 

ポプラ社さんは『かいけつゾロリ』や『ねずみくんのチョッキ』などさまざまなサイズの児童書を作ってますからね。判型の異なる本を書店に卸すノウハウも豊富ですし、商流含めて、ポプラ社さんだからこそ実現できたんじゃないかと思います

その依頼に応えられる背筋さんもすごいよな〜! そのサイズ感にあわせて本を作らないといけないわけですもんね

 

 

背筋さんからの逆インタビュー

ということで、インタビューは以上です! 本日はありがとうございました!!

話もあうし、めっちゃ盛り上がったな〜。いろんなお話が聞けてよかったです

あ、じゃあ最後に私からも質問していいですか?

もちろん! なにか言い足りなかったこととかあれば、何でも言ってください!

「記事にするときは、これはNGで」とかも全然言ってもらって大丈夫なので

今年、オモコロが大きく変わったじゃないですか。編集長も原宿さんからみくのしんさんに代替わりしたし、編集部も新しい体制になりましたし

? まぁ、そうですね

 

新体制になって、かまどさんとみくのしんさんの心境やスタンスに変化はありましたか?

え? 僕らがインタビューされてる?

そろそろお二人の話も聞かないと。私ばっかり話を引き出されて不公平じゃないですか

だから、インタビューってそういうものなんだって

今日は、オモコロ読者としての背筋さんのお話を聞く日だから! 僕らの話はいらないでしょ!

いやでも、読者だからこそ聞きたいんですよ。今のオモコロってどういう感じなんだろうなって

 

かまどさんはどうですか? 編集部としてなにか変わったこととかあります?

う〜ん。ライターさんと積極的にコミュニケーションをとるようにはなったのかな……? 僕も記事を読んで修正とか「ここはこうすると、もっとよくなるよ」とかも生意気に意見しちゃってるし

「生意気」? 編集部なんだから、それは通常業務な気もしますけど

いえ。昔はそんなことやってなかったんです。完全放置でした

なんともオモコロらしい体制だ

編集の手をいれすぎると「オモコロらしさ」がなくなる気もしてるんですけどね。ただ、僕自身、記事がウケたり、読者のみなさんから反応がもらえたことが嬉しくてライターを続けることができてた気がするんですよ

わかります。私も、友人の反応やインターネットの反響がなかったら、ここまで続けてなかっただろうし

逆に言うと、それがないと、Webライターなんかいつでもやめることができちゃうじゃないですか。せっかく、オモコロにいてくれるのに、離れていく人が出るのは寂しいので……。なので、ライターを続けるための手応えにつながる編集なら、横槍を入れてでもやっていきたいなと思っています

なるほど……。みくのしんさんはどうですか?

そうだなぁ……。僕は……

 

みんなの“お母さん”になりたいです

お母さん?

毎年ライターさんと編集部で集まるオモコロ合宿というイベントがあるんですよ。僕はそこでカレーを作ったりしてるんですが

それだけ聞くと、編集長の役目とは思えないな

そこで、カレーを一人ひとりに手渡すときに、ライター全員の顔と名前が分かることが嬉しかったんですよ。「最近どうなの?」って会話も自然にできたりして、なんか「俺、めっちゃお母さんじゃん!」って思ったんです

 

僕はかまどや恐山さんみたいにライターさんの記事にアドバイスすることはできないけど、“お母さん”になってみんなに寄り添うことは他の誰よりもできるなと思ったんです

そう言うと、立派なことだけど。突然「お母さんになりたい」と言われたら何事かと思うだろ

以前に、梨さんの花見会でお会いしたときも仰ってましたよね。「俺はみんなのお母さんになりたいんだ!」って

言ってましたっけ?! 恥ずかしいな……初対面の人に聞かせる話じゃなさすぎるだろ

あれからどうですか? 新編集長になって、今はお母さんになれてますか?

まだまだですね〜! みんなのお母さんになるためには、もっと愛さないといけないことに気づいたんです。時間をもっと使って、遊んだり楽しんだりする時間をもうちょっと作らないとな

育児中の悩みみたいなこと言ってんなぁ

でも、めちゃくちゃ献身的ですよ。ここまで面倒見がいい編集長って見たことないです

 

いや〜、なんか最後にいい話を聞けてよかったです。本日はありがとうございました

いつのまにか、インタビューの主従が逆転してるなぁ。まんまと僕らの話を引き出されてしまった

背筋さんのインタビュースキルもすごかったな〜! もう背筋さんが背筋さんのインタビューをした方がよかったんじゃないですか?

 

 

・・・・・・

 

ということで、「こんな人もオモコロを知っている」企画第1弾は作家の背筋さんをお呼びしました

めっちゃオモコロ読んでくれてる!!!!!!!!!!!!!!!!

 

目が

背筋さんの新刊『目が』は2026年6月25日から書店やネット通販で販売中。こちらもぜひチェックしてみてください。

次の読者インタビューは画面の前のあなたかもしれない……。

 

 

ライター:神田

(おわり)