衝撃の事実

先日「金継ぎワークショップ」というのに行きました。
そこで衝撃の事実を知ったんです。

とにかくまず、その時の様子を見てください…!

 
「金継ぎによる陶器の修復が2時間で体験できる」とのことで、
落として割ってしまったコップを持って参加したのですが…

 


①接着剤を塗って…

 


②くっ付ける

 


③パテとヤスリで平らに整えて…

 


④金色の粉(本物の金ではなく真鍮の粉)を…

 


塗ったら完成!

 

 

…おわかりいただけたでしょうか?

そう…

つまり…

割れた陶器をくっ付けているのは接着剤やパテであって、
金は接着後にただ装飾として塗られてるだけだったのです。


知ってる人にしたら当たり前のことかもしれないけど僕はショックでした。
だって「金継ぎ」って名前からして「金が継ないでる感」あるじゃん。
金にはなんか独自の接着する成分でもあるのかと思うじゃん。

それなのに修復とは関係なく表面に塗ってるだけって…
金…ただの派手な塗料じゃん。

 

ウィキペディアにも普通に「装飾」って書いてあった…

 

金に神秘性や修復に関する必然性を期待して参加してた僕は
「塗料ならもう何描いてもいいじゃん」と、割れてない部分に絵を描いてワークショップを終えました。


(金のヨダレですって言ったら参加者の知らないおばさん2人にウケました)

 

※このワークショップは短時間で金継ぎが体験できるよう、
接着剤には本来の漆(うるし)ではなく速く固まる樹脂やパテを使っていたり、金粉も本物ではなく真鍮の粉だったりと、伝統的な金継ぎと素材に違いはありますが「金継ぎは修復後 表面に金色の塗料を塗ってる」という事実に変わりはありません。

 

制作開始

前置きが長くなりましたが、家に帰ってから思いました。

 

 

金がただの塗料なら、柄として「修復跡っぽい線」を描いたっていいはずです。

修復部分に金が塗られてきた歴史を利用し、
そもそも割れてないのに修復跡っぽく見せるという試み「フェイク金継ぎ」です。

さっそくワークショップと同じ材料を購入。

 


多分この商品です。869円。

 


まずチューブの樹脂を出して

 


付属の真鍮の粉をふりかけます。(堂々と金粉って書いてあるけど)
本物の金粉は調べたら1グラム1万円くらいしました。

 


鼻息で吹き飛ぶほど軽い粉です。

 


これを混ぜれば金継ぎ用の塗料が完成。

 


それでは、この割れてないお皿をフェイク金継ぎしていきます。

 


普通の絵の具より粘度が高いので盛るように塗っていきます。

 


そして…

 


できた!
パズル金継ぎ。

 


もし通常の金継ぎでこれを作ろうと思ったら、
偶然パズルの形に割れる訳ないので、お皿をこの線で切断するのはかなり大変な作業です。
工業用のウォーターカッターとかがいるかもしれません。

 


でもその必要はありません!
だって割れてないんだから!
従来の金継ぎでは不可能だった自由な線を描けるのが、
この「フェイク金継ぎ」の利点ですね。

 


さらに乾いた筆で金粉だけをホワホワ塗ることで

 


なめらかになり輝きが増します。

 


余分な金粉を拭き取ったら完成!

 

…しかしやってみて気付いたことがあります。
こういう規則的な線だと模様っぽく見えて、いまいち「割れてる感」が足りない。

「割れてる感」を出すには線がヒビっぽく一点に集中してる必要があるのではないか…?

 

そこで次にフェイク金継ぎしたのがこれ!

 


このお皿も

 


同じにように金色を塗って…

 


完成!

 


さっきよりヒビっぽくて割れてる感出たでしょ…!?

でもこれ実は…

 

 


東京の地下鉄!
線が一点に集中といえばこれです!
(画像:Wikipedia 東京地下鉄より)

 


印刷した紙をお皿のカーブに合わせ

 


線をなぞり…
(日比谷線はいい感じにカクカク曲がっていて、ヒビだけに…と思いました。)

 


カーボン紙で転写されたのを

 


金で塗りました

 


ぱっと見、割れてできた線のようだけど実は意味が隠された線。
これも「フェイク金継ぎ」だからこそできることですね。

 

もし今度ミステリー漫画描く機会があったら、
「お皿の金継ぎが実は宝の地図だった」ってネタやりたいと思いました。
その時は「これ一回記事で使ったネタだろ」って言わないでください。

的な。
(最近ネットフリックスで「獄門島」と「悪魔の手毬唄」見ました。)

 

あ、線が一点に集中した図案、もう一個思い浮かびました。

 

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