”世界一豪華” ヴェルサイユ宮殿

 

なぜ、ヴェルサイユ宮殿なのか?

 

理由は一つ、この宮殿……

 

広すぎるのである。ほぼ街。

中がどうなってるのか、めちゃくちゃ気になる。

 

さっそく、物件広告を見ていただこう。

 

詳しく見ていこう。

 

A. 概要

 

ついに、駅近物件の登場である。

 

パリの近郊鉄道エール・ウー・エールC線で、パリ中心部から40分前後。そして最寄駅から徒歩10分。最高の立地である。

東京で言えば、東京駅から電車で40分なので、世田谷区二子玉川駅ぐらいの距離感だ。都心にも出やすい。

 

間取りはついに3桁に乗り、700部屋を超える。もはや団地レベルだ。

※実際には700以上の部屋があるらしいが、便宜上700とさせていただく。

 

床面積は、51,210㎡。東京ドーム1.1個分だ。一つの建物だけでこの広さである。広大とは、このためにあった言葉なのだ。

そしてガーデンも含めた敷地面積は、8.2㎢。こっちは東京ドーム174個分である。やっと東京ドームの例えがしっくりきてきたと思ったら、広すぎて逆にわかりづらいことになってしまった。もう少しわかりやすく言うと、東京都国立市と同じ広さである。市?

僕の住む1LDKと比べると……

もはや視力検査の域だ。右下の黄色い数ピクセルが我が家である。

 

 

築年は1682年とされているので、築338年だ。

ちなみに1680年代は、日本では”犬将軍”こと徳川綱吉がいたころのバリバリの江戸時代にあたる。かなり歴史のある建物だとわかる。

 

階数だが、ヴェルサイユ宮殿は上から見るとこのような形になっている。

 

便宜上、中央の宮殿部分を「母屋」、北翼・南翼を「離れ」と表記した。

母屋は2階建て、離れは3階建てになっている。

 

※実際には敷地内に他にもいくつか建物が存在するが、紹介しきれないので今回はザ・宮殿的なこの3棟のみを紹介する。

 

 

詳しい間取りを見ていこう。

 

B. 間取り

 

 

まずは母屋部分である。

ノイシュバンシュタイン城同様、複数ソースを参照しており、必ずしも現在の完全な間取りを再現していないことはご了承いただきたい。

 

記録によると、1階には王太子や王女が暮らし、2階に王と王妃が暮らしていた。

2階の中央に位置するのが王の寝室で、王が寝起きする際には毎日「起床の儀式」「入眠の儀式」があったという。側近の「陛下、お時間でございます」の一言で、毎日7:30頃に起きていたらしい。最近リモートワークで気が緩んでいるせいか、起床時間がズルズル遅くなってしまっているので、ぜひ起床の儀式でスッキリ起こしてほしいものだ。

 

2階最奥には、有名な鏡の間がある。

宮殿内屈指の広さで、ここだけでおよそ420畳。テニスコートが三面敷ける。

上が北翼、下が南翼だ。

 

とりわけ目を引くのは、北翼にある礼拝堂やオペラ劇場など実用的な施設だが、ここでは両翼の3階に触れたい。

画像を見ていただければわかるように、3階だけ異様に入り組んでいる。実はここ、3階というより屋根裏に近いスペースで、宮廷貴族(宮廷に仕えて、国王からお金をもらって過ごす貴族)たちが住んでいた場所だ。

かなり劣悪な環境だったようだが、当時の貴族たちにとってヴェルサイユ宮殿に住むことはある種のステータスだったらしい。今で言う湾岸のタワマン的なイメージだろうか。(タワマンが”劣悪な環境”という意味ではない)

当時の貴族はもしかしたら、「俺、ヴェルサイユ宮殿住んでるけど、来る?」と女性をナンパし、狭い部屋を見て絶句されていたのかもしれない。

 

 

C. チェックポイント

 

ここまで見てきた通り、ヴェルサイユ宮殿は王とその家族、親戚たち、貴族たちなど大勢が過ごした街のような場所である。

生活していくうえで必要な施設はあらかた揃っていたと考えられるだろう。

 

ただ、華々しい暮らしの裏には、いつだって苦しんだ人たちがいる。

ヴェルサイユ宮殿の建設工事は過酷を極めたという。建設には20年以上の歳月がかかり、無茶な工事でかなりの人数の工夫が作業中に命を落とした。

また、鏡の間を設計・建設した技師たちは、当時先端だったベニスの加工技術を外部に漏らした罪を問われ、完成後に殺害されたらしい。

 

壮麗に見えるヴェルサイユ宮殿だが、ここで多くの命が失われたのだ。

 

つまり……

 

 

 

訳アリ物件。事故物件である。

 

結論

さて、ここで最初に抱いた「城って住みやすいの?」という疑問の答えを出したい。

 

ここまで見てきた3つの建物からわかったことを、いくつか紹介する。

 

 

■わかったことその①

戦時の要塞として作られているためだったり、建設当時と現在で政治・経済の中心地が異なっているためだったりと、様々な理由で城はアクセスの悪い場所にある。

かつては国家の中心であり、現在は世界遺産として観光の中心になっているヴェルサイユ宮殿は少ない例外といえよう。

 

もし城に住むとなったら、リモートワークができる仕事を選ぶことは必須だろうし、買い物に行く頻度も下がることになるだろう。でも安心してほしい。広大なキッチンに、巨大な冷蔵庫を置けば問題ない。

 

■わかったことその②

得てして城という場所では、戦争や為政者のわがままによって多くの死者が出ている。

冒頭で紹介した「ドラえもん」のエピソードでも、実は幽霊騒ぎがお話しのメインになっている。「城」と「幽霊」は切っても切れない存在なようだ。

城で暮らしたいのであれば、事前にお祓いをしておくことをおすすめする。

 

■わかったことその③

最後にこれだ。

「ドラえもん」において、のび太の母は「掃除が終わらない」と城に住むことを諦めていたが、現実世界でもひとりで城を清潔に保つのはほぼ無理である。

やはり城に住むということは、すなわち多くの使用人と暮らすことと同義なのだ。

しかし現代では「使用人」という概念もあまり一般的ではない。今風な解釈を入れると、多くのルームメイトとシェアハウスをするという方がイメージしやすいかもしれない。ただ100人でルームシェアとなったら、それはもう城っぽいマンションである。

 

 

 

というわけで、本当に城に住みたい方は、

・3億円以上で城を購入する

ことに加え、

・使用人を大勢雇えるだけの財力が必要

ということを覚えておいていただきたい。

 

 

僕はどっちも無理なので、

 

 

 

バーチャル背景で満足しておくことにする。

 

 

ありがとうございました。

(加味條)