76. 作業用BGM
●バーっぽいジャズが流れる作業用BGM動画を流しながら受験勉強していた。行ったこともないのに「マスター、ブルームーンを」とか書き込んでいた。
「豆を変えたね」とか書き込む中学生。
77. ミームの発信源になってしまう
●私には熊の物真似がめちゃくちゃに上手な友達がいます。その友達とキャンプに行った時、なんとなくカメラを回していたら「熊が出た!」みたいな、クソみたいな動画を撮ることになりました。
熊の物真似をした友達が追いかけてくる、というただの内輪の茶番動画に過ぎないのですが、いざ撮影する時に私が転んでしまい、振り向くとゼロ距離に熊の物真似をした友達がおり、私が大笑いしながら逃げると追いかけてきた友達が木の根に躓き、川に顔面から飛び込むスーパーオモロ映像が誕生。しかし再生すると、音がミョワミョワミョワ、みたいな変な音にすり替わっていて、さらにカメラも色彩がバグって全編サーモグラフィーみたいになってしまい、散々でした。
しかし私は、奇を衒ったタイトルでニコニコにアップしてしまいます。ある日突然再生数が増え、気づいたら20万再生を迎えていました。なんのこっちゃと思ってみると、タグに「検索してはいけない動画」と書かれていたのです。
何故?と思いましたが、内容を改めて見ると、いきなりカメラが横になり、ゼロ距離で牙を剥いた人間が鬼の形相で襲いかかり、逃げ出した果てに赤色の謎の液体に飛び込み、変な音が終始鳴り続ける、ヤバさを取り揃えた只のマイクラがそこにはありました。私自身気味が悪くなってその動画は消したのですが、今でもそのタイトルを検索するとニコニコの転載動画が出てきます。
wikiによると危険度は6だそうです。
笑い話っぽいけど現象そのものは怪奇なことが起こってませんか?
78. ニコニコきっかけの友だちができる
●新しく友達が出来るとまずオススメの動画を5個くらい教え合うことで「どれくらい趣味が合うか」のジャブを打つ文化がありました。
URLをコピペして共有するという発想がなぜかなく、面白い動画を見つけるとタイトルやタグを紙に書いて共有していました。
そのジャブを打つ感じ、めちゃくちゃわかります。
●中3の夏休み、同じ塾に通っている友達の家で「ゆめにっき」のプレイ動画か「空耳テニス」(テニスの王子様のミュージカル動画)を観ながらアイスを食べて、それから塾に行くのが恒例の遊びになってました。「ゆめにっき」のプレイ動画には主人公キャラになりきったようなセリフ調のコメントがついていて、その中でも「汚い…空ね…」というコメントを気に入っており、体育の時間や下校時になるべくカッコいい表情で「汚い…空ね…」呟くというブームが2人だけの間でしばらく続きました。
あまりの「狭い友情」に胸がギュッとなった。
79. ニコニコきっかけの恋人ができる
●当時中学3年生、今まで同じクラスだけど話すことはない男子とニコニコ動画を知っていることをきっかけに仲良くなりました。陽キャグループに所属していた彼の中で、ニコ厨の女子は新鮮だったようで、のちに告白をされて付き合うことになりました。それが人生で初めての彼氏です。
その彼と授業中こっそりと、PSPに保存しているお気に入りの動画を見るというのが当時の楽しみでした。窓際の前後の席で、彼が机の下にPSPを隠し持って体をずらし、わたしが覗き込むような形で2人で画面を見ていました。
良すぎる……。
80. あこがれのプレミアム会員
ニコニコの有料会員「プレミアム」は、学生にとってはなかなか手の届きにくい憧れの立場。
●受験の時期に人気の生放送を見るためにプレミアム登録をしたく、親と交渉して盛大にキレられたことがある。
このような報告が相次いでいます。
●中1の頃、親のクレジットカードでプレミアム会員になり、まだ無名のゲーム実況者のニコニコ大百科ページを作って動画内で感謝されることに喜びを感じていた。
初めての社会貢献かもしれないですね。
81. 携帯版アプリで連打する謎の仕組み
●ガラケー時代、ニコニコ動画がFLASHでしか見られなくて、キーを連打し続けないと動画を再生しないといけなかったので親指の感覚が無くなるまで連打していた。
auユーザーが経験した謎のこの仕様。「今でも思い出すと腹が立つ」と、痺れる親指の感触を思い出す人もいました。
82. 本編を観たことはないが知っている
●ランキングに上がったMADを繰り返し見ているせいで本編見てないのに歌詞を覚えてしまうアニソンがある
「本編は見てないがMADのネタにされる珍シーンだけは知ってる」という、ファンとの間に波風を立てる状況も。
83. プレイしたことはないけど知っている
●マインクラフトをプレイしたことはないのに道具の作り方は全部知っていた
今でも話題にのぼる「エアプ勢」が本格的に登場したのはニコニコの隆盛と同時だったかもしれません。ぜんぜん世代じゃないメガドライブのゲームに詳しい中学生とかがいっぱいいた。
84. 生放送中に親が来る
いわゆる「親フラ」です。
●宿題やる放送とかをリビングでして、当然のごとく親フラ本名バレをしました。弱小生主だったので記録は残っていないでしょう。恐らく。
「親フラは死よりも怖かった」という声も。
●親フラハプニングを起こせば有名になれると思っていたので、自分で母親の声真似をして「〇〇!ゲームやめなさい!」と言っていました。
たくましい奴だな。
85. 東方との出会い
「東方Project」は、今なお人気のあるシューティングゲームから派生した一大ジャンルです。
●小学校高学年から中学にかけて、友達と東方projectのクリアファイルを集めて「こんなに可愛いイラストのクリアファイル使ってんだぜ」って陽キャに(あくまで心の中で)マウントをとってました
●東方系シューティングゲームの敵キャラの動き方がかっこいいと思って真似していた(それ気持ち悪いよ、と学校の友達に指摘されてからやめた)
敵キャラの動きの真似をするやつはあんまりいないと思う。
86. アイマスとの出会い
「THE IDOLM@STER」もまた、ニコニコに投稿された動画をきっかけに爆発的な人気を巻き起こしました。
●アイドルマスターのMADを1日20個くらい見ていた
リアルな多さ。
●「オタクはアイマスか東方か初音ミクに帰結する」みたいな持論をふりかざしていた
果たしてこの仮説は正しかったのか。
87. テニスのミュージカル動画から本格的にハマる
●はじめはみな「空耳の面白さ」で観ていた動画でしたが、いつの間にか友人たちは本気で舞台俳優さんのファンになり、ミュージカルを観に行くまでになっていきました。私はそちらにはあまり興味がなかったので、だんだんテニミュに求めるものが「おもしろ」と「かっこよさ」で私と友人達との間に溝ができていってしまったのが少し寂しかったですね。
卒業してからはほとんど会うこともなくなってしまいましたが、今でも舞台を観にあちこち行っているようです。私は一人カラオケで、たまに「大石の照り鳥」を歌いながら、高校時代を思い出したりしています。
「空耳が面白い派」との間に埋まることのない溝を感じた、そんなささやかな別離の思い出。
88. 「ニコニコしようぜ!」
流れがサツバツとしてきたときに誰かが言う「ニコニコしようぜ!」はニコニコの良心を体現しているかのようでした。
●2007年ごろだったと思いますが、家庭教師ヒットマンREBORNの雲雀恭弥という役を演じていた声優さんが好きで、その方が歌っている別作品のマイナーな子供向けのアニメの主題歌がニコ動にまるまる上がっていたので、それを聞いていたときのことです。
途中で「雲雀の声のほうが全然いい」というコメントが流れてきました。当時中1だった私は否定的な意見は全て受け付けない感じでやっていたので、「いや全然最高だろ」と反論のコメントをしました。
次の日にその動画を見ると否定的なコメントと私のコメントが流れたすぐ後に「ニコニコしようぜ!」というコメントが流れ、なんだか自分がすごく恥ずかしくなりました。
今思うと、マジでニコニコしようぜ!って言われたことあるな…と不思議な気持ちになります。
道徳の教科書に載せよう。
89. 「耳が孕む」
いわゆるイケボへの歓声コメントで頻発したワード。
●よく覚えているコメントは男性歌い手に対しての「耳が孕む」です。自分がコメントしていたわけではないですが、男性歌い手大半の動画に着いていたコメントだったと思います。
わたしは屈折した中高生だったので
「孕むコメキショwww」「ボカロ原曲が一番だろ歌い手は滅びろ」「歌い手ってハイエナじゃん?」とかコメントしてました。
今は投稿者さんにはマジで申し訳ないな……と思っています。
今考えると思春期に入ったくらいに「孕む」みたいなワードを言えてしまう感じへのあこがれもあったのかもしれない。
90. 「0秒コメントやめろ」
当時「ニコニコは動画開始時点でコメントすると重くなる」という風説が流れていました。事実ではないらしい。
●0秒コメしないでください!に反抗して0秒時点から弾幕張ってた
だからってそんなことをするな。
91. 「他の歌い手の名前出すな」
歌い手界隈はそれぞれ違うファン層を抱え、さらに原曲がVOCALOIDだったりすると文化圏が違うことも。その動画に関係していない人の名前を出すのはマナー違反として忌避されていました。
●「〇〇(実況者や歌い手、生主)から来ました〜」コメントと「←名前出すな」という自治コメ。現在YouTubeでもたびたびそういったコメント合戦が繰り広げられているので、歴史は繰り返しているんだな〜と思います。
「原曲より良い」と書くと100%荒れます。
92. 「8888888888」
「パチパチパチ」という拍手を示すコメント。
●父親と一緒に、夜中にニコ生を見ていた思い出があります。「うぽつ」「888888」等のお約束のコメントも父から教わりました。未だにこのコメ打つ時思い出します。
少年漫画の主人公の幼少期みたいだな。
93. 「うぽつ」「わこつ」「はばでぃ」…謎の言葉に戸惑う
「うぽつ」→Upおつかれ。
「わこつ」→生放送の枠取りおつかれ。
「はばでぃ」→Have a nice day.
●休みの日、暇だったので「歌ってみた」でタグ検索かけて投稿日時が新しい順にして片っ端から「うぽつ」コメを打ってたことがある
ここに病院を建てよう
94. 妙な勘違いをしてしまう
●「うぽつ」がエッチな言葉だと思っており、動画の冒頭部分だけ飛ばしていた。
なんでそう思ったのか謎。
●小5の時にお絵描き掲示板でVOCALOIDの存在を知り、初めて聞いた歌がニコニコに投稿されていた鏡音レンの鳥の詩のカバーだった。ボカロというコンテンツの得体の知れなさから、自室のPCで自分にもギリギリ聞こえるくらいの音量で恐る恐る聞き、すぐ怖くなってブラウザバックしたような気がする。
何をそんなに恐れていたのか今ではさっぱり分からない。もしかしたらエッチなものだと思っていたのかも。
なんとなくわかるような気がする感覚です。
95. 不登校の友
●中学3年間ほぼ不登校で同じく不登校のニコ生主(リア友ではない)と仲良くなり、その人の放送に出たり毎日Skypeで長時間の通話(余裕で7時間とか)をしたりしてた。
学校に気を許せる相手がいなかったときの心の支えだったという人も。
●忍道戒の実況動画にハマりすぎて寝不足からの不登校になりました。
きっかけにもなる。
96. ニコニコ時代から知ってるクリエイターへの謎の親目線
元ニコニコ動画投稿者の有名人(米津玄師・ヒャダイン・ヒトリエ…etc.)のアマチュア時代からファンだったという人は複雑な感情を抱えているようです。
●ヒャダインがまだ名もなきニコ動活動始めの頃、色々なゲームの音楽に歌詞を載せて歌っていたのを何度も何度も聞いていた。天才だと思っていたらすごく有名になってしまった。
●ハチこと米津玄師氏の動画を黎明期に見ていたために勝手に今鼻が高くなっています。CDを買いにいったときに「背が高かった!」と学校で言ったら英雄になりました。
「背が高かった!」って、なんか昭和のエピソードっぽくていいなあ。
97. 創作に目覚める
「自分でもできるかもしれない」という初期衝動に火がついた人も多数!
●γ世代の人間です。
高校生の時、好きなマンガの手書きMADを作って投稿していました。(タイトルは検索避けのためにスラッシュやドットを入れたり…)
高校生の放課後なんて、みんなでどこかに行って遊んだりすればよかったのに、すぐに帰って動画制作の日々でした。
アップした動画は荒れて消してしまったものもありますが、未だにもったいなくて残しているものもあります。
あの頃の気力や熱がすごいな~と。
黒歴史という人もいますがその頃の熱意は完全に本物。
●/が沢山入っている腐女子の動画を見て腐女子になり、全文ひらがなの創作小説を掲示板に投稿して掲示板の人に優しくされた
かわいい。
98. そのときの趣味が仕事になった
●そんなこんなで今、株式会社ドワンゴに勤めています。
偉い!!! 星井美希にガチ恋していたそうです。
99. 今でも現役で楽しんでいる
●今でも週一でニコニコ動画にアクセスしてしまいます 自分が怖いです
●思春期にハマった趣味は一生のものになるとよく耳にしますが、僕も例に漏れることはなく、今でもニコ動のいち投稿者、いち視聴者としてニコニコ動画を楽しんでいます。
●視聴者と一体となり動画を作り上げていく感覚が新鮮だった。今でも一緒にコメントが流れないと物足りない。みんなの遊び場って感じが好き
案外、過去と今は地続き。私もいまだにマリオがすごい速さでステージクリアする動画とか観てます。
100. これからもがんばってほしい
●ずっと歩んできたニコニコが最近廃れてきて悲しいけどもこれからも頑張ってほしいですね
●僕は未だにニコニコ動画が好きです。なくても良いけど、あった方が良いから続いてほしいです。だから、昔から観ている人が「ニコニコはオワコン」「運営はクソ」と言っているのを見ると悲しいです。
それはニコニコ特有の自己否定的な様式美であるかのようにも思えるので僕が「わかってない」だけかもしれません。でも、素直に寂しいなと思います。思春期から観ていて、段々とニコニコがゆるくゆるく死へと向かっているような感じがして、最近上記のようなことを思います。また以前のようにアングラ文化へと戻るくらいで止まってほしいなと思います。
いろいろな黒歴史とともにあり、内容も決してクリーンとは言い難く、他の動画サイトに押されているニコニコ動画。
ですが「あの体験は唯一無二だった」という気持ちをニコニコに抱いている人々がたくさんいます。
それではこれからも…
Have a nice
niconico.