中世ヨーロッパでどんな職業につくべき?

その世界で生きていくからには手に職がいると思うんですけど、自分みたいな無能力者でも生きていけるような仕事ってありますかね? それとも、やっぱり死……?

案外、仕事は見つかるんじゃないかな? と思ってます。中世は分業社会だったので「粉をひく」と決まったら粉を一生ひきつづけてました。みんなに複合的な技能が求められる現代に比べたら、ある意味で楽ではあるんじゃないかなと。

住民票が要るわけでもないし。どこか集落のコミュニティに潜り込んで労働力として認めてもらえるかどうか、仲間に好かれるかどうかが全てですね。

ホストとかキャバ嬢とか、人の懐に潜り込むのが得意な人はどの時代でも生きていけるかも……。

うまいこと馴染んで、村から一生出ずに粉をひきつづけるわけですね! なるほど! ……物語にはなんないな!

 

 

例外としては、12世紀頃のイングランドでは「ドゥームズデイ・ブック」という土地台帳で住民の税金を管理していました。これは当時にしては画期的で……それにしても「ドゥームズデイ・ブック」って名前、すごくかっこよくないですか? 高校のときに知って以来「語感かっこいいな~!」と思ってて!

わかる……。

わかるんだ。

 

もう少し目立ちたいのであれば「数学」スキルで無双するというのはどうですか?

数学?

 

事前に数学を猛烈に勉強しておいて、まだ発見されてない定理を小出しに発表するんです。当時でも数学は宗教研究の一環として知識層が関心を持っていたので、すぐ目に留まるでしょう。工学や天文学に応用できるし、重宝されるはずです。

数字は嘘つかないから正しさも証明できるし良いですね! 粉をひく一生よりいい暮らしができそう。どれくらい勉強しておけばいいんですかね?

東大合格レベルでは、ぜんぜん足りないですね。大学院レベル以上の数理科学がきちんと頭に入ってないと、同じ時代の頭のいい人に追い抜かれちゃうと思います。

13世紀にフィボナッチがアラビア数字(1,2,3,4,5…)をヨーロッパに導入するまでは、計算はローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ…)でやっていたから、ローマ数字で計算できないといけませんね。

あと、当時の宗教観に合わせて空気を読んだ発見をしないと。地動説を前提にして天文学をやると吊るし上げられます。

なるほど、私には無理だ!

 

 

奴隷になれたらよかったんですけどそういう時代でもないですしねえ。

よくないですよ!?

まあ、よくはないですが、いわゆる職業としての「奴隷」が成立する時代は比較的豊かなんです。奴隷の生活費を保証できてやっと成り立つものなので。中世は後期に入るまでどこも貧乏で、奴隷がシステムとして成立しないほうが多かったんですよ。

じゃあ闘技場で猛獣と戦わされたりする心配はないんですか!?

いやーないない(笑)そんな贅沢な育成バトルする余裕、中世ではほとんどないですから。そういうのをやってたのはローマ時代ですね。

 


『失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~』(原作:進行諸島/ 漫画:彭傑(Friendly Land)/キャラクター原案:風花風花)

逆にたくさんいた貧者といえば「農奴(のうど)」で、彼らはずっと同じ土地で農業をさせられて、出来高のほとんどを領主に取られていました。過労で死んでもほったらかしです。

ある意味、奴隷より悲惨な立場ですね……。

 

 

体力に自信がまったくないので、おもしろい話をして生活費を稼ぐっていうのはどうですか?

いいですね。つまり「吟遊詩人」ですね。

吟遊詩人ってミュージシャンみたいな仕事じゃないんですか? っていうかフィクションだと思ってた…

 

音楽にのせて詩や歴史物語を語るほか、遠方のニュースを伝えるジャーナリストとしての側面もあったようですよ。昔の人は情報に飢えていたので。

ちなみにどんなおもしろい話を?

やっぱり現代人の強みっていろんなマンガとか映画を知ってることだと思うんですよ。だから『ハガレン』とかのおもしろいマンガのストーリーをパクって喋ったらウケるんじゃないかと。

……。

……まあ、時代に合わせてストーリーをアレンジすれば、いけるかも……?

「勧善懲悪」の話は古今東西でウケるので「電車でマナーの悪い若者を子どもが論破した」みたいな痛快エピソードでウケようと思います。

それでいいんですか?

 

全部間違ってるんだから大丈夫!

お話を伺っていたら、現代人が中世風ファンタジー世界でチートしまくってるのがなんだか申し訳なくなってきました……。

いやいや、あくまで「中世”風”ファンタジー」なんだから自由でいいと思いますよ! そもそもフィクションの中世なんて全部間違ってるんだから(笑)

考証は、リアルにやればやろうとするほど物語が一歩も進まなくなりますからね。

そう。だから僕は日本の「なんでもあり中世ファンタジー」という概念は偉大だと思っています。ヨーロッパが馴染みのない地域であるぶん、考証のことを考えず「とにかく面白ければなんでもいい」という発想で創作できるのは日本の強みなんじゃないかと。

でも間違いを指摘してくる人がいるかもしれないですよね。

作品内で整合性が取れていればいいと思います。「弓兵なのに最前線で戦っている」とか、「大砲がある世界なのに高くて薄い壁で町を守っている」といった描写は、それ単体で気になってしまう人もいるかもしれないですが、書き手がどこをリアルに表現したいかが定まっていればそれでいい。

読むときも、設定のあら探しをするよりは「そういう世界になった理由」を考えるほうが楽しいんじゃないでしょうか。

 


『装備枠ゼロの最強剣士 でも、呪いの装備(可愛い)なら9999個つけ放題』(原作:坂木持丸/作画:鷹嶋大輔/キャラクター原案:ゆのひと)

 

たとえば中世ヨーロッパでは「ガラス」が大変な高級品だったのですが、ファンタジー作品では一般庶民の家にも窓ガラスがはめ込んであったりしますよね。こういうとき「それはおかしい!」と言うより「この世界では石英が豊富なのかもしれない」と合理的に考えてみるほうがストーリーに厚みが出てくると思います。

創作ではおもしろいものが正義なので、考証で怖気づくことはないですよ。

 

 

なるほど……。ではもう現実の世界史とか気にしないでガンガンチートしまくろうと思います!

それはそれとして世界史は勉強してください。

 

異世界マンガといえば…

さて、中世ファンタジーといえば、スクウェア・エニックスが贈るマンガアプリ『マンガUP!』をご存知でしょうか?

 

 

『ゴブリンスレイヤー』『薬屋のひとりごと』『ばらかもん』『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章 〜紋章を継ぐ者達へ〜』…など、スクエニ発の大人気コミックが多数掲載されているほか、

 

■転生賢者の異世界ライフ ~第二の職業を得て、世界最強になりました~

 

■失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~

 

■装備枠ゼロの最強剣士 でも、呪いの装備(可愛い)なら9999個つけ放題

 

■俺はまだ、本気を出していない

 

……などなど、ファンタジー世界を舞台にしたコミカライズ作品が盛りだくさん。異世界ってめちゃくちゃあるな。

ファンタジー作品以外も名作&新作を合わせて300作品以上の大ボリュームなので、暇つぶしに最適です。

 

 

基本無料でいろいろ読めますので、この機会にDLしてみてはいかがでしょうか。

 

↓『マンガUP!』のダウンロードはこちらから↓

 

 

 

 

 

お話を参考に、私も「中世ヨーロッパに転移しても生きていける準備」をしてみました。

 

 

 

怪しまれて迫害される気しかしません。さようなら。

 


『マンガUP!』好評配信中!

 

©yosshaa! / SB Creative Corp. キャラクター原案:こるせ ©Ralsan/SQUARE ENIX
©SHU 2018 Licensed by KADOKAWA CORPORATION ©Kayaharuka/SQUARE ENIX
©Shinkoshoto / SB Creative Corp.キャラクター原案:風花風花 ©Friendly Land/SQUARE ENIX
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©TSUTOMU SATO ©Tsuna Kitaumi, Fumino Hayashi/SQUARE ENIX Licensed by KADOKAWA CORPORATION 
©Fujino Omori / SB Creative Corp.  イラスト:ヤスダスズヒト
©三木なずな・さくらねこ/集英社ダッシュエックス文庫 ©Rikitake/SQUARE ENIX
©Mochimaru Sakaki, Yunohito 2019Licensed by KADOKAWA CORPORATION ©Daisuke Takashima / SQUARE ENIX