漫画化して気づいたこと6選

芸人さんのネタを漫画にする中でいろいろと気づいた点がありました。

一番は「すでに面白いネタに手を加えるプレッシャーがえぐい」なのですが、それ以外にも「意外とここ難しいんだ」という発見があったので以下6つ挙げておきます。

 

読者の皆さんも、芸人さんのネタを漫画化する際は参考にしてください。

 

1.言い方の面白さが伝わらない

セリフは全部文字になるので「そりゃそうだろう」という感じですが、ボケだけではなくツッコミのセリフですら文字にすると「あれ〜? なんか違う…」となってしまうんです。

言い方だけでなく、ツッコミをいれるタイミングとかテンポとか、細かなニュアンスが失われるからなのでしょうか。

 

あと劇中の「めっちゃええ答え持ってるやん」という大事なワードも、漫画にすると「あれ〜? なんか違う…」となってしまいます。

原作コントではこのセリフだけでクスクス笑いがきてたのですが、漫画で再現するには難しいポイントでした。

コントの面白さってボケとツッコミで成り立っていると思っていましたが、こういう細かい台詞回しも隠し味のように効いてくるんですね。

 

 

2.漫画での関西弁には理由が必要

男性ブランコさんはお二人とも関西弁。漫画もそれにならって関西弁にしましたが、な〜んか違う。

 

漫画のキャラが関西弁を使うときって何かしら必然性がある場合が多い気がします。「関西弁」というのがそのキャラの個性の一つになっているというか、関西弁である意味があるというか。

そのため、原作コントのようなごく自然な関西弁は、漫画にすると「なぜ関西弁なの?」という空気が流れるような気がします。

 

 

3.音響照明の演出が再現できない

原作のコントでは、山場のシーンで照明が変わったり、BGMで盛り上げたりという演出がありましたが、当然漫画ではこれが使えません。

普段なんとなく見てるコントですが、実は「コントならではの演出」っていっぱいあるんだなと再確認しました。

 

他にも、「あの雲、ソフトクリームやろ?」という場面もコントなら見る人のイメージに委ねられるのですが、漫画ではそれをちゃんと描く必要がありました。

描くのがめんどくさいというワケではなく、なんか過剰演出に見えてくるんです。なんか「そこにないものをイメージさせるからいいのに…」と思いませんか?

 

 

4.女装じゃなくて女性になる

コントでは男性ブランコ平井さんがマチコちゃん役のために女装してますが、漫画では普通の女の子になりました。

 

「何を当たり前のことを」と思われるかもしれませんが、なんかすごくもったいないことをしちゃった気がします。

劇場では、コントが始まった瞬間に女装でクスクス笑いが起こって、いつの間にか違和感がなくなり、しまいにはまんまと感動させられていました。

こういったコントが持つ「いつの間にか虚構に引き込んでいる」パワーって本当にすごいと思うのですが、漫画には反映できませんでした。

 

 

5.漫画のキャラは目を見て話す

男性ブランコさんにお話をお伺いしたところ「兄ちゃんが実は死んでいる」というフリのために、マチコちゃんはお兄ちゃんと視線を合わせないという演出をされているそうです。

打ち合わせの際にそれを聞き「そういうのカッコいいから漫画でもやりたい!!!!」と思っていたのですが、これが漫画になるとすごく不自然に見えるんです。

 

なんか目を見ないと妙に卑屈なキャラに見えませんか?

描いてみるまで分からなかったのですが、「目を見て話す」って漫画の世界では当たり前なんですね。現実世界だけだと思ってた。

 

 

6.オチをどうやって漫画にするか

これはもう諦めました。

元ネタの動画をご覧になるとわかると思うのですが、衝撃のオチとは「実はお兄ちゃんが死んでいる」ではなく、あの暗転前の展開のことです。劇場で見たときはめちゃくちゃ笑ったのですが、漫画化することは無理でした。

 

こんな話じゃないのに。

 

 

 

総じて言えるのは「コントってすげえな」「漫画って難しいな」ということでした。

改めて、男性ブランコさんありがとうございました!