2017年1月1日、小林賢太郎と片桐仁で成るコントグループ「ラーメンズ」の、映像ソフト化されている13公演100本のコントがすべてYouTubeで無料配信開始されました。
ラーメンズのコントをYouTubeにアップします―小林賢太郎のしごと
視聴による広告収益はすべて日本赤十字社を通じ、各地での災害の復興に役立てられるそうです。
ラーメンズのコントは観劇に行くほど好きだったので、こうして誰でも合法的に見られる機会が与えられたのは本当に嬉しいです。ですが、これだけ数があると初見の人はどれを観ればいいか迷ってしまいそう。
そこで、公開されている第5回公演~17回公演から、各1公演ずつのお薦め作品を13作ご紹介します!
第5回公演『home』
「映画好きのふたり」
詰め込まれた小芝居が楽しいコント。映画好きなら頷いてしまうあるあるネタが満載です。
第6回公演『FLAT』
「ドーデスという男」
「ドーデス」としか喋らない謎の男「ドーデス」と過ごす男の話。片桐仁の怪演と、不可解な設定の背景に漂う不穏な空気が独特です。
第7回公演『news』
「読書対決 news篇」
「読書で対決する」というよくわからない試合風景を描いたコント。第5回公演『home』でも同様の設定のコントがあります。
第8回公演『椿』
「日本語学校アメリカン」
「千葉滋賀佐賀」のFlash動画で有名になった「日本語学校」シリーズのアメリカ篇。アメリカ人が日本の歴史を学ぶのですが……思わず真似したくなるフレーズが無数に飛び出します。
ちなみに「千葉滋賀佐賀」の含まれているコントは今回のYouTube公開分にはありませんが、CD『新日本語学校』に収録されています。
第9回公演『鯨』
「count」
ラーメンズのいわゆる「アートっぽい」イメージはこういうコントから来ているのかも。「数える」という形式をあらゆる発想で表現する、言葉遊び的なコント。
第10回公演『雀』
「プレオープン」
「あのランド」の「あのアトラクション」を完全再現? したコント。悪意満載です。
第11回公演『CHERRY BLOSSOM FRONT 345』
「怪傑ギリジン」
片桐仁が演じる代表的なキャラクターが「怪傑ギリジン」です。「2人コントなのに片方が何もしない」という斬新な演出。
第12回公演『ATOM』
「採集」
ラーメンズは小道具や大道具をほとんど使いません。それによって逆に掻き立てられる観客の想像力が恐ろしいところへといざなわれる傑作。
第13回公演『CLASSIC』
「バニーボーイ」
片桐仁の「怪傑ギリジン」と対をなすかのような、小林賢太郎の「バニーボーイ」。徹底的に成立しないコミュニケーションのもどかしさ。
『CLASSIC』はまるごと「帝王閣ホテル」で起こった出来事を描いている連作性の強い公演なので、できれば通しで見てほしいです。
第14回公演『STUDY』
「QA」
舞台にいるのは片桐仁のみ。質問と回答と問題と答え。
第15回公演『ALICE』
「イモムシ」
珍しく小道具を使った作品。いや、むしろ第三の出演者かもしれません。それにしてもこれはどんな競技なのか。
第16回公演『TEXT』
「不透明な会話」
「透明人間はいるのかいないのか?」という議論が脱線しまくって進んでいく屁理屈の純粋培養。これを観たらこの後のコント「条例」も観たい。
第17回公演『TOWER』
「シャンパンタワーとあやとりとロールケーキ」
「無いものがあるかのように見える」という、パントマイムの面白さが全面に出た作品。生で公演を観たときは2人の精密なパフォーマンスに感嘆したのを覚えています。
公演を観に行こう
以上、13作品を紹介しました。どれも単体で面白いですが、公演ごとにテーマがあり、順番に見ていくことで分かる伏線などもあります。最初から順番に見ていくのもおすすめです。
しかし、なにより、劇場に観に行くのが一番の楽しみ方。ラーメンズの活動自体は2009年の『TOWER』を最後に休止していますが、作・演出を手がける小林賢太郎は毎年、演劇やコントで全国を回っています。
今年もきっと新しい舞台の告知があるはず。劇場でしか味わえない、目の前で生身の人間が演じる面白さをぜひこの機会に知ってみてください。