14:00 キリン

隣のキリンに移動した。

デカい。すごくデカい。

 

「すごいなあ、こういう生き物が普通にいるんだもんなあ」

「キリンいいですよね」

「明の永楽帝が、献上されたキリン見て『伝説の瑞獣だ』って言ったらしいけどなんかわかるなあ。オーラがある」

「くわしい」

 

「そしてこの左下取れれば、下の列ってわりと楽にいけると思うのよ」

「確かに。でも言いますかね今更こんな」

「終わってる彼氏とかが言うかなと思って入れたけど、さっきカバのとこで気付いたけど親が子供に豆知識教えるパターンがある」

「あー! たしかに。それならあるかも」

 

 

JK「キリンいる! かわいー

 

こども「きりん?」
ママ「キリン。」

 

おじさん「金網食ってら、ハハハ」
おくさん「違うわよそこに葉っぱあるのよ」
おじさん「なんだ高いとこ葉っぱあるのか。その為の首だもんな」

 

「……今のってあり?」

「……まあ」

 

「よし、いい感じだ。次は右下を取りたい」

「動かない動物……パンダですかね?

「動くだろアイツ。行くなら爬虫類だろ」

 

 

14:30 爬虫類館

爬虫類館にやってきた。寒かったので、室内が温かいのが嬉しい。湿気がスゴいが、獣臭みたいなのはしないので過ごしやすい。

ちなみにパンダの帽子をかぶっていたが、すれ違った小学生達に「バカパンダ!」と言われ心が折れたので帽子は外した。

 

動かなそうなヘビの展示も始まっていて幸先がいい。

 

暖かくて過ごしやすく、ちょうど「秘密のレプタイルズ」って言う純愛に胸がキュンキュンする爬虫類漫画を読んだばっかりだったのですごく楽しめた。ゆっくりと2周した。

 

完全に動かない奴がいたので、そいつの前でしばらく張っていた。コイツは精巧な置物でも成立すると思う。

色んな人が思い思いに発言していた。動物園で人は喋るのだ。

 

JK「みんな動かない!
JK2「頑張ってほしいわ」

 

おじさん「だから俺は『キムさん、それじゃ不老不死ですよ』って言ってやったんだよ」

 

カエルを見てた男子高校生「カエルまじ癒やされる、ほんといいから、マジで」

 

さっきのおじさん「『それでもみんな生きてるんですよ!』って慌てちゃってさ」

 

 

 

リーチ!

「おじさんが気になって集中出来なかった」

「あとは見つけにくい動物を選べば取れるか……あっ! 夜の森ってのがある!」

 

 

「夜の森、これでしょ。東園だからめっちゃ歩くけど。暗闇では見つけにくいはず」

「ところでパンダの赤ちゃんって見ないんですか?」

「パンダは明るい場所にいるからすぐ見つかるだろ。いい加減にしろ」

「パンダ見たい……」

 

 

 

残り時間も少ない。速やかに移動しなくてはいけない。

あとは見つけにくい動物を取れれば勝ちなのだ。

 

 

速やかに無駄なく移動……するはずだったのだが

「ペンギンってかわいいね。さっき急かしてごめんね」

「いいんですよ。ペンギンかわいいですよね」

 

急いでいたのに立ち止まってしまった。

ペンギンの前では人は優しくなれる。動物の効果ってこういうのもあるのかもしれない。

 

「あれ? ここいいな」

「何かありました?」

「ペンギンの近くに小獣館ってのがある。見つけにくいのいるかもしれない」

 

 

15:15 小獣館

「おっ、ハダカデバネズミいるぞ」

「なんですかそれ? ……うわぁっ!!!

 

 

「なんなんすかこれ!! 気持ち悪い!!」

「俺も何度見ても慣れない」

 

 

そこに制服の中学生集団がやってきた。ハダカデバネズミを見てギャーギャー騒いでた。

 

「なにこれー? 美味しs……じゃない! 超キモい! ネズミだ!」
「わー! えー!」
「なにこれ? 巣がこうなってるの?」
「ウチハムスター飼ってるけど生まれたてこんなんだった」
「そうなの? てかこれ高橋に似てない?

 

 

「「「似てるー!」」」

 

 

高橋は超かわいそうなんだけど2つ進んだ。ダブルリーチになった。ありがとう高橋。

 

小獣館を後にし、夜の森へ進む。

 

「あの橋を登れる気がしない。モノレール(200円)を使おう」

「そうしましょう」

 

西園と東園を繋ぐ「いそっぷ橋」は、その可愛い名前からは想像出来ないくらいハードなウォークを強いられるので、行きは下り坂なのでまあいいのだが、帰りは使うのをオススメするぞ。

このかわいいのに乗れる。

 

とても楽ちん。

 

東園に着き、夜の森に向かう。

15:45 夜の生き物

 

「キャバクラの体験入店ってこのセリフ言われるのかな」

「言われてほしい」

 

 

JK「……」

おばさん「……」

カップル「……」

 

 

「暗いところって人はあまり喋らないんだね……」

「盲点でしたね……」

 

みんな喋らないので、喋ってる人の近くにコソコソ移動する戦法で言葉を拾った。

 

 

小学生「俺ヤマネみたことある!」
小学生2「ヤマネってなに?」
小学生「ヤマネだよ!」

 

おばさん「斎藤さん、クレンザー持ってたの。ウフフ(笑)」
おばさん2「フフフ(笑)」

 

女子大生「昔、死んだらコウモリになりたいって思ってた」
女子大生2「なんで(笑)」

 

 

 

「いける……あと1時間……トリプルリーチなんだ……!」

「今こそパンダじゃないですか!? 食費について絶対誰か言いますよ」

「確かに、上野動物園に来て最後パンダだと記事の流れ的にも美しい!」

「移動しましょう!」

 

 

おばさん「あそこにいるよ! ほら」
おばさん2「どこどこどこ?」
おばさん「あそこ!

 

 

「あっ」

 

 

 

BINGO

 

 

「やったー!!!」

 

 

 

素直に嬉しい。

 

なんとなくやってみたビンゴだったが、限られた時間でヴィジョンを持って動物園を巡る必要のある戦略性の高いものだった。

まあまあ楽しいし、達成感がある。

 

新しい楽しみ方として、取り入れてもいいんじゃないかなと思う。

 

ちなみに僕たちが歩いた道ををなぞってみたのだが

 

動物は全然見てないので動物を見て楽しんだ思い出は作れなかった。

 

 

 

「パンダ……シャンシャン……」

「わ、わかってる、まだ時間あるから、最後パンダ見て帰ろうね」

「絶対ですよ」

 

 

16:30 パンダの赤ちゃん

 

 

 

 

「…………」

「ごめんて」

 

 

 

 

(おわり)

 

 

 

 

【あわせて読みたい】

コールセンターからの電話。自分の名前の漢字を電話で説明しなくてはいけない時、どんな例えで相手に伝えますか?

休日出勤やサービス残業、暴力は当たり前のブラック企業で働いていた筆者が語る、想像を超えるグアム社員旅行体験談。強制的にパワハラ上司がついてくる、あまりにも行きたくないグアムで何が起こったのか。最後に果たされた「復讐」とは。