〜ある日の社内チャットより〜
ヤスミノ〜〜〜
はいっ!
こないだオススメしてもらった本、めっっっっっっちゃよかったです
何をすすめましたっけ?
テッド・チャンの『息吹』!
これか! これすごい本よね
すごかった。SF短編集だけど、全部の短編が面白くてビックリした
喜んでもらえてよかったです。ただ、オススメした時点で、ほとんど内容忘れてるけど
さっきもオススメした事実すら忘れてたもんな
かまどさんに本を教えるときは、「面白かった」という感情だけを頼りにレコメンドしてます
あと! 津原泰水の『五色の舟(※)』もよかった!(※『11 eleven』に収録されている短編作品)
五色の舟も面白かった記憶ある!!!!
これも内容覚えてないんかい
そもそも、最初から「覚えてないけど、面白かったのはたしかです」って言ってた気がする
ヤスミノが面白い本を教えてくれるときって、毎回こうなんだよな。「面白い」ということだけは確約するけど、内容は全く教えてくれない
でも感情はたしかだから
読んだ後に、「あのシーンのここがすごかったね!」って言っても、「覚えてないっす」としか返ってこないし
ほとんど覚えてないから。正直、「僕に言われても」と思ってるかも
ただ、ヤスミノに教わった小説がハズレだったことはない。僕は、ヤスミノがオススメする本をかなり信頼しているんです
これけっこう言ってくれるんだけど、嬉しいよね。そもそも、ちゃんと読んでくれる人も稀だし
これも教えてもらったやつ
あ! ミシェル・ウェルベック!
まだ読んでないけど、ヤスミノが教えてくれたから絶対面白いと思う
ウェルベック、最近はまってて……。でもウェルベックは人によっては不快に感じても仕方ないタイプの小説だから、言い訳したうえで勧めないといけない感じある
これはどういう本?
まず、性格の悪すぎるコメディアンが主人公で、そいつがなんやかんやあって、やばい新興宗教の持ってる島で過ごしたりする
本当に面白いのか……?
その話と交互に、なんか別視点の未来っぽい独白も差し込まれて
一応SF的な軸を持った小説なんだけど、そこはさほど重要ではなくて
やばい。ちょっと説明苦手かもしれない
たしかにテキストの説明だけでは、面白さは伝わってないかも
普段、内容を忘れたままオススメしてる弊害が出てる
でも、大丈夫。オレは信じてるから
ウェルベックの小説、5冊ぐらい読んだんですけど、何がすごいって、主人公の人物造形が全部同じなんですよ
普通、いろんな考え方の人間を主人公にしたくなるもんだけど
あだち充みたいなこと?
全部同じ人間なのよ。基本、中流階級の生物としての勃起不全と、象徴としての勃起不全、西洋社会の終焉についてしか書いてない
それ聞いて「よし! 読もう!」ってなると思うか???
あと作者本人もやばくて
ザッと調べたら、いま70歳くらいの大ベテラン作家なんだね
妻とのポルノ動画を撮影してもらいたい!と思って撮影したんだけど、撮影者揉めまくって裁判したりしてます
だからよ
それ聞いて「よし! 読もう!」ってならないだろ
でも、おすすめよ
それを言われちゃあ読むしかねえか
よかったらぜひ……
結局「まぁヤスミノが言ってたしな〜」で読んでみたら、めっちゃ面白い……って毎回なるから、これも読むと思う
あと最近だと、マリアーナ・エンリケスって人もよかった! アルゼンチンの作家なんだけど
ほぇ〜
ホラーなのよ。あんまりホラーは読まないんだけど、蛾のイラストが箔押しされててかっこいい装丁だから読んだ
アルゼンチンのホラーって、まるで知らないかも
これ?
これ!
あとこれとか。『寝煙草の危険』『わたしたちが火の中で失くしたもの』この二冊ともめちゃくちゃいい
きたきた! ヤスミノに話聞くと、これだから嬉しいね
『わたしたちが火の中で失くしたもの』の帯に《燃える女たちの反乱が始まる》って書いてあるんだけど。この《燃える女たち》って全然比喩じゃなくて
炎上してる〜みたいなこと?
実際に女が燃えます
なんでだよ
みんな自発的に燃えてます
なおのことなんでだよ
なんでそんなことしてたんだっけな。でも、その辺の不条理さも面白いよ
あと『蠅の王〔新訳版〕』もよかった!! もはや古典の部類に入るかもしれないけど、これはストレートに面白い。
「蠅の王」ってタイトルだけ知ってるけど、読んだことなかったな。子どもが漂流する話だっけ?
そうそう!! 十五少年漂流記みたいな感じかなと思うんだけど
いいねぇ。そういうサバイバルもの久しく読んでないな〜!
圧倒的なスピードで子供たちが揉めまくっててすごいです
どこに見どころを感じてんだ
しばらくはうまいこと生活をして、徐々に揉めるのかなと思ってたけど、即効揉めます
まぁ、子どもたちが漂流したとなったら、実際そういうもんだろうけど
頑張って理性的な話し合いでものごとを進めようとするんだけど、やっぱ子どもだから最初から最後まで話し合いがまったく成立しなくて、そのどうにもならなさが残酷すぎる
わりと教訓めいた感想も引き出せそうな小説だけど、エンタメとしてもちゃんと面白いよ
買っとくか……
黒原敏行さんっていう翻訳してる人が好きだから、これ読んだんですよね。この人が翻訳しようとなった作品なら肌に合うか~っていう選び方もオススメ
ヤスミノのオススメ本は全部「知ってるとカッコいい」って思えるからお得だ
かっこいい本しか読みたくないからね
本棚に置きがいがある。かませる選書
あんまり合わないな〜って本は読み切れないから、結果的に好きな本しか読んでないのかも
日本人作家でオススメある? せっかくなら、ヤスミノの国内かまし本も聞いときたい
これ本当に言いにくいんだけど
日本の小説、ほぼ読まないんです
大かまし野郎じゃん
すみません。いつからか、そういう体になっていた
「洋楽しか聴かない中学生」がすくすく育ったらこうなるのかな
小説でなくてもいいなら、木澤佐登志さんの本はたいてい面白いです。いったら、インターネットサブカルチャー的なあれなんですけど
木澤佐登志さん。不勉強ながら初耳でした
でも、木澤佐登志さんの本って「熱さ」あるんですよ。こいつ熱いインターネッターだぜ……と思う
調べてみたら何冊か本を出してるみたいだ。特にどれがいいってある?
う〜〜〜〜〜〜ん
『闇の精神史』がいい気がする
これか
タイトルと印象違って、網羅的な通史というより、わりと著者の興味関心の断片の連なりから独自のまとまりを与えてるというか。お得パックみたいな感じ

買いました
おっ!!!! ありがとう
ヤスミノのこと信じてるから
最近、木澤佐登志さん「本売れないからもうあんま書く気が起きない」みたいなこと言ってたから、ここで宣伝するっきゃない
微力すぎる
ありがとう! これでしばらくは面白い本には困らないはず……
いまだにかまどさんの趣味が分かってないから、ちょっとドキドキする
本を勧めるときってそういうもんだよな〜〜〜。俺も読んで面白かった本の感想は言うけど、オススメまではなかなかできない
かまどさんって、つまんね……と思っても言わないだろうしね
もし、つまんね……と思ったら、ヤスミノにオススメの本を聞く頻度がやんわり減ってくのかな
恐ろしい
でも読書って個人的な愉しみでもあるべきだから、それはそれでいいやね
またお願いしますよ、ダンナ
〜以上です〜

かまど
ヤスミノ















