夕方のことだ。
私は買い物に行くために、通り慣れた住宅街を歩いていた。
すると。
道の脇に何かが落ちているのが見えた。
それは生き物のように思えた。
ネズミか、はたまた墜落した鳩か。
ほんの好奇心で私は腰をかがめて、それをよく見てみた。
これは……
私は、驚いた。
[予告]「無印良品週間」開催のお知らせ | お知らせ | 無印良品
https://www.muji.net/mt/media/archives/2019/06/10_100000.html
落ちていたのは、
無印良品の顔のやつであった。
「巣から落ちたのか……」
無印良品の顔のやつは、見るからに衰弱していた。
思わず私は無印良品の顔のやつに手を伸ばした。
呼吸は弱々しいが、まだ息がある。
私は少し安堵し、同時に、悲しくなった。
おそらくこの無印良品の顔のやつは、もう長くない。
「おい、大丈夫か?」
私は、手のひらの中で小さく震える無印良品の顔のやつに声をかけた。
それくらいしかしてやれることが思いつかなかったのだ。
ウ…ウウ…
驚いたことに、無印良品の顔のやつは、まだ鳴き声を出す力が残っていたようだ。
か細い声に、私は耳を澄ました。
ムジ…
ムジルシリョウヒンシュウカン…
ニジュウゴニチマデ……
………………
そう言い残し、無印良品の顔のやつは二度と動かなかった。
きっと彼は、無印良品メンバーなら10%OFFで買い物ができるお得なセール「無印良品週間」のよさを伝えるために、今の今まで力を振り絞って生きながらえていたのだろう。
「ありがとう、無印良品の顔のやつ」
私はきびすを返して、無印良品へ足を向けた。
エピローグ
夕方のことだ。
私は道の脇になにか丸いものを見つけた。
これは……
ライチだ。
(終)