2018年9月現在、牛丼の松屋で定食四天王なるものが公式発表されています。

 

・牛焼肉定食 600円
・カルビ焼肉定食 650円
・豚バラ焼肉定食 550円
・豚バラ生姜焼定食 590円

 

なるほどね。
四天王というコンセプトは素晴らしいです。
人は全員、四天王が好きだから。

 

ただ、惜しい。
「四天王観」が見えてこないんです。

 

どれが切り込み隊長ですか?
どれが参謀ですか?
どれがまとめ役ですか?

 

深刻なのは、牛2つ、豚2つの構成と焼肉の被りです。
四天王同士で個性を潰し合ってしまっています。
そこで代案として、今ある定食メニューで私が四天王を再編成してみましょう。

 

まず、四天王の最初です。
四天王の一人目に求められるのは、ずばりインパクトです。
手強そうな奴らが現れたぞ、と人々にアラートを鳴らす機能が必要です。
パワー系が一番手を務めることが多いのは、こうした理由からです。
ビルを派手に壊したり、巨大な体躯で森を脅かしたりするのは、強さが分かりやすいですからね。
ということで、一番手は「豚バラ生姜焼定食」としましょう。
ガッツリ系でパンチがあるので、適任です。

 

四天王の二人目に求められるのは、変化です。
一人目とは違う種類の強さで、目先を変える役割です。
最初がパワー自慢だとすれば、二人目は多彩なテクニックの持ち主だったり、幻術使いだったりするわけです。
定食に落とし込むなら、「茄子とネギの香味醤油ハンバーグ定食」がいいでしょう。
肉に対して野菜という切り口で、変化をもたらしてくれます。

 

四天王の三人目は中途半端な位置だけに、理由が求められます。
つまり、なぜその地位にいるのかということです。
強いが冷酷で、人を率いていくタイプじゃないから三番手に甘んじている。
実力は折り紙つきだが天才肌で、気ままに動きたいから敢えてリーダーにはならない。
こうした雰囲気を持つ奴がいいんです。
サガット。

となると、「鶏のバター醤油炒め定食」に出てきてもらいましょうか。
鶏肉の持つ、確実に旨いけどラスボスになりきれないイメージがぴったりです。
登場して日の浅いメニューを選ぶことで、実力でのし上がった感じも出ます。

 

そして四人目には、風格が要求されます。
「ああ、ここまでの三人を率いていただけの器だな」と納得させて欲しいんですよね。
そのためには実力もさることながら、最後の四天王としてのプライドや、ある種の気品が必要です。
じゃあもう、こいつしかいないでしょう。
「カルビ焼肉ラージ定食」。
カロリー的にも値段的にも頭一つ抜けていて、堂々とした佇まいです。
肉のカリスマといっていい牛肉の、最大ボリュームをぶつけてやりましょう。

 

以上が私の考えた定食四天王です。
個性を引き立て合う組織になったかと思います。

 

え?二人目は、朝定食から焼鮭定食を抜擢してみてはどうかですって?

 

おもしれえ選択じゃねえか。

 

 

 

 

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