オモコロをご覧のみなさま、初めまして。
大学進学を機に沖縄へ移住し、のんびりと学生生活を送っております松田和幸と申します。恩返しに来たサボテンではありません。
突然ですが、みなさんにとっての至福の時間は何をしている時ですか?
▼夜中に好きな音楽を聞きながらドライブをしている時
▼温泉に浸かっている時
▼好きなマンガを読んでいる時
▼サイゼリアで2000円ぐらい使って豪遊してる時
▼刺激に飢えた肛門にキンカンを塗ってる時
など、人によって様々なくつろぎ方があるかと思います。
ちなみに僕にとっての至福の時間は、仰向けになって海にプカプカ浮かんでいる時と、のんびりお茶を飲んでいる時です。
何にも追われていないあの時間が、僕にとっては本当に至福のひととき。そこでふと思いつきました。
「至福の時をかけ合わせれば、より大きな至福を手に入れることができるのでは?」、と。
さっそく、海に浮く茶の間を作ってみましょう!
海に浮かぶ茶の間を作ってみた
頭に浮かんだイメージはこんな感じ。めちゃめちゃ簡素な作りですが、果たしてうまくいくんでしょうか?
材料は実家から冷凍食品が送られてくるたびにとっておいた発泡スチロールと、将来何かに使おうと思って取っておいたペットボトルです。発泡スチロールを3つずつ、ビニール紐とガムテープでグルグル巻きにして固定します。
同じくらいの大きさのものをもう2つ作り、土台を大きくしていきます。
これが茶の間の土台部分。ここに浮力を強めるためのペットボトルをつけ、周りに木目シールを貼ると……。
一応、「海に浮くはずの茶の間らしきもの」が完成しました。「発泡スチロールとペットボトルだけで、体重55kgの人間が本当に浮くの?」って思いますよね?
僕もそう思います。
浮かべた瞬間、大破して海の藻屑にならなければいいのですが、とりあえず一旦海に行ってみましょう!
キュッ
車で15分ほどで、近くの海に到着しました。どこにいても海が近いのが沖縄の良いところ。ここで引き続き、茶の間のセッティングを行います。
先ほどの土台の上に100均で買ったゴザを敷き……
友達にもらったときは真っ白だったけど、ちゃぶ台みたいにしたかったので真っ茶色に塗ったテーブルを置きます。すると……
できた~~!! 海に浮かぶ茶の間の完成だ~~~!!!!!
…とは言え、まだ一回も浮かべてないので、「一件海に浮きそうだけど、実は浮かばない茶の間」であることも否定できません。
こんな発泡スチロールとペットボトルをガムテープでぐるぐる巻きにしただけの代物が本当に浮かぶ? 浮かばないよなあ……浮かんだら奇跡に近いだろ……
って、浮いたわ!!
実は土台ができた段階で、沈んでも大丈夫な海でバッチリ実験しておりました。「臆病者!」「慎重か!」とそしられようが、ビビリなので仕方ありません。沖合で茶の間が沈んで、ウミヘビの餌食になるのは勘弁ですからね。
安全を確認できたところで、いざ出発! これより至福の2乗を体感してきます。朝早く、日の出とともに出発しました。
正面から僕を照らす朝日、見上げれば晴天、周りは海に囲まれた絶界の孤島ならぬ……
絶海の茶の間。
そんな場所で、僕はお茶を淹れる準備をしています。
本日は鹿児島名物、知覧の深むし茶を選択してみました。透き通った若緑色と、さわやかな香りが特徴です。
プシューッ
コポコポコポ……
これぞ、待ちに待った海に浮かぶ一杯です。千利休も天から「飲みてっ!」と言っていることでしょう。
この一杯に辿り着くまでに、本当にたくさんの苦労がありました……。
土台がめちゃくちゃ運びづらかったり……。
出航するタイミングで急須が割れたり……。
今までにない勢いですべってケツを強打したり……。
一番ショックだったのは、2年半使ってたiphoneが海水に浸かってぶっ壊れたことです。
まさか防水ケースの蓋を閉め忘れたところに波が入ってくるなんて……。自業自得なんですが、バックアップを取り忘れていて今回の記事の写真データの半分が消し飛んだので、ほとんど撮り直しになりました。おかげで世間のポケモンGo!ブームに完全に乗り遅れました。
といった諸々の苦難を乗り越えてやっと入った一杯のお茶。感無量です。
では、冷めないうちにいただきます……。
ズズズ……。
美味いっ!
でもこの後、ケータイ買い直さないとなあ……。
他にも今期2単位しか取れてなくて、来期で14単位取らないと大学除籍になるとか……今日も本当はテストがあったけど、学校行かずに海に浮かんでる現状とか……全財産41円で、あと2日過ごさなきゃいけないとか……それなのに家には1週間前に炊いた米と、賞味期限が2週間前で切れた卵しかないとか……大学に友達がひとりもいないとか…………いろいろありますけどね。
ただ……今だけはすべてを……すべてを忘れて、波に揺られていましょう。
幸いここは、世間との関わりが断絶された、パーフェクトなプライベート空間なのだから。
仕送りをもらいながらこんなことをしていて、ごめんねお母さん……。
嘘をついてばかりでごめんね……。
お茶だけでは寂しいので、お茶漬けもいただきました。涙と潮風の塩気も加わって、より美味くいただけるはずです。
高校のとき所属していた剣道部の部室で、一人で昼ごはんを食べていたときより孤独を感じます。
たとえカウカウファイナンスで借金しても、海の上の茶の間にいれば、ウシジマくんから逃げ切れる気もしてきます。
退屈を感じた時は、すぐ足元に広がる海を覗けば……。
そこには悪徳業者の助言で株を増資して、さらに借金が増えてしまった50代女性の顔色のような、透き通る青の世界が広がっています。
はぁ~~。
物理的にも精神的にも、何物にも追われない時間がこんなにも幸せだったとは……。
地球に生まれてよかったなぁ………。
ただちょっとでもはしゃいでバランスを崩すと、あっという間に茶の間から転落しますので、注意が必要です。
それでは!
(おしまい)