ビジネスマナー、マジで意味わからん。
意味わからんから、今日でビジネスマナーは終わりです。お疲れした! どうする? この後打ち上げ行く? 渋谷の磯丸水産らしいよ。いや、違う違う、道玄坂のほうだって。
あ、すみません。申し遅れました、永田です。
ビジネスマナーが意味わからんので、つい焦っちゃいました。いや、あの、僕、社会人5年目くらいなんですが、いまだにビジネスマナーに全然納得いってないんですよ。
5年目になると、さすがにある程度マナー自体は知ってはいるんですが、「それする必要ある?」って毎回思う。「せーの!」でみんなが止めりゃいいじゃん。
せーの!
どうですか? みんな止めました? ビジネスマナーがない世界になりました?
止めてないよね? 誰も止めてないよね? 絶対みんな「お世話になっております」からメール始めてるよね?
そういうとこだぞ。本当、お前らそういうとこあるからだぞ。お前らがそういうとこあるから、今日はもうビジネスマナー講師の方に「マジ何なの?」と直接問いただしに行こうと思います。
「行こうと思います」っていうか、もう来てます。
それでは、日本ビジネスマナー協会代表の松永さんにお話を伺おうと思います。
「よろしくお願いします。今気付いたんですが、マナー講師の方に取材するってめっちゃ怖いですね」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。お会いする方によく言われるのですが、全然怖くないですよ」
「ホントに? マナー違反したら、真っ赤に点滅して爆発したりしません?」
「そんな踏まれてしまった直後のボム兵みたいにならないので大丈夫です」
「あの今、取材にあたってメモを取らせてもらってるんですが、適当な裏紙にメモってても怒りません?」
「怒らないですよ」
「なんか意味わかんない『情報』って大きく書かれた紙の裏に書いてても大丈夫ですか? これ、僕も何なのかよくわかんないですけど。なんだろ、これ? マジで何だろ?」
「いいじゃないですか。むしろ環境に優しくて素敵ですよ」
「いや、素敵ではないでしょ。『こいつなんかやべえな』と思って適当なこと言ってません?」
「そんなことありません」
「それがアンタのマナーかよ!!!!!」
「本心で言ってるので大丈夫ですよ」
「えーと、まず僕が疑問に思ってるのはタクシーでの上座なんですけど」
「1番偉い人が座る上座ってここじゃないですか」
「そうですね」
「ここのが良くない?!」
「そうですか? 私は元のままでいいと思いますけど…」
「いや、だって奥に座るってことは、1回入ってちょっとケツをひょこひょこっと上げて移動するわけじゃないですか」
「まあ、そうなりますね」
「その『ケツひょこ』って偉い人に1番やらせちゃいけない行動じゃない?!」
「うーん…。決してそうは思いませんが…」
「もし万が一、記録的な寒波で農作物が全く取れなくなって、地球上の食料が僕の持ってるペッパーサラミだけになった、みたいなことが起きて、僕がめちゃくちゃ偉くなったとするじゃないですか」
「はい…?」
「それでも絶対に僕は手前に座りますよ」
「そんな特殊な権力をお持ちでなくても、実際に『手前の方がいい』という方もいらっしゃいましたよ」
「あ、普通にいるんだ。っていうか、そもそも何で奥が上座なんですか?」
「運転席の後ろの方が安全度が高いからです」
「え、それだけ?! じゃあ、例えばですけど…」
「こういう世紀末的なバギーに乗ったらどこが上座になるんですか?」
「運転席の後ろです」
「世紀末でも?!」
「世紀末でも、です」
「でも、助手席には防弾ガラス付いてるんですよ?」
「では、助手席ですね。とにかく安全度が高いところにお座り頂いた方がいいかと…」
「ガトリングガン付いてる席があったらどうですか?」
「それでも安全な防弾ガラス付きの助手席の方がいいのではないでしょうか?」
「でも世紀末のお偉いさんですよ? 多分、そいつはぶっ放したいタイプでしょ。ぶっ放すことでその地位に登りつめた人ですよ、多分」
「では、1度ご本人に聞きましょう」
「『今日ガトリングどうされますか』って?」
「はい」
「そうなの?」
「そうです」
「ガトリング席に座ってもらったのに、途中で弾切れとかしちゃったらやっぱヤバいですか?」
「失礼に当たると思います」
「なるほどなるほど、なんとなくわかってきたぞ」
「よく『ご苦労様』は目上の人に使うなって聞くんですが、『お疲れ様』も言っちゃいけないって本当ですか? タモリがそう言ってたんですけど」
「うーん、目上の方には『お疲れ様でございます』と言うのが一般的ではあるのですが…」
「でもタモリは、社長に対しても『どうも』でいいんだ、って言ってましたよ」
「それはやっぱりタモリさんの地位やキャラクターあってのものではないでしょうか? やはり一般的に考えたら、例えば新入社員の方が社長に『どうも』は失礼ですよね?」
「でもタモリが言ってたからなぁ…」
「世代間による差や企業によって違いがでる場合がありますね。ご年配の方に多い印象なのですが、あるベテランの役員付き秘書の方が役員の方に対して『ご苦労様でございます』とおっしゃっているシーンを何度か拝見したことがあります」
「でもなあ…、タモリよ?」
「お好きなんですね、タモリさんのこと」
「いや、インターネット上でタモリに楯突くって、戦後まもなくのGHQに中指立てるのと同じことですからね。マッカーサーにカンチョーしてるのと同じですよ。先生、炎上しますよ…。くわばらくわばら…」
「えーと、そういうタモリさんのように『お疲れ様』『ご苦労様』を嫌がる方には、今後使わないように気を付けていけば良いのだと思いますよ」
「くわばらくわばら…」
「言葉の好き嫌いはどなたにでもありますからね。真のマナーとは『相手が気持ちよく過ごすためのもの』です」
「くわばらくわばら…」
「ですので、基本のマナーを押さえておいて、その後は相手に合わせて調整していけばいいと思います」
「くわばらかずま…」
「きちんとお話聞いてくださいね」
「これマジでムカついてるんですけど、聞いてもらってもいいですか」
「なんでしょう?」
「名刺交換のマナーを調べたら、大体『相手の名刺より下に出す』って書いてません?」
「そうかもしれないですね」
「いや、それマナー守れるの1人じゃないですか。絶対にどっちかは敗れ去ってマナー違反の烙印を押されるじゃないですか。なんだよ、そのカードゲーム。闇遊戯のゲームかよ」
「一般的には、目上の方が上に出しますね。仕事の関係性などで、なんとなく上下の折り合いをつけているのだと思いますよ」
「でも、もし目上の人がめちゃくちゃ下に出してきたらどうします?」
「どういうことですか?」
「いや、こうやってアホほど下に出してきたらどうします?」
「何でそんなことしてくるんですか?」
「いや、わかんないです。多分頭がおかしくなってるんだと思います」
「こうやって更に下から出します」
「嘘だぁー! 絶対そんなことしないでしょ!」
「いや、しますよ」
「そんなことしてる人います?!」
「それを言ったらそもそもそんな下に出す方がいないと思うのですが、もしされたら私は冗談だと受け止めて、その冗談に乗ってしまいます!」
「ツッコんじゃダメですか? 『バカヤロ、テメ! テメ、バカヤロ!』って」
「ツッコまれるのが好きそうな方ならいいと思いますが、乗ってしまう方が安全かな、と」
「なるほどねぇ…。確かにそう聞くと理に適っているわ…」
「あの、別に、完全に論破されたから悔しくてめちゃくちゃなこと言ってやろうというわけじゃないんですが、重力が逆の人が来たらどうやって名刺渡せばいいですか?」
「すみません、何を言っているのかが全然わかりません」
「重力が逆の人が来たらどうやって名刺渡せばいいんですかっ?!!!」
「急に大きな声を出してどうされたのですか…?」
「すみません…。いや、あの、来る宇宙時代に、もし重力が逆の星の人がいたら、どうやって名刺渡せばいいのかな、って…。どっちが下かなって…」
「ご自身でもめちゃくちゃなことをおっしゃっていると思いませんか?」
「思ってねえよ!!!!!!!!!!!」
「大きな声を出してどうされたのですか…?」
「すみません…」
「こうやって身体をねじって渡せばいいんじゃないですか? 目下の方が」
「!!!!」
「わからないですけど…」
「なんか…、先生、すごいですね…」
「仕事で、上司とか取引先とかにLINEで連絡ってしていいものですか?」
「こちらから送るのは憚られますが、先方からいただいた場合は大丈夫です。ただし、大手企業などはNGなところもありますので、お気を付けくださいね」
「スタンプも送って大丈夫ですか?」
「そちらも先方が先にスタンプを送ってきたのなら、ですかね…」
「なるほど、送るスタンプは何でも大丈夫ですか?」
「こういうのでも」
「何ですか、これ」
「この記事、サンリオの歯ぐるマンスタイルのPR記事なんで、歯ぐるマンスタイルのスタンプを唐突にねじ込んだんですけど。マジで結構キテますよね、このスタンプ」
「このスタンプがどうこうではなく、会話になってないので避けた方がよいですね」
「ダメかぁ…」
「それと、いくらスタンプと言えど『オッケ~』みたいなスタンプで返事するのもよくないでしょうね。キチンと丁寧な印象のスタンプを使った方がいいかと」
「えー、厳しいなぁ…。LINEの登録名とかも本名の方がいいですか? 『経費横領くん』みたいな名前だったらやばいですか?」
「やばいと言いますか、それはよくないですね。仕事で使うことがわかっているのなら、本名にしましょう」
「じゃあ『す~ぱ~経費横領くん』だったら?」
「同じです」
「いやー、今日はありがとね、松永っち~。もうこれで取材は終わり~。おかげで良い記事になりそうよ~。っていうか、どこ住み~? 今度家行くわ~」
「………」
「ねえ~~~ん、松永っち~~~~ん」
「………」
「あっ」
「………」
「ちょっ」
「………」
「先生…」
「本日はありがとうございました」
「あ、2機目」
というワケでいかがだったでしょうか? 重ねて言いますが、この記事はサンリオの新キャラクター「歯ぐるマンスタイル」のPR記事です。
ビジネスマナーもそうですが、色々と難しい現代社会に生きるサラリーマンの気持ちを、なぜか「歯」が代弁しているので、よかったらこのキテるLINEスタンプをDLしてみてください。
(イラスト : 凸ノ)