こんにちは、ライターの彩雲と申します。
大人になると、交友関係は固定化していきがちなもの。僕も気付けばいつも同じような人とばかり会っています。
だからこそ、時にはあまり親しくない人と関わるのも大事なのではないでしょうか。

こちらの男性は柳田さん。オモコロ運営会社の社員ですが、所属部署の関係上あまり関わりがありません。具体的には、一応は面識があるもののちゃんと話したことはない間柄です。
今回はそんな柳田さんに、ピザトーストを作って振る舞いたいと思います。
人生って、そういうことじゃないですか?

今日はよろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
そして、こんな誘いを受けてくれてありがとうございます。
連絡が来たときは何事かと思いましたよ。

僕と柳田さんの関係性でいうと、仕事で2〜3回会ったことがある程度ですよね。
そうですね。かろうじて初対面ではないくらい。
さすがに完全に初対面の人にピザトーストを振る舞う勇気は出ませんでした。
僕としても、完全に初対面の人のピザトーストを食べる勇気はないかもしれません。

ただ僕からすれば、彩雲さんはそこまで遠い存在って感じでもないんですよ。
え、そうですか?
僕はそもそも社員以外のライターさんとは関わりが少ないので。初対面ではないってだけでも、比較的関係性はあるほうですね。

あと、彩雲さんって今いくつですか?
27です。
僕は32だから年下か。それなら接しやすいですね、基本ナメてかかれるので。
そのスタンスはどうかと思いますが、話しやすいと思ってくれてるなら嬉しいです。

で、なんでピザトーストなのかって話ですよ。
理由があるんですか?
ピザトーストって僕の中では、親しさの象徴のような食べ物なんです。家庭的な料理だし、仲良くない人とピザトーストを食べるシチュエーションってないじゃないですか。
確かにそうかも。
だからこそ、あえてピザトーストをあまり親しくない人に振る舞ってみたいと思ったんですよね。

そこでオモコロ関係者の顔を片っ端から思い浮かべたところ、最もピザトーストを振る舞いたいと思ったのが柳田さんだったんです。
なぜ……? まあ気持ちは嬉しいけど、僕に料理を振る舞っても甲斐がないと思いますよ。少食だし、食に興味もないし。
むしろそれがいいんです。親しくない、食に興味もない人にピザトーストを振る舞うのが一番興奮しますから。
一応聞きますけど、今回の企画って彩雲さんの個人的な欲求を満たすためのものじゃないですよね?
断じて違います。
あまり親しくない人にピザトーストを振る舞う

では、ピザトーストを作っていきますよ。
楽しみだなあ。

材料は普通に、こんな感じです。
ちゃんと野菜があるのがいいですね。普段から料理をしてる人って感じ。
そんなに頻度は多くないですけどね。柳田さんは普段は料理をしますか?

一切しません。最近になって冷蔵庫と電子レンジを買ったくらいです。
え、柳田さんって1人暮らしを始めて何年目ですか?
10年目くらいですけど、半年前にようやく冷蔵庫と電子レンジを買いました。
筋金入りですね。生活は変わりましたか?

冷蔵庫は別に買わなくてよかったです。入れるものが何もなくて、外側だけが汚れていく。
冷蔵庫を買って後悔することってあるんだ。
でも電子レンジは便利ですね! ようやく家で冷凍食品を食べられるようになりました。

そういえば、柳田さんって嫌いな食べ物はありませんか?
チーズです。
え!?
あ、モッツァレラチーズとか6Pチーズみたいな塊のチーズが苦手なだけで、ピザトーストは全然大丈夫です。

本当ですか? 気を遣ってません?
本当に食べられますよ。普通のチーズのピザとかも好きですし。
もう後に引けないので信じます。

完成しました!
普通においしそう。
切ったほうが食べやすいですかね?
切ってもらえるとありがたいです。全部食べきれるかわからないので。
想像以上に少食ですね。
あまり親しくない人にピザトーストを振る舞う

では、いただきます。
はい、お願いします。





うまい。
よかった〜

ピザトーストを食べるのなんて学生のとき以来ですよ。
ちゃんと野菜に火通ってますか?
大丈夫です。ピーマンが入ってるのが嬉しいですね。

ただすいません、やっぱり全部は食べられないかもしれないです。
全然いいですよ。残ったら僕が食べるんで。
さっきすき家で牛丼を食べちゃったもので……。半分が限界かも。
あまり親しくない人にピザトーストを振る舞う

今日はありがとうございました。
こちらこそ、ごちそうさまでした。
今日の出来事を振り返ってみていかがですか?

純粋に嬉しかったですね。味もおいしかったけど、自分のために料理を作ってくれたことが何より嬉しかったです。
おお、それはよかった。
1人暮らしだと人の手料理を食べることもないですし。実家を思い出しました。
喜んでもらえたなら何よりです。ところで……
今回の体験を通して、僕たち少しは仲良くなれたんですかね。

……いえ、答えなくて結構です。愚問でした。
僕と柳田さんの人生は、ほんの束の間交差しただけにすぎない。その一瞬で親しくなれるなら苦労はないですよね。
ええ、まあ、それは否定できないかもしれません。

人生で出会うほとんどの人は、ハイウェイ沿いに立ち並んでいてあっという間に通り過ぎていく道路照明のようなもの……そうは思いませんか?
なるほど。では彩雲さんは、僕という灯りの下でふと停まってみたというわけですか。
その通り。もちろん柳田さんからすれば、僕のほうが照明の1つですがね。

だけど、ずっとそこにとどまっているわけにはいかない。結局はいつだって独りで先に進むしかない。
それを悲しいと言うナイーブさを、僕たちは演じなければなりませんか?
……いえ、そんなことはないと思いますよ。

彩雲さんの言う通り、僕たちは一瞬だけ通じ合ってあとは離れていくしかない他人同士なんでしょう。ましてや、互いを理解するなんてできっこない。
でも、それでいいじゃないですか。僕たちがどんな人間だとしても、この瞬間だけでも人生が交わったのは掛け値なしに素晴らしいことだと、僕は思いたいですね。

彩雲さんも本当はそう思っているんでしょう? ニヒルなふりをしていても、他者を「灯り」に喩えているところに純粋さが垣間見えましたよ。
そこまでお見通しとは恐れ入りました。やっぱり僕たち、仲良くなれたのかもしれませんね。
ええ、だからこそ、お別れしなければならないのが寂しいですけど。

……それじゃあ、互いに自分の人生を生きていきましょうか。
はい、そうしましょう。

さようなら、柳田さん。

さようなら、彩雲さん。




























〈了〉

彩雲
ブロス編集部
めいと


松岡








