シルバニアファミリー、可愛い。

シルバニアの何が良いのかと聞かれると造形の可愛さやカントリーな世界観、収まりのいいサイズ感などたくさん浮かぶのだけど、何よりも一番好きなポイントを立ち返って考えてみると…

 

毛が生えていることではないだろうか。

手で触った時にフサ…と感じる手触り、固い人形なのに暖かさもあるような質感、まろやかでリッチなビジュアル。本当に素敵。

 

↑以前作ったフィギュアの記事

私も趣味でフィギュアなどを作っているのだが、どう考えても毛を生やしてみたい

自分で作った粘土人形がフサフサの質感になったら…それだけで「命(いのち)」度が上がるに違いないから。

 

このフサフサ植毛加工のことを「フロッキー(フロック)」と呼ぶ。

小学生の時によくやる、頭を下敷きでこすって髪を逆立たせるアレのように静電気を使って毛を立たせる仕組みなのだが、工場の方法は非常に大掛かりなため個人でちょっとだけ試すということが難しいらしい。

 

↑実際の工場(川口合成株式会社)によるフロッキーの実演動画。抹茶パウダーの土砂降りだ。

 

しかしこの「グラスアプリケーター」という、ジオラマの芝生などを生やす機械を転用するとフィギュアにフロッキー加工ができるという噂を聞いたので試してみたいと思う。

 

芝生を生やしてみよう

グラスアプリケーター、いままで生きてきて全く見たことないジャンルの機械でどきどきする。電車模型の芝生をどうやって植えてきたなんて考えたこともなかった。

 

ざっくり説明するとこういう仕組みらしい。業務用の高電圧の機械を見た後だと「こんなに手軽でいいんですか!?」と思える。ありがたい。

まずは本来の用途に従って板に芝生を生やしてみることにする。

 

材料はこちら。最初から模型用のナイロンパウダーを買うことにビビってしまい、ネイルアート用の少量なパウダーを購入した。これが吉と出るか、凶と出るか…

 

まずはグラスアプリケーターの本体にほぐしたパウダーを入れる。

パウダーが少ない!早速凶と出てる。工作材料はいつも自分が思っているよりやや多く用意した方がいい。

 

芝を生やしたい面にボンドを塗り、帯電させるためにワニ口クリップを挟んだ。

グラスアプリケーターに9vの乾電池を取り付け、スイッチを入れていざパウダーを振りかける。

 

サササ…

抹茶ティラミスの最終工程だ。心なしか和の心が芽生える。

この様子を見てわかるように、ボンドに塗りムラがあるとそのまま濃淡が出てしまってカッコ悪いので塗布する際はハケで丁寧に塗ってくださいね。

 

芝生だ!

無機質な表面に表情が出てきた。

 

パウダーの毛足が短いせいか毛が立っているのかどうかややわかりづらいが、電気を通さず接着面にふりかけただけのサンプル(右)よりも毛の方向が揃っていて立体感が出ているのがわかる。これは立たせたほうが圧倒的に良い。

 

作成した芝生は遊具のミニチュアの土台になってもらった。一気に雰囲気が出てかわいい!質感の違う素材が組み合わさると本格感が出てうれしいね。

本物を見に行ったら全然芝生じゃなかった

実を言うと、この台座のようなものであれば植毛済みの建築模型用芝生シートを切って使う方が楽で綺麗なのは事実。この機械は表面が平らではない立体物にこそ威力を発揮するのではなかろうか。

いよいよフィギュアへの植毛をやってみよう。

 

自作フィギュアをフサフサにする

フロッキーができると知った時から作ってみたいキャラクターがいた。

蚕の成虫(カイコガ)だ。

 

虫が苦手でなければぜひ検索してみていただきたい。白い体毛が生えていて目が大きくて、触覚がウサギちゃんみたいなまるでファンタジー創作にいるようなふわふわの虫なのだ。

その可愛らしさから既にぬいぐるみなどは発売されているが、シルバニアの村にカイコファミリーが参加する望みは今の所薄いので私の手でフィギュアとして産んでみたい。

石粉粘土をこねて削って原型を作ってみる。

 

?

こわい

不安がよぎる。ウサギちゃんでもないし虫の顔でもない。

これをフサフサにしたところでなにも変わらなかったらこの記事、どうする?

 

今回は白のフロッキーパウダーを使用する。不安を拭うように大容量のものを購入してしまったけど結果これは良い行動だった。

 

本体にボンドを薄く塗り、電極クリップをはさむ。(ごめんね)

今回はクリップを直接本体にはさんでしまったが、この方法だとクリップ部分に毛がかからなくなってしまうので丁寧にやる場合はクリップに針を挟んでフィギュアに差し込むなどの手段がいいらしい。

いざ、通電…!

 

(´;ω;`)ブワッ 

え!?

 

うわーー!すごい逆立ってる!!

今回のパウダーは芝生の時よりも毛足が長いためはっきりと毛が立ってるのが見てわかる。シルバニアで言うところのペルシャネコファミリーの毛質!椎茸に生えた気中菌糸のようでもある。

 

面白いのでやりすぎた。この段階ならイエティの赤ちゃんにもなれる。

余計な毛を振り落とし、取っておいた触覚と目のパーツを付け直すと…。

 

𝐂𝐔𝐓𝐄

 

かわいすぎる(怒)

本家のカイコガとはだいぶ違うビジュアルになってしまったけど、ちょっとこれは…いいですね。

 

お命(いのち)すぎ。

毛質はふわふわというよりはまるでカピバラのように硬めでチクチクしているが、それはそれで主張が強くてかわいいね♡と思えてしまうくらいの威力がある。

 

毛の有無でこんなに印象が変わるものか。動物の体毛の偉大さに思いを馳せる。

制作している途中まで「フロッキーをかけたけどあんまり変わりませんでした(笑)」と逃げる締めまで浮かびかかっていたのに全部憂慮に終わるくらいかわいくできた。ありがとう。

 

フロッキーフィギュアの先輩方にご挨拶まで。

ボンドの塗りが甘かったためにムラができてしまったり、毛足の方向が揃っていなかったりとまだまだ市販のフロッキーフィギュアと比べると野良味が強く至らない点が多いが今後も練習をしていろいろなものをフサフサにしていきたい。

 

フサフサって…かわいい!!!

 

※今回の方法は公式で紹介される使用方法ではありません。ご参考にされる場合は機械や材料の説明書をお読みの上自己責任でお使いください。