自分に対する親切や、向けられた好意がブッ刺さりかけた話。

 

 中学時代めちゃめちゃに食い意地が張っており、特にソフト麺が大好きで余ったときには毎回じゃんけんに参加していたのですが、その日の給食は味噌ラーメンであまりは一つだけ。
 欲しがったのは私と、いつもおかわりじゃんけんに参加し総取りしていくちょっと強気な男子で、私はあっさり彼に負け自分の席に戻ろうとしたら、勝ったにもかかわらず「はんぶんこにしない?」と袋をちぎって半分分けてくれたとき、((うわーーーーーーー!!!!!!!!))ってなったけどこれは麺が食べられる嬉しさだった気がする。

麺類

 食いしん坊同士の食べ物の分かち合いって生じている優しさも喜びも相当デカくてなんか良い。

 

 中学の時、隣の席の男子が読んでいた分厚い漫画がどうしても気になり、頼み込んで貸してもらったら『攻殻機動隊』という本だった。
 読み終わったら貸してくれることになったとき「○さんには…まだ少し早いと思うけど」と言われた理由を、後日カラーページで出てきたエッチなシーンで悟ってかなり赤面したし、彼はこれを平気な顔で読めでいて、私にはまだ早いと思われているのか…と思ったら無性に恥ずかしくなった。

 それはそれとして攻殻がめちゃめちゃ面白かったので、そのまま漫画友達になったし、なんならセクシー描写のある漫画にも抵抗なくハマれたのは間違いなく彼のおかげです。

みよし

 攻殻機動隊の貸し借りから始まる友情、美しすぎるな。羨ましい。「まだ少し早いと思う」なんて言っちゃうのが気遣いではあるんだけど舐めでもあって、関係が可愛い。

 

 高校生のとき、昼休みに「お前今日誕生日らしいじゃ〜ん」と当時仲が良かった友達から多分購買で適当に買ってきたであろうお菓子を貰いました。
 お礼を言いつつその友達と喋ってたらそんな会話が耳に入ったのか、前の席に座っていた女の子が急にこちらにバッ!と振り向いてきて 「○○くん今日誕生日なんだ!おめでとっ!!」と満面の笑みで言われたことがあったんですがあの時は流石にヤバいかもしれないと思いました。

 急に言われた驚きとヤバい!!!という直感が入り交じりながらなんとかお礼を言えたのですが、傍から見たら普通にキョドってたと思います。
 その女の子はそれだけ言ったらすぐ向き直って別の友達と喋ってました。

 当時他に好きな子がいたのでギリギリヤバい!!!で済みましたが、あの時の笑顔は「今のヤバくないか?」「直接言われてない俺もキュンときた」という直後に交わした友達との会話とともに記憶に残っています。

 これもこの企画の例文にしたいほど良いな。最高。

 

 高校生の時分、感謝を伝える時の口癖が「ありがとう好き〜!」だった時期がありました。
 同性、異性関係なく好きの言葉と共に感謝述べまくっていたのですが、ある時同じクラスの異性から、ゆる〜く「俺も好き〜」と返され、グッ……っときてしまったことがあります。
 当時、同じノリで「好き〜」の言葉を返して来るのがその人が初めてだったので、めっちゃ面食らってしまいました。 ここで好きになったらチョロすぎる!と踏みとどまりました。

ただなんて返事したかは覚えてない。

 あなたに「ありがとう好き〜!」って言われてたやつらも同じくらいだいぶ危なかったと思うぜ。

 

 目立たないよう地味に高校3年間を過ごしてきた私は人知れず河原などで大きい声で歌うのがとてもすきでした。
 3年の文化祭なにもやらず公開するくらいならと勇気をだして自由参加のステージ発表に歌で挑戦しました。
 みんなからの『この人歌うんだ』というどよめきと拍手は今でも思い出深いのですが、その日の放課後、クラスで一番明るい人気者の男子に走って呼び止められ『おれめちゃくちゃ感動したばい!歌ってくれてありがとうって伝えたかった!』と太陽のような笑顔と大声で語りかけられ、指先から心臓、耳、頭のてっぺんと血液がギュウッと昇ったことをいまでも鮮明に思い返します。
 彼の一言が私の歌を完全肯定してくれたおかげで、いまもひっそりと歌の活動を続けています。

ちゃわん虫

 ド直球な褒めって簡単に好感度がメチャクチャなことになるよね。

 

 小学生の頃なぜかは思い出せないが 放課後の廊下で困って立ち尽くしていたらクラスの男子が「可愛い顔してどうした!」と笑いながら通り過ぎて行った

 夏にセミを食べている所を見てなかったら危なかった

生食

 最高です。

 

 文化祭の前日、空き教室で作業していたところ、いきなり扉が開いたと思ったら同じ制作グループの男子が私の目の前にバラを突き出してきました。

 受け取る時目が合ってドキドキしました。

 その数日前に制作のLINEグループに「バラの造花使いたいので持っている人いませんか?」と連絡をしていて、それだったので何もなりませんでした。

無記名

「シチュエーションだけ見ればドキドキ」って裏を返せばどんな経緯でもシチュエーションさえすごければドキドキできるってことだな。

 

 会社での飲み会で、よく私をいじってくる上司とあまり話したことのない社長と相席した時のことです。
 上司が「ドンちゃんの趣味って盆栽とか観葉植物を育てることらしくて〜」と私のことを社長に話し始め、「渋くないですか?(笑)」と私のことを茶化しながら社長に振りましたが、社長は大真面目に「え、すごく良くない?」と言ってくれました。

 たった一言でしたが、今まで茶化されることが多かったのでその肯定の一言はかなりの大打撃でした。
 社長なので恋には落ちませんでしたが、今でも尊敬しています。

24才のドン

 人の趣味を安易に茶化さないのは社長の器だ。それはそれとして盆栽趣味はすごく良い。

 

 職場体験で幼稚園に通っていた頃、担当クラスのやんちゃな男の子に「○○ちゃんおはよう!今日もかわいいね!だいすき!」と告白され抱きつかれるのがルーティーンになっていました。

 その時は初めて子供になつかれて嬉しい気持ちもありつつ「はーいありがとねー」と軽く流していたのですが、職場体験終了後遊びに行った運動会で「○○ちゃんのために絶対かけっこ1位とってくるから」と照れながら言われた時は「(あんなに毎日ストレートに好き好き伝えてきた子が数ヶ月後に会うとこうなるのか…)」と、ぐらっときました。

 流石に相手が子供なのでセーフでしたが、今打っていて「お互いが大人なら8歳差なんて気にならないかもなぁ…」とちょっと考えてしまいました。ダメな大人すぎる…

でも歳上が好き

 幼稚園児の語彙の増え方ってたしかにすごいけど、それに好意の伝え方が乗るとこうなるのか……

 

 私には物心がついたときから未だに仲良くしてる幼馴染がいて毎日5対5で戦う某FPSゲームで遊んでます。
 去年くらいの話なのですがあと1ラウンド取られたら負け、さらに生き残ってるのは幼馴染一人。1V5の最終局面。いつもならすぐ諦めていた盤面だったのですがこの時私は負けたらランクが下がってしまう降格戦でした。

 すると彼はLINEの通話を繋いでいるのにわざわざゲーム内のボイスチャットで「…OK、俺がお前を救う」と宣言したあと見事に勝利し、幼馴染が使っていたのはサポートキャラだったにも関わらずフラグトップ(一番スコアが高かった人)でした。
 その時のため息混じりの「…OK」が忘れられず一週間くらいキュンキュンしてたのですがよくよく考えたらいくら勝ったとはいえ結構恥ずかしいと気づき私の恋情はただの友情に変わりました。
 最高の相棒という事実は変わりませんでしたが。

たそちゃ

 笑ってしまうほどかっこいい。本当にかっこいい。「かっこいい」と「それはそれとして恥ずかしい」は両立してしまうからな……本当にかっこよくはあるんだけど。

 

 中学のとき「SかMか」みたいな心理テストの話になって、私の結果がMと出たのを見た女友達が「じゃあ叩かれたら嬉しいの?」と言って私の腹にひよわなパンチを3、4発食らわせてきた。

 身長の差があるのでずっと下から覗き込む感じで、あのまま心理テストが正しくなる可能性があった。

 それ以来、女性に腹パンされる機会がなかったから確かめられていないだけで、実際おかしくなってるかもしれない。ちょっと自信ない。

 あれから6年。どうも彼女は今めちゃめちゃ不幸せになってるらしく、あの腹パンの分だけでも蜘蛛の糸を垂らしてやってほしい。

もみじ

 ひよわなパンチというのも結構重要な要素な気がするな。M疑惑の人にひよわ腹パンするのが優しさかどうかはさておき幸せになってほしいぜ。

 

 リモートワークも暇だし会社の同期数人でそれぞれ別の人の家に食べ物送って楽しもうぜ!みたいな会をやった日に、同期(イケメン)は私に食べ物とは別にコストコのクソデカいクマを送ってきて、イケメンはこういうこと平気でするんだから~!もお~!とは言いつつ本気で惚れそうになった

ジェームズ・ボンド(右)

「イケメンからいきなりクソデカ熊が送られてくる」かなり企画の趣旨にちょうどいい恋しそう具合で良いな……。あとこれ楽しそう。

 

 運転試験免許の筆記に落ちてしまい、肩を落としながら最寄りの駅で降りたら、中学生の頃に少し仲の良かった同級生の子と偶然会いました。

 話の流れで「筆記落ちちゃったんだよね〜」って言ったら、「でも、私に会えてテンション上がったでしょ?」 ってニコニコしながら言ってくれました。

 容姿の整った方で中学の頃に意識してた人だったので、別れた後にコンビニで豪遊しました。

免許は取れました

 これくらいの自己肯定感が欲しい。コンビニで豪遊したくなるほどのハッピーさを人に与えられる人、素敵すぎる。

 

 ほぼブッ刺さったけどすぐ冷めた話。

 

 大学の部活動に男子校出身の男子がいました。
 大学生になって初めてのバレンタインデーに「来年はチョコがほしいから」と私と友人(女子)に大きな箱をくれました。

 中身は部活動の同期数人で遊んだ時に店先で見かけて私が「かわいいね」といったペンダントと、お菓子が入っていました。
 いつも無口で何を考えているかわからない彼の思いがけないサプライズに心がギュンとなりましたが、箱の奥から折り畳みナイフも一緒に出てきたのでトキメキは一瞬で恐怖に変わりました。

 ちなみに友人の箱には入ってなかったそうで、ナイフをくれた理由は「ストレス発散に使うかと思って」とのこと。
 私を何だと思ってんだ。

じょなさん

「男子校なら喜ばれるのかも」と思ったけど、友人の方には入ってなかったのか……ナイフが要りそうな人だと思ったんだろうな……。

 

 高校の冬頃、同性の友達と帰りのバスの一番後ろの席に乗っていました。
 その友達はスキンシップが多いタイプで、その日も無言で手を繋いでこようとしてきたのですが、私が「手汗やばいからダメ」と言って断りました。

 すると友達が「私も手汗やばいから、どっちの手汗か分かんないしいいじゃん」と言って、手を繋いできたので、手汗やばいのに手を繋ぐという許されてる感で恋しそうになりました。
 でもその友達の方が手汗でびちゃびちゃだったので、恋はしませんでした。

手汗マン

 恋しなくていいから友達ではいつづけていてくれと願ってしまう。

 

 高校生の頃、男友達に「俺のほっぺ、すっげー柔らかいから触ってみ?」と誘われた時。
 やんちゃな男子から急に出てきた『ほっぺ』が可愛くて、何かドキドキした。

「ほんとだお餅じゃーん」って触ってたら、相手が不意に私の頬を触って「お前ほっぺ硬!石ころじゃん!」と笑った時はいよいよ死んだ。『石ころ』はずるい。
 落ちかけたけれど、頬が硬いと言われたショックの方が大きかった。

名古屋の吹雪

 語彙の可愛さで隠しきれない嫌さ。

 

 大学のサークル活動(zoomでの話し合い)で、「カップヌードルをキャラ付けするならどんなキャラ達が出来上がるか」と言う話題になり、当時あんまり話していなかった同級生の女の子と他のzoom参加者を置いてきぼりにするくらい盛り上がりました。

「シーフードは爽やか系!カレーは元気っ子!」と、一致する部分もあれば、真逆の答えの時もあり、1時間くらい話してました。

 他のサークルメンバーから付き合ってる噂も立つくらい息が合い、自分もその子をかなり意識するようになったのですが、その後に一緒にやったApexがありえないほど盛り上がらなかったのでそのまま疎遠になりました。二言くらいしか話せなかった。

ふわや

「漁夫」「ウルト」「別パ」「野良のローバ全然ショップ出さねえ」だけでも四言いくのに二言は盛り上がらなさすぎだな……。

 

 高校生の時、同級生の女子バスケ部(自分もバスケ部でした)の同級生とかなり仲が良く、帰り道も途中まで同じで部活後に二人でよく帰るくらいでした。

 ある日、休み時間に隣のクラスからわざわざ僕のいるクラスに遊びに来ていていつも通り他愛もない話で盛り上がっていました。
 すると、向こうが「前からずっとやりたかったことがあって・・・やってみてもいい?」と、恥ずかしそうにしながら言ってきました。なんだろう?と思いつつも二つ返事で了承。
 次の瞬間、教壇の上で思いっきりひっぱたかれました。

 休み時間の喧噪が一瞬止まるくらいの甲高い音がクラスに響き渡り、周りの「?」みたいな目線が集まったのを覚えています。
 そして当人である僕はどうだったかというと、バチボコに興奮していました。

 衆目に晒されながら平手打ちを異性から浴びせられる経験、実績解除した!という喜びが全身を支配していました。
 流石に相手もヤバいと思ったのか、腕を掴まれ廊下に引っ張られ(これも今思うとえぐい)、そして何故か廊下でも一発イカれました。今思うと彼女なりの照れ隠しだったんだと思います。

 ものの数分で平手打ちを二発いかれて正直だいぶ好きになりかけてましたが、クラスに戻った後の空気で一気に冷静になり、彼女の暴力性に若干恐怖を覚えて、好意<恐怖になったので好きにはなりませんでした。

berulee

 名文、名エピソード。過激な欲求を「こいつなら受け入れてくれるかもしれない」と思ってもらえるの本当に美しい信頼だし、それでしっかり目覚めてるのも奇跡みたいに綺麗な話だ。
 これで付き合うどころか恋すらしなかったのだんだんムカついてきたな。今からでも付き合わないかな。

 

 小学生の頃、同じクラスの男子(成績が大変良く家が金持ちかつ性格が捻くれている)と相性が悪く毎日小競り合いをしていました。
 主にテストの点数や発表回数を競い合ってました。

 図工で絵が完成した後の授業は必ずクラス全員の絵を見て回り、自分が一番良いと思った生徒の名前と感想をプリントに書き提出する…という謎の時間が私の学校にはあったのですが、大抵の生徒がうだうだと教室・廊下を練り歩く中、その男子は開始数分で書きあげ即着席していました。
 いつものノリで「誰にしたの?」とからかいに行くと「いやお前やろ お前しかおらん」と呆れ返った目と声で言われました。
 本当にプリントには私の名前があり、読めはしませんでしたが長文で何やら書いていたのも見えました。
 私は絶対にコイツのことを褒めることはないのに、普段あんななのに、良いと思ったものを良いと素直に伝えられる男子の眩しさが苦しかったです。
 他人より優れている人間に認められることの優越感も彼が教えてくれました。

 次の日の千羽鶴を折る授業で「お前の折り鶴は下手すぎる」と難癖をつけられたので恋には落ちませんでした。

や〜ど

 捻くれているというか、素直すぎてトゲトゲしているタイプだ。折り鶴に難癖つけてくるやつは折り鶴程度の他のものにも難癖つけてくるから恋しなくてよかったのかもしれない。

 

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