某日、オモコロ運営会社・バーグハンバーグバーグにて……
今日はよろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
おみやげ交換
こちら私の大好きなおみやげ、「プレスバターサンド」です。
食べたことないですね。ありがたく頂戴します。
正方形なんですね。ではいただきます。
これマジでおいしいんですよ。
あっ、おいしいです。中のクリームの味が独特で、生地もサクサクで。
おいしいですよね。あとこれ、箱もかっこいいじゃないですか。おみやげとしてオススメです。
僕が持ってきたのは、近所のお菓子屋さんで買った「伊利麻の幸(いりまのさち)」という詰め合わせです。
めっちゃ大きい!
箱が和紙みたいな素材で、触り心地が良いですね……え、ここにフランス語が書いてありません?
フランス語?
これフランス語じゃないですか?
絶対違うと思います。
「ケンキ」「拍手さい彩」「あばれんぼう」……初めて見るお菓子ばっかり!
中身は多分普通の焼き菓子とかだと思います。
じゃあ、一番数が多い「ケンキ」をいただきますね。
ブッセみたいな見た目ですね。
本当だ。ケンキがあれば……
ケンキがあれば何でもできる!?
おいしい! 優しい味だけど意外に塩気が効いてますね。
しょっぱいんですね。バターの風味ですか?
バターの味がちゃんとするというか、けっこうパンチが効いてますね。優しいだけじゃない。おいしいです。
気に入っていただけたなら良かったです。
対談開始
実は最近、私がオモコロの記事を書けないっていう悩みがあって。だから今日は、若い人に記事を書く秘訣を聞いていきたいと思って彩雲さんを呼んだんです。
なるほど、僕でよければお答えします。
彩雲さんはコンスタントに記事を書いてるじゃないですか。ネタ出しとかってどうやってるんですか?
以前はかなり時間をかけてネタ出しをしてたんですよ。近所の図書館の学習スペースで、3時間くらいずっとノートに向き合って。
え!? 勉強じゃん。
オモコロに入って最初の1年くらいはそうしてましたね。でもさすがにだるすぎるので、今はぱっと思いついたものを勢いでやることのほうが多くなりました。
どういうときにネタを思いつくんですか?
そうですね……でも普段から記事について考えてるわけじゃなくて、締め切りが決まってからじゃないとネタを考える気にもならないです。
締め切りって破ったことあります?
多分ないですね。
すごい! 私は締め切り破りまくって、原宿さんからピリッと大人のお声がけをされたことあるのに。
オモコロの人の大人の一面を見るの怖いな。
最近はそもそも、記事を書こうっていうやる気が湧いてこないんですよ。彩雲さんはどういうモチベーションで記事を書いてるんですか?
僕の場合、「オモコロと関わりたい」という一心ですね。僕は外部ライターなので、基本的に記事を書く以外にオモコロと関わる方法がないんですよ。だから記事を書くしかない。
オモコロが好きなんだ……私はバーグハンバーグバーグで働き始めちゃったから、そういうピュアな「記事を書いてみんなと仲良くなりたい」っていうモチベーションが無くなってたかも。胸が痛い……
僕もモンゴルナイフさんと同じ立場だったら、記事を書けるかはわかりませんね。別にもともと何かを作ることが好きってわけでもないし。
え、そうなの? オモコロに入る前は何かやってたことはないんですか?
特に何も……
じゃあ、ずっと『よつばと!』を読んでいた?(※彩雲は『よつばと!』が好き)
まあおおむねそんな感じでしたね。Twitterも、アカウントは持ってたけど何も投稿してなかったですし。
彩雲さんのTwitterといえば、あのアイコンの猫ちゃんは何なんですか?
彩雲がTwitterのアイコンに使っている絵
あれは昔描いた絵です。いつ、どうして描いたのかは覚えてないんですけど、パソコンに画像が残ってたのでせっかくだしアイコンに使ってるんです。
怖い。
彩雲さんがオモコロの記事で一番笑ったのって何ですか?
一番は多分、夢顎んくさんの「【レビュー】街づくりシミュレーションゲーム『カスタウン』」ですね。
夢顎んくさんと来たから、完全に「ムイズ」(「めっちゃムズいクイズ! ムイズ」)かと思った。
ムイズもすごいんですけど、「笑った」でいうとこっちかもしれません。詳しい説明は省きますけど、その中で市長がおしっこを漏らしてゲームオーバーになるっていう場面があって。そのときのゲームオーバー画面が、「ピアノを弾く手」なんですよ。
はははははは!!
これがおそらく、僕がオモコロで一番笑ったシーンです。
夢顎んくさんは初期の記事もすごいですね。ちなみに記事以外で、彩雲さんが日常でフフって笑ったりすることってあるんですか。
日常で……なんだろうなあ。
花見て笑ったりします?
え? 笑いませんけど……モンゴルナイフさんは花を見て笑うんですか?
私けっこう笑っちゃうな。「開いてやがるぜ」って思って。
微笑ましいとかじゃなくて、「おもしろ」で笑ってるってこと?
人間の笑いがわからぬのよ。だから共感性のある記事とか書けないのよ。
僕も共感性のある記事は書いてないと思いますけどね。
もし、2人で一緒に記事を書くとしたらやりたいことってありますか。
そうですね……モンゴルナイフさんはメイクとか画像加工とか、ビジュアル的な技術に長けてるイメージがあるので、その力を借りたいです。
じゃあ、2人でプリキュアみたいな記事をやるっていうのはどうでしょう。
プリキュア!? それはすごい記事になりそうですね。モンゴルナイフさんが衣装製作とかメイクをしてくれたら、僕は本文を書くので。
メイクしたいな。彩雲さんにメイクしたいかも。
ぜひお願いしたいです。
メイクさせてください。もう最近メイクしたい欲がすごくて。
あと、記事を書いてるときって孤独じゃないですか。私は孤独に負けて遊びに行ったりYouTubeを見たりしちゃうんですけど、彩雲さんはどうやって孤独を振り払ってますか?
僕はそもそも、記事を書いてて孤独を感じたことがないです。
え、そうですか?
それはモンゴルナイフさんが人と関わる機会が多いからじゃないですか? 僕は普段から一人でいることが多いので、記事を書いてるときに特別孤独を感じることはないですね。
普段から寂しさを感じることがないんですか?
あまりないですね。
じゃあ悔しさは? 悔しいと思うことはある?
悔しさはあります。人の記事がウケてるのを見ると「嫌だなあ」って思いますし。
嫌なんだ!?
嫌ですね。半日くらいは落ち込みます。
そういうときはどうやって気にしないようにしてるんですか?
いや、気にすまいと思っても気になっちゃうんで。そういうときは寝て、翌朝になって気分がリセットされるのを待つしかないですね。
人の記事見たあと半日落ち込む……でもわかるわ。みんな悩んでるんですね。
せっかくなので、今日は僕からもモンゴルナイフさんに聞きたいことがありまして。
なんでしょう?
…………
これはあくまで、「もしも」の話だと思って聞いてほしいのですが……
もし、モンゴルナイフさんが地球儀を好きなやり方で壊していいと言われたら、どんな方法を選びますか?
………………
……やっぱり、腕力でいきたいですね。右手と左手でぎゅーっと挟んで圧力をかけて、ブラックホールを作って壊します。
ブラックホールを発生させる、ですか。
星の消滅って寂しいですね。
いえ、実にモンゴルナイフさんらしい、パワフルな答えだと思いました。そして可能なら、もう一つだけ例えばの話をさせてほしいのですが。
聞きましょう。
こんなことを尋ねていいのか……いや、躊躇している場合ではない……
もし、もしですよ? 一切何の情報もない状態でクジャクを育てなければならないとしたら、何をエサに与えればいいと思いますか……?
………………
………………
銀座に連れて行って、何を食べたいか聞きます。 たくさんお店があるから、クジャクも嬉しいかなって。
銀座……? 今、銀座と言いましたか……?
いや、銀座……確かにクジャクは高貴な鳥だから、それなりの待遇はしかるべきかもしれない。そうか、銀座……その手があったか……
三越、歌舞伎座、帝国劇場、美しい羽根…………
モンゴルナイフさん……この話を聞けただけでも、僕は今日の対談を行った意義があると思いましたよ。
ありがとうございます。
あと、モンゴルナイフさんはたまに怪談のイベントにも出てるじゃないですか。
そうですね。
僕も怖い話を聞くのが好きなので、怪談について聞いてみたいと思って。モンゴルナイフさんは霊感的なものがあるんですか?
霊感はないって信じてるんですけど、お化けとのエンカウントは多いほうかも。
例えばどういった?
いろいろあるんですけど……旅行先のホテルの部屋のトイレから夜中ずっと泣き声が聞こえてきて、うざかったんでめちゃくちゃうんこして流さないで泣き声を止めたりとか。
うんこで霊に勝ったってこと!?
ちゃんと話せばもっと長い話なんですけどね。でもその部屋のトイレは、一緒に行った友達も「このトイレ使いたくない」って言って近寄らなかったりして。
そこは「幽霊が出るホテル」みたいな、いわくつきの場所だったんですか?
いや、そういう噂はなかったんですけど。でもなんか、どこかに宿泊したときにそういうものに遭遇しやすい気はします。
仕事で別の旅館に泊まったときも、夜中にふすまの向こうから「こんばんは」っておっさんの声がして、なんで夜中に? って思って開けたら誰もいなくて。でもよく考えたらふすまの向こうには鍵がかかってる内扉があるから、「お化けじゃん」みたいな。
怖!! あと前何かで聞いた覚えがあるんですけど、修学旅行でも怖い体験をしたとか……
ああ、修学旅行の夜、同室で寝てる子の首が急に180度回転して、全然知らない人の顔になってたっていう。
その話めちゃくちゃ怖いですよね。そういうのを見たときってどんな気分になるんですか?
意外に「キャー!」みたいな感じではなく、「おっ」となるというか。「このあとどうなる?」みたいな。
冷静だ。
そう。「どうなる?」って思うか、ブチ切れるかの2パターンです。
ブチ切れる?
キレることもありますね。幽霊がいるかもしれないって場所をディルドで叩きまくったりとか。
???
一時期、家に置いてある破魔の矢とか厄除けの御札がやたら床に落ちる時期があって、そのときの話なんですけど。
よくわからないですけど、ディルドで殴って効果があるんですか?
効果があったかはわからないけど、見えない何かにディルドが当たってる感覚はあったんですよ。ディルドがこう、ブゥンとしなって。
想像を絶する話だ……
改めて今日は、彩雲さんにいろいろ話を聞いてオモコロライターとしての初心を思い出した気がします。若手の頃のハングリーさを取り戻したいっていう気持ちになれたかも。
それは何よりです。こちらこそ、いろいろ刺激的なお話が聞けて良かったです。
怪談はまだまだレパートリーがあるので、今度また聞いてください!
ぜひ聞かせてください!
今日はありがとうございました!
ありがとうございました!
───それっきり、二人が会うことは二度となかった。なんのことはない、二人とも時の流れに身を任せるうちに、互いの名前を記憶の彼方へと追いやってしまったのである。こんな風にたいていの場合、別離とは実にあっけなく、悲劇にも何にもならないものだ。まるで対談なんか初めから行われなかったみたいに日々は過ぎていったさ。
それでも、人は無性に過去を振り返りたくなるときがある。過ぎ去っていったものたちの中に、何かを見出そうとせずにはいられないときがある。そんな夜には、私は慣れないウイスキーなんかをあおりながら、いつも決まって同じ歌をギターで爪弾くのだよ。よければ今夜は君たちも聴いていかないかい? そして願わくは、彼らにもこの歌声が届きますように……
<彩雲とモンゴルナイフの思い出に・完>