実食……! の前に
いや、でも、待ってほしい。決してこんなことを言いたくはないが、ビジュアル的には元のフルグラも大概である。色味の上では干しぶどうが入っているかいないかの違いくらいしかない。しなびた乳首の暗喩に使われるような食材が無いだけで、そこまでシズル感に差が生じるとは思えない。
では、なぜフルグラはうまそうに見えるのか。おそらくその秘密は
パッケージにあると思う。
みずみずしい状態の果物が前面に押し出されたパッケージ。これを目に焼き付けた上で皿に盛るからこそ、フルグラはうまそうに見えるのではないだろうか。
というわけで……
パッケージも作る。まだ途中段階だが、やはりフレッシュな食材の写真を見ると食欲が刺激される。ここでもう一度、さっきの写真を見てみよう。
あれ、気のせいかな……?
さっきより美味そうに見える……!
Photoshopとか使ったので本当に気のせいではないのだが、それにしたっていくらかマシに思えてきた。この調子で完成させるぞ!
……。
…………。
できた。
サルノコシカケのサイズ感が全然わからなくて(ルンバくらい?)、「巨悪に立ち向かう勇者パーティー」みたいな構図になってしまった。まあ、肉とかタレの味でごまかさないと生のキノコを食える気がしないので、メタファーとしては正しいのかもしれない。
それでは一晩寝て、仕事前に食べてみます。
実食……!
翌朝
それではいただきます。
サルノコシカケの圧に潰されそう。こんなマインクラフトの石ブロックみたいな見た目のくせに、どこか清涼感のある香りがして、それが逆に不気味である。なんでこいつがこんなに爽やかなんだ……。
頼む。美味くなくてもいい。せめて完食はさせてくれ……。
ングング……
ングング……
ングングング……
ングングングング……
……あれ? 嘘でしょ……?
爆笑。
けっこうおいしいのかよ。
結論としては、まあまあアリだった。狂った牛角が支配するパラレルワールドなら、こいつがカルビ専用ご飯のポジションにいる可能性もあるかもしれない、それくらいの可能性は感じる味だった。
冷静に考えてみると、焼肉のたれ、ビーフジャーキー、ニンニクの組み合わせがまずいワケないんだよな。グラノーラのほのかな甘みも塩気と相性がよくて、クドい食材ばかりなのにスルスル食べられる。朝マックも甘じょっぱいメニューばかりだし、肉×甘味の組み合わせこそが「朝っぽさ」と「飯っぽさ」を両立できる最適解なのかもしれない。サルノコシカケはマインクラフトの石ブロックだった。
そして何より……昼まで戦える気がする!
スタグラ、お前やったよ……。朝食界の新風だよ……。
というわけで
口臭ヤバすぎて仕事どころじゃなくなったので今日はもう二度寝します。
その前に、あれ飲んどかなきゃな。
カシャッ
<完>