某月某日、都内某所
また今夜も非合法カジノで超ハイレートギャンブルが行われている。
一生を遊んで暮らせる大金を手に入れることも、
五体の満足を奪われることも、ここでは日常茶飯事なのだ。
これは、自らの命さえ顧みない無謀な男達の
醜く、愚かで、そして熱い、魂の勝負録である。
場は重たい静寂に包まれていた。
無駄口を叩く行為が利益にならないことを勝負師たちは知っている。
そう、彼らはチンゲギャンブルという荒波を乗り越えてきた歴戦の猛者なのだ。
チンゲカジノのオーナー兼ディーラー。
このカジノに迷い込んだ客を食い殺し、相当な額のチンゲを貯め込んでいると噂だ。
チンゲ界隈で彼を知らぬ者はいない伝説のチンゲ師。
チンゲの申し子。He is a CHINGE.
凄腕のイカサマ師として、方々のチンゲカジノから恐れられている。
彼のイカサマを見抜いたものは未だいないという。
「パイパンの加藤」という名前で通っているチンゲラー。
通り名の由来は不明。一体どういう意味なのだろうか?
では、ここで読者のみなさんにブラックチンゲジャックのルールをご説明しよう。
まずはこのように全員に1枚ずつカードを配ります。
ブチブチブチッ!
次にチンゲを抜いてください。
ブチっっ!
カードの数字とむしったチンゲの本数を足して、21に近いほうが勝ちです。
ブチチチチ!!
チンゲをむしるチャンスは一回限りです。
むしれなかったからと言って、むしり足しはできません。
「俺のカードは4だから、17本のチンゲが必要……!」
ブチブチブチブチブチっっ!!
「よぅぅ~し、オイラもたくさん抜っくぞ~~!!」
「お客様、マナー違反は困りますね」
「びぃぃぃ!!ごめんなちゃぁぁぁ~~~い!!」
チンゲは片手でエレガントに抜くのがブラックチンゲジャックの作法です。
プレイの際は気をつけましょう。
全員が抜き終わったら、勝負です。
ディーラー対お客さんの勝負になります。
「せーの!」
<セブ山のカード>
9+11本 = 20
「ふふふ」
<永田のカード>
11+4本 = 15
※エースは1or11で計算。絵札は全て10で数えます。
「クソが!負けだ!」
<原宿のカード>
4+たくさん = バースト!
カードとチンゲの合計が21を超えるとバーストで負けが確定します。
「あ~!やっちまった~~!!」
<加藤のカード>
10+0本 = 10
「………」
「私の総取りですね。では遠慮なく頂きます」
スッ
「(ふふ、今ので50本近いチンゲが私の元に…)」
2回戦目
「せーの!」
<セブ山のカード>
5+7本 = 12
<永田のカード>
5+12本 = 17
<原宿のカード>
10+11本 = 21
ブラックジャック成立!
「いよっしゃああああああ!!」
<加藤のカード>
2+0本 = 2
「ん? 0本? カードが2で19本抜かなきゃいけないってのに…?」
「………」
「貴様、怪しいな!」
「やっぱりパイパンだったか!この野郎!」
「びぇぇぇ~ん! 許してくだちょ~~!」
3回戦目
原宿、連続ブラックジャック成立!
「よっしゃっしゃっしゃっしゃああ~~~!」
4回戦目
原宿、またまたブラックジャック成立!
「よしよしよしよしよしよしよしよしよ~~し!」
「(4でもブラックジャックだと…? 怪しいぞ…)」
5回戦目
「え~と、1、2、3、4…」
ガシッ
「貴様ぁ~~! カウンティングは重大なイカサマ行為だぞーー!!」
「バレちゃったぁぁ~~! 許してちぃぃ~!!」
※カウンティング:むしるチンゲの本数を数えるイカサマ
6回戦以降、
セブ山と永田の一騎打ちに。
一進一退の攻防に見えたが、
永田は負け額のほうがやや多く、じりじりとそのチンゲの本数を減らしていた。
「(クソッ。手が入らねえ…、アレさえ、アレさえ来れば…!)」
17回戦目
<セブ山のカード>
7+6本 = 13
<永田のカード>
10+10本 = 20
「チッ。俺の負けか」
「(ここだ…!)」
「スプリットだ!!」
「な!? もう勝ちが決まっているのにスプリットだと?!」
※スプリット:カードとチンゲが同数だった場合、
2つの手に分けて別々にプレイすることができる
<スプリット後の永田のカード>
10+10本 = 20
10本+10本 = 20
「ふ、来たぜ…」
「な…、ま、まさか…! よせーーーっ!」
「スプリットじゃあぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!!!!!!」
さらに、スプリットを続ける永田!
再スプリットでむしったチンゲの本数は!?
スーパーブラックジャック成立!
<再スプリット後の永田のカード>
10本+11本 = 21
10本+11本 = 21
10本+11本 = 21
10+11本 = 21
「ざっと、2万8千本の勝ちってとこか。
さあ、とっとと払ってもらおうか。それともこいつが必要かい?」
「ケギャギャギャギャ~~!! 破産じゃ!破産じゃああ~~~~!!」
「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!チンゲじゃ~!」
「入りきらないよ~」
「このチンゲちゃんを」
「内ポケットに閉まって、と。
さ~て、帰るか!」
――――――――――
<永田自宅内>
「ふ~、こっからがお楽しみだぜ」
「ん? あれ? くんくん」
「これマンゲじゃねえか!」
「これも!」
「こっちもマンゲ!」
「あ、もうない」
「マンゲ! 全部マンゲじゃねえかあ~~~~!!
俺のチンゲはどこいったぁぁぁぁ~~~~~!!!」
その頃、チンゲカジノでは…
「クックック。まったくチンゲラーって奴らは簡単だなぁ。
卓外ではすぐ油断しやがる。テーブルに着いた連中の顔を覚えて、
カジノから最後に出てきたやつの懐をスれば一丁あがり。
これだから、パイパンはやめられねえぜ。」
「くんくんくん。クゥ~、こいつぁいいチンゲだ!
備長炭みたいな匂いがしやがる!」
「もういっちゃお! 洗面しちゃお!
チンゲで洗面しちゃお~~っと!」
ゴシゴシゴシ
「ふぅ~」
「あ、鈴木雅之だ!」
「違う違う」
「そうじゃ」
「そうじゃない」
シングルCD発売中!
「鈴木雅之さんですよね!? 僕、ファンなんです!!」
「違う違う」
「そうじゃ」
「そうじゃない」
シングルCD発売中!
「え~! 絶対に鈴木雅之さんですよ!!!」
「違う違う」
「そうじゃ」
「そうじゃない」
シングルCD発売中!
「違う違う」