こんにちは! ライターのギャラクシーです。関西から東京にきて1年が経ちました。
東京といえばよく『眠らない街』なんてことを聞きますけど、それって本当なんですかね。
終電が出たあとも眠ってないの? そこにいる人たちは何をしているの? シャブを売っているの?
気になったから調べてきました。
やって来たのは新宿。時間は終電が出た直後(1時半くらい)
JR新宿駅ルミネ前
都庁前
新宿、普通に寝てた。
歩いてる人は皆無。車もたまにタクシーが通るくらい。もうちょっと人が多そうな方面に移動してみましょう。
2時頃だとアルタ前もこの通り。アルタビジョンが真っ暗に。この周辺にはパラパラと人がいました。
しばらくアルタ前をうろうろしていたところ、スケボーに乗っている男性を発見したので、声をかけてみましょう。
ガラ悪そうな人だからちょっと怖いけど……
すいませ~ん! 今、何してるんですかあ~?
午前2時:スケボーに乗った男性
「え、取材? 何?」
「いま、夜の新宿にいる人たちを取材してるんですが、名前と年齢を教えてもらえないでしょうか」
「はあ、いいっすけど。名前は、Freeman Piece。32歳です」
「もう2時過ぎですけど、フリーマンなんちゃらさんは、今、何をしてるんですか? シャブを売ってるんですか?」
「売ってません。スケボーの練習をしてました」
「32歳ということですが、ご結婚は?」
「いや、してないですね」
「それは、32歳なのに仕事もせずにスケボーしてるから?」
「普段はちゃんと営業の仕事をしてます」
「嘘だぁ~!」
「いやほんとです!」
「深夜に一人で練習してて、DQNにケンカ売られたりしないんですか?」
「DQNというよりは、酔っぱらいに声をかけられることはありますね。『何かやってよ』とかいって。すげぇ困りますよ」
「“何か”って、漠然としたリクエストだな。特に指定がないなら、スケボーの上に立って全然関係ないことしたらいいんじゃない? 五木ひろしのものまねとか」
「やりたくない! 自分はスケボーの練習がしたいんですよ!」
「ひょっとしてプロスケーターになりたいとか?」
「いや、スケボーはあくまで趣味です。将来は古着とか、海外のコアなブランドの服を売る店をやれたらいいっすね~」
スケボー、ちょっと乗らせてもらったんですが、思ってるよりグラグラで通背拳みたいなポーズになってしまいました
というわけで夜の新宿にいた人、ひとり目は“スケーター”でした。
スケボー乗ってる人は全員、地面にお婆さんを何人か敷き詰めてジャンプの練習するようなクソカスDQN野郎というイメージだったんですが、この人はちゃんと仕事して夢を持って頑張ってる方でした。
2時半:中国人留学生
時刻は2時半。場所はさっきと同じアルタ前広場。
地下街の入口付近に男性が座っているのを発見したので声をかけてみます。
すいませ~ん! 今、何してるんですかあ~?
「へ?」
「夜の新宿にいる人たちを取材してるんですが、お名前と年齢を教えてもらえないでしょうか」
「あー、ボクのナマエは、リンです。23歳です」
「外国の人? どこから来たんですか?」
「中国の福建省デス。去年、留学生として日本キマシタ。学校では1年間、kあjlさf○gを勉強していマス」
「え? すいません、何を勉強してるんですか?」
「kあjlさf○gだよ~(笑) kあjlさf○g、わからない? い@ぽypあを、lpmkgヴfhdsjkするのが、kあjlさf○g!」
「ああ~、なるほど(全然わからないけど日本語を専門に勉強してるんじゃないんだろうな)」
「こんな深夜に何をやってるんですか? シャブを売ってるんですか?」
「しゃーあぶって何? たべもの? ボクは友達を待ってマスですけど」
「友達っていうのは、ひょっとして彼女ですか?」
「違う違う! 彼女ナイよ! 友達! 彼女ほしいよ! 来るの友達!」
「わかったわかった、わかりました! リンさんは将来的にどういうことがやりたくて日本にきたんでしょうか?」
「上野に、兄が店をヤッテいます。ラーメンを作っている。ボクは手伝いたい」
「うわ、めっちゃ良い話。えらいわ! リンさん……偉いわ!!」
「エライ……? エーライってどういう意味?」
「まず日本語勉強してくださいよ!」
というわけで二人目は“中国人留学生”のリンさんでした。
「日本すごく好き! 日本のカルチャーが好き!」と言うので、どういうカルチャーが好きなの?って聞いたら、「魚」だそうです。
3時:歌舞伎町のメンズキャバクラ店員
続いては歌舞伎町方面へ。ここは『龍が如く』で言うとセレナとかスターダストとかのある通りです。
TOHOシネマズ新宿前
こんな時間なのに人がたくさんいるゥゥゥ~!さすが不夜城・歌舞伎町やで~!
せっかくの歌舞伎町だから、ホストっぽい人はいないかな~?と探していると、花壇のところにファイナルファンタジーみたいな人がいたので声をかけてみます。
すいませ~ん! 今、何してるんですかあ~?
「あぁん?」
「今、夜の新宿にいる人たちを取材してるんですが、お名前と年齢を教えてもらえないでしょうか」
「へぇ~~~取材か。お兄さんも大変だねぇ。俺、ユキヤ。20歳」
「俺も20歳です。名前はシズク」
「今は何してるんですか? シャブ売ってるの?」
「売ってねぇよ。仕事終わってメシ食ったとこだよ」
「二人とも何の仕事してる人なんですか?」
「メンキャバのキャスト。客がいたらアフターとかあんだけど、今日はいなかったから後輩のコイツとブラブラしてんの」
※メンキャバのキャスト=メンズキャバクラで接待する男性従業員。ホストクラブは時間無制限のフリータイム制、メンズキャバクラは時間制、という違いがある
「メンキャバってやっぱり金回り良いんでしょうか」
「いや、売れっ子じゃないとそうでもないよ。まだ入店して三ヶ月だから、一日☓☓円くらい」
「え! そんなもんなんですね……! 二人は出身はどこなんですか? なんか夢があって上京してきたとか?」
「俺は埼玉出身で、内装の職人やってたんだけど、仕事が嫌で飛び出してきた。今はとりあえず店でナンバー(売り上げ上位のキャスト)になって金稼ぎたいって思ってる。自分の人生だから、自分のケツは自分で拭けるように頑張ってるよ」
「見た目でチャラチャラした人かと思ったけど、結構ちゃんと考えてんだ……。シズクさんは?」
「え? 俺は~、ノリと勢いで一ヶ月前に宮崎県から出てきて~、で夢は~、そうだな、う~ん…………ないっ!」
「見た目どおりかよ!」
というわけで三組目は“メンズキャバクラのキャスト”でした。
メンキャバのキャストとか、ホストみたいな人というとチャラチャラしたいいかげんな人というイメージでしたが、話してみると、夢とか過去とかあって、真面目に頑張ってるんですね。印象がかなり変わりました。
4時:さすがに人がまったくいなくなってきた
ヨドバシカメラ・マルチメディア館前。マジ無人。
歌舞伎町を出て、うろうろ歩きまわるも、この時間になるとさすがに人が通らない。諦めずに探しまわっていると……おっ! ちょうどいいところに誰か居ますゾ!
すいませ~ん! 今、何してるんですかあ~?
ビチビチビチ
「今、夜の新宿にいる人たちを取材してるんですが、お名前と年齢を教えてもらえないでしょうか」
「おれ……二・ドー。年齢わからない。いつからか、ここに生じた」
「こんな時間に何をしてたんですか?」
「アスファルトを、削りとって、舐めていた」
「(え!? 顔が上にあるのにどうやってアスファルトを舐めてたんだろう? 皮膚そのもので栄養を吸収するタイプなのかな)」
「サリサリサリ……」(常に何かの音が聞こえていた)
「なんか夢ってあります?」
「ゆめ? 夢……それ、懐かしい……もう一度、言って」
「え? はあ、ゆ、夢ってありま……」
「おれ、もう行く」
「なんでー!? ちょっと待ってくださいよ」
「やつがくる……もう行く」
カサカサカサ
さりさり……
カサカサカサ
「あ~あ、行っちゃった」
「もう、夜明けか……」
「そろそろ人通りも多くなって…………あっ!?」
「見間違い……?」
「いや、もしかしたら…………」
完
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