本を読んでいる人は読んでいない人より偉いのでしょうか?
あなたはどう思いますか?
<登場人物>
エリコちゃん
この世のすべての本を無視して生きているOL。
謎の人
正体が明かされる前なので全体的に暗い人。
本好きの人
月に20冊ぐらい本を読む人。
はぁ…。
私ってやっぱりバカなのかな…。
本も読まないし趣味らしい趣味もないしあの男の言う通りなのかも…。
そこのあなた…一体何を落ち込んでいるの?
あ、あなたは…。
あなたは・・・
ネット文化評論家の嵐山ミカ先生!
なんて長い登場シーンなの…。見てるこっちがハラハラするわ!
あら、もっと短くもできるわよ?
嵐山ミカ先生!
失言で炎上してから見なくなったと思ったら…。こんなところで何してるんですか?
あれはツイッターが誰かに乗っ取られてたのよ。それはともかく一体何を落ち込んでいるの?
そうだ、落ち込んでたんだった…。実は、このあいだ合コン好きな異性のタイプを聞かれて…。
~回想~
ふーん。それで、好きな男性のタイプは?
好きなタイプ?うーん…面白い人がいいかなあ
出た、異性をエンターテイメントと捉えてる女!
自分から本を読んだり文化を摂取する気のない中身ペラペラの女ほど「面白い人が好き」とか言い出す確率高いの何なの!?
だいたいさ君さ、話がつまらないかっこいい男と面白い不細工でどっち選ぶの!?絶対前者でしょ!これまでもこれからも!
何ちょっと「私は内面を見ます」みたいな演出してるのよ!お前はバラエティに出てきたグラビアアイドルか!
そもそも「面白い」って何なの?ねえ、君に「面白い」が分かるの?月に何冊本読んでる?「面白い」を理解する最低限の素養はあるの?
そもそも「面白い」って恋愛対象から供給されるものだっけ?違うよね!男が君を楽しませるのってつまるところ体目当てのサービスでしょ?
でも残念、性の切り売りが通用するのは
若い間限定ですから~!残念!
わーん!何なのこの人~!
~回想終わり~
ということがあって…。
最後ちょっと波田陽区っぽかったね。
でもあの人の言う通りかもしれない…。私、文章を読むのが苦手でほんとうに教養がなくて…。
そんなこと気にしなくていいわよ、いくら沢山本を読んでたって、他人を見下して溜飲を下げてるような人よりあなたの方がマシよ。
マシか~。
さしづめその男は思春期に女から相手にされず代替として読書に走り、教養のない女性を馬鹿にすることで自分を誇示しているコンプレックス型の読書家ね。
そうなんだ…。そういう人ってよくいるんですか?
よくいるよ。インターネットによくいるよ。
どうして他人を攻撃するの?
さっきも言ったように、いくら本を読んでいても、読んでいない他人を攻撃しているようじゃ”教養がある”とは言えないわね。
そもそも本当に本が好きな人は、自分が本を読めていれば満足だから、他人に読むことを強要したり、読まない人をバカにする必要がないの。
では、なぜ一部の”本読み”は読まない人たちを見下したり、バカにしたり攻撃的な態度を取るのか?
ネットに限らず、他人を攻撃する人間の陰には必ずコンプレックス(劣等感)がある、私はそう考えているわ。
ほうほう、それはどういうことでえ?
親の愛は時に重荷…。「こういう子に育ってほしい」というエゴが炸裂して親が子供に干渉しすぎると、困ったことが起きるの。
私も小さいころ嫌々ピアノを習わされたなあ…。
「ああしなさい」「こうしなさい」と支配されすぎた子供は、「自分がこうしたい」という意欲を封殺されたまま大きくなってしまう。
するとどうなるか…。「こうした方がいい」「こうすべき」という他人の意見を異常に気にして、嫌々その通りに行動するようになるの。
なぜなら、他人の言う通りに行動していれば、どんな結果が起きても傷つかずに済むから。自分で決めた行動は、自分に責任が伴う。
登場シーンより話のほうが長いな。
だからそういう人は、他人に強要する。自分はしたくもないのにしていることを、やらずに生きている他人が妬ましいの。
読書に限ったことではないの。何かを嫌々やっている人は、他人が気になる。だから他人に干渉したがる。
ある一定の行動傾向から、誰かが別にしたくないことをしていることは推し測れるの。
別にしたくないことをしている人の四大行動
・人にすることを強要する
・しない人に怒る
・人の仕方に文句をつける
・していることを自慢する
ふーん、ためになるねぇ~。
誰だって特別になりたい
純粋に本を読んでいる「冊数」で誰かを見下す人もいなくはない。でももっと多いのは、「何を読んでいるか」で誰かを見下す人ね。
多いんですか?
沢山の本を読むには努力がいる。でも、「変わったものを読んでいる」というのを武器にするなら、同じ量の努力で多くの人間に勝てるの。
たとえば作品A、B、Cがあったとして、ファンが沢山いるAを読むより、Cから始める方が「自分は特別だ」という優越感に浸りやすい。
これはサブカルチャー全般とか、あるいはなんで匿名インターネットの人は村上春樹に厳しいのかという事実などにも関連しているわ。
なんでインターネットの人は村上春樹に厳しいの?
そんなこと私に聞かないでよ!どこまであつかましいのよこの女は!
怒るポイントがおかしい。
なあデニス、なんでジャパニーズ・インターネット・ユーザーはハルキ・ムラカミに厳しいんだい?
簡単だよ、ボブ。それは読まずにバカにした時のお得度がちょうど高いからさ。この図を見てごらん。
いろいろややこしいと思うけど、とりあえずグラジオラス関係なくない?
いや、あるんだよ!説明は難しいけど…とにかくあるんだ!
まずはじめに、ハルキ・ムラカミにはハルキストと言われるぐらいファンが多いだろ?
ファンが多い作者や作品のファンは、それだけ下層ファンである期間が長いのさ。何冊も読んでマイナーな作品まで調べあげてやっと、ファンを名乗れる。
どこの国にもにわかファンや新参を叩く層がいるんだね。
で、「何が好きか」に自己演出を兼ねているジャパニーズにとって、好きになってもさして特別になれないもののファンになっても得がない。
そうすると、読まずに外側から「ハルキ・ムラカミ(笑)」と作品群やファンもひっくるめて馬鹿にする方が、あらゆる手順を省略できて楽なのさ。
なるほど、言いえて妙だな。
もちろん、「オシャレな感じでチヤホヤされてる感じがむかつく」みたいなもっと単純な理由もあるだろうけどね。
それで、デニスはハルキ・ムラカミを読んだことがあるのかい?
あるよ。「13歳のハローワーク」を読んだよ。
それは村上龍だよ。
間違えた、読んだことないよ。でも彼が翻訳した「ライ麦畑でつかまえて」は読んだよ。
ちょっと待ってくれ、君はノースカロライナ在住のアメリカ人だろ?どうして日本語訳版の「ライ麦畑でつかまえて」を読む必要があるんだ?
いや、えっと、えっと…。
デニス~!
あなたの周りにもいるかも?
私が会ったようなアグレッシブな本読みの人はインターネットでよく見られるんですか?
程度の差こそあれ、よくいるよ。むしろ劣等感とプライドが比例した人はインターネットでこそ見つけるべきだよ。
ネット上にいる読書エリートはこんな感じだよ。
1.本読みスラッシュで始まるプロフィール
2.活字中毒という表現
3.本を読まない人に対するナチュラルな偏見
4.本を読むたびにwebで報告
5.他人の読む・読まないを気にする
6.「自分の基準では少ない」というスタンスの読書量自慢
こういうことを書いて、また「偏見を助長している」とかいって炎上しないんですか?
大丈夫、本当に炎上したら「アカウントを乗っ取られていた」って言うから。
その対応、果たして意味あるんですかね…。
劣等感は誰のもの?
人が他人を攻撃するのは劣等感のせいなんですよね。じゃあ、劣等感はどこから生まれるんですか?
劣等感は、自分はここが劣っているとか、こういうことができないとか、他人と優劣を比較することで生まれるの。
だから、親は子供が物心つく前に、「いかに劣っていようともお前は特別だ」と信頼してやる必要がある。
じゃないと子供は「特別なことをして特別にならなければならない」という強迫観念に捉われる。存在意義を自分で探すほかなくなる。
親のせいなんだ。
でも、存在意義なんてそんな道端に転がってるものじゃないわ。何十億の人間がいて、全員が特別なわけないじゃない。
人間なんてしょせん、砂で山を作ったり、山を作ったときにできた穴を他のところから持ってきた砂で埋めたりしてるうちに死ぬのよ。
でも、他人と比較することや劣等感が私たちに努力するエネルギーを与える場合もあるのでは?
もちろん、劣等感をエネルギーに変えられる人もいるわ。でも、多くの場合はむしろ逆。
他人と違う特別な人間にならないければならない…他人より優れていなければ存在する意味がない…。
その前提は「人と同じことなんてしたくない」「他人より劣った結果を出すぐらいなら何もしない方がいい」という無気力を助長させるの。
確かにそうかもしれない…。そういう人をたくさん見てきた…。
自分は何もしないくせに他人の粗探しばかりしている人たち…。主にインターネットで…。
うん、インターネットで
人目を気にせずに好きと言えるもの…。拙くてみっともなくても続けられること…。
そういうものがいつか、誰も想像し得なかったような大輪の花を咲かせるのかもしれない。
そう、咲き誇るグラジオラスのように…。
ほら、関係あっただろ?
恐れ入ったよ。
いかがでしたか?
コンプレックスの生まれる要因は家庭や社会的な経験、その両方など様々ですが、特にネット上ではどういう行動を取っているかによってその人がどういうコンプレックスを持っているかを紐付けることができます。
例えば…。
運動音痴で恥をかいた結果、体育会系全般の人間を叩くようになった”体育コンプレックス”…。
男ばかりの理系に進んで猛勉強したが全く恋愛に恵まれず、「文系は全員チャラチャラ恋愛して楽に生きている」という確信のもと文系を叩く”文系コンプレックス”…。
若くして全てを手に入れ、コンプレックスがなさすぎることに劣等感を感じている”コンプレックスコンプレックス”…。
例をあげればキリがありませんが、共通して言えるのはコンプレックスは「他人と自分を比較してしまう」ということから生まれるようです。
では、「ご先祖様がめちゃくちゃ偉大」だった場合はどうでしょうか?
「仮面の勇者〜心の迷宮RPG〜」では、ご先祖様がめちゃくちゃ偉大な勇者であったせいで、コンプレックスを持ってしまっている勇者の卵・アレックスの指南役となってゲームを進めていきます。
そのためプレッシャーが半端なく、ロード時間中も親から圧をかけられ・・・
仮面の勇者の公式Twitterではこのような悩みが多くつぶやかれています。
多かれ少なかれ、誰にでも必ずある「劣等感」を題材にしたストーリー重視のRPGは、共感できる事も多いかもしれません。一度プレイしてみてはいかがでしょうか。
仮面の勇者〜心の迷宮RPG〜