
看板からして腰抜かすほど違うじゃないか。
そしてコメダンディ(旧)はモノクルだった。
どうして忘れていたのだろう。こんなに大切なこと。

記事のテーマ的にはカウンター席にするべきだったのだが、なんかわからないけどテーブル席にしてしまった。
このとき既に、私はパニックに陥っていたのである。
お冷を運んでくれた店員さんを見送ってから(豆はまだ来ない!!)、紙ナプキンに店員さんの特徴を書き殴った。
盗撮などしていいはずがないし、制服のスケッチをしているところをさっきの店員さんが見てしまったら不要な恐怖体験をさせてしまうかもしれない。そういった心づかいが生んだ意味不明行動なのだ。

白半ソデ
黒いエプロン、黒い足
寿司屋ぼうし(えぼし!?)
深呼吸ののち、料理を注文。
記憶が確かならここで豆が来るはずだが、物欲しげな目を店員さんに向けてもそれが差し出されることはなかった。
ハズレ、だ。
ともあれ注文した料理が届くまでの間にメニュー表を吟味する。
部分点がもらえそうなのはこの辺りだ。

あつあつひえひえのキャッチコピー。
コメダ側がこれを『奥義』とまで思っているのは予想外だったが、外観をはじめ、ポイントは抑えられている。

カラフルで可愛らしいグラス。
つまりは『形が、魅力』と解釈できる。
このくらい緩い判定にしないと、もうこの先やっていけまへんねん。
そうこうしている間にカツパンが来た。
あと豆が来た!!!!!

なんだこれは。
パッケージが、記憶と似ても似つかないじゃないか。
調べたところ、毎年パッケージデザインを決めるコンペが開催されているらしい。
コメダ珈琲店を愛するものであれば簡単に辿り着けたであろう情報だ。
私はコメダのことを何も知らない。
私は頭が悪いから、コメダとの思い出をなにも覚えていてあげられない。

カツパンだって全然違うじゃんか。
これほど丸く可愛らしいフォルムをしてくれているのに、なぜ私はこんな、資材館で取り扱ってそうな仕上がりにしてしまったんだろう。

今すぐ画面の右半分をガムテープで隠して、私の愚にもつかないニセノワールが目に映らないようにしてほしい(タラちゃんアンチスレ民のように)。
かわいいチェリーのアクセサリーも添えられており、「幸せそうでいいね」「愛されていてよかったね」と思った。
幼少期から有り余る愛情を注がれたゆえに醸成された、無垢な愛嬌。
愛らしきホンモノワールを前にして、私めのみすぼらしい劣等感が鎌首をもたげた。

きもちを落ち着かせるためにコーヒーを注文したところ、再び豆が来る。
意味がわからない。
ちなみに前ページで言及した『甘み』はアイスコーヒーにしか付与されないらしい。
私は退店を決意した。
お会計
シロノワール 800円
コメダブレンド 580円
カツパン 1040円

コメダは多く、そして高い。
春霞に覆われた記憶の中で、灯台のように輝く真実だ。

帰路。
答え合わせをしたというのに、むしろそれが私の心を惑わしていた。
なぜあのときの自分は、自信満々に「コメダが好きだ」なんて言えたのだろう。
なぜ亜科だのヤングシステムだのとほざいておいて、恥ずかしげもなくコメダに顔向けできたのだろう。

こんなもの……!!

お客様、当店は営業中でございます


て、店員さん
モーニングのご用意が整っておいでです。お楽しみください

モーニングって待ち構えてるヤツでしたっけ? いま18時だし
コメダのモーニングは朝8時から夜21時まであなた様を待ち構えます
ああ、確かに……いつ行ってもモーニングが付いてきた気がする

モーニングセット。分厚いパンを口に運ぶ。
あんこは、こしあんだったっけ。それともつぶあんだったっけ。
ああ、いけない。このポイントは押さえておかないと、厄介な勢力に目をつけられる気がする。
なにはともあれ、美味しい。そうおっしゃいなさいませ。
え……?
覚えていなくても、詳しくなくても。あなた様が弊店を慈しむ心はそれだけで伝わるものでございます。
大槻ハンチョウがそんな感じのことを言っておりました
ですよね

ここがなんなのか、私にはよくわからない。
心象風景?
死の間際の幻覚?
この記事を書いているライターの三文芝居?
まあなんでもいいか。
なんにせよここはいいところだ。
いま少しだけ、正確さに満ちた世界から匿ってもらうとしよう。
幸いここには、コンセントもある。



サイケ蟹光線
JET
梨

戸部マミヤ

八羽


たかや








