3週目:邦画を借りよう

 

ここまでで何となく察しがついていると思うが、筆者の好みは洋画に偏重している。

だが洋画ばかりではレンタルビデオ屋の半分に満たないレンタル棚の、さらに半分しかチェックしないことになり、もったいない。

そこで3週目は、邦画縛りで5本借りてみようと思う。

・Cloud(2024 日本)

・学校の怪談(1995 日本)

・怪物(2023 日本)

・ヘルドッグス(2022 日本)

・見えない目撃者(2019 日本)

 

当初こそ「邦画で5本借りたいもの見つかるかな~」などと偏食すぎるがゆえの心配をしていたが、まったくの杞憂だった。

例によって書店感覚でたくさんの作品が並んだ棚を見ていると、「これ、何年か前に観ようと思って観忘れてたやつだ!」という記憶の扉がざくざく開く。

そうなると、今度は5本に絞る作業が難航する。そしてこれがまた面白い。

配信なら、とりあえず10本も20本もマイリストに入れてしまえるが(そして観ない)、レンタルビデオだと返却期限があるので、観られる量だけを借りていかなければならないという縛りが発生する。

これにより、今すぐ観たい5本を厳選することになるのだが、このおかげで結果として「この映画を観るぞ!」というモチベーションが爆上がりする。

 

というわけで、以下が感想だ。

 

◾️Cloud(2024 日本)

Cloud クラウド

転売ヤー菅田将暉が、方々で恨みを買いまくった結果、めちゃくちゃな目に遭わされる。

変な映画だった。序盤はサイコホラーっぽい手触りで、静かな会話シーンの後ろにふっと誰かいる、みたいな不穏な描写の積み重ねが気持ち悪い。
が、終盤で明確にジャンルが変わって、とんでもないスリリングな展開に転がっていく。
「え?こういう話だったの?」と2回くらい思う瞬間があるので、ぜひ味わってみてほしい。

 

◾️怪物(2023 日本)

怪物

ある火事の日から嵐の夜までの時間を、3人の別の人物の視点で繰り返し描いていく。

評判がいい理由はわかった。
視点人物が変わるごとに、同じ出来事でも見え方がガラリと変わり、観客目線ではどんどん見えていなかった事実があらわになっていく過程が面白くもあり、怖くもあり。「結局この人が悪い」というシンプルな構造に落とし込まないので、観終わったあとも脳内でいつまでも反芻してしまう。
このあと『国宝』にも出てた黒川想矢の存在感がすごい。

 

◾️学校の怪談(1995 日本)

学校の怪談

お化けが出るという旧校舎に迷い込んだ教師と子供たちの、一夜の恐怖体験を描く。

シンプルに面白かった。特撮やCGに古さは感じるが、子供の時に見てたらトラウマになってただろうしっかりめの恐怖シーンもある。
特にタイトル通り学校で起きそうな怪異は一通り起こしてくれて幕の内弁当的な楽しさがある。
ヘタレ先生の覚醒とか、かなわない淡い恋とか、王道エンタメ要素もしっかり網羅されている。
もう今って「木造旧校舎」って残ってないだろうから、旧校舎という言葉にうっすら感じる怖さって世代で断絶があるんだろうなー。

 

◾️見えない目撃者(2019 日本)

見えない目撃者

事故で視力を失った元警官の主人公は、車の接触事故を”目撃”してしまい、そこに誘拐事件の可能性を感じ取るが……。

傑作。この映画を観られただけでも、この企画をやってよかったと思う。
主人公が視覚障碍者だからこそ成立する緊迫したシーンや見せ場が目白押しで、クライマックスを含めて忘れがたいシークエンスが何個もある。
情報提示の順番や複線回収も見事。韓国映画のリメイクらしいので、絶対そっちも観る。
グロシーンが少しあるのと、犬が痛そうな目に遭う描写があるので注意。

 

はい、というわけで以上4本でした

 

すみません、ヘルドッグスを観ないで返しました。

えっ、『「この映画を観るぞ!」というモチベーションが爆上がりする』とか言ってたじゃないですか!話が違うじゃないですか!!

だってさ……137分って言われちゃうとさ……すみません、ヘルドッグス好きな人……

 

今週は特に、『見えない目撃者』を観られたことがよかった。

この作品、個人的な人生の宿題みたいな映画だったのである。劇場公開時に「えっ、これ絶対俺が好きなやつじゃーん!」と思いながらタイミングがかみ合わずにスルーしてしまい、配信におりてからも「えっ、配信されたなら絶対観よう~」と思いながらスルーしてしまい、今に至っていた。皆さんの中にも、そういう作品が二つや三つ存在するのではないかと思う。

これが、ついに観られた。「レンタルビデオを借りる」という単純な行動を1個挟むだけで

そして案の定、爆オモロ。あざした。いやー、もっと早く観ておけばよかったー。

皆さんもぜひ、そういう寝かせちゃってる作品があったらビデオを借りてみてほしい。すぐに観られるから。

 

そして、気付けば、この企画も最終週を迎えた。

最後は、映画以外のものにも手を出してみようと思う。

 

 

4週目:海外ドラマを借りよう

中学生ぐらいのころに、海外ドラマブームが到来した。

『24』『ロスト』『プリズンブレイク』などがスマッシュヒットとなり、DVDボックスが飛ぶように売れ、主人公のモノマネをする芸人が人気を集めた。

そのころ、近所のTSUTAYAでも急激に海外ドラマスペースが拡大していったのをよく覚えている。

 

それから二十年ほど経ち、いまでは海外ドラマといえば、ほとんど配信が主戦場になったように思う。

「一気見」なんて言葉まで生まれて、大手配信サイトのオリジナル作品が常に話題を集めている。

 

そんななかで、再びレンタルビデオに回帰してみる。

店頭でドラマコーナーを物色していると「あ~昔『メンタリスト』とか『スーパーナチュラル』とかコツコツ借りて観てたなぁ」と懐かしい記憶が噴出してくる。

 

だいたいは1ディスクにつき2話ずつ収録されていて、今見ると割高感を感じてしまうが、映画1本120分、ドラマ2本で(1話50分として)100分と思えば、まあ妥当か。

「次の話を再生」ボタンをピッと押す行為に慣れてしまった身としては、ちまちまディスクを入れ替えながら観るのは面倒くさそうだなぁと億劫に感じてしまう。

 

週に5枚借りる、というルールを満たせるのは、必然短いシリーズになった。

借りたのは、こちら。

・THE LAST OF US シーズン1 全9話(2023 アメリカ)

さて、観始めて気付いたのだが、ディスクを入れ替える手間はそんなに気にならない

どうせ毎回1話ずつしか観ないから、というのが大きな理由だが、ここまでの3週間でDVDの扱いに慣れたというのもあるかもしれない。

 

それ以上に不便に感じたのが、「イントロをスキップ」ができないことだ。

いや、まあ、オープニングもちゃんと観ろ、と言われればそれまでなのだが、筆者は毎話同じ映像なら飛ばす派なので、配信ドラマのスキップボタンに慣れているとここが地味に面倒に感じてしまった。すっかり配信サイトに飼いならされている。

 

■THE LAST OF US シーズン1 全9話(2023 アメリカ)

THE LAST OF US <シーズン1>

ゾンビパニックで娘を失った主人公は、抗体を持った少女とアメリカ横断の旅に出る。

めちゃくちゃ良いです。
日常崩壊を1話かけてじっくり見せてくれたあと、一気に二十年後に飛び、崩壊後の世界をごまかさずにしっかりと見せてくれる。節々に「予算」を感じる。
原作ゲームは未プレイだが、「ここ動かせるパートだろうなぁ」などと想像しながら観るのも楽しい。
「神回」と言われる3話がすごかったので、ここだけでも観てみてほしい。(おじさんカップルの半生を描く独立回)

 

いやー、観終われた。

海外ドラマの1シーズンを、まさか1週間で一気見できるとは!(話数が少ないとはいえ)

配信だと、別に途中でやめても金銭的損失がないせいか、ついつい途中で再生を止めてしまい「あのドラマ、最終回どうなったんだ?」となる作品が多い気がする。(ウォーキングデッドの最終回、どうなったんだ?)

しかしレンタルビデオは、くどいようだが期限があるために1週間の短距離走という感覚で最後まで見ることができた。

そういえば、前週までに観た映画たちも(そもそも再生しなかったものを除き)すべて途中で止めることなく最後まで見切っていた。配信だと気軽に見始めて、気軽に途中離脱してしまうことがある。

しかしビデオではそうはならなかった。これもくどいようだが、個別で課金しているため、「最後まで観なきゃもったいない!」という精神が働くためだと思う。

観始めたら最後まで観られる、というのもビデオの強みなのかもしれない。

 

1か月を終えて……

 

ここまでの気付きをまとめてみた。

・「1週間で返さないと」と思うと映画を観るモチベーションがめちゃくちゃ上がる

・その週に観るべき映画が5本に絞られるのがありがたい。

・意外ともう品揃えがレンタルビデオ屋 < 配信サイトになっている(店によるだろうけど)。

・いまだに置かれている旧作はめちゃくちゃ面白い

・レンタルビデオ屋で5本に絞る作業がかなり楽しい

・後回しにしていた作品を強制的に観るきっかけが作れる。

・ドラマのディスク入れ替えは意外と手間じゃない

・ただイントロスキップボタンは、欲しい。

・レンタルビデオなら、最後まで観られる

 

……と、ここまでレンタルビデオばかり褒めて配信を下げるような記事になってしまったが、DVDを返し終え、気まぐれにNetflixを開いてみたら、観たい映画もドラマもめちゃくちゃあって笑ってしまった。

「お前こういうの好きだよな」とアルゴリズムが好みの作品をぐいぐい鼻先に押し付けてくるので、そりゃあ魅力的に見えるわけだ。

これは単純に、一長一短だと思う。

レンタルビデオの方が、作品を観る強制力というか推進力は、確実にある。

配信はまあ普通にめちゃくちゃ便利だし、そもそも多分「これだけの作品をいつでも観られる」という状態に課金しているんだと思う。

 

 

結果的に、

レンタルビデオ屋に通ったら、1か月で映画13本とドラマ9話を観ることができた。

 

 

「もっと映画観たいけど、観れてないな~」「サブスク入ってはいるけど、入ってるだけだな~」という人は、ぜひレンタルビデオ屋に足を運んでみてはいかがだろうか。

いつもより、ちょっとだけ楽しい映画ライフを過ごせるはずだ。

 

 

では次は、「図書館に1か月通って本を読みまくる」でお会いしましょう。

 

(おわり)